E31167 Japan GAAP
前期
1.03兆 円
前期比
99.9%
株価
5,714 (07/26)
発行済株式数
60,857,382
EPS(実績)
789.86 円
PER(実績)
7.23 倍
前期
1,719.5万 円
前期比
109.8%
平均年齢(勤続年数)
51.5歳(21.9年)
従業員数
35人(連結:4,768人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社と子会社、関連会社の計56社で構成され、集積回路、電子デバイス、ネットワーク関連商品の販売を中心とした事業を行っております。
当社グループの事業に関わる主な関係会社の事業の位置付けは、次のとおりであります。
セグメントの名称は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げる事業セグメント情報の区分と同様であります。
また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
事業の系統図は、次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限が解消され、経済活動は正常化に向かう流れとなりました。世界経済におきましては、国際情勢が一段と不安定になるなか、中国経済の停滞、為替レートの変動、米中貿易摩擦など、先行き不透明な状況が続いております。
当社の属するエレクトロニクス産業におきましては、スマートフォンやパソコンなどの需要が減少、中国経済の停滞も影響し、年度の後半から調整局面となり、産業機器市場におきましても、省人化や効率化のための製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)向けのFA・工作機械などへの設備投資が第4四半期から軟調となりました。また一方で、戦略的に自国で半導体を確保するため、各国政府主導により半導体工場への設備投資の支援策が行われ、半導体製造装置などに長期的な需要が期待されています。車載市場では、半導体など電子部品の供給不足が解消され、安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の動きが加速し、車1台当たりの半導体搭載量が増加しています。
IT産業におきましては、企業のIT投資環境は引き続き良好となっており、DXなどをテーマとする投資に加えて、国内外の経済活動の正常化によるビジネス規模の拡大に伴ってIT投資が拡大しています。セキュリティに関しては、短中期的に経営課題ととらえる企業が増加しています。特に、比較的セキュリティレベルが低い自社の子会社や取引先などのサプライチェーンの弱点を悪用した攻撃により、個人情報の漏えいや業務停止するなど、甚大な被害を及ぼしていることから、情報資産のリスクを発見・管理するアタック・サーフェイス・マネジメント(ASM)サービスへの注目が高まっています。
また、当社グループが今後もさらなる事業拡大及び企業価値の向上を目指していくためには、半導体及び電子機器に対する技術的な知見・知識や集積回路、電子デバイスなどの販売スキルを有する人材やエンジニアといった人的資本を獲得することが必要不可欠であるため、2024年1月に当社の完全子会社(株式会社マクニカ)による株式会社グローセルの株式の公開買付を実施し、2024年3月より特定子会社としました。当社との人的資本を組み合わせることにより、半導体事業や新規事業の拡大、事業上のシナジーを生み出してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、年度を通じて為替が円安傾向だったこともあり1,028,718百万円(前期比0.1%減)、営業利益は63,733百万円(前期比3.4%増)、経常利益は61,966百万円(前期比9.0%増)、企業買収に伴い「負ののれん発生益」を特別利益として計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益につきましては48,069百万円(前期比17.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
当事業におきましては、車載市場では、半導体など電子部品の供給が改善されたことやADAS(先進運転支援システム)をはじめとした安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の流れにより半導体搭載量も増加していることから、その他標準ICを中心に伸長しました。また、産業機器市場においては、企業の設備投資意欲はあるものの部品供給の改善や中国市場の停滞による需要減少などもあり、各種半導体製造装置やFA機器や工業用ロボット、医療機器など幅広い市場で調整局面となりました。また、中国でのサーバー需要が落ち込んだ影響を受け通信インフラ・コンピュータ市場向けメモリーの需要が大きく減少しましたが、コンピュータ市場では、生成AI向け製品の特需がありました。また、当社の半導体商社市場におけるマーケットシェアの拡大が進んでいることも寄与しました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は907,803百万円(前期比2.3%減)、営業利益は56,655百万円(前期比2.4%増)となりました。
当事業におきましては、クライアント端末へのセキュリティ対策の重要性認識が浸透してきたことにより、エンドポイントセキュリティ関連商品が大幅に伸長しました。クラウド技術やデータ活用の広がりを背景に、クラウドアプリケーションとデータ分析基盤関連商品が伸長しました。加えて、東南アジア地域を中心とした海外ネットワーク事業も大幅に伸長しました。また、特定の仕入先との販売契約で、ソフトウェアライセンスの原価を追加計上する必要が生じたため、一時的に売上原価率が上昇しました。なお、今後の影響は限定的です。加えて、期中の急激な円安傾向により、新規案件を中心に売上原価率が上昇しました。
