売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05700 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

当社グループは「Bright Valueの実現~記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する~」という企業理念のもと、自社開発の人工知能(AI)エンジン「KIBIT(キビット)」を活用した高度な情報解析技術を駆使し、祖業である国際訴訟支援、不正調査から製造、金融、小売、流通、そして医療分野といった様々なフィールドで、必要かつ適切な情報に出会えるフェアな世界の実現及び社会課題の解決に貢献しております。

 

■各事業の当第3四半期連結累計期間の活動状況は以下のとおりであります。

 

  (AIソリューション事業)

   ライフサイエンスAI分野 AI創薬領域

ライフサイエンスAI分野のAI創薬領域である“Drug Discovery AI Factory”(以下、DD-AIF)は、2023年7月からの本格的なサービス開始後、多くの製薬企業から問い合わせを受け、2023年10月には、丸石製薬株式会社のドラッグリポジショニング(既存薬の他疾患への転用)における案件を受託するなど複数の受注獲得に至っております。

また、創薬プロセスの上流工程においては、化合物探索・最適化を目的としたAIの活用が進んでいる一方で、高度な自然言語処理技術を必要とする、標的分子探索へのAI活用が課題となっておりました。1)

当社は、そのような課題に対して、独自のアルゴリズムを搭載した自然言語処理AI(KIBIT)を駆使した高度な解析・エビデンスに基づき、仮説生成の短期化・多量化・高精度化を通じて、顧客の創薬研究の効率化および成功確率の向上に資する提案を継続的に行っております。

このような提案を実施する中で、ドライ研究(コンピュータやAIを用いたデータ解析)で導いた仮説に基づき、次段階であるウェット研究(細胞、動物などを用いた生物学的試験)においての検証も併せて委託したいとの要望が数多く寄せられております。こうした顧客ニーズに応えるため、当社は2023年11月に、創薬に必要なプラットフォーム機能を保有するAxcelead Drug Discovery Partners株式会社とパートナーシップ基本契約を締結いたしました。本パートナーシップを通じて、ドライ研究を通して仮説を構築し、ウェット研究でそれらを検証していくサイクルを効率的に両社で運用することで、より一層、顧客企業の創薬研究・事業の発展と医療品質の向上に貢献してまいります。

 1) 厚生労働省:医薬品開発におけるAIの活用について,  https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000926770.pdf

 

ライフサイエンスAI分野 AI医療機器領域

AI医療機器領域における会話型の疾患診断支援AIプログラムでは、認知症をはじめ、うつ病、統合失調症、ADHDを主な対象疾患として順調に開発を進めております。これまで、主な疾患毎に複数の主要製薬企業に大型プロジェクトを提案しておりましたが、2024年2月14日に、塩野義製薬株式会社と「認知症・うつ病の診断支援AIプログラム事業に関する戦略的業務提携契約」を締結いたしました。他疾患についても、当社は、協業・アライアンスを通じて、世界に先駆けた自然言語処理AIを用いた医療機器として、日本での製造販売承認取得の早期化を目指してまいります。

 

ビジネスインテリジェンス分野

ビジネスインテリジェンス分野においては、企業のDX推進により引き続き旺盛な需要が見込まれ、売上高は堅調に推移しております。また、2023年3月に発表した不正検知システム「KIBIT Eye(キビット アイ)」に使用している技術について特許を取得し、この特許技術に基づき、KIBIT Eyeの解析結果のスコアリングやハイライト機能などによる表示機能、標準機能における教師データの再チューニングなど、監査に必要となる基本的な機能を実装しております。

不正リスクの未然防止に関する顧客認識は、当社が開催している不正対策勉強会においても、申込者数が過去最高を更新するなど、各社において、取り組みを強化する姿勢・ニーズが確認されており、社会的な要請も強まることが予想されることから、当該市場は今後も拡大するものと見込んでおります。当社は、KIBIT Eyeの提供を通じて、網羅的な監査を支援・実現させることを目的として、引き続きパイプラインの拡大に努めてまいります。

 

経済安全保障分野

経済安全保障分野においては、イスラエル・パレスチナ問題や台湾総統選など緊迫感が増す国際情勢を背景に、企業の調達リスクや各国の規制による制裁リスクが一層高まっております。

当第3四半期連結累計期間においても、民間企業のサプライチェーンリスク可視化のニーズは拡大しており、米国の税関国境保護局による輸入差し止めを回避するための対策や、海外からの調達を安定化させる支援を「KIBIT Seizu Analysis(キビット セイズ アナリシス)」による解析を用いて実施しました。また、官公庁やシンクタンクにおいても当社の独自技術が活用され、多面的な解析やサプライチェーンおよび株主支配ネットワークの可視化を通じて、最適な経済安全保障対策の支援を行っております。

引き続き、変容する社会情勢を注視しながら研究開発を進め、最適なソリューションを提供することで事業の拡大に努めてまいります。

 

(リーガルテックAI事業)

