売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00544 Japan GAAP

売上高

5,412.1億 円

前期

5,160.9億 円

前期比

104.9%

時価総額

1,943.2億 円

株価

1,148.5 (04/19)

発行済株式数

169,192,654

EPS(実績)

-118.47 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

643.3万 円

前期

720.0万 円

前期比

89.3%

平均年齢(勤続年数)

42.7歳(18.5年)

従業員数

231人(連結:19,416人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、2023年12月31日現在、当社、子会社95社、関連会社10社により構成されています。事業持株会社である当社のもと、中核会社として位置付ける日本無線㈱、日清紡マイクロデバイス㈱、日清紡ブレーキ㈱、日清紡メカトロニクス㈱、日清紡ケミカル㈱、日清紡テキスタイル㈱を中心として、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、精密機器、化学品、繊維、不動産、その他の事業を営んでいます。

ブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」といいます。)の全株式を譲渡したこと等によりTMD社他21社を連結の範囲から除外しています。なお、当連結会計年度末日をみなし事業分離日としているため、当連結会計年度においては損益計算書のみを連結しています。

また、当社及び子会社NISSHINBO SINGAPORE PTE. LTD.と共同でHVJホールディングス㈱の全株式を取得したことにより、HVJホールディングス㈱並びにHVJホールディングス㈱の子会社である㈱日立国際電気他7社を連結の範囲に含めています。なお、当連結会計年度末日をみなし取得日としているため、当連結会計年度においては貸借対照表のみを連結しています。加えて、㈱日立国際電気は日本無線㈱とともに無線・通信事業の中核会社として位置付けます。

これら譲渡及び取得に関するその他の情報は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

当社グループの事業内容は次のとおりです。

 

  無線・通信

日本無線㈱及び㈱日立国際電気を中心として、防災システム・無線通信システム・情報処理システム・放送システム・監視システム、画像処理等の社会インフラ関連製品や船舶等の無線通信機器製品を、JRCモビリティ㈱は車載用レーダや交通インフラ向け通信・センサ等を展開しています。

 

 

  マイクロデバイス

日清紡マイクロデバイス㈱を中心として、アナログ半導体、SAWフィルタ、小型・省電力の電源IC製品等の電子デバイス製品やマイクロ波製品を展開しています。

 

 

  ブレーキ

日清紡ブレーキ㈱を中心として、自動車用ブレーキ摩擦材の製造販売を行っており、韓国のSAERONグループとともに世界的に製品を供給しています。

 

 

  精密機器

日清紡メカトロニクス㈱を中心として、成形品事業、精密部品事業、システム機事業を展開しています。成形品事業では、空調機器用ファンや自動車のヘッドランプ周辺製品等を製造販売し、精密部品事業では電子制御ブレーキシステム用精密部品加工等を行っています。

 

 

  化学品

日清紡ケミカル㈱を中心として、断熱材等のウレタン製品、樹脂改質剤等の高機能化学品、燃料電池用カーボンセパレータ及びカーボン製品の製造販売を行っています。

 

 

  繊維

日清紡テキスタイル㈱を中心として、シャツ事業、テキスタイル事業、開発素材事業を展開しています。シャツ事業、テキスタイル事業では形態安定加工シャツやユニフォーム用製品を、開発素材事業ではスパンデックスや不織布、エラストマー関連製品の製造販売を行っています。

 

 

  不動産

当社を中心として、商業施設等の賃貸や不動産販売等を行っています。

 

 

  その他

ニッシントーア・岩尾㈱等で、食品の卸売販売、産業資材の販売等を行っています。

 

 

事業の系統図は次のとおりです。

※画像省略しています。

 

