売上高

利益

資産

キャッシュフロー

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労働生産性

ROA 総資産利益率

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最終更新:

E39662 

売上高

23.7億 円

前期

18.3億 円

前期比

129.5%

時価総額

36.1億 円

株価

1,215 (07/12)

発行済株式数

2,968,590

EPS(実績)

37.05 円

PER(実績)

32.80 倍

平均給与

457.6万 円

平均年齢(勤続年数)

32.0歳(3.5年)

従業員数

76人(連結:82人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

(1) ミッション及びビジョン

当社グループは、「誰もが、ありのままに一歩ふみ出せる場所づくりを。」をミッションとして掲げ、コミュニティデータプラットフォーム事業※1、※2の展開を通じて「コミュニティデータプラットフォーマーとしての地位を確立し、さまざまなコミュニティから収集されたデータの活用を通じて多様化する社会のニーズに沿った事業を創出し、多様な価値観による経済活動に主導された持続可能な社会を実現すること」を経営目標としております。そのために、データを基盤に社会の多様な価値観やニーズ、想いに応える事業を創り続けるべく「次の時代のコミュニティを創っていく。」というビジョンを掲げております。

※1 コミュニティ:特定の共通した価値観や興味関心を持つ人々の集まり。

※2 コミュニティデータ:SNSをはじめとした消費者のデジタル上の情報発信から得られる、市場ニーズや消費者インサイトなど、付加価値の高い独自データ。

 

(2) 市場分析と事業展開の背景

当社グループは当社(株式会社ライスカレー)及び連結子会社1社(株式会社RiLi)により構成されており、インターネットコミュニティ領域※1において事業を展開しています。

当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティ領域においては、個人の滞在時間が大幅な増加傾向にあります。総務省情報通信政策研究所の「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、いわゆるZ世代やミレニアル世代と呼ばれる、10代や20代においては、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降の個人の可処分時間増のうち、「動画投稿・共有サービスを見る」や「ソーシャルメディアを見る・書く」といったインターネットコミュニティ領域に、最も多くの時間が配分されたと調査されました。

また、それに伴い、財・サービスの提供者である企業は、この変化に適応するため、広告資源のインターネット領域への配分を拡大させています。さらに、従来は消費者であった個人が、供給者側に回る例(CtoC※2)も、個人の利用が可能なECプラットフォーム等の発展により拡大しています。

当社グループは、上記の大きなトレンドを踏まえ、消費者が今後より一層インターネットコミュニティ領域の中での消費行動を拡大していくと考え、コミュニティデータを起点として経済の場を生み出すコミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。

※1 インターネットコミュニティ領域:SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をはじめとしたインターネットのアプリケーションを通じて共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まって持続的に相互作用する場。

※2 CtoC:Consumer to Consumerの略。日本語では「個人間取引」を指し、消費者が消費者に対して商品の販売やサービスの提供をするビジネスモデル。

 

(3) 当社グループの事業内容

当社グループはコミュニティデータプラットフォーム事業のみの単一セグメントであり、自社開発をしたコミュニティデータマネジメントツール群であるデータクラウドを基盤として、企業向けにサービスを提供するエンタープライズ領域と、一般消費者向けにブランドやサービスを提供するコンシューマ領域を展開しております。

はじめに、事業基盤としてデータクラウド『CCXcloud』シリーズによって蓄積・分析された、SNSをはじめとするコミュニティに関連する資産、すなわちデータアセット(コミュニティデータ)が当社グループの事業の特徴として挙げられます。

『CCXcloud』にはSNSをはじめとしたコミュニティから取得できるマーケティングデータやユーザーのインサイト※1、そしてEC等の購買データなど多様なコミュニティデータの蓄積・分析が可能となっており、当社グループが主にインターネット上で自社運営しているコミュニティ(自社コミュニティ)及び当社グループが支援する顧客のコミュニティには全て『CCXcloud』を導入しております。

 

[事業構成図]

 

※画像省略しています。

(注) SMB:Small and Medium-sized Businessの略で、中小・中堅企業を指す。

 

