売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03003 Japan GAAP

売上高

2,895.3億 円

前期

2,753.6億 円

前期比

105.1%

時価総額

205.9億 円

株価

844 (07/18)

発行済株式数

24,400,000

EPS(実績)

101.31 円

PER(実績)

8.33 倍

平均給与

539.7万 円

前期

528.8万 円

前期比

102.1%

平均年齢(勤続年数)

45.0歳(15.1年)

従業員数

59人(連結:1,605人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社と連結子会社である㈱ほくやく、㈱竹山、㈱そえる、㈱三興保険サービス、㈱アドウイック、㈱マルベリー、㈱テスコ、㈱北海道医療情報サービス、㈱モルス、㈱クレインファーマシー、㈲羽幌調剤センター、㈱村井薬局、㈲久山薬局、㈱ノバメディカル、㈱エイエックスと持分法適用の関連会社である㈱アグロジャパン、㈱長澤薬局および㈱リードスペシャリティーズで構成されております。

 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 それぞれが営んでいる主な事業は次のとおりであります。

 なお、次の事業区分は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

セグメントの名称

会社名

事業内容

医薬品卸売事業

㈱ほくやく

医療用医薬品・一般用医薬品の卸売

㈱アグロジャパン

農畜産用薬品の販売

㈱リードスペシャリティーズ

医療用医薬品・一般用医薬品の卸売

医療機器卸売事業

㈱竹山

医療機器等の卸売

㈱ノバメディカル

医療機器等の卸売

㈱テスコ

医療機器等の卸売

㈱エイエックス(注)1

医療機器等の卸売

薬局事業

㈱そえる

調剤薬局

㈱クレインファーマシー

調剤薬局

㈲羽幌調剤センター

調剤薬局

㈲久山薬局

調剤薬局

㈱村井薬局

調剤薬局

㈱長澤薬局

調剤薬局

介護事業

㈱マルベリー

介護用品等のレンタル、介護・福祉コンサルティング

㈱モルス

介護施設運営

ICT事業

㈱アドウイック

コンピュータ・ソフトウエアの開発・販売及び計算業務の受託

その他事業

㈱ほくやく・竹山ホールディングス

子会社の経営指導業務等

㈱三興保険サービス(注)2

保険代理店

㈱北海道医療情報サービス

SPD(院内物流)・新規開業支援

(注)1.株式会社エイエックスにつきましては、2024年7月1日付で同社株式を取得いたしました。

2.株式会社三興保険サービスにつきましては、2025年1月1日付で保険代理店事業を事業譲渡いたしました。

 

 

 主な事業の系統図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 (※)持分法適用会社

 

 株式会社エイエックスにつきましては、2024年7月1日付で同社株式を取得いたしました。

25/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、一部で足踏みが見られるものの、全体として緩やかな回復基調にあります。北海道経済においては、生活活動や個人消費の改善、公共工事や民間設備投資の増加が見られる一方、物価上昇や米国の政策動向、地政学的リスクが地域経済に与える影響を引き続き注視する必要があります。

 このような事業環境の中、当社グループは、経営戦略の柱として「エリアサミット」と「DXの推進」を据えて、各事業を推進しております。

 当連結会計年度における「エリアサミット」の取り組みでは、全地域ごとに「より健やかな地域社会へ」の実現を目指して、当社グループ事業(医薬品、医療機器、介護、調剤、ICTのヘルスケア)の連携により地域の実状に沿った社会保障基盤の構築に向け付加価値を創造し各種施策を推進しております。事業連携としては、2024年5月に空知地域においてグループ内の4つの事業拠点(株式会社ほくやく空知支店、株式会社ほくやく空知SPDセンター、株式会社竹山空知支店、株式会社マルベリーさわやかセンター空知)を集約することで、お客様に当社グループのヘルスケア関連事業の物品とサービスをワンストップでご利用いただけるよう利便性の向上を図りました。

 「DXの推進」の取り組みでは、医薬品卸売事業の株式会社ほくやくは、業界をリードする物流DXを積極的に推し進めております。函館支店へのAIピッキングロボット「ラピュタPA-AMR」の導入に加え、道内唯一のクロスドックセンターである新川物流センターにおいて、自走式仕分けロボットと重量検品を組み合わせた独自のシステムを導入いたしました。物流面では、空知支店で、医薬品の適正流通基準に準拠した最新鋭の施設において、効率的な物流体制と高度なサービス提供体制を確立しました。これらの取り組みにより、庫内業務の大幅な効率化と物流精度の向上を実現し、医薬品の安定供給体制をより一層強化してまいります。このような最新技術の導入は従業員の働きやすい環境整備にも貢献しており、人的資本経営の観点からも重要な取り組みと位置づけております。

