売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E03005 Japan GAAP

売上高

474.8億 円

前期

455.0億 円

前期比

104.4%

時価総額

114.9億 円

株価

1,066 (03/18)

発行済株式数

10,780,000

EPS(実績)

86.84 円

PER(実績)

12.27 倍

平均給与

636.0万 円

前期

607.2万 円

前期比

104.7%

平均年齢(勤続年数)

38.6歳(8.2年)

従業員数

319人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社は、1986年4月の設立以来、「人に優しい医療」への貢献をコンセプトに、循環器疾病分野の医療機器を中心に事業展開しており、医療現場に携わる企業として「生命と健康を守る」ことをパーパスとし、患者様、医師・医療関係者の皆様にとって有益な製品・サービスを提供し、最適な医療の普及に貢献することを使命としております。

当社の事業内容は商品に応じて「不整脈事業」、「虚血事業」、「その他」に区分されます。

各事業について次のとおり説明いたします。

なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報と同一であります。

―不整脈事業―

不整脈とは、心臓を動かす刺激の発生又は刺激が伝わる伝導路の異常によって心臓のリズムが乱れる疾患のことで、脈が遅くなる徐脈、速くなる頻脈、脈が飛ぶ期外性収縮の3つに分けられます。原因としては、先天的なもの以外に加齢や喫煙、ストレス等によって引き起こされるといわれております。

不整脈事業においては、徐脈、頻脈、期外性収縮の治療に用いる心臓ペースメーカ、アブレーションカテーテル(心筋焼灼術用カテーテル)、ICD(植込み型除細動器)、検査用電極カテーテルが主力商品となっております。当事業はこれら不整脈の検査・治療のための医療機器を関東地域を中心に、医療機器輸入商社及び国内医療機器メーカーから仕入れ、主に医療施設に対し卸売会社として販売しております(販売代理店業)。

現在、当事業においては既に全国展開している虚血事業と連携しながら、営業エリアの拡大を推進しております。

 

当事業においては、主に以下の商品を販売しております。

・心臓ペースメーカ

心臓ペースメーカは、不整脈のうち主に脈が遅くなる「徐脈」を治療する機器です。心臓は洞結節と呼ばれる部位より発生した刺激が伝導経路を伝わり、心筋が収縮することで血液を送り出しています。心臓の刺激を伝える経路が病気により機能しなくなったり、刺激を作り出す洞結節の活動が低下すると心臓の脈拍が少なくなり、時には失神発作を起こしたりします。これが徐脈です。このように心臓の拍動が低下したときに、心臓の代わりに刺激を発生させる機器が心臓ペースメーカで、絶えず心臓を監視しており、設定した最低限の脈拍が出ていれば心臓ペースメーカは作動せず、その人の脈拍が優先される仕組みとなっております。

 

・ICD(植込み型除細動器)

心臓ペースメーカが徐脈の治療に使用されるのに対し、ICD(植込み型除細動器)は主に「心室頻拍」や「心室細動」と呼ばれる重篤な頻脈の治療に用いられます。心室頻拍とは心臓が異常に速く拍動する不整脈のことで、180~220拍/分(正常は60~100拍/分)という非常に速いリズムで心臓が動くため血液が送り出せず、めまいや失神を起こします。また、心室細動とは心臓が正確なリズムを失って心室が小刻みに痙攣する状態のことで、心臓から血液がほとんど送り出されず意識不明となります。この状態で放置すると死に至るため、一刻も早い処置が必要となります。通常、このような不整脈を止めるには電気ショックパルスを心臓に与える方法(除細動)しかありません。ICD(植込み型除細動器)はそのような頻脈が発生したとき、それを検知してただちに電気ショックパルスによって止めることを目的に開発された装置です。

 

・CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)

CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)は、ICD(植込み型除細動器)の機能に、心不全の治療の一種である心臓再同期療法の機能を併せ持つ商品であります。心臓再同期療法とは、心臓を動かすための電気信号の伝達に障害が発生し、心臓が正常に動作しなくなった場合に、人工的な電気信号を発生させることで心臓を正常に動作させようという治療法です。ICD(植込み型除細動器)に比べて適応範囲が広い商品です。

 