当社グループは自社コミュニティとしてさまざまなテーマ、年齢層に向けたメディアコミュニティやクリエイター※2コミュニティを運営しており、累計400万人を超えるコミュニティ規模となっています(2024年3月31日時点)。それらの自社コミュニティより生まれ、『CCXcloud』に蓄積したコミュニティデータをもとに、一般消費者向けにさまざまなコミュニティブランドをはじめとした各種サービスを展開しています。また、『CCXcloud』に蓄積されたコミュニティデータから生み出されたマーケティングソリューションを顧客に提供する、コミュニティマーケティング関連サービスを展開しています。

『CCXcloud』には、SNSフォロワー数※310.2億ユーザー、SNSリアクション数※449.4億回、連携アカウント数※512,762アカウント(2024年3月時点)のコミュニティデータが蓄積されており、コミュニティデータプラットフォームとしての規模を拡大し続けております。

さらに、『CCXcloud』はジェネレーティブAI(生成AI)※6を活用したリコメンド(おすすめ)機能をはじめとした先進的な技術を取り入れております。

上述の通り、当社グループはエンタープライズ領域とコンシューマ領域の両軸でデータドリブン※7でのコミュニティデータプラットフォーム事業に取組んでおり、この事業展開並びに『CCXcloud』へのコミュニティデータの蓄積こそが当社グループならではの強みとなります。

※1 ユーザーのインサイト:ユーザー自身も認識していない隠れたニーズや本音。

※2 クリエイター:世間や流行に大きな影響を持つ人(=インフルエンサー)やタレント、Youtuberなどコンテンツを発信している人。

※3 SNSフォロワー数: 『CCXcloud』 の構成ツールの一つであるSNS分析ツール『CCXsocial』においてデータを連携して取得しているSNSアカウントのフォロワー総数。

※4 SNSリアクション数: 『CCXcloud』 の構成ツールの一つであるSNS分析ツール『CCXsocial』においてデータを連携して取得しているSNSアカウントに対するフォロワーからのリアクションデータの総数(いいね、保存、コメント等)。

※5 連携アカウント数:自社開発をしたコミュニティデータマネジメントツール群であるデータクラウド『CCXcloud』の主要ツールである、『CCXsocial』の累計データ連携アカウント数及び『アドスタ byCCXcloud』の累計広告配信アカウント数を足し合わせたもの。

※6 ジェネレーティブAI(生成AI):コンテンツやモノについてデータから学習し、それを使用して創造的及び現実的な、まったく新しいアウトプットを生み出す機械学習方法。既存のAIと違い、AI自身がコンテンツ等を生成できる。

※7 データドリブン:収集したデータを分析し、意思決定や企画の立案に役立てていく方法。

 

[コミュニティデータとは]

※画像省略しています。

 

以下では主にコミュニティデータプラットフォーム事業を構成する2つの事業領域(①エンタープライズ領域、②コンシューマ領域)について詳細に説明します。

 

① エンタープライズ領域

当社グループで展開するエンタープライズ領域は、まず顧客(クライアント企業)が主にオンライン上で運営するSNSを中心としたコミュニティに関連する運用、マーケティング、広告、キャンペーン企画等の戦略立案及び実行を総合的に支援する各種ソリューションを提供するマーケティング・DX※1と、次にSNS分析ツール『CCXsocial』や中小企業向けSNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』等から構成されるコミュニティデータマネジメントツール群である『CCXcloud』を提供するデータクラウドから成り立っております。

 