 その他の取り組みでは、医療機器卸売事業の株式会社竹山において、2024年7月に循環器外科領域における販路拡大と専門性の向上を目的に株式会社エイエックスを子会社化しました。また、災害や物流問題を見据えた新たな試みとして「ドローンプロジェクト」を発足させ、2024年6月に医療機器輸送に関する実証実験を伊藤忠商事株式会社、一般社団法人ドローン大学校と共同で実施いたしました。今後も、地域固有のニーズに対応するエリアサミットなどを活用し、事業を通じた社会課題の解決に貢献してまいります。

 介護事業の株式会社マルベリーは、厚生労働行政推進調査事業における支援機器の開発・普及のためのモデル拠点構築研究の委員に選任され、障害福祉分野における支援機器の利活用推進に向けた活動を開始いたしました。2024年10月には、同社主催の福祉用具展示研修会において障がい者向けの体験コーナーを新設するなど、これまで培ってきた介護分野のノウハウを活かし、今後ともより多くの方々の快適な生活をサポートできる体制を構築してまいります。さらに、北海道介護事業所生産性向上推進事業にも積極的に取り組み、福祉用具・介護ロボットの展示研修会を290カ所以上で開催して地域ごとの介護現場の業務改善を支援しております。

 なお、2024年2月に発生いたしましたランサムウェア被害につきましては、外部専門機関による調査の結果、データ漏洩等の痕跡は確認されなかったことを2024年5月に発表しております。再発防止に向け、外部専門機関の意見をふまえ、セキュリティ対策の強化を継続して実施しております。

 以上の事業環境のもと、当連結会計年度における売上高は2,895億34百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は29億27百万円(同3.5%増)、経常利益は36億37百万円(同2.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、設備投資における補助金等もあり24億72百万円(同13.6%増)の増益となりました。

 

 

 セグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

(医薬品卸売事業)

 医薬品卸売事業におきましては、2024年4月に薬価改定が実施され、2024年6月には診療報酬改定が行われました。後発医薬品における供給面での混乱は未だに継続している状況です。また、2024年10月からの選定療養制度導入の影響もあり長期収載品の売上が減少する傾向も依然として続いています。前年度と比較して新型コロナ治療薬の売上減少などマイナスの影響はあったものの、抗がん剤を中心とした新薬創出加算品の販売に積極的に取り組むとともに、2024年10月から接種開始となったコロナワクチンの販売、さらに冬季におけるインフルエンザなどの感染症拡大に伴う関連医薬品の需要増加もあり、過去最高の売上となりました。利益は、物流コストの削減など経費率の圧縮に全社で取り組んだことにより増益となりました。

 その結果、売上高は2,097億2百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は17億55百万円(同25.5%増)となりました。

 

(医療機器卸売事業)

 医療機器卸売事業におきましては、主要なお得意先における手術や検査などの症例件数は引き続き増加傾向となりました。加えて移転施設における新築備品案件の獲得や手術支援ロボットなどの大型医療機器案件の獲得もあり、売上は前年度を上回りました。利益につきましては商品仕入金額の上昇や販売コストの増加もあり、減益となりました。

 その結果、売上高は700億34百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は11億10百万円(同15.2%減)となりました。

 

(薬局事業)

 薬局事業におきましては、売上では薬価改定が2024年4月、調剤報酬の改定が同年6月と変則的になっておりましたが、処方箋単価は前年度と比較して4%程増加しました。内訳として薬剤料は3.7%増加し、技術料は2024年10月からの長期収載品選定療養制度導入の影響もあり6%以上増加しました。一方、処方箋枚数は、前年度の店舗の閉局や医療機関の閉院により5.0%減少しました。

 その結果、売上高は127億83百万円(前年同期比3.8%減)、営業利益は1億5百万円(同12.2%減)となりました。

 

(介護事業)

 介護事業におきましては、福祉用具のレンタル・販売部門および住宅改修と介護ロボットの普及推進各部門で営業員の増員・育成の強化を図りました。また、福祉用具サービス計画の作成提案から納品後のモニタリングの徹底まで、一貫した顧客重視の方針により、売上は安定的に推移しましたが、人件費およびレンタル資材費増加がありました。サービス付き高齢者向け住宅では、新規入居者数が計画通りに推移した一方で入院や退居の増加があり売上は前年水準に留まりました。