(注)1 ◎印 連結子会社 〇印 非連結子会社 □印 持分法適用子会社 △印 関連会社

2 当事業年度において、TMD社他グループ21社、HELLA PAGID GMBH、MENETA ADVANCED SHIM TECHNOLOGY AS、FRM FRICTION RAW MATERIALS GERMANY GMBH、EINA TUS GMBH & CO. KG及びEINA TUS BETEL-LIGUNGSGES. MBHは清算又は譲渡したことにより、LEAS GMBHはRBI GMBHに吸収合併されたことにより、上表には含めていません。
なお、RBI GMBHは社名をJRC MOBILITY GERMANY GMBHに変更しています。

 

 

24/03/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績

当社は、当連結会計年度において、当社グループの事業ポートフォリオ戦略に沿って、ブレーキ事業の一翼を担っていたTMDグループを譲渡しました。これにより親会社株主に帰属する当期純損失を計上することになりましたが、自動車のxEV化の進展やブレーキ粉塵規制といったTMDグループが抱えることになった課題を考慮しての事業譲渡であり、ブレーキ事業の体質強化に向けた一施策でもあります。一方、当社の子会社である日清紡シンガポールと共同でHVJホールディングス㈱の発行する株式全てを取得したことにより、HVJホールディングス㈱の子会社である日立国際電気グループを連結子会社化しました。日立国際電気グループが得意とするAI画像認識技術・最先端の無線通信技術と日本無線グループが得意とする情報処理技術を組み合わせてトータルソリューションを提供することにより、SDGs等の社会課題解決に貢献してまいります。また、当社グループの海外拠点も活用しながらグローバルレベルでシナジーを追求し、無線・通信事業の収益基盤を強化し成長を加速させます。

こうしたカーブアウトやM&Aにより、2024年12月期には核とする無線・通信、マイクロデバイス事業の売上構成比率が60%を超えるなど、当社グループの事業ポートフォリオは更に大きく変化する見込みです。

 

なお、TMDグループの経営成績(損益計算書)は当連結会計年度の連結損益計算書に反映していますが、期末財政状態(貸借対照表)は譲渡に伴い当連結会計年度末の連結貸借対照表に反映していません。

また、HVJホールディングス㈱および日立国際電気グループの期末財政状態(貸借対照表)は当連結会計年度末の連結貸借対照表に反映していますが、経営成績(損益計算書)およびのれんの償却額は次期(2024年12月期)より連結損益計算書に反映する予定です。

 

当連結会計年度の当社グループの売上高は、マイクロデバイス事業は減収となりましたが、無線・通信事業やブレーキ事業が増収となったこと等により541,211百万円(前年同期比25,125百万円増、4.9%増)となりました。

営業利益は、ブレーキ事業の増益があった一方で、マイクロデバイス事業の減益等により12,453百万円(前年同期比2,981百万円減、19.3%減)となりました。

経常利益は15,785百万円(前年同期比4,611百万円減、22.6%減)となり、TMDグループ譲渡に伴い固定資産の減損損失および事業整理損を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純損失は20,045百万円(前年同期比39,785百万円悪化)となりました。

 

 

事業セグメントの業績は下記のとおりです。セグメント利益またはセグメント損失は営業利益または営業損失ベースの数値です。

 

(無線・通信事業)

ソリューション・特機事業は、防衛省向けレーダ装置は増加したものの、前年同期に大型案件があった県・市町村防災システムや航空・気象システムが減少したことに加え、河川の水位・雨量を監視する水・河川情報システムの更新需要の一巡等により減収・減益となりました。

マリンシステム事業は、期首から受注が好調に推移しており、商船新造船用機器や欧州河川市場向けワークボート用機器が増加していることに加え、円安も追い風となり増収・増益となりました。

モビリティ事業は、米国政府の補正予算執行に伴う需要増により海外業務用無線が大幅に増加したことに加え、新型レピータ装置や鉄道用次世代安全システムの開始もあり増収・黒字化となりました。

その結果、無線・通信事業全体では、売上高158,081百万円(前年同期比5.1%増)、セグメント利益4,745百万円(前年同期比1.6%減)となりました。

 

(マイクロデバイス事業)