マーケティング・DXは『CCXcloud』に蓄積される社内外の幅広いコミュニティデータの収集・分析に基づいた一気通貫したマーケティングソリューションであることが特徴です。SNS運用代行、インフルエンサーPR、デジタル広告、WEB制作といった幅広いソリューションの提供を行っています。SNSへの企業の関心が高まり、企業のSNSをはじめとしたデジタルマーケティング予算が拡大する昨今において需要が高まっております。また、当社グループが提供するデータドリブンのSNSコミュニティ運用手法は顧客から高く評価され、単発的なキャンペーン施策やインフルエンサーキャスティング施策の提供などとは異なり、クライアント企業の中長期的な企業価値向上につながる本質的な支援を行っております。結果、当社は継続性の高い取引を実現しており、2024年3月期における取引※2においては、12ヶ月のうち6ヶ月以上取引のあったクライアント企業数は全クライアント企業数の50.3%を占めており、3ヶ月~5ヶ月取引のあったクライアント企業割合は23.0%、1ヶ月~2ヶ月取引のあったクライアント企業割合は26.7%となりました。また、SNSを中心としたマーケティングの上流から下流まで幅広いソリューションを提供していることから、大手企業が求める総合的なマーケティング支援を直接行うことができるため、2024年3月期の主要な取引※3における代理店を挟まない直接取引を行う顧客数割合は60.0%、1,000億円以上の売上規模※4を持つ顧客企業が全体の33.3%となりました。さらに、コンシューマ領域において提供している自社のブランド・サービスから得られるマーケティングに関するデータやノウハウを活用することで、より質の高いソリューションの提供を実現しています。

 

データクラウドにて展開している『CCXcloud』は、SNSを中心としたさまざまなコミュニティデータを取得・統合管理できるデータマネジメントツール群です。SNS分析ツール『CCXsocial』は、当社の運営するブランド・サービスやメディア、当社顧客など当社が関わるSNSコミュニティに無料で提供され、当社のSNS分析に関する基盤としての役割を果たしています。2024年3月期末には前期末と比較して累計契約アカウント数※5は578.0%増加しました。また、SNSコミュニティ集客ツール『アドスタ byCCXcloud』は、SNS広告を中心としたインターネット広告配信による集客ができるサービスです。インターネット広告業界で慣習的に設定されている配信金額の下限を廃止して低予算から広告を簡単に配信することを可能にしたツールです。低予算から広告を配信することが可能になったため、中小企業を中心にサービスの利用が拡大しており、2024年3月期末には前期末と比較して累計広告アカウント数※6が307.9%増加しました。

※1 DX:「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、デジタル技術によってビジネスや社会、ライフスタイルを変革することを指す。

※2 ただし、2024年2月以降の新規獲得クライアント企業については除く。

※3 2024年3月期通期のエンタープライズ領域のマーケティング・DXに関するソリューション提供に起因する売上高の約80%を占める取引先企業45社のうちの取引形態の比率。

※4 売上規模については2024年3月末時点における各社直前通期決算の数値に基づく。

※5 『CCXsocial』に契約しているアカウント数の累計について、2023年3月末時点と2024年3月末時点を比較したもの。

※6 『アドスタ byCCXcloud』を通じて広告配信を行ったアカウント数の累計について、2023年3月末時点と2024年3月末時点を比較したもの。

 

[マーケティング・DX関連のソリューション]
※画像省略しています。

 

(注) 1.LPO:Landing Page Optimizationの略で、「LP(ランディングページ)最適化」を指す。 製品・サービスの紹介から購入までを一つのページにまとめたLPの内容を、ユーザーのニーズに合わせて改善すること。

2.プロコミュニティs IF:当社の提供する、特定のコミュニティに特化してインフルエンサーや質の高い一般ユーザーを集めた「インフルエンサー・エージェンシー」の総称。IFはインフルエンサーを指す。

3.プロコミュニティs UG:UGはUser Generatedの略で、質の高い一般ユーザーにより生み出させるSNS上の投稿のことを指す。

 

[データクラウド関連サービス]
※画像省略しています。

 

② コンシューマ領域

当社グループは、『CCXcloud』へ蓄積されたコミュニティデータとノウハウを基に、消費者に対して価値あるサービスを提供する事業領域をコンシューマ領域としており、主力ブランドの『MiiS』や『RiLi』のほか、3つのコミュニティブランド・5つのコミュニティメディアを運営しております。

