売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E21706 Japan GAAP

売上高

123.1億 円

前期

125.2億 円

前期比

98.3%

時価総額

107.6億 円

株価

435 (07/16)

発行済株式数

24,740,000

EPS(実績)

13.67 円

PER(実績)

31.81 倍

平均給与

631.9万 円

前期

645.8万 円

前期比

97.8%

平均年齢(勤続年数)

36.6歳(7.7年)

従業員数

314人(連結:662人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、株式会社リニカル(当社)及び海外に所在する連結子会社で構成され、医薬品の開発段階で行われる臨床試験(治験)に係る業務の一部を代行、支援する医薬品開発業務受託事業(CRO事業)を主たる事業とし、その他に、医薬品製造販売後支援事業(育薬事業)を展開しております。また、CRO事業の一部として、開発戦略の立案や薬事対応、承認申請などに関するコンサルティングサービスを提供しており、創薬支援事業と名付けています。これらの事業を通じて、新薬開発における創薬支援から、臨床開発、製造販売後の臨床試験や臨床研究という承認後のライフサイクルマネジメントまでワンストップのサービスをグローバルで提供しています。

 なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1) CRO事業

 治験とは、新薬候補物質についてヒトに対する有効性及び安全性を確認し、厚生労働省などの各国の規制当局から医薬品としての認可を受けることを目的として実施する臨床試験であり、医薬品開発に不可欠なプロセスです。医療機関において健常成人や患者を対象者として実施されます。治験依頼者(製薬会社等)は、医療機関において「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)及びGCP(注1)等の法令に則り倫理的・科学的に治験が行われているかどうかを確認(モニタリング)することが法令で義務付けられています。

 治験の業務内容は、主要業務であるモニタリング業務及びそれに付随する品質管理業務のほか、治験薬が投与された症例の有効性・安全性データを入力する症例報告書(注2)のデータベース設計や入力データのクリーニングを行うデータマネジメント業務、治験薬の有効性・安全性を統計科学的に検証する統計解析業務、治験実施計画書(注3)や監督官庁に提出する届出や申請にかかる書類などの作成を行うメディカルライティング業務、及び治験の実施状況を調査して治験データの信頼性の保証を目的とする監査業務等、多岐に亘ります。治験依頼者は自社の人材等のリソースの状況を鑑みこれらの業務の一部または全部をCROに委託することができます。

 中でもモニタリング業務は、治験の主要業務であり、モニタリング担当者であるCRA(注4)が、医療機関の治験実施可能性の調査、医療機関への治験の依頼、法令に基づく治験実施に関する契約(製薬会社等の治験依頼者、医療機関及びCROとの3者契約)の締結手続き、治験責任医師等に対する治験薬概要書(注5)及び治験実施計画書の説明、医療機関への治験薬の搬入、治験実施時の法令及び治験実施計画書の遵守状況の確認、治験の進捗管理・促進、治験データの確認及び症例報告書の回収、治験薬の回収などを行う業務をいいます。

 当社グループは、臨床試験におけるモニタリング業務を中心に、それに付随する品質管理業務、データマネジメント、統計解析、メディカルライティング、ファーマコビジランスなどの業務を受託しています。

 また、近年は国内外のバイオベンチャー企業が起点となり開発品目の多くを創出する状況が進んでおり、こうした企業の創薬を支援する創薬支援事業を行っています。当社グループでは、国内大手製薬会社でライセンス、事業開発、臨床開発、開発薬事、マーケティングといった業務に携わり、開発品の目利きから、導入・導出交渉、臨床開発などで数々の実績と豊富な経験をしているものが中心となり、主に、開発品の市場分析・調査、開発・薬事戦略立案、薬事対応、パートナリング・ライセンス支援等のコンサルティングサービスを提供しております。

 

(2) 育薬事業

 CRO事業が医薬品の開発業務を受託するのに対して、育薬事業では医薬品の発売(製造販売)後の支援業務を受託しております。医薬品は発売後も安全性・有効性に関するデータが収集され、適正使用情報・エビデンスとして医療現場に提供されることで、その利用が浸透していきます。2018年4月1日には、臨床研究の信頼の確保を図り実施を推進することで保健衛生の向上に寄与することを目的として、その手続き等を定めた臨床研究法が施行され、法規制に沿った適切な対応が求められることになりました。

 当社グループの育薬事業は、CRO事業で得たノウハウを活かし、より専門性の求められる企業・医師主導臨床研究の組織体制構築業務、製造販売後の企画業務・モニタリング業務・監査業務を受託することで、同業他社との差別化を図っております。

 

(注1)GCP(Good Clinical Practice)とは直訳では「適正な治験の実施」を指す包括概念ですが、本邦においては、これを定めた厚生労働省令である「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」及び「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(1997年3月27日付)並びにこれらの運用通知をいいます。

(注2)症例報告書とは、治験実施計画書に規定されているすべての情報を記録するために、被験者ごとに作成される報告書(電子記録のものも含む)をいいます。

(注3)治験実施計画書とは、プロトコルともいい、治験を実施するにあたって、治験を実施する医療機関、治験を依頼する製薬会社その他、その治験にかかわる関係者が遵守しなければならない事項を網羅的に記載した計画書を指し、治験依頼者(製薬会社)により作成されます。

(注4)CRA(Clinical Research Associate)とは、臨床開発モニターと訳されます。医薬品開発段階での治験が、薬機法、その他の関連法令及び治験実施計画書を遵守して行われているかどうかを監視(モニタリング)する担当者のことをいいます。

(注5)治験薬概要書とは、治験実施期間中の被験者の管理に必要な知識を提供するために作成される書類で、その内容は治験薬に関する非臨床試験及び治験の結果を編集したものとなっております。