主力の電子デバイス事業は、車載製品はEV充電用やセンサ、カーナビ関連が好調で価格転嫁も寄与し増加しましたが、産機製品はモータ制御やオフィス機器関連をはじめ全般的に低調だったことに加え、民生品(コンシューマ製品)は市況の回復遅れにより中国・アジア向けスマートフォン関連やPC関連を中心に大きく減少したことで減収・減益となりました。

マイクロ波事業は、センサ関連製品や電子管保守部品は堅調に推移したものの、米国向け船舶・地上固定局用の衛星通信関連や船舶用レーダコンポーネント関連製品が低調だったことにより減収・減益となりました。

その結果、マイクロデバイス事業全体では、売上高80,044百万円(前年同期比6.2%減)、セグメント利益934百万円(前年同期比89.6%減)となりました。

 

(ブレーキ事業)

日本の拠点や中国拠点は、カーメーカーの生産回復により増収・増益となりました。米国・韓国拠点も増収でしたが、原材料等の高騰は企業努力で吸収できる範囲を上回っており損失拡大となりました。タイ拠点は、新車販売が不振だった影響で減収・減益となりました。TMDグループは、アフターマーケット製品の受注が好調に推移したことで増収・黒字化となりました。

その結果、ブレーキ事業全体では、売上高178,541百万円(前年同期比16.2%増)、セグメント利益4,682百万円(前年同期比9,346百万円改善)となりました。

 

(精密機器事業)

精密部品事業は、インドに設立したCONTINENTAL社との合弁会社(NISSHINBO COMPREHENSIVE PRECISION MACHINING (GURGAON) PRIVATE LTD.)で立ち上げ準備費用等が発生したものの、中国拠点における自動車用EBS部品が好調だったことにより増収・増益となりました。成形品事業は、車載関連製品等は好調でしたが、空調関連製品が顧客の生産調整の影響を受けたこと等により減収・減益となりました。

その結果、精密機器事業全体では、売上高53,265百万円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益1,328百万円(前年同期比71.1%増)となりました。

 

 

(化学品事業)

断熱製品は、硬質ブロック等は受注減ながらも、冷蔵冷凍設備・住宅用・土木用原液の受注増により前年同期並みの売上でしたが、原料価格等高騰の影響により減益となりました。燃料電池用カーボンセパレータは、海外定置用の受注減により減収・減益となり、機能化学品も、国内外の受注減により減収・減益となりました。

その結果、化学品事業全体では、売上高11,433百万円(前年同期比9.8%減)、セグメント利益801百万円(前年同期比63.3%減)となりました。

 

(繊維事業)

シャツ事業は、アポロコットシャツ等の超形態安定商品が好調に推移し増収でしたが、原料価格上昇等により減益となりました。東京シャツ㈱は、人流回復に伴い実店舗の販売が増加したことで増収・損失縮小となりました。ユニフォーム事業は、増収ながらも原料価格上昇等により減益となりました。開発素材事業は、受注減により減収・損失拡大となりました。

その結果、繊維事業全体では、売上高37,481百万円(前年同期比2.2%減)、セグメント損失420百万円(前年同期比519百万円悪化)となりました。

 

(不動産事業)

静岡県浜松市の宅地販売は減少しましたが、滋賀県東近江市のマンション販売やリノベーションマンション販売を実施したこと等により前年同期並みの売上・利益となりました。

その結果、不動産事業全体では、売上高11,263百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益8,518百万円(前年同期比2.3%減)となりました。

 

(その他)

ニッシントーア・岩尾㈱(食品、産業資材等の商社機能)等の事業を、その他として区分しています。

その他の売上高は11,100百万円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益は374百万円(前年同期比32.1%増)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

無線・通信

145,591

+2.5

マイクロデバイス

79,437

△11.2

ブレーキ

138,864

+8.0

精密機器

52,548

+2.3

化学品

8,389

+3.3

繊維

34,119

+0.4

その他

458

△2.9

合計

459,410

+1.2

 