コミュニティブランド『MiiS』の場合、オーラル美容をコンセプトに、SNSなどをはじめとした美容関連コミュニティでの販売促進活動を行っております。さらには、自ら購入した『MiiS』商品を自身のSNSで紹介しているようなMiiS愛好インフルエンサー※1がアンバサダーとしてオーラル美容そのものの普及やホワイトニング歯磨きジェルなどの商品の販売に努めています。また、店舗での卸売販売、さらには『MiiS』のブランディング力を活用したデンタルクリニックのプロデュースをはじめとしたオフラインでのサービス提供まで行っております。

子会社で運営するコミュニティブランド『RiLi』の場合、Z世代※2向けのSNS映え※3ファッションをコンセプトに、アパレル商品の販売を行っております。『RiLi』に関しても『MiiS』同様に、RiLi愛好インフルエンサー※4がアンバサダーとして『RiLi』ブランドの普及に努めております。

さらに、コミュニティブランド『HICAT』の場合、ゲームなどのサブカルチャーを好む消費者層を対象に、カフェインレスのエナジードリンク『HICAT Hi-ENERGY』の販売を行っております。また、ブランドの世界観を体現するVTuber※5のプロデュース、タイアップ商品の開発を行い、『HICAT』ブランドの普及に努めております。

また、こうしたブランド開発を通じて得られた知見はエンタープライズ領域にも還元しており、新たなソリューションの開発や既存ソリューションの改善はもちろん、顧客やリード企業向けのセミナーに自社ブランド担当者が登壇するなど、営業における連携も行っております。

今後もコミュニティデータを活用した熱量の高いコミュニティブランドの持続可能な成長や新しいコミュニティブランドの創出に継続的に挑戦していきます。

※1 MiiS愛好インフルエンサー:実際に『MiiS』の商品を利用している、SNS等で多くのフォロワー(ファン)を保持している人物のこと。

※2 Z世代:1990年代後半から2010年代に生まれた世代のこと。

※3 SNS映え(ばえ):SNSユーザーが好む、写真に映えるような風景・人・モノのこと。

※4 RiLi愛好インフルエンサー:実際に『RiLi』の商品を利用している、SNS等で多くのフォロワー(ファン)を保持している人物のこと。

※5 VTuber:「Virtual Youtuber」の略語であり、動画配信サービスYouTube上で本人ではなく2D又は3Dのキャラクターを使って活動している人物のこと。

 

[オーラル美容ブランド『MiiS』のケース]

当社のオーラル美容ブランド『MiiS』の商品開発においては、開発初期に、美容関連の自社メディアやインフルエンサーを通じて、消費者の課題やニーズに関するデータを収集・分析することで、美容コミュニティにある「オーラルケア×美容」というニーズと商品のマーケットポテンシャルを検証しました。これにより、ブランドの収益可能性が見込めるという示唆を得ることができたことに加え、パッケージデザインやコピーなどの具体的な方向性についても定量的に判断することが可能になりました。

こうしたコミュニティデータを活用したブランドの展開は加速しており、「ホワイティエッセンス(歯の美容液)」を中心に自社ECや海外EC、モールEC、卸店舗、さらにはデンタルクリニックのプロデュースも行うなど、多様な販路を通じた収益化にも成功しております。

※画像省略しています。

 

 

[ブランド・サービス一覧と収益化手法]

当社グループは特定の分野に絞られない再現性のあるブランド・サービスの展開を目指しています。例えば『MiiLabo』や『RiLi.tokyo』など、自社SNSメディアを通じて収集されたコミュニティデータは、オーラル美容ブランド『MiiS』や、Z世代など若年層コミュニティを抱えるアパレルブランド『RiLi』などの運営に活用されており、商品開発・マーケティングに関するノウハウの共通化に貢献しております。

当社グループは自社で提供する複数のブランド・サービスにおいて、共通したデータ分析基盤やブランド管理体制を整えており、『RiLi』のようにM&Aを通じた当社グループへの参画も実現しております。