 

当社グループの事業系統図は次のとおりであります。

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

(1) 財政状態

 当連結会計年度末における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ1,075百万円増加し、18,539百万円(6.2%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ421百万円増加し、10,304百万円(4.3%増)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ653百万円増加し、8,235百万円(8.6%増)となりました。

 

(2) 経営成績

 当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は12,307百万円(前期比1.7%減)となりました。また、利益面では、米国、韓国が増益となりましたが、欧州等が営業赤字となったことに加え、日本も減益となったことから営業利益は725百万円(前期比42.3%減)となりました。経常利益は受取利息や為替差益が発生したものの営業利益の減少により790百万円(前期比38.4%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に保険金の受取が発生したことに対して、今期は欧米子会社の経営管理体制の統合に伴う事業構造改善費用166百万円が発生したことから338百万円(前期比66.3%減)となりました。

 

 地域別の状況は下記のとおりであります。

 日本においては、新型コロナウィルス感染症が5類に分類され治験環境が改善し、順調に受注案件を消化して売上高を計上しましたが、第1四半期に既存案件の中止が発生した影響等に加え、受注獲得が想定通りに進まなかったことから前期比で減収となりました。また、利益面でも上記の理由から減益となりました。

 米国においては、前期は米欧地域で大型国際共同治験の開始遅延があった一方で、当期は新規案件の獲得や既存案件の進捗が想定を上回って推移したこと等により、前期比で大幅な増収増益となりました。なお、現在米国のバイオテック企業の引き合いは旺盛であり、引き続き米国CRO市場の深耕に注力し、持続的な成長を図ってまいります。

 欧州においては、既存試験の中止や新規案件の開始延期が発生しました。さらに欧州経済はロシア・ウクライナ紛争など地政学リスクの高まりからエネルギー価格の高騰や高インフレが継続し、これに対処する高金利政策が、ドイツをはじめとした欧州の経済情勢にマイナスの影響を与えており、バイオベンチャーの資金調達が難しい環境で新規案件の受注獲得も想定を下回ることとなりました。この結果、前期比で減収、営業赤字となりました。当期に米国事業との連携を推し進めたことにより、営業面でシナジーを発揮しつつあり、新規案件の受注獲得が進んでいます。営業体制をさらに強化し、欧州を含むグローバル案件の拡大に注力してまいります。

 韓国においては、既存案件の順調な進捗や複数の新規案件の開始等に加え、円安の影響もあり前期比で増収増益となりました。

 中国においては、既存案件の収束に伴う売上減少等により前期比で減収、営業赤字となりました。

 台湾においては、既存案件で中止が発生したこと等により、前期比で減収、営業赤字となりました。

 なお、アジアにおいては、日本、米国と営業面での連携を強化して現地製薬会社からの受注の掘り起こしに注力しており、複数の新規顧客から案件の打診を受けるなどしております。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① CRO事業

 当社グループのCRO事業につきましては、売上高は11,546百万円(前期比1.1%減)、営業利益は2,717百万円(前期比12.2%減)と減収減益となりました。

② 育薬事業

 当社グループの育薬事業につきましては、売上高は760百万円(前期比10.2%減)、営業利益は148百万円(前期比6.0%減)と減収減益となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より423百万円増加し、7,465百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,065百万円(前連結会計年度は1,839百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益660百万円の計上に加え、預り金の増加額389百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、28百万円(前連結会計年度は14百万円の使用)となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出30百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、960百万円(前連結会計年度は957百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出539百万円及び配当金の支払額315百万円があったことによるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

7,983,442

△21.3

11,880,511

△41.9

育薬事業

585,942

△26.2

307,922

△36.2

合計

8,569,385

△21.6

12,188,433

△41.8

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

11,546,886

△1.1

育薬事業   (千円)

760,983

△10.2

合計   (千円)

12,307,870

△1.7

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

PFIZER, INC.(注)

1,907,313

15.5

エーザイ株式会社

1,314,600

10.5

1,419,469

11.5

(注)前連結会計年度は販売実績が10%未満のため、記載を省略しております。

 

2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2024年6月27日)において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,075百万円増加し、18,539百万円(6.2%増)となりました。これは、主に現金及び預金、立替金の増加によるものであります。

② 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ421百万円増加し、10,304百万円(4.3%増)となりました。これは、主に長期借入金が減少する一方、前受金、預り金が増加したことによるものであります。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ653百万円増加し、8,235百万円(8.6%増)となりました。これは、主に為替換算調整勘定の増加によるものであります。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ209百万円減少し、12,307百万円(前期比1.7%減)となりました。

② 売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ174百万円増加し、8,529百万円(前期比2.1%増)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ147百万円増加し、3,052百万円(前期比5.1%増)となりました。

④ 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ530百万円減少し、725百万円(前期比42.3%減)となりました。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ493百万円減少し、790百万円(前期比38.4%減)となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ718百万円減少し、660百万円(前期比52.1%減)となりました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ666百万円減少し、338百万円(前期比66.3%減)となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1.経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

② 財務政策及び資金の流動性についての分析

 当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。

 内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。

 当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。

 当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,001百万円、現金及び現金同等物の残高は7,465百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,500百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。

 

(5) 経営成績等に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。

 当連結会計年度の1株当たり当期純利益は14.98円(前年同期比66.3%減)となりました。これは、「1.経営成績等の状況の概要 (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度より減少したことによるものであります。

 1株当たり当期純利益の2024年3月期までの実績値及び2025年3月期の計画値は、次のとおりであります。

経営指標

2021年

3月期実績

2022年

3月期実績

2023年

3月期実績

2024年

3月期実績

2025年

3月期計画

1株当たり当期純利益(円)

23.91

35.00

44.47

14.98

30.86