これらの結果、同事業の当連結会計年度の売上高は120,933百万円(前期比20.6%増)、営業利益は7,077百万円(前期比12.0%増)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ27,669百万円増加となりました。これは主に電子記録債権が3,598百万円、商品が15,096百万円、その他の流動資産が7,463百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ6,954百万円増加となりました。これは主に投資有価証券が4,314百万円、長期貸付金が1,085百万円、投資その他の資産のその他が916百万円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ7,705百万円減少となりました。これは主に短期借入金が14,547百万円、その他の流動負債が18,813百万円それぞれ増加したものの、支払手形及び買掛金が35,711百万円、未払法人税等が3,882百万円、賞与引当金が1,534百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ6,329百万円減少となりました。これは主に長期借入金が5,000百万円、退職給付に係る負債が1,023百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ48,658百万円増加となりました。これは主に利益剰余金が38,679百万円、為替換算調整勘定が10,949百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の37,492百万円に比べ1,131百万円増加し、38,623百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは39,949百万円増加 (前連結会計年度は、38,896百万円増加)となりました。これは主に仕入債務の減少及び法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益66,263百万円の計上、売上債権の減少及び棚卸資産の減少があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは18,457百万円減少 (前連結会計年度は、869百万円減少)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出、貸付けによる支出、有形固定資産の取得による支出及び関係会社株式の取得による支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは23,014百万円減少 (前連結会計年度は、27,100百万円減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出、自己株式の取得による支出及び配当金の支払いがあったことによるものです。
③ 仕入、受注及び販売の実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社の属するエレクトロニクス産業におきましては、スマートフォンやパソコンなどの需要が減少、中国経済の停滞も影響し、年度の後半から調整局面となり、産業機器市場におきましても、省人化や効率化のための製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)向けのFA・工作機械などへの設備投資が第4四半期から軟調となりました。また一方で、戦略的に自国で半導体を確保するため、各国政府主導により半導体工場への設備投資の支援策が行われ、半導体製造装置などに長期的な需要が期待されています。車載市場では、半導体など電子部品の供給不足が解消され、安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の動きが加速し、車1台当たりの半導体搭載量が増加しています。IT産業におきましては、企業のIT投資環境は引き続き良好となっており、DXなどをテーマとする投資に加えて、国内外の経済活動の正常化によるビジネス規模の拡大に伴ってIT投資が拡大しています。セキュリティに関しては、短中期的に経営課題ととらえる企業が増加しています。特に、比較的セキュリティレベルが低い自社の子会社や取引先などのサプライチェーンの弱点を悪用した攻撃により、個人情報の漏えいや業務停止するなど、甚大な被害を及ぼしていることから、情報資産のリスクを発見・管理するアタック・サーフェイス・マネジメント(ASM)サービスへの注目が高まっています。このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ0.1%減少の1,028,718百万円、営業利益は前連結会計年度に比べ3.4%増加の63,733百万円、経常利益は、9.0%増加の61,966百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ17.2%増加の48,069百万円となりました。
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ0.1%減少の1,028,718百万円となりました。
集積回路及び電子デバイスその他事業におきましては、当社グループが主に取扱いをしているアナログIC、PLD、その他標準ICなど全般的に半導体の供給不足は続いていますが、一部メモリーなどの製品については改善しています。そのような中、当社グループの注力市場である産業機器市場においては、生産の高度化・自動化を目的としたFA機器や工業用ロボット、半導体需要の高まりに応じた各種半導体製造装置への設備投資も継続しており、幅広い分野へアナログICやその他標準ICの需要が大幅に増加しました。車載市場では、世界的な脱炭素化の流れによるEV化やより高度な自動化・電動化が進み、半導体搭載量も増加していることから、アナログICやその他標準ICを中心に伸長しました。コンピュータ市場では、中国向けサーバー需要が落ち込んだ影響を受けメモリーの需要が減少しました。その結果、前連結会計年度に比べて2.3%減少の907,803百万円となりました。
ネットワーク事業におきましては、働き方改革やリモートワークの普及によりクライアント端末へのセキュリティ対策の重要性認識が浸透してきたことから、エンドポイントセキュリティ関連商品が大幅に伸長しました。また、大型案件の獲得等によりアプリケーションやデータ分析関連商品も拡大しました。加えて、東南アジア地域を中心とした海外ネットワーク事業も大幅に伸長しました。その結果、前連結会計年度に比べて20.6%増加の120,933百万円となりました。
b. 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度の903,359百万円から0.5%減少し、899,101百万円となりました。売上高に対する売上原価の比率は87.4%となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2.5%増加し、65,884百万円となりました。なお、販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は6.4%であります。