 その結果、売上高は43億88百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は3億19百万円(同2.0%減)となりました。

 

(ICT事業)

 ICT事業におきましては、一般企業や医療機関向けの大型機器販売案件を堅調に受注したほか、当社グループ各社からのICT投資案件も多数受注し、売上は前年を大きく上回りました。一方で、グループ会社における基幹システム構築案件の見直しに伴う費用を計上した結果、利益は前年を下回りました。

 その結果、売上高は23億75百万円(前年同期比48.4%増)、営業利益は18百万円(同52.8%減)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業(子会社の経営指導等)におきましては、売上高は17億64百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は3億25百万円(同15.4%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,038億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億94百万円減少いたしました。これは主に、受取手形及び売掛金が13億70百万円および商品及び製品が12億90百万円増加した一方、現金及び預金で30億73百万円減少したことによるものであります。固定資産は436億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億45百万円増加いたしました。これは主に建物及び構築物が9億69百万円、土地が2億9百万円増加した一方、投資有価証券で6億81百万円減少したことによるものであります。

 この結果、総資産は、1,474億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億51百万円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は823億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億44百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が5億20百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が10億20百万円、未払法人税等で2億17百万円減少したことによるものであります。固定負債は32億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億81百万円減少いたしました。これは主に繰延税金負債が1億20百万円、退職給付に係る負債が39百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は、855億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億25百万円減少いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は618億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億77百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が20億46百万円、および退職給付に係る調整累計額が1億15百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が5億50百万円、自己株式の取得により4億31百万円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は41.9%(前連結会計年度末は41.2%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ30億73百万円減少し、177億39百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は2億62百万円(前年同期は57億27百万円の資金の獲得)となりました。これは、資金の増加要素として税金等調整前当期純利益37億37百万円(前年同期比5.3%増)、減価償却費11億46百万円(同7.8%増)、未収入金の減少3億65百万円(前年同期は4億74百万円の増加)などがありましたが、減少要素として売上債権の増加13億72百万円(前年同期比41.3%減)、棚卸資産の増加12億71百万円(同185.3%増)、仕入債務の減少5億64百万円(前年同期は50億83百万円の増加)、未払消費税等の減少3億20百万円(前年同期は2億51百万円の増加)、法人税等の支払額13億67百万円(前年同期比29.8%増)などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は18億21百万円(前年同期比10.7%減)となりました。これは資金の増加要素として、事業譲渡による収入1億円(前年同期は実績なし)、保険積立金の解約による収入1億63百万円(前年同期は実績なし)、補助金の受取額3億6百万円(前年同期比208.1%増)などがありましたが、減少要素として、有形固定資産の取得による支出20億4百万円(同11.0%減)、無形固定資産の取得による支出4億31百万円(同244.7%増)があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は9億90百万円(前年同期比10.3%増)となりました。これは主に自己株式の取得4億31百万円(同34.9%増)、配当金の支払い4億26百万円(同12.8%減)、リース債務の返済83百万円(同5.3%減)があったことによるものです。

 

④ 仕入及び販売の実績

a.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品卸売事業(百万円)

199,275

105.1

医療機器卸売事業(百万円)

63,491

104.9

薬局事業(百万円)

814

115.3

介護事業(百万円)

727

106.4

ICT事業(百万円)

1,463

162.1

その他事業(百万円)

合計(百万円)

265,772

105.3

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

b.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品卸売事業(百万円)

201,932

105.6

医療機器卸売事業(百万円)

69,498

105.3

薬局事業(百万円)

12,772

96.2

介護事業(百万円)

4,377

102.2

ICT事業(百万円)

895

150.5

その他事業(百万円)

57

100.4

合計(百万円)

289,534

105.1

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 「(1)経営成績等の状況の概況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.財務政策

 当社グループは、これまでキャッシュ・フロー重視の経営を行ってきており、運転資金および設備資金につきましては、基本的には手元流動資金により賄うことを基本方針としております。この方針は今後も継続することとしておりますが、子会社個々の資金ポジションや拠点設備の狭窄化・老朽化に伴う設備投資など新たな投資計画の集中化も予想され、一時的に運転資金が不足することも考えられます。そうした場合には、当座貸越など、金融機関からの一時的な借入も合わせて検討していく予定であります。

