売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E05700 Japan GAAP

売上高

72.2億 円

前期

109.3億 円

前期比

66.0%

時価総額

252.3億 円

株価

641 (04/23)

発行済株式数

39,355,862

EPS(実績)

-43.23 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

898.7万 円

前期

790.4万 円

前期比

113.7%

平均年齢(勤続年数)

42.2歳(2.9年)

従業員数

204人(連結:288人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは株式会社FRONTEO及び連結子会社7社(2023年3月31日現在)で構成され、事業部門をAIソリューション事業とリーガルテックAI事業の2つに大別し展開しております。各事業の内容は次のとおりであります。

 

(1) AIソリューション事業

 ① ライフサイエンスAI

 自社開発の自然言語解析AIエンジン「KIBIT(キビット)」を活用し、創薬研究の効率化・加速化・成功確率向上、医療の質向上・効率化、医療従事者の負担軽減・業務改善、高齢者のQOL(Quality of Life)向上などに貢献できるよう、さまざまな製品・サービスを研究開発・提供しています。現在、AI創薬領域、AI医療機器領域の2つの領域に大別し展開しております。

 AI医療機器領域では、世界初の言語系AI医療機器を目指し、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」の開発を着実に進めております。また、開発プロセスで収集された質の高いデータセットや開発ノウハウを活用した民生品、「統合失調症診断支援AIプログラム」及び「うつ病診断支援AIプログラム」などその他の製品につきましても、順調に開発を進めております。

 AI創薬領域においては、”FRONTEO Drug Discovery AI Factory”(以下、DD-AIF)構想を打ち出し、立ち上げに向けた準備を進めております。DD-AIFは、製薬企業・研究機関での創薬研究への従事経験と実績を有し、AIにも精通しているバイオロジストと、自社開発のAIエンジン「KIBIT」やAIアプリケーションを活用して最大のパフォーマンスを発揮する高度な解析を行うデータサイエンティストなどがチームとなり、独自の手法で情報解析と提案を行う創薬支援サービスであり、顧客の創薬研究の効率化・加速化・成功確率向上に貢献してまいります。

 

  ② ビジネスインテリジェンス

 ビジネスインテリジェンス分野においては、独自の自然言語解析AIエンジン「KIBIT」を活用した各種ソフトウェア、メール&チャット監査システム「KIBIT Eye(キビット アイ)」、「お客様の声」の分析を行う「KIBIT WordSonar for VoiceView(キビット ワードソナー フォー ボイスビュー)」、災害リスク発見と予知を行う「KIBIT WordSonar for AccidentView(キビット ワードソナー アクシデントビュー)」、ビジネスデータ分析支援システム「KIBIT Knowledge Probe(キビット ナレッジプローブ)」などの製品ラインナップを中心に、当社AIと連携したシステムの受託開発、AI導入コンサルティングサービス、運営サポートをはじめ、企業内データ解析を様々な角度から行っております。

 経済安全保障分野では、「KIBIT Seizu Analysis(キビット セイズ アナリシス)」を活用した、サプライチェーン解析ソリューション、株主支配ネットワーク解析ソリューション、最先端技術・研究者ネットワーク解析ソリューションの提供を開始し、経済安全保障に関する経営戦略の立案を支援しております。

 

(2)リーガルテックAI事業

  ① eディスカバリサービス

 ディスカバリは米国民事訴訟で被告・原告の双方が審理前に証拠を開示する制度であります。特に、電子データを取り扱う作業はeディスカバリと呼ばれます。当社は、アジアにおけるeディスカバリ総合支援企業のパイオニアとして、証拠となりうる電子データの特定、証拠保全からデータの処理、ドキュメントレビュー、提出データ作成にいたるまでワンストップでサービスを提供しております。さらに、2019年3月にはAIレビューツール「KIBIT Automator(キビット オートメーター)」をリリースし、AIを活用した文書レビューの提案活動を日米において強力に推進しております。

 

  ② フォレンジックサービス

 フォレンジックサービスとは、情報漏洩や内部不正等の問題が生じた際に、顧客からの依頼を受けて提供されたパソコン等を、いつ、誰が、どのようなことをしたのか不正調査の観点から調査し、調査結果を顧客へ提供するサービスであります。昨今では年々増加傾向にある第三者委員会への協力案件も増えております。また、当社グループは日本発のデジタルフォレンジックソフトウェアとして独自の人工知能を搭載した「KIBIT XAMINER(キビット エグザミナー)」の販売を行っております。