 

・電極カテーテル

電極カテーテルは、先端部分に電極が付いた特殊なカテーテルで、主に心臓電気生理学的検査に使用されるものです。心臓電気生理学的検査とは、心腔内に電極カテーテルを挿入し心腔内の様々な部位からの電位記録を取ったり電気刺激を与えたりして、不整脈の詳細な診断や発生メカニズムの解明、重症度の評価、薬剤の効果の判定、心臓ペースメーカやICD(植込み型除細動器)の適応決定などに広く用いられる検査方法です。電極カテーテルは用途に応じて、先端部分の電極数が2極~40極以上、カーブ部分が固定されているタイプや手元操作でカーブが変化するものなど多くの種類があります。

 

・アブレーションカテーテル(心筋焼灼術用カテーテル)

アブレーションカテーテル(心筋焼灼術用カテーテル)は、電極カテーテルの一種で、頻脈の原因となる心筋組織を焼灼し根治させるアブレーションといわれる手技に使用されるものです。アブレーション(心筋焼灼術)とは、心腔内に留置したカテーテルに外部から高周波エネルギーを通電し、不整脈の原因となっている部位を焼灼し組織的に壊死させる治療法で、現在、WPW症候群(正常な伝導系以外に別の副伝導路を有することに起因する病気)に対しては確立した治療となっているほか、発作性上室頻拍等でも良好な成績が得られております。また、心房頻拍や心房粗細動に対しても有効であるケースが増えているなど、従来外科手術の適応となっていた症例だけでなく、薬剤によってコントロールされていた症例にまで適応の幅は広がっております。

 

・冷凍アブレーションカテーテル

薬剤抵抗性を有する発作性心房細動治療を目的とした新しいエネルギー源である冷凍凝固法を用いたバルーンカテーテルです。バルーンが装着されたアブレーションカテーテルを心房細動のトリガーとなる肺静脈に挿入し、治療を行います。肺静脈隔離が比較的短時間で行われ、合併症発生率が従来より低いことから、今後も広く普及していくことが予測されています。

 

・心腔内エコーカテーテル

従来の超音波診断装置とは異なり、心臓の中に超音波カテーテルを留置し治療中の心臓内の情報をリアルタイムに得ることができるカテーテルです。また、磁気センサー付きの超音波カテーテルは、3Dマッピングシステムとの併用により心臓のリアルタイム3D画像を構築することが可能です。心腔内超音波カテーテルを用いることで、治療手技の有効性、安全性の向上が期待されます。

 

―虚血事業―

虚血とは、血管の狭窄又は閉塞により組織への血流が不十分もしくは途絶している状態を指します。虚血により引き起こされる虚血性疾患としては、心臓の冠動脈で起こる心筋梗塞や狭心症、脳の血管で起こる脳梗塞等が代表的なものです。原因となる動脈硬化は糖尿病や高血圧、高脂血症等によって進行し、肥満や喫煙、運動不足、ストレスの多い生活等も動脈硬化を促進させるといわれております。

虚血事業においては、虚血性疾患の検査・治療のための医療機器を、国内外の医療機器メーカーより直接仕入れ、主として全国の医療機器販売代理店を経由して医療施設に販売しております(国内総代理店業)。このため、全国主要都市において当事業を中心とした営業拠点を既に展開しております。

なお、国内で医療機器として流通させるためには厚生労働省の薬事承認を取得する必要があり、当社は有望な医療機器を国内外に見出すためにマーケティングを担当する部署や薬事承認及び品質保証を担当する部署を設置しております。

また、不整脈事業と同様の形態(販売代理店業)をとり、虚血分野の検査・治療に用いる医療機器を輸入商社や国内医療機器メーカーから仕入れ、医療施設等に販売しているケースもあります。

 

 

当事業においては、主に以下の商品を販売しております。

・自動造影剤注入装置「RAQUOSインジェクションシステム」

当社が日本国内における製造販売業者の認証を有する自動造影剤注入装置「RAQUOSインジェクションシステム」は、心臓血管インターベンション治療など血管造影を行う際の造影剤注入装置で、医療現場のニーズを取り入れた操作性の向上と、少量から大量まで正確に造影剤を注入することを実現しました。また、本システムを使用することで、複数症例での連続使用、造影剤の自動充填や自動エア抜き機能などにより、手技時間の短縮や放射線被ばくの低減、造影剤使用量の削減が期待されます。