(注) 1 金額は製造原価により算出しています。

2 不動産事業は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれていません。

 

②受注状況

無線・通信事業、マイクロデバイス事業及び精密機器事業のうち、一部の製品において受注生産を行っています。当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。なお、精密機器事業については金額的重要性が乏しいため記載していません。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

無線・通信

219,210

+43.3

175,925

+65.8

マイクロデバイス

50,859

△51.2

27,233

△51.7

合計

270,070

+5.0

203,158

+25.0

 

(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、無線・通信事業において、日立国際電気グループを連結の範囲に含めたことによります。また、マイクロデバイス事業において、産機製品や民生品の半導体需要の低迷を背景に、電子デバイス製品の受注が減少しました。需給のひっ迫が解消し、リードタイムが長期化していた製品の出荷が進み、受注残高も大幅に減少しました。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

無線・通信

158,081

+5.1

マイクロデバイス

80,044

△6.2

ブレーキ

178,541

+16.2

精密機器

53,265

△0.7

化学品

11,433

△9.8

繊維

37,481

△2.2

不動産

11,263

+0.8

その他

11,100

+2.0

合計

541,211

+4.9

 

(注)  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が総販売実績の10%未満のため記載を省略しています。

 

 

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は672,217百万円となり、前連結会計年度末と比較し55,943百万円増加しました。

現金及び預金の増加7,330百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加11,635百万円、棚卸資産の増加20,501百万円、有形固定資産の減少12,424百万円、投資有価証券の増加8,074百万円、退職給付に係る資産の増加6,596百万円、繰延税金資産の増加4,200百万円等が主な要因です。

 

当連結会計年度末における負債総額は395,638百万円となり、前連結会計年度末と比較し57,862百万円増加しました。

支払手形及び買掛金の減少6,330百万円、短期借入金の増加24,547百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加45,110百万円、退職給付に係る負債の減少3,723百万円、固定負債のその他の減少3,390百万円等が主な要因です。

 

当連結会計年度末における純資産は276,578百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,919百万円減少しました。

利益剰余金の減少25,542百万円、その他有価証券評価差額金の増加7,221百万円、為替換算調整勘定の増加4,686百万円、非支配株主持分の増加11,264百万円等が主な要因です。

 

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は前連結会計年度末と比較して5.5ポイント低下して37.3%となりました。

 

(3)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は23,512百万円となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失△21,895百万円、減価償却費25,841百万円、減損損失29,704百万円、事業整理損8,723百万円、売上債権及び契約資産の増減額△4,759百万円、棚卸資産の増減額△5,776百万円、仕入債務の増減額△3,422百万円、法人税等の支払額△5,613百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は46,512百万円となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出△25,291百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△11,179百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出△10,236百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した現金及び現金同等物は25,387百万円となりました。これは主として、短期借入金の純増減額10,829百万円、長期借入れによる収入129,534百万円、長期借入金の返済による支出△105,706百万円、配当金の支払額△5,497百万円、その他△2,962百万円によるものです。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は49,918百万円と前連結会計年度末に比べ4,826百万円増加しました。

 

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移 

 

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

自己資本比率

38.6%

39.4%

42.8%

42.8%

37.3%

時価ベースの自己資本比率

28.2%

21.5%

24.1%

24.8%

26.8%

債務償還年数

6.3年

3.5年

3.3年

7.5年

9.2年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

23.1倍

37.6倍

34.5倍

12.1倍

4.7倍

 

(注)  自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産

  時価ベ-スの自己資本比率:株式時価総額/総資産

  債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

  インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

  ①各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

  ②株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

  ③営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロ-計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象にしています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①財務戦略

