E25443 Japan GAAP
前期
845.9億 円
前期比
97.0%
株価
541 (01/10)
発行済株式数
14,337,200
EPS(実績)
37.14 円
PER(実績)
14.57 倍
前期
547.0万 円
前期比
111.4%
平均年齢(勤続年数)
45.3歳(12.8年)
従業員数
124人(連結:126人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(黒谷株式会社)、連結子会社1社及び持分法適用関連会社1社により構成されており、非鉄金属事業と美術工芸事業を主たる業務としております。
非鉄金属事業は、銅を中心とした非鉄金属関連ビジネスとして、インゴットの製造・販売とリサイクル原料の加工・販売を2本柱として事業展開を図っております。
美術工芸事業は、美術工芸品に関する製造販売を行っております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは次のとおりであります。
なお、当該2事業は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
1.非鉄金属事業
当社グループの非鉄金属事業における大きな特徴は、インゴットとリサイクル原料を同時に取り扱っていることにより、雑多な非鉄金属を一括買いすることが可能であることです。通常、インゴット製造のみを行っている場合であれば、その製造に必要なリサイクル原料のみを仕入れることになりますが、当社グループの場合、幅広いリサイクル原料を取り扱うことが可能であります。
(1) インゴット
インゴットについては、国内外から集荷した銅及び銅合金のリサイクル原料を原材料として配合、溶解し、得意先各社のニーズ、用途に合わせた形状・重量の製品約50品種を生産しております。
仕入れたリサイクル原料は、製品ごとの要求規格に合致する成分割合になるよう製造し、国内外の販売先(造船メーカー、住宅設備メーカー等)に販売しておりますが、製造を行う上で、それぞれの元素の地金同士を組成する場合であれば、製造技術上大きな困難はありません。一方、合金化されたリサイクル原料を用いてこれら複数の金属元素の組成を行うことは技術的要素が必要となります。当社は、各リサイクル原料の分析ができる技術と環境を有しており、国内外の規格や取引先が指定する独自の規格に適合するインゴットを製造しております。
<中心となる品種>
①船舶のスクリュー原材料として用いられる「アルミ青銅」(販売品名:CACIn703等)
②水栓金具、止水栓、産業用バルブ等、主に住宅産業向けに販売する「青銅」(販売品名:CACIn406等)、「鉛レス青銅」(販売品名:CACIn902等)、「黄銅」(販売品名:YBsC等)
(2) リサイクル原料
リサイクル原料は、国内外の仕入先(リサイクル原料回収業者、メーカー等)から仕入れた約150品種の非鉄金属リサイクル原料について選別・プレス等を行い、国内外の販売先(電線メーカー、銅製錬メーカー等)に販売しているほか、自社インゴット製造のための溶解用材料として利用しております。リサイクル原料に係る処理は内製によって行っていますが、一部外注利用も行っております。
<中心となる品種>
①主に電線、銅板条・銅管、銅箔の各メーカー向けに販売するピカ線、赤ナゲット等
②主に銅製錬メーカー向けに販売する銅屑、銅滓等
③主に住宅設備や各種産業バルブ業界向けに販売する真中粉、セパ、メッキセパ等
④アルミメーカー(軽圧、板条、二次合金)やステンレスメーカー向けに販売する写真板、サッシ、ビス付サッシ、アルミ缶、ステンレス等
(3) その他
その他の主なものとしては、伸銅品等の商品を仕入、販売しております。
2.美術工芸事業
当社グループの美術工芸事業では、美術工芸品の製造販売を行っており、貴金属製の置物や仏像・仏具が主な販売品目となっております。当事業では高度な鋳造技術と精緻な仕上げで、付加価値の高い製品を創り出しております。
[事業系統図]
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く外部環境は、各国の高い金利水準継続による景気減速懸念を
持ちながらも米国を中心に景気を維持し、中国は低調なままで推移しました。
このような外部環境のなか、当社グループの主力取扱商品である銅の価格は5月にロンドン金属取引所銅Cash
価格平均で10,129ドル、銅建値は1,750円/㎏と過去最高値を更新した後、8月末には9,215ドル、銅建値は1,370
円/㎏へと急落するなど混乱した環境となりました。
通期では銅価格は、ロンドン金属取引所銅価格期中平均で前年度比4.9%高、為替相場は8.8%ドル高に推移したことにより、期中平均円ベース価格では14.2%高となりました。
また、販売数量はインゴットでは12.5%、リサイクル原料では12.2%減少したことにより、全体では前年度
12.3%の減少となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は820億70百万円(前連結会計年度比2.9%減)、営業利益14億50百万円(同172.1%増)、経常利益10億37百万円(同355.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億32百万円(同212.7%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(非鉄金属事業)
非鉄金属事業の主力取扱製品に影響を与えるロンドン金属取引所銅期中平均円ベースCash価格が前年度比14.2%高く推移したものの、インゴット並びにリサイクル原料の販売量が前年度比12.3%減少したことから当連結会計年度の売上高は815億33百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。
品目別では、インゴット売上高は278億58百万円(前連結会計年度比2百万円増)、リサイクル原料売上高は535
億63百万円(同4.7%減)、その他売上高は1億12百万円(同5.7%増)となりました。
(美術工芸事業)