※画像省略しています。

(注) 1.IPやメディアの知名度を活かした、商品企画やPRに関するコラボレーションによるマネタイズ。

2.メディアへの広告出稿など、委託型のタイアップによるマネタイズ。

3.サービスの利用顧客数、フォロワー数を含む、コミュニティ内のユーザー数(2024年3月31日時点)。

4.大手バラエティストアへの卸売とクリニックの開業支援による。

5.期間限定のPOPUPストアや、卸売による他社運営店舗を含む。

6.大手バラエティストアやドラッグストアへの卸売。

 

 

[事業系統図]

データクラウドである『CCXcloud』を基盤に、企業から一般消費者まで、SNS上の消費活動・情報発信に関する横断的なデータを蓄積。データから導かれる多様なインサイトを軸に、エンタープライズ・コンシューマ領域において相互にシナジーを発揮した事業成長を実現し、競合優位性を構築しています。

※画像省略しています。
24/06/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限等が緩和され、景気の緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、世界経済については、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、引き続き経済動向の先行きは不透明な状況が続いております。

 

当社グループは当社(株式会社ライスカレー)及び連結子会社1社(株式会社RiLi)により構成されており、インターネットコミュニティ領域において事業を展開しています。インターネットコミュニティ領域とはSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)をはじめとしたインターネットのアプリケーションを通じて共通の関心分野、価値観や目的を持った利用者が集まって持続的に相互作用する場を指します。

 

当社グループが事業を展開するインターネットコミュニティ領域においては、個人の滞在時間が大幅な増加傾向にあります。総務省情報通信政策研究所の「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、いわゆるZ世代やミレニアル世代と呼ばれる、10代や20代においては、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降の個人の可処分時間増のうち、「動画投稿・共有サービスを見る」や「ソーシャルメディアを見る・書く」といったインターネットコミュニティ領域に、最も多くの時間が配分されたと調査されました。

また、それに伴い、財・サービスの提供者である企業は、この変化に適応するため、広告資源のインターネット領域への配分を拡大させています。さらに、従来は消費者であった個人が、供給者側に回る例(CtoC)も、個人の利用が可能なECプラットフォーム等の発展により拡大しています。

 

当社グループは、上記の大きなトレンドを踏まえ、消費者が今後より一層インターネットコミュニティ領域の中での消費行動を拡大していくと考え、コミュニティデータを起点として経済の場を生み出すコミュニティデータプラットフォーム事業を展開しております。

 

このような状況の中で、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,374,756千円(前年同期比29.5%増)、売上総利益1,286,340千円(同27.1%増)営業利益87,986千円(前年同期は営業損失166,712千円)、経常利益89,568千円(前期同期は経常損失166,976千円)、親会社株主に帰属する当期純利益109,979千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失121,928千円)となりました。

なお、当社グループは「コミュニティデータプラットフォーム事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

また、当連結会計年度末における財政状態は以下の通りであります。

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、1,104,100千円となり、前連結会計年度末に比べ567,944千円増加しました。これは主に、現金及び預金441,730千円増加し、売掛金が64,300千円増加したこと等によるものであります。固定資産は690,768千円となり、前連結会計年度末に比べ28,502千円減少しました。これは、主にのれん38,638千円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、1,794,869千円となり、前連結会計年度末に比べ539,442千円増加しました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は、590,369千円となり、前連結会計年度末に比べ214,538千円増加しました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金88,111千円増加、短期借入金50,002千円増加したこと等によるものであります。固定負債は452,637千円となり、前連結会計年度末に比べ214,923千円増加しました。これは、主に長期借入金が216,193千円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、1,043,006千円となり、前連結会計年度末に比べ429,462千円増加しました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、751,862千円となり、前連結会計年度末に比べ109,979千円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を109,979千円計上したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて416,730千円増加し、613,054千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、92,204千円の収入(前連結会計年度は154,403千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を89,408千円、のれん償却額を38,638千円、未払消費税等の増額を47,796千円計上した一方で、売上債権が64,300千円、棚卸資産が61,324千円、それぞれ増加したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、28,274千円の支出(前連結会計年度は306,992千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が4,422千円、無形固定資産の取得による支出が24,837千円あったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは353,088千円の収入(前連結会計年度は314,109千円の収入)となりました。これは、短期借入金の増加額が50,002千円、長期借入れによる収入が410,000千円あった一方で、長期借入金の返済による支出が105,696千円あったこと等によるものであります。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は、次の通りであります。なお、当社グループの事業セグメントは、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、事業領域別に記載しております。