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。
23/06/30

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)

(1) 経営成績

当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)において、世界的な原材料価格の高騰や国際紛争などを背景に、わが国では企業の生産性向上や業務効率化、ビジネスモデルの変革を目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)など、今後の持続的な成長を目指す投資需要が高まり、AIはその有力な選択肢となっています。この社会的要請に応えるべく、質の高いAIソリューションの研究開発・提供を推し進め、企業価値の向上に向けて事業活動を推進してまいります。

 

AIソリューション事業のライフサイエンスAI分野の中のAI創薬領域においては、DD-AIF構想を打ち出し、立ち上げに向けた準備を進めております。
 一般的な創薬プロセスにおいて、創薬能力向上のボトルネックになっているのは、創薬プロセスの最上流工程である標的同定プロセスですが、既存の方法による同プロセスの改善には多大な時間と費用がかかると言われております。そのため、創薬研究者は、創薬能力を向上させるべく、標的同定プロセスの効率化・高度化のために既存の方法を打破するイノベーションを起こすという思いを抱いています。
 上述の創薬研究者の思いと、FRONTEOの理念であるフェアネスの実現、そして当社のコアコンピタンスである独自言語解析AIである「KIBIT」が融合したことで、わが国の創薬研究の一線級の研究者たちがFRONTEOに集結し、DD-AIF構想を打ち出しました。DD-AIFは、創薬研究者、バイオロジスト、データサイエンティスト、AIエンジンである「KIBIT」及び「KIBIT」を搭載した様々な自社開発アプリケーションで構成されます。

当社は、製薬企業、創薬ベンチャーなどからの標的分子探索・選定などのオーダーに対して、DD-AIFにおいて、DD-BKMと、DD-BKMを複合的に組み合わせたレシピを駆使することで、網羅的かつノンバイアスな探索・評価を行い、通常の創薬プロセスの数十倍以上の効率性を持つ革新的な受託サービスの提供を本格稼働いたします。
 また、DD-AIFを構成するアプリケーションの一つである、「KIBIT liGALILEO(キビット リガリレオ)」の解析対象である標的遺伝子・分子について評価を行う対象疾患を、従来の1,500疾患から1万2,000疾患に拡充するなど、DD-AIFの機能強化も順調に進捗しており、AI創薬事業の事業拡大に向け推進してまいります。
 続けて、医療機器領域における、「会話型 認知症診断支援AIプログラム」に関しては、第2四半期連結会計期間で公表しました通り、会話の音声を入力データとするプログラム(自動音声書き起こし機能付きプログラム)の開発に一本化して、着実に開発を進めております。また、開発プロセスで収集された質の高いデータセットや開発ノウハウを活用した民生品につきましても並行して開発を進めてまいります。
 なお、「統合失調症診断支援AIプログラム」及び「うつ病診断支援AIプログラム」などその他の製品につきましても、順調に開発を進めております。
 
 ビジネスインテリジェンス分野につきましては、メール&チャット監査システム「KIBIT Communication Meter(キビット コミュニケーション メーター)」の受注は堅調に推移し、「お客様の声」の分析を行う「KIBIT WordSonar for VoiceView」に関しても複数の企業との間で導入に向けた協議を継続するなど、当社AI技術の優位性は引続き揺るがないと考えております。さらに、当第4四半期連結会計期間において、新たなAIエンジンを搭載した平時監査システム「KIBIT Eye」を発表いたしました。「KIBIT Eye」は、人の優れた直観的な判断能力をAIで再現することで、従来の製品よりも精度が更に向上しております。今後も顧客企業における平時監査業務の効率化・高度化を支援し、不正・不祥事の予防と早期発見に貢献してまいります。

 

ビジネスインテリジェンス分野の当連結会計年度の売上高は前年度比較で増収となりましたが、営業体制強化に向けた人的投資の推進に遅れが生じた影響で、当初想定していたほどの増収には至りませんでした。営業体制強化は当第4四半期連結会計期間において一定程度の進捗をしておりますが、来期の売上高増加に見合った人的投資は引き続き継続してまいります。DXを推進する市場は今後も引続き旺盛であると認識しており、今後も市場は成長していくと考えております。このような市場環境において、当社の認知度を高め、パイプラインを積上げることで、引き続き事業を拡大してまいります。

 