 

―その他―

「その他」においては、脳神経外科関連商品、一般外科関連商品、消化器関連商品、放射線防護用品等、主力事業である不整脈事業及び虚血事業に属さない商品の販売を行っております。

 

事業系統図は、次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

23/06/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が残るものの、各種行動制限の緩和に伴い、社会経済活動の正常化が進んだことから緩やかな回復基調が見られました。しかし、ウクライナ情勢の長期化や資源価格の高騰、世界的な金融引き締めによる円安の進行や物価の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

医療機器業界におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に減少し症例数が回復しつつあるものの、医療機関においては物価高騰による運営コストの急騰を価格転嫁できないことから、経営改善に努める医療機関等取引先からの販売価格引き下げ要求は依然として高く、医療機器業界を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況にあります。

このような情勢のもと、当社では、社員の感染リスクを軽減するためのあらゆる対策を講じ、医療の安全、安心のために安定して商品を供給し続けることを使命とし企業活動を行ってまいりました。

これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ1,379,239千円増加し、23,589,982千円となりました。

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ655,031千円増加し、14,278,055千円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ724,208千円増加し、9,311,926千円となりました。

 

b.経営成績

当事業年度の経営成績は、売上高47,483,757千円(前期比4.4%増)、営業利益1,340,547千円(同7.1%増)、経常利益1,352,942千円(同7.5%増)当期純利益936,184千円(同8.5%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

不整脈事業は、売上高40,858,153千円(前期比3.8%増)、セグメント利益4,633,179千円(同5.8%増)となりました。

虚血事業は、売上高は3,059,612千円(前期比4.0%減)、セグメント利益は385,570千円(同35.7%減)となりました。

その他は、売上高は3,565,991千円(前期比21.5%増)、セグメント利益は437,313千円(同23.1%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得1,484,945千円、投資活動による資金の支出477,057千円、財務活動による資金の支出244,917千円等により、前事業年度末と比較して767,843千円増加し、8,614,223千円(前期比9.8%増)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社の事業は、商品の仕入販売であり、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

不整脈事業(千円)

36,606,637

4.5

虚血事業(千円)

2,664,085

19.3

報告セグメント計(千円)

39,270,723

5.4

その他(千円)

3,136,992

22.3

合計

42,407,716

6.5

 

 

c.受注実績

当社の事業形態は、原則として受注と販売が同時に発生するため、記載を省略しました。

 

d.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

不整脈事業(千円)

40,858,153

3.8

虚血事業(千円)

3,059,612

△4.0

報告セグメント計(千円)

43,917,766

3.2

その他(千円)

3,565,991

21.5

合計

47,483,757

4.4

 

(注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当事業年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エム・シー・ヘルスケア株式会社

5,835,825

12.8

6,405,491

13.5

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。

1) 財政状態

ⅰ.流動資産

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比較して1,138,084千円増加し、21,965,511千円となりました。その主な要因は、電子記録債権が207,378千円減少しましたが、現金及び預金が767,843千円、商品が472,599千円増加したこと等によるものです。

ⅱ.固定資産

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比較して241,155千円増加し、1,624,470千円となりました。その主な要因は、投資有価証券が300,000千円増加しましたが、土地が55,000千円減少したこと等によるものです。

ⅲ.流動負債

当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比較して630,364千円増加し、13,770,586千円となりました。その主な要因は、未払法人税等が71,000千円、未払金が32,495千円減少しましたが、買掛金が842,699千円増加したこと等によるものです。

ⅳ.固定負債

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比較して24,667千円増加し、507,469千円となりました。その主な要因は、その他が15,200千円減少しましたが、退職給付引当金が31,057千円増加したこと等によるものです。

ⅴ.純資産

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比較して724,208千円増加し、9,311,926千円となりました。その主な要因は、剰余金の配当により258,843千円減少する一方、当期純利益により936,184千円、自己株式の処分により48,492千円増加したこと等によるものです。

 