当社グループは、2027年度以降のビジネスモデル転換と高収益化の実現に向け、2026年度までを目指す姿の実現に向けた礎を築く期間と定義しました。その間、資本効率の最適化と戦略的な資本調達が可能となる財務の健全性の両立を目指し、営業キャッシュ・フローの範囲内での投資、株主還元を基本とし、目指す事業ポートフォリオ実現のための注力領域への投資を優先します。資本効率向上の観点から資産の圧縮を計画的に進め、資産売却によって得た資金は投資、株主還元の原資として活用します。また、D/Eレシオは0.7倍以下を目安とし、ROE10%及びROIC6%を目指します。

株主還元は、2026年度にかけて配当性向40%を目指し、利益成長を通じて配当水準の向上を図ります。1株当たり年間配当36円を下限に配当維持または増配を基本方針としながら、成長投資に必要な資金を確保しつつ、資本構成や中長期的なフリーキャッシュフローの見通し等から自己株式取得を機動的に判断します。

 

②資金調達の方針と流動性の分析

当社グループの運転資金や成長投資等の必要資金については、主として営業キャッシュ・フローを財源としていますが、必要に応じて有利子負債を効果的に活用し資本効率の向上を図っています。主に短期的な資金についてはコミットメントライン等の短期銀行借入やコマーシャル・ペーパーによる調達を、設備投資、M&A投資等の長期的な資金については、金融市場動向や長短バランスなどを総合的に勘案し、適宜長期銀行借入を組成しています。

また、当社グループは、ガバナンス強化と資金効率向上を目的として、グループ一体となった資金調達と資金管理を実施しており、当社と国内子会社間、また海外の一部地域の関係会社間でCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)やグループローンによる資金融通を行ない、グループ内の流動性確保と資本コストの低減に努めています。

なお、当社グループは、気候変動による事業機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応を重要な経営課題の一つと認識しています。当社グループが取り組む環境貢献に資する投資についてわかりやすく整理、訴求し、サステナブルファイナンスにも取り組みたいと考えています。

重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。

資金の流動性については、当連結会計年度においても当社は主要銀行とのコミットメントライン契約を同額で維持し、30,000百万円で更改しました。その他、当座貸越枠、コマーシャル・ペーパーも引き続き十分な調達枠を維持しており、必要とされる流動性を確保しています

また、政策保有株式については、コーポレートガバナンス・ポリシーに基づき計画的に縮減していきますが、柔軟且つ機動的な売却の意思決定により、資金の流動性を補完することも可能です。

なお、当連結会計年度に連結子会社とした日立国際電気グループの買収資金については、主要銀行からのブリッジローンにより35,000百万円程度を調達しました。来期において長期調達へリファイナンスを行う予定です。

 

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。海外子会社については、IFRS(国際財務報告基準)及び米国会計基準に準拠して作成され、現地監査法人の監査を受けた上で必要な調整を反映させています。

 この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 

(7)次期の業績見通し

2024年12月期も、主力の無線・通信事業、マイクロデバイス事業を中心に経営資源を重点的に配分し、成長戦略を遂行します。

無線・通信事業では、安定した公共事業予算を背景にソリューション・特機事業が堅調に推移することに加え、日立国際電気グループが連結子会社となったこと等により大幅な増収・増益を見込んでいます。

マイクロデバイス事業では、車載製品が引き続き堅調に推移することに加え、2023年12月期に大きく減少したスマートフォンやPC関連などの民生製品の市況が下期から回復することを想定し、増収・増益を見込んでいます。

ブレーキ事業では、環境規制に対応した銅レス・銅フリー摩擦材の受注は引き続き堅調に推移しています。一方、TMDグループを事業譲渡したことにより、事業全体では大幅な減収・減益を見込んでいます。精密機器、化学品、繊維の各事業については、市場の成長や受注増による増収・増益を見込んでいます。

不動産事業では、保有資産の計画的な分譲を進めることにより、増収・増益を見込んでいます。

これらのことから、次期の連結業績見通しは、売上高513,000百万円、営業利益24,000百万円、経常利益26,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益19,000百万円となる見込みです。

なお、為替レートは通期平均で1米ドル=140円、1ユーロ=150円を前提としています。