売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00238 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類へ引き下げられ、行動制限の解除や入国制限の緩和などにより経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境が改善するなど緩やかな回復基調となりました。しかしながら、緊張状態が続く国際情勢の動向に加え、原材料や燃料費価格の高騰を背景とした物価上昇は高止まりの状態にあり、金利・為替の変動による景気への影響など先行きが不透明な状況があり、今後も引き続き注視していく必要があります。

 当建設業界におきましては、維持更新事業の大型工事に一部発注の先送り感が見受けられるものの、土木分野は高速道路の老朽化に伴う維持更新事業や暫定2車線区間の4車線化事業など社会インフラ整備を中心に堅調に推移しました。土木分野の先行きにつきましては、従来の公共事業関係費に加え、2021年度からスタートした政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策(令和2年12月)」や高速道路会社の「中期事業見通し」、国土交通省の令和6年度道路関係予算概算要求の内訳などから、引き続きインフラ老朽化対策など必要性の高い事業を中心に底堅く推移していくと見込まれます。

 一方で、建築分野につきましては、主に首都圏を中心とした再開発事業が順調に進んでおり、市場全体の縮小には至らないと予想しておりますが、資機材や製品輸送費の高騰など建設コストは総じて高い価格水準で推移しており、生産性の向上や収益の確保に向けた施策が必須となっております。

 このような経営環境のもと、当社グループは3年目となる「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充」をメインテーマとした第5次中期経営計画「VISION2030」の達成のため、これまでに整備した環境を体系的に結合し、新たな時代要求に対して「飛躍」するため、様々な施策を実施してまいりました。第Ⅱ期目となる九州小竹工場リニューアル工事を計画通りに進めるとともに、カーボンフリーに向けた生産現場の低炭素化を推進するための具体的なアクションのスタート、連結子会社である駿河技建㈱を核としたメンテナンス事業の拡大、ワークライフバランスの充実のための生産現場のリ・ブランディングの推進など経営リソースの充実に取り組みながら企業活動を行ってまいりました。

 さらに、健康に関する福利厚生制度の充実とウオーキングイベントなどの取り組みの実施、専門部署によるDXの推進、「SDGs」の全社的展開を通じた社会的な企業価値の向上のための取り組み等、生産性の向上とあわせて社員及び協力会社従業員の働き方改革の実現に向けて様々な施策を実施してまいりました。

 

a.財政状態

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は28,945百万円となり、前連結会計年度末に比べ154百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、現金預金が679百万円、未収消費税等が472百万円減少したものの、受取手形、完成工事未収入金等及び契約資産が481百万円、未成工事支出金が167百万円、製品が161百万円、有形固定資産が590百万円増加したことであります。

 負債合計は19,101百万円となり、前連結会計年度末に比べ238百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、短期借入金が884百万円、未成工事受入金が471百万円減少したものの、支払手形及び工事未払金が164百万円、電子記録債務が183百万円、預り金が224百万円、長期借入金が1,034百万円増加したことであります。

 純資産合計は9,844百万円となり、前連結会計年度末に比べ84百万円の減少となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する四半期純利益71百万円の計上、剰余金の配当162百万円の支払いによるものであります。

 

b.経営成績

 当第3四半期連結累計期間の経営成績につきましては、土木事業における契約の遅れなどにより受注高は、22,315百万円(前年同四半期比22.1%減)となりました。売上高につきましては、一部工事の着工遅延などによる影響が残り19,498百万円(前年同四半期比1.6%減)となりました。損益につきましては、売上高は減少したものの建築事業における工事採算性の改善から営業利益121百万円(前年同四半期比32.8%増)、経常利益116百万円(前年同四半期比9.3%増)となりました。また、国道拡幅に伴う土地の収用に係る補償金の一部受領分を特別利益に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は71百万円(前年同四半期比47.6%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①土木事業
 土木事業は、工事の大型化・長期化の傾向がより強まる中で、長期の大型手持ち工事の確保と中・短期的な工事確保による安定経営を目指し公入札、民間受注活動を進めました。当第3四半期連結累計期間においては、公入札では本社所在地である福岡県と広島県においてPC橋上部工新設大型工事を新規に受注し、JVにて受注しているNEXCO中日本発注の床版取替工事や阪神高速道路発注の大型補修補強工事では設計変更による増額を獲得いたしました。また民間工事では工場製品のプレキャストPC床版製作や下部工補強工事の設計変更による増額を獲得いたしました。このほか補修補強工事専門の当社連結子会社である駿河技建㈱がNEXCO中日本発注の補修補強工事を当社の指導のもと、初めて受注するなど鋭意受注活動を推し進めました。しかしながら、当第3四半期連結累計期間に受注を予定していた大型ECI工事の契約が、詳細設計に時間を要しているため翌連結会計年度以降の契約となる見込みであることや前第3四半期連結累計期間における大型工事受注による反動などもあり、受注高は14,344百万円(前年同四半期比40.6%減)となりました。

 売上高につきましては、現場施工、製品製作も概ね順調に進みましたが、一部の大型工事において工事着工までに時間を要したことによる進捗の遅れの影響が残り、当第3四半期連結累計期間においては14,910百万円(前年同四半期比4.2%減)となりました。

 セグメント利益につきましては、売上高の減少に加え、採算性の高い工事の進捗が想定以上に遅延したことや、民間工事における原材料・労務費などの建設コスト高騰の影響などにより1,885百万円(前年同四半期比5.7%減)となりました。

 

②建築事業

 建築事業は、遅れていた関東地区の大型再開発事業の受注に加えて、関西・中部地区におけるマンション事業の発注が順調に推移したことで受注高は7,705百万円(前年同四半期比81.4%増)となりました。

 売上高につきましては、関東地区の大型再開発現場において元請都合による工事中断の影響はありましたが、その影響は解消しつつあり、さらに関西・中部地区で耐震補強工事等の進捗好転があり、4,388百万円(前年同四半期比8.0%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、採算性の高い工事の進捗が順調に推移したことで487百万円(前年同四半期比36.0%増)となりました。

 

③不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、テナント獲得競争は依然として継続しているものの、安定した入居率の確保を目指して営業活動を展開した結果、受注高は264百万円(前年同四半期比3.8%増)、売上高は198百万円(前年同四半期比4.6%増)となりました。

 セグメント利益につきましては、118百万円(前年同四半期比11.5%増)となりました。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
 なお、当第3四半期連結累計期間における土木事業及び建築事業の研究開発費総額は98百万円であり、不動産賃貸事業及びその他につきましては、研究開発活動は行っておりません。