美術工芸事業は、新型コロナウイルス感染症の位置づけも変更となり工芸品の需要が回復して、当連結会計年度の売上高は5億36百万円(前連結会計年度比35.6%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は15億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億71百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は8億27百万円(前年は15億98百万円の収入)となりました。これは主に売上債権の増加17億35百万円、前渡金の増加4億1百万円などの支出に対し、税金等調整前当期純利益9億45百万円、棚卸資産の減少14億11百万円、仕入債務の増加6億15百万円などの収入が発生したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は2億6百万円(前年は57百万円の収入)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入2億39百万円などの収入に対し、有形固定資産の取得による支出2億67百万円、関係会社貸付金による支出1億19百万円などが発生したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は1億72百万円(前年は13億84百万円の支出)となりました。これは長期借入金の借入14億円の収入に対し、短期借入金の純減額1億円、長期借入金の返済11億89百万円、配当金の支払2億82百万円などの支出が発生したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
品目別 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
前年同期比(%) |
非鉄金属事業(千円) |
インゴット |
27,858,204 |
100.0 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.リサイクル原料については、選別、プレスといった加工作業を主としており、生産実績がないため記載を省略しております。
3.美術工芸事業については、記載を省略しております。
b.受注実績
非鉄金属事業は受注生産と見込生産を併用しており、両者を明確に区別することが困難であること、また、非鉄金属相場等の市況は日々変動し期末日時点における受注高及び受注残高を合理的に算定することが困難であることから、記載を省略しております。
また、美術工芸事業については、受注生産と見込生産の明確な区分が困難であることから、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
前年同期比(%) |
非鉄金属事業(千円) |
81,533,599 |
96.8 |
美術工芸事業(千円) |
536,544 |
135.6 |
合計(千円) |
82,070,144 |
97.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年9月1日 至 2023年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年9月1日 至 2024年8月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ナカシマプロペラ株式会社 |
- |
- |
8,278,551 |
10.1 |
住友金属鉱山株式会社 |
17,303,679 |
20.5 |
8,227,739 |
10.0 |
3.前連結会計年度においてナカシマプロペラ株式会社は、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は820億70百万円(前年度比2.9%減)、売上総利益31億20百万円(同49.3%増)、売上総利益率3.8%(同1.3ポイント増加)と、売上高は前年を下回ったものの、利益面では大きく前年を上回りました。また、販売費及び一般管理費は前年度比7.2%増となりましたが、営業利益14億50百万円(同172.1%増)、経常利益10億37百万円(同355.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5億32百万円(同212.7%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、インゴット売上高は278億58百万円(前連結会計年度比2百万円増)、リサイクル原料売上高は535億63百万円(同4.7%減)、美術工芸事業売上高は5億36百万円(前連結会計年度比35.6%増)、その他売上高は1億12百万円(同5.7%増)となり、売上高合計では820億70百万円(前連結会計年度比2.9%減)となりました。
主な変動要因は、次のとおりであります。
非鉄金属事業では、インゴット売上高につきましては、給水設備関連は受注環境の悪化から販売数量は減少したものの、造船関連では受注環境の改善から販売数量は増加し、また販売価格上昇の影響により全体では前年度比2百万円の増収となりました。一方、リサイクル原料売上高につきましては、製錬会社向け故銅は横ばいにて推移したものの、上物は銅管関連などの受注環境が悪化したことから、前年度比4.7%の減収となりました。
一方、美術工芸事業では、新型コロナウイルス感染症の位置づけも変更となり工芸品の需要が回復して、当連結会計年度の売上高は前年度比35.6%の増収となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、非鉄金属事業では、銅相場は期初より第3四半期まで上昇傾向が続いたため利鞘が拡大し増益となり、美術工芸事業では、利益率が改善したため増益となりました。この結果、前年度比49.3%増の31億20百万円となりました。また、売上総利益率も3.8%と前年度比1.3ポイント増加となりました。
(営業利益)
売上総利益の大幅増加に比較し販売費及び一般管理費が16億70百万円(前年度比7.2%増)と増加額が抑えられたことにより、営業利益は14億50百万円(同172.1%増)となりました。
(営業外収益及び費用)
営業外収益は、受取配当金9百万円、有価証券利息8百万円等により25百万円(前年度比50.8%減)となりました。
一方、営業外費用は、持分法による投資損失2億81百万円、支払利息95百万円(前年度比25.0%減)、為替差損59百万円(同65.9%減)等により4億38百万円(同22.8%増)となりました。