経済安全保障分野につきましては、2022年5月に経済安全保障推進法が成立し、官庁と民間企業双方での経済安全保障への関心は一層高くなっており、お問合せは増加傾向にあります。当連結会計年度においては、経済安全保障分野における複数の特許査定を取得するなど、事業の本格化に向けて進捗しております。引き続き、各所各社のニーズを把握し、的確なソリューションを提供することで事業の拡大に努めてまいります。

 

リーガルテックAI事業は大型案件の積上げが少なく、当第4四半期連結会計期間の当該事業における売上高は第3四半期連結会計期間を下回り、低調に推移いたしました。営業体制強化に向けた人的投資の推進に遅れが生じましたが、当第4四半期連結会計期間において、営業体制強化は一定程度の進捗をしております。来期の売上高の回復に向けて、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」を利用したマーケティング活動や営業活動量を増加させることで、顧客基盤の強化と拡大を図ってまいります。

 

各事業の当連結会計年度の概況は以下のとおりです。

 

(AIソリューション事業)

ライフサイエンスAI分野につきましては、アクセリード株式会社との共同事業「Druggable Target 1000」のプロジェクトが完了し、収益を得ることができました。また、医療・医学専門情報の自動仕分けを行う「KIBIT Mekiki(キビット メキキ)」及び論文探索AIシステム「KIBIT Amanogawa(キビット アマノガワ)」に関しても製薬企業への導入は着実に進捗いたしましたが、大型案件の積上げが少なく、売上高は451,768千円(前年同期比42.2%減)となりました。

ビジネスインテリジェンス分野につきましては、企業のDX推進の需要により、複数の企業で「KIBIT Communication Meter」が導入され堅調に推移した結果、売上高は1,387,549千円(前年同期比8.8%増)となりましたが、業績を牽引する大型案件が少なく、想定していた売上高には届きませんでした。

その結果、AIソリューション事業全体の売上高は1,850,483千円(前年同期比11.7%減)となりました。営業損益につきましては、人的投資及び経済安全保障分野に関する投資を戦略的に推進したことなどにより、298,585千円の営業損失(前年同期は451,330千円の営業利益)となりました。

 

(リーガルテックAI事業)

リーガルテックAI事業につきましては、eディスカバリサービスにおいて大型案件の受注が低調に推移したことに加えて、戦略的な非AIビジネスの削減により売上高が大幅に減少いたしました。

その結果、売上高は5,364,787千円(前年同期比39.3%減)、売上高の減少に伴い1,063,404千円の営業損失(前年同期は1,270,384千円の営業利益)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高7,215,270千円(前年同期比34.0%減)、営業損失1,361,990千円(前年同期は1,721,714千円の営業利益)、経常損失1,292,518千円(前年同期は1,687,434千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,701,317千円(前年同期は1,308,760千円の親会社株主に帰属する当期純利益)と前年同期を下回る結果となりました。なお、不正アクセス対策費用に対する受取保険金として54,648千円を特別利益に、非AIビジネスの戦略的縮小に伴うコスト構造最適化を目的とした構造改革費用として258,876千円、不正アクセス対応のための情報セキュリティ対策費として223,997千円を特別損失に計上しております。

 

 

(2) 財政状態

(資産)

総資産は、前連結会計年度末と比べて2,679,900千円減少し、9,145,229千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べて2,278,263千円減少し、3,663,138千円となりました。これは主に、配当金の支払、借入金の返済、不正アクセス関連の支払に加えて、人的投資やセキュリティ強化の先行投資を行ったことなどにより現金及び預金が1,985,728千円減少したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べて401,636千円減少し、5,482,091千円となりました。これは主に、減価償却や米国子会社における構造改革に伴うオフィスやデータセンターの閉鎖により使用権資産が244,353千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末と比べて1,289,020千円減少し、4,095,178千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べて390,667千円減少し、2,209,173千円となりました。これは主に、借入実行により短期借入金が500,000千円増加した一方で、未払法人税等が255,246千円減少、1年内返済予定の長期借入金が93,442千円減少、リース債務が172,637千円減少、その他(未払費用や未払消費税等)が354,263千円減少したものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて898,353千円減少し、1,886,004千円となりました。これは主に、流動負債に振り替えたことにより長期借入金が729,815千円、リース債務が162,522千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,390,879千円減少し、5,050,051千円となりました。これは主に円安の影響により為替換算調整勘定が474,882千円増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことや、配当による取崩により利益剰余金が1,976,510千円減少したことによるものであります。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,471,656千円となりました。

 

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、その主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