当社は医療現場が必要とする医療機器等の商品を継続的かつ安定的に提供することで、医療の安心・安全に貢献することを社会的使命と考えております。この観点から財政の安全性には十分な配慮を行っております。当事業年度末における流動比率は159.5%、当座比率は145.4%、固定比率は17.5%、自己資本比率は39.4%、負債比率は153.5%であり、十分な安全性が確保されております。

 

2) 経営成績

ⅰ.売上高

当事業年度の売上高は47,483,757千円(前期比4.4%増)となりました。これは主に、不整脈事業において、新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた前事業年度からは症例数が大きく回復したことによるものです。

ⅱ.売上原価

当事業年度の売上原価は42,027,693千円(前期比4.6%増)となりました。これは主に、売上高の増加に伴う仕入高の増加によるものです。

ⅲ.販売費及び一般管理費

当事業年度の販売費及び一般管理費は4,115,516千円(前期比0.8%増)となりました。これは主に、売上増加に伴って生じる荷造運賃、通信費、旅費交通費の増加によるものであります。効率化の向上には引き続き取り組んでおりますが、当事業年度における売上高販管費比率は8.7%(前事業年度は9.0%)となりました。

 

ⅳ.営業外損益

営業外損益は、前事業年度の6,605千円の利益(純額)から12,395千円の利益(純額)へと5,789千円利益(純額)が増加しました。これは、営業外収益その他が前事業年度は2,269千円発生しておりましたが、当事業年度は6,431千円となったこと等によるものです。

ⅴ.特別損益

特別損益は、前事業年度の42千円の利益(純額)から2,371千円の損失(純額)へと2,413千円損失(純額)が増加しました。これは、固定資産除却損が前事業年度は57千円発生しておりましたが、当事業年度は3,181千円となったこと等によるものです。

ⅵ.当期純利益

当期純利益は、上記の結果、前事業年度の863,016千円から8.5%増加して936,184千円となりました。

 

当社は医療現場のニーズに沿うことで安定的に業容の拡大を図ることを経営の基本とし、長期にわたって増収を重ねてまいりました。当事業年度の売上高は新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けた前事業年度からの反動により増収となりましたが、医療現場の落ち着きとともに更なるの業容拡大が可能と考えております。

 

また、当社は資本効率性の指標として自己資本当期純利益率(ROE)20%以上、収益性の指標として売上高営業利益率4%以上を確保することを目標としております。当事業年度における自己資本当期純利益率(ROE)は10.5%(前事業年度は10.5%)、売上高営業利益率は2.8%(前事業年度は2.8%)となりました。

販売総代理店として利益率の高い事業であったエキシマレーザ血管形成システムの独占販売契約終了や特定保険医療材料の保険償還価格改定の影響、及び価格競争の激化を主な要因として効率性に係る両指標ともに近年は低下傾向にある状況です。商品構成の改善、医療現場の課題解決を支援する高付加価値サービスの提供、管理機能の整備・強化による経営効率の向上を推進することで、これらの指標の改善と向上に取り組んでまいります。

 

商品の販売価格については、償還価格改定に伴う交渉だけでなく、医療機関のコスト意識の高まりや同一系列病院での統一価格交渉などによる価格競争の激化が見られ、行政による医療費の削減・抑制・適正化の方針を踏まえると、価格面では今後も厳しい環境が続くものと考えております。

 

当社といたしましては、プロダクトミックスやセグメント構成比率の変更による利益率改善、医療現場の課題解決を支援する営業力の強化、収益性を毀損しない新領域事業への展開に継続的に取り組むことで、規模・効率性の両面にわたって拡大と改善を図ってまいりたいと考えております。

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

不整脈事業

不整脈事業の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響により、症例数の一時的な減少傾向は依然として残っているものの、医療機関における医療提供体制の拡充に伴い前事業年度からは大きく回復し、前期比3.8%増40,858,153千円となりました。

セグメント利益は、売上高の増加により、前期比5.8%増4,633,179千円となりました。

虚血事業

虚血事業の売上高は、Spectranetics社製品の国内独占販売期間が終了したことから、前期比4.0%減3,059,612千円となりました。

セグメント利益は、売上高の減少及び粗利率の低下により、前期比35.7%減385,570千円となりました。

その他

その他の売上高は、外科、脳外科関連商品等が好調に推移したことから、前期比21.5%増3,565,991千円となりました。

セグメント利益は、売上高の増加により、前期比23.1%増437,313千円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度における各キャッシュ・フローの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