リーガルテックAI事業は、当社ポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」、勉強会、ウェビナーなどのマーケティング活動を積極的に推進しております。それらの活動により、顧客である弁護士事務所や企業からの問い合わせ数、受注数は着実に増加しておりますが、それらの効果発現には一定の時間を要しており、売上高、営業利益ともに軟調に推移しております。引き続き、マーケティングや営業の活動量を高め、収益の回復に努めてまいります。

 

■各事業の当第3四半期連結累計期間のセグメント別および連結業績の概況は以下のとおりであります。

なお、第1四半期連結会計期間より、ライフサイエンスAI分野の収益の一部をビジネスインテリジェンス分野に移管したことに伴い、前年同期の数値を移管後の数値に組替えて比較しております。

 また、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントごとの業績をより適切に反映させるため、全社費用の配分基準の見直しを行ったことに伴い、前年同期の数値を変更後の数値に組替えて比較しております。

 

(AIソリューション事業)

ライフサイエンスAI分野につきましては、受託解析案件により得た収益やDD-AIFの実証実験により得た収益が寄与し売上高は196,913千円(前年同期比7.0%増)となりました。

ビジネスインテリジェンス分野につきましては、前期に取り組んだ営業体制強化の効果により売上パイプラインが堅調に積み上がったことに加えて当第3四半期連結累計期間において三菱UFJ銀行で「KIBIT」を搭載したAIソリューションが導入されたことなどにより、売上高は1,630,530千円(前年同期比34.1%増)となりました。

その結果、AIソリューション事業全体の売上高は1,856,000千円(前年同期比31.7%増)と期初計画を上回る結果となりました。営業損益につきましては、前期下期より実施したビジネスインテリジェンス分野における営業体制の強化、ライフサイエンスAI分野におけるDD-AIFの立ち上げ、経済安全保障分野の組織体制の構築などによる人件費の増加により、200,623千円の営業損失(前年同期は147,030千円の営業損失)となりました。

 

サービスタイプ別の売上高の概況は下表のとおりであります。

 

 

(単位:千円)

 サービスタイプ別

AIソリューション事業

ライフサイエンスAI

196,913

(184,118)

ビジネスインテリジェンス

1,630,530

(1,215,599)

海外AI

28,557

(9,846)

AIソリューション事業売上高 計

1,856,000

(1,409,564)

 

( )は前第3四半期連結累計期間の実績

 

 

(リーガルテックAI事業)

リーガルテックAI事業につきましては、顧客基盤の構築に向けた各種施策に対する効果により問い合わせ数が増加し回復基調を維持しているものの売上高は3,322,665千円(前年同期比23.0%減)となりました。営業損失につきましては、全社的なコスト構造の改善により479,918千円の営業損失(前年同期は488,737千円の営業損失)となりました。

 

サービスタイプ別の売上高の概況は下表のとおりであります。

 

 

(単位:千円)

サービスタイプ別

eディスカバリサービス

Review

1,041,312

(987,169)

Collection, Process

270,774

(466,841)

Hosting

1,444,052

(2,146,232)

2,756,138

(3,600,243)

フォレンジックサービス

566,526

(713,125)

リーガルテックAI事業売上高 計

3,322,665

(4,313,368)

 

( )は前第3四半期連結累計期間の実績

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高5,178,666千円(前年同期比9.5%減)、営業損失680,542千円(前年同期は635,768千円の営業損失)、経常損失618,592千円(前年同期は571,573千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失657,090千円(前年同期は1,073,158千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)という結果となりました。なお、リーガルテックAI事業の自社利用ソフトウエアの一部について今後の利用停止を決定したことなどにより減損損失として99,382千円、当社、米国子会社及び韓国子会社でのコスト構造の最適化を目的とした構造改革費用として85,495千円を特別損失として計上しております。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

総資産は、前連結会計年度末と比べて674,811千円減少し、8,470,418千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比べて434,801千円減少し、3,228,337千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産が258,674千円増加した一方で、未収入金が534,827千円減少したことによるものです。

固定資産は、前連結会計年度末と比べて240,009千円減少し、5,242,081千円となりました。これは主に、工具、器具及び備品が69,966千円増加した一方で、通常の償却と為替の影響でのれんが63,841千円、顧客関連資産が64,803千円減少、通常の償却と減損処理等によりソフトウエアが203,708千円減少したことによるものです。

 

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末と比べて295,999千円減少し、3,799,178千円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べて417,284千円増加し、2,626,458千円となりました。これは主に、借入実行により短期借入金が600,000千円増加したことによるものです。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて713,284千円減少し、1,172,720千円となりました。これは主に、流動負債に振り替えたことにより長期借入金が643,344千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末と比べて378,811千円減少し、4,671,239千円となりました。これは主に円安の影響により為替換算調整勘定が増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことなどによるものです。

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当社グループは、研究開発活動の内容及び金額を特定のセグメントに関連付けることができないため、一括して記載しております。

 

(研究開発費の金額)

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は146,935千円です。

 

(研究開発の内容)

当社は、独自開発した人工知能エンジン「KIBIT」について創薬支援、診断支援、経済安全保障、金融、人事・営業支援などさまざまなフィールドでの利便性をさらに向上させるため、新たなソリューションの拡充、製品の開発を行っております。