営業活動により支出した資金は914,615千円(前年同期比3,290,946千円の収入の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失を計上したことや、情報セキュリティ対策費の支払による支出223,997千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動により支出した資金は625,060千円(前年同期比6,852千円の支出の増加)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出452,292千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金は606,324千円(前年同期比853,399千円の支出の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出823,258千円、配当金の支払いによる支出275,193千円によるものであります。

 

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率

32.3

29.1

37.5

53.3

53.1

時価ベースの自己資本比率

155.1

71.5

267.2

675.6

341.9

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

7.7

△23.6

2.8

1.6

△3.4

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

18.5

△7.0

58.3

94.1

△31.5

 

自己資本比率:自己資本/総資産 

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー 

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注)2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注)3 有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象として 

     おります。

 

 

(4)生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

 当社グループの事業内容は提供するサービスの関係上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりませ   ん。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

AIソリューション事業

32

△95.0

リーガルテックAI事業

6,314

△86.4

合計

6,346

△86.5

 

(注)  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 受注状況

当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

事 業 部 門 別

売上高(千円)

前期比(%)

AIソリューション事業

ライフサイエンスAI

451,768

△42.2

ビジネスインテリジェンス

1,387,549

8.8

海外AI

11,165

△71.7

AIソリューション事業売上高 計

1,850,483

△11.7

リーガルテックAI事業

eディスカバリサービス

Review

1,248,229

△57.4

Collection, Process

554,967

△38.0

Hosting

2,676,552

△28.7

4,479,749

△40.9

フォレンジックサービス

885,038

△29.4

リーガルテックAI事業売上高 計

5,364,787

△39.3

合               計

7,215,270

△34.0

 

(注)1  上記金額には、消費税等は含まれておりません。

    2  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとお 

    りであります。

     前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

大手米国企業  1,957,774千円 17.91%

大手米国企業  1,287,324千円 11.77%

訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。

 

     当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

大手国内製造企業 757,952千円 10.50%

大手米国企業   749,734千円 10.39%

訴訟や公的機関が関係する取引であり先方のビジネスへの影響が懸念されるため、主な販売先の社名の公表は控えさせていただきます。

 

(5) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、主に営業活動から得られる自己資金及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。設備投資並びに研究開発等の事業投資の長期資金需要につきましては、資金需要が発生した時点で、自己資金又は、金融機関からの長期借入金、増資等、資金調達コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また、運転資金需要につきましては、営業活動から得られる自己資金と金融機関からの借入金等により賄っております。

なお、当連結会計年度におけるシンジケートローン契約締結については、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」、重要な設備の新設等の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」、配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,087,096千円となっており、借入金については主に運転資金や過年度におけるM&A等のための資金で、全て金融機関からの借入となっております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,471,656千円であります。

 

(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(7) 長期的な会社の経営戦略

当社グループは「Bright Valueの実現~記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する~」という企業理念のもと、独自開発の人工知能(AI)エンジン「KIBIT」を活用した高度な情報解析技術を駆使し、祖業である国際訴訟支援、不正調査から製造、金融、小売、流通、そして医療分野といった様々なフィールドで、必要かつ適切な情報に出会えるフェアな世界の実現及び社会課題の解決に貢献しております。

当社グループの事業セグメントは、医療、金融、製造、建設、小売、流通、といった各産業でAIソリューションを提供する「AIソリューション事業」と国際訴訟支援及び不正調査においてAIを活用したサービス提供をする「リーガルテックAI事業」の2区分です。2023年3月期において、事業毎に営業の仕組化に取り組み、営業ワークフロー確立を推進しました。さらに事業毎に、以下の項目の強化に取り組むことで、2028年3月期での中期戦略「ステージ4」の達成を目指してまいります。

当社グループは、“新しい、珍しい、何かできそう”というイメージ先行のAI企業から脱却し、「KIBIT」をコアコンピタンスに、各事業において顧客に価値ある成果を出し続け、「ステージ4」に向けて、顧客にとっての成長パートナー企業を目指してまいります。

 

■AIソリューション事業

働き方改革の推進や人手不足などにより、企業のDXに対する投資が加速され、人が行う作業をデジタル化することで業務を効率化し、高度化することができるAI製品の需要が増加しております。さらに、企業におけるAIの実装が進んでいる現在においては、複数の業務においてAI製品が導入されるフェーズに至っております。このような市場環境の中、当社グループは市場開拓の余地が大きいAI×自然言語の領域において、幅広い事業分野でDXを推進するAIサービスの提供に注力し、ライフサイエンスAI、ビジネスインテリジェンスの両分野において積極的に事業活動を推進してまいります。