事業領域の名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

エンタープライズ領域

コンシューマ領域

340,659

87.0

合計

340,659

87.0

 

(注) エンタープライズ領域は、提供するサービスの性格上、仕入実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。なお、当社グループの事業セグメントは、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載していないため、事業領域別に記載しております。

事業領域の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

エンタープライズ領域

1,544,100

144.0

コンシューマ領域

830,655

109.1

合計

2,374,756

129.5

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

    至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社マイナビ

87,781

4.8

438,284

18.5

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成において適用する会計基準等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の通りです。

 

② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度の売上高は2,374,756千円(前年同期比29.5%増)となりました。これは主に、『プロコミュニティs』という質の高いインフルエンサーや一般消費者の口コミや投稿をSNS上に増やすことができるサービスを中心としてエンタープライズ領域のマーケティング・DXに関する売上が伸長したことに加え、当社グループのデータクラウドの一つである『アドスタ byCCXcloud』の利用拡大が売上の成長に寄与しました。『アドスタ byCCXcloud』は広告予算の少ない中小企業を多数抱える媒体と協業する営業戦略が売上成長の要因となりました。また、コンシューマ領域についてはオーラル美容ブランド『MiiS』を中心に、国内ECといった特定の販路に依存せず、卸販売や海外販売といった多角的な販路を通じた収益化を進めました。合わせて、エンタープライズ領域とコンシューマ領域で『CCXsocial』など共通のデータ分析基盤を持つことで、コンシューマ領域から得られたデータ分析結果をエンタープライズ領域の顧客提案に活用するなど、エンタープライズ領域とコンシューマ領域を両方持つ当社グループの強みが発揮されました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は1,088,416千円(前年同期比32.4%増)となりました。これは主に、エンタープライズ領域のデータクラウドの一つである『アドスタ byCCXcloud』の拡大による広告原価の増加に加え、『MiiS』を中心としたコンシューマ領域の売上拡大による商品原価、支払報酬等の増加によります。この結果、売上総利益は1,286,340千円(前年同期比27.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,198,353千円(前年同期比1.7%増)となりました。これは主に広告宣伝費・販売促進費や人件費等の必要な諸経費によるものであります。売上の成長に加え、コンシューマ領域を中心とした選択と集中による一部ブランドの撤退や業務効率化を通じた販売管理費の削減を行った結果、営業利益は87,986千円(前年同期は営業損失166,712千円)となり黒字化しました。

 

(営業外損益、経常損益)

当連結会計年度の営業外収益から営業外費用を差し引いた営業外損益の純額は、1,581千円の利益となりました。これは主にクレジットカードのポイント還元による受取手数料と支払利息によるものであります。その結果、経常利益は89,568千円(前期同期は経常損失166,976千円)となりました。

 

(特別損益、法人税、住民税及び事業税、親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の特別損失は△159千円となりました。これはコンシューマ領域の事業譲渡損によるものです。法人税等合計は、△20,571千円となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は109,979千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失121,928千円)となりました。

 

なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に関する分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、インフルエンサーへの報酬、販売商品の仕入原価、コンテンツ制作原価等の売上原価や、人件費や地代家賃等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規サービスの開発費等であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としておりますが、新規株式発行による外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。現時点で、短期的な資本の財源及び資金の流動性に問題はありませんが、今後も資金の残高及び各キャッシュ・フローの状況を常にモニタリングしつつ、資本の財源及び資金の流動性の確保・向上に努めてまいります。

また、資金の流動性の確保に関して、通常の融資に加え各金融機関合わせて2億円の当座貸越枠を確保しております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は681,644千円となっており、現金及び現金同等物の残高は638,054千円となっております

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通り、さまざまなリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。

これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りです。