c. 営業利益
営業利益は、売上総利益の増加により、前連結会計年度の61,646百万円から3.4%増加し、63,733百万円となりました。
d. 営業外収益
営業外収益は、受取利息203百万円及び持分法による投資利益351百万円の増加等により、前連結会計年度の1,119百万円から40.5%増加し、1,573百万円となりました。
e. 営業外費用
営業外費用は、債権譲渡損1,004百万円及び為替差損1,771百万円の減少等により、前連結会計年度の5,933百万円から43.7%減少し、3,340百万円となりました。
f. 経常利益
経常利益は、前連結会計年度の56,832百万円から9.0%増加し、61,966百万円となりました。
g. 特別利益
特別利益は、負ののれん発生益3,703百万円の増加等により、前連結会計年度の2,170百万円から158.9%増加し、5,621百万円となりました。
h. 特別損失
特別損失は、投資有価証券評価損470百万円の増加等により、前連結会計年度の853百万円から55.1%増加し、1,324百万円となりました。
i. 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の58,149百万円から14.0%増加し、66,263百万円となりました。
j. 法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額
税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率は、前連結会計年度の26.4%から0.1%増加し、26.5%となりました。
k. 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の41,030百万円から17.2%増加し、48,069百万円となりました。
a. 財政状態
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b. キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概況 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
c. 資金需要
当社グループの運転資金需要の主要なものは、売上の増加に伴う支払と回収のサイト差及び商品在庫の保有によるものです。サイト差については、主に海外の仕入先に支払う仕入代金のサイトが国内外の得意先からの回収サイトよりも短くなっていることが主な要因であります。また商品在庫に関しては、得意先への納入期限に対応するために適正水準を保持しております。
d. 財務政策
当社グループにおける増加運転資金につきましては、内部資金、売上債権の流動化、金融機関からの借入及び増資等によって調達しております。グループ各社の必要資金は、主に子会社である㈱マクニカが資金調達を行い、他のグループ企業に融資していく方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の報告数字に影響を与える見積りは、主として棚卸資産、貸倒引当金、投資の減損、繰延税金資産、賞与引当金、退職給付費用等であり、継続して評価を行っております。見積り及び判断については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a. 棚卸資産
当社グループは、将来における需要や市場状況等に基づき、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には収益性の低下があるものとし売価評価減を、棚卸資産の保有日数に応じて一定金額まで帳簿価額を切り下げる滞留評価減や将来の販売可能性の見積りに基づく個別評価減を計上しております。
b. 貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 投資の減損
当社グループは長期的な取引関係維持のために、特定の顧客、仕入先及び金融機関等に対する少数持分を保有しています。また新規仕入先の開拓を目的とした情報収集のために、投資事業有限責任組合及びそれに類する組合(金融商品取引法第2条第2項により有価証券とみなされるもの)等への出資をしています。これらには市場価格のある公開企業等への投資と市場価格のない未公開企業等への投資があります。市場価格のある投資につきましては、市場価格が取得原価に比べ50%以上下落した場合には無条件で減損処理を行い、30%以上50%未満下落した場合には個別に下落率の推移、発行体の財政状態等を勘案し、減損処理を行っております。
一方、市場価格のない投資の減損につきましては、実質価額が著しく低下した場合、合理的な事業計画等に基づき、回復可能性が認められない場合には実質価額まで減損処理を行っております。
また非連結の子会社及び関連会社の株式等についても、有価証券の評価方法に準じて処理を行っております。
当連結会計年度において減損処理を行い、投資有価証券評価損1,270百万円を計上しております。今後も株式市場の悪化や投資先の業績不振などにより、評価損を計上する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得と慎重かつ実現可能性の高い継続的な経営計画を検討したうえで繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の全部又は一部を回収又は解消できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上する可能性があります。
e. 賞与引当金
賞与引当金は、支給対象期間の業績に応じて支給見込額のうち当期に帰属する額を計上しておりますが、実際の支給額は支給時点における外部環境及び当社グループの状況を勘案のうえ決定されるため、実際の支給額が見積りと異なる場合には追加の費用計上が必要となる可能性があります。
f. 退職給付費用
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率が含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。近年の割引率の低下及び年金資産運用での損失は当社グループの年金費用に対して悪影響を及ぼします。