 

(ライフサイエンスAI)

AI創薬領域においては、DD-AIF構想を立ち上げ、創薬プロセスの最上流工程である標的探索・選定プロセスにおいて、創薬研究の大幅な効率化・加速化・成功確率向上を支援するビジネスを推進してまいります。

一般的な創薬プロセスにおいて、創薬成功確率向上のポイントは、創薬プロセスの最上流工程である標的探索・選定プロセスですが、既存の方法による同プロセスの改善には多大な時間と費用がかかると言われております。標的探索・選定プロセスの市場はグローバルで2027年には1兆円を超えると言われており、当社はこの市場において、自然言語処理AIを用いたAI創薬サービスを提供できる技術力を持つ唯一の企業であると考えております。当社は、製薬会社、創薬事業を展開する企業等からの標的分子探索・選定などのオーダーに対して、DD-AIFにおいて、DD-BKMと、DD-BKMを複合的に組み合わせたレシピを駆使することで、網羅的かつノンバイアスな探索・評価を行い、通常の創薬プロセスの数十倍以上の効率性を持つ革新的な受託サービスの提供を2024年3月期から本格稼働いたします。今後は、当社のAI創薬ビジネスの認知度とDD-AIFのスループットを向上させることで、AI創薬ビジネスを当社グループの中長期的な成長の柱と位置付け、事業拡大を目指してまいります。

AI医療機器領域では、現在、会話型 認知症診断支援AIプログラムについて、世界初となる言語系AI医療機器を目指し、早期の薬事承認申請に向け準備を進めております。また、統合失調症診断支援AIプログラム及びうつ病診断支援AIプログラムなどその他の製品につきましても開発を進めております。中長期的には複数の医療機器の上市をすることで、ライフサイエンスAI分野の事業成長を目指してまいります。

 

(ビジネスインテリジェンス)

DXへの投資増大を追い風として企業のAI活用が進む市場環境の中、当社AI技術の優位性は変わらないと考えており、当社AIサービスの需要は今後も増加すると想定しております。当社では、継続的に顧客単価の上昇を目指して案件の大型化と複数製品の導入を推進すると共に、多分野においてAI製品を浸透させ、導入企業数を増やすことで、ビジネスインテリジェンス分野の大幅な成長を目指してまいります。

また、2022年5月に経済安全保障推進法が成立し、官庁と民間企業双方での経済安全保障への関心が一層高まっており、当社への経済安全保障関連のお問合せは増加傾向にあります。

当社独自のAIシステム「KIBIT Seizu Analysis」を活用することで公開騒擾を収集・分析し、企業間/株主間/研究者間のつながりを可視化し、チョークポイント(戦略的に重要な意味を持つポイント)を見つけ出すことが可能となります。これにより、複雑な世界の状況の把握、経済安全保障における国家戦略の立案・実行、トップマネジメント層の経営戦略立案を支援してまいります。経済安全保障分野は、現時点で事業立ち上げ段階ですが、2024年3月期にビジネスモデルを確立し、中長期的には連結業績に貢献できるよう事業を推進してまいります。

 

  ■リーガルテックAI事業

eディスカバリ市場では企業が保有する電子情報のデータ量が継続的に増大している一方、データ容量あたりの解析サービス料の引き下げ圧力は年々高まっております。当社ではこうした市場環境をビジネスチャンスと捉え、レビュー工程をAI技術によって効率化するAIレビューツール「KIBIT Automator」を提供しております。「KIBIT Automator」はレビュー作業のコストを大幅に削減することができるため、従来方法のレビュー案件より利益率が高いことが特長であります。

「KIBIT Automator」による案件獲得に営業活動を集中し、売上構成比について従来型ビジネスを主体としたものから、AIレビューツール「KIBIT Automator」を活用した案件を主体としたものへ転換するポートフォリオ・トランスフォーメーションを推進することで、中長期的に従来型ビジネスからの脱却を図ってまいります。また、強固な顧客基盤を構築すべく、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」を利用したマーケティング活動、勉強会、ウェビナーなどを継続的に実施し、アジア案件にフォーカスすることで新規顧客開拓を強力に進め、事業の更なる成長を推進してまいります。

 

(8) 経営者の問題認識と今後の方針について

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第一部  企業情報  第2  事業の状況  1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。