 

c.資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、会社業績と配当政策に基づき実施してまいります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、主力事業である医薬品卸売事業、医療機器卸売事業、薬局事業の経営における、国の医療費抑制策や診療報酬改定と薬価や償還価格の引き下げなどは、当社グループの売上や利益を左右する大きな要因となっております。また、国より薬価制度の抜本改革に向けた基本方針が示され薬価の毎年調査・改定と国主導で医療用医薬品の流通改善に継続した取り組みが必要となっております。さらに「医薬品の供給と品質管理に関する実践規範(JGSP)」改定に伴い物流品質の保証をする監視・監査の機関の設置や医薬品販売情報提供活動ガイドライン施行に伴って医薬品販売情報を監視・監査することで適正に推進する必要があります。

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループを取り巻く環境は、地域に根ざす医療・介護・福祉の垣根のない連携がさらに必要となる市場へと変貌していきます。医療機関の機能分化と連携、医療・介護の総合確保、デジタル化が同時に進行する中で、グループ各社はそれぞれの専門性を強化するだけでなく、グループ全体として地域固有のニーズに対応するサービス展開が求められています。

 

 今後、「在宅医療へのシフト」と「医療と介護の連携」が北海道内の各地域で進んでまいります。各地域の状況を的確に分析し、最適なニーズを把握するため、エリアサミットの体制を強化しました。当社グループでは、医療機関および調剤薬局向けの医薬品卸売事業と、医療機関向けの医療機器卸売事業に加えて、薬局事業および介護事業を通じて地域社会の一人ひとりに直接つながる事業を展開しています。この強みを生かし、「在宅医療へのシフト」や「医療と介護の連携」における地域固有のニーズを迅速に捉えることが可能です。これまでのエリアサミットでは、グループ間の相乗効果を生むための相互理解活動から始まり、地域ごとにお客様にグループのサービスを認知していただく活動を通じて、医療機関との連携強化や地域とのコラボレーションを進めてきました。次期以降は、地域ごとの成果を評価し、DXを活用した新たな連携機会の創出など、グループとして貢献できる次なる展開を検討してまいります。

 

 一方、政府による医療DX工程表が公表されるなど、医療・介護業界におけるDXの進展も加速しております。当社グループは、DXを戦略の重要な柱と位置づけ、①地域包括ケアを目指した事業連携の支援、②業務プロセスの構造改革による効率化、③経営データの可視化とデータベース化、④厚生労働省の医療DXへの対応、という4つの柱を中心に推進しております。これらの柱に共通する目的は、「デジタルでつながる」ことであり、人材・モノ・組織、さらには地域をつなぎ、新たな価値・製品・サービスを創造することにあります。

 

 DXの推進をさらに深め、グループ各社の事業に貢献するためには、1)自動化による省力化・効率化、2)業務プロセスの高度化による従業員のスキルアップとノウハウの蓄積、3)組織化による部門間の協働・連携・役割分担の明確化、4)可視化による業務・プロジェクトの業績・進捗管理の容易化、といったDXの効用を十分に検討する必要があります。2024年2月、当社グループは一部サーバーが外部からの不正アクセスによるランサムウェア攻撃を受け、データの一部が暗号化されるという被害に遭いました。この経験は、社内のICTに関する様々な側面を見直し、改善する契機となりました。今後、「デジタルでつながる」というDXの目標に向けて、情報共有などの取り組みを大きく前進させる機会と捉えております。

 

 今後の戦略および方針として、医療機関の分化と連携、地域包括ケアシステムの推進に対応し、当社グループは医療・介護業界に貢献できると確信しております。具体的には、1)医薬品卸売事業においては、在宅医療を含む地域医療を支える選ばれる卸として、物流体制への投資と整備を進め、コストの最適化を図り、医療環境の変化に対応するインフラ機能とその継続性を高めます。2)医療機器卸売事業においては、医療機関の新たな変化に対応するとともに、医療機器メーカーの適正な商材物流管理のニーズを支援し、北海道内でのシェア拡大を目指します。さらに、3)薬局事業および介護事業においては、地域社会の皆様と直接的なつながりを築くことができる強みを生かし、ブランド価値の向上、人材育成、組織力の強化に取り組みます。4)ICT事業においては、前述のDXを推進し、「デジタルでつながる」ことを目指します。

 

 ほくやく・竹山ホールディングスは、2024年度から始まった第6次中期経営計画が終了する2026年度に設立20周年を迎えます。医療・介護業界のインフラを支える企業グループとして、地域医療・介護に貢献できる事業の継続性をさらに高める課題に真摯に取り組んでいく所存です。