棚卸資産の増加618,220千円、法人税等の支払512,075千円等の支出要因があった一方、税引前当期純利益1,350,571千円に加え、減価償却費391,272千円、仕入債務の増加842,699千円、売上債権の減少150,446千円等の収入要因により、1,484,945千円の資金の獲得(前期は1,687,188千円の資金の獲得)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の売却による回収65,244千円、貸付金の回収9,000千円等の収入要因があった一方、投資有価証券の取得による支出300,000千円、有形固定資産の取得による支出230,140千円等の支出要因により、477,057千円の資金の支出(前期は97,487千円の資金の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

自己株式の処分14,346千円の収入要因があった一方、配当金の支払258,478千円等の支出要因により、244,917千円の資金の支出(前期は235,334千円の資金の支出)となりました。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。

 

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

40.0

37.1

38.5

38.6

39.4

時価ベースの自己資本比率
(%)

55.5

45.9

53.3

48.3

44.3

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)

0.3

0.0

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

790.2

5,373.7

46,207.1

6,721,868.3

11,814.4

 

(注) 1 各指標は以下の計算式により算出しております。

・自己資本比率:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3 営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象にしております。

4 2022年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率については、有利子負債がないため、記載しておりません。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

1) 資金需要

当社の運転資金に係る資金需要の主なものは、商品仕入代金の支払資金、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払資金になります。営業費用の主なものは、人件費及び営業活動のための旅費交通費であります。設備投資に係る資金需要の主なものは、デモ・レンタル用などの営業用機器、システム関連、営業用車両関連の支払資金になります。当事業年度における設備投資金額は269,239千円、業態上或いは戦略上、当社は原則的に生産設備を保有しない方針であり、生産設備や建物の保有がないことから資本的支出は微少です。

当事業年度における研究開発費は15,426千円、自社製品及び自社企画品の研究開発のための費用を計上しております。

株主還元について、当社は継続的かつ安定的な配当による株主還元を行うことを基本として配当を決定することとしております。2023年3月期末配当は1株当たり30円、配当性向は33.3%となっております。

 

 

2) 財務政策

当社の運転資金及び設備投資資金等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を充当しております。

資金調達の方法として、銀行等金融機関からの借入によることとしており、社債の発行、株式の発行につきましては現状では予定しておりません。2023年3月31日現在において借入金残高はありません。

M&Aなど今後において生じる可能性がある戦略的資金需要、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」にて記載したリスクまたはその他のリスクが顕在化した場合の事業継続のための資金需要等に対応して、手元資金を有しております。2023年3月31日現在の現金及び現金同等物の残高は8,614,223千円となっており、将来資金に対して十分な財源及び流動性を確保しているほか、取引金融機関との間で2,300,000千円の当座貸越契約を締結(全額未使用)しており、緊急対応可能な体制を整備しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正と認められている会計基準に基づき作成されており、採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

この財務諸表の作成にあたって、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

a.貸倒引当金

債権等の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率等により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しておりますが、得意先の財政状態が悪化し、支払能力が低下した場合には、追加引当が必要になる可能性があります。

b.繰延税金資産

当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

c.退職給付引当金

従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務の見込額に基づき計上しておりますが、割引率など数理計算上で設定される前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

d.固定資産の減損

当社は、主として営業部を基礎として資産のグルーピングを行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、投資額の回収が見込めなくなった場合には、将来追加で減損処理が必要となる可能性があります。

e.投資有価証券の評価

当社は、市場価格のない株式等を保有しております。取得価額をもって貸借対照表価額としていますが、当該株式の1株当たり純資産額が取得価額と比べ50%超低下し、かつ、回復の見込みがないと認められる場合は減損処理を実施する方針としております。超過収益力についての毀損の有無は投資先の事業計画の達成状況等を踏まえて評価しておりますが、将来、実績が事業計画を下回る場合は減損処理が必要となる可能性があります。