(経常利益)
営業利益に営業外収益及び費用を加減し、10億37百万円の経常利益(前年度比355.9%増)となりました。
(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)
課税所得の増加により、法人税、住民税及び事業税は4億41百万円(前年度比364.8%増)、法人税等調整額は△28百万円(前年度は△5百万円)となり、税金費用は4億12百万円(前年度比359.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億32百万円(前年度比212.7%増)となりました。
目標とする経営指標について
当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、自己資本比率、自己資本利益率、有利子負債比率を重要な経営指標としております。
今期の実績は、下表の通りとなりました。
経営指標 |
前連結会計年度 (2023年8月31日) |
当連結会計年度 (2024年8月31日) |
前年同期比 |
自己資本比率 |
36.3% |
35.6% |
△0.7% |
自己資本利益率 |
1.9% |
5.6% |
3.7% |
有利子負債比率 |
139.4% |
134.9% |
△4.6% |
②経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等」に記載のとおり、当社グループの取扱い品目が、日々の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けるため、これら二つの市場の相場変動により大きな影響を受ける可能性があります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)及び長期借入金による調達を基本とし、不足が生じる場合には調達コストも考慮し、短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には、長期借入金による調達で賄っております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。
長期資金の調達に際しては、金利動向を注視し、株式の発行に関しては、資本政策に基づき、株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。
資金の流動性については、利益の確保に加え、棚卸資産管理及び売掛債権の管理を行うことにより、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的確保に努めております。
④財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は234億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億65百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、棚卸資産が14億11百万円減少した一方で、売上債権が18億39百万円、前渡金が4億1百万円、未収消費税等が4億81百万円増加したことによるものであります。固定資産は31億90百万円となり、前連結会計年度末に比べ21百万円減少いたしました。その主な要因といたしましては、投資有価証券が1億72百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は266億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億44百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は149億円となり、前連結会計年度末に比べ11億27百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、仕入債務が7億15百万円、未払法人税等が4億4百万円増加したことによるものであります。固定負債は22億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ30百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、長期借入金が37百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は171億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億58百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は94億82百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億85百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、利益剰余金が2億50百万円、その他有価証券評価差額金が81百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は35.6%(前連結会計年度末は36.3%)となりました。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により獲得した資金8億27百万円を投資活動による資金として2億6百万円、財務活動による資金として1億72百万円使用した結果、前連結会計年度末に比べ4億71百万円増加し、当連結会計年度末の資金残高は15億33百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの増減要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに連結会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループは、特に以下の重要な会計方針に関して、使用される当社グループの重要な判断、見積りが当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産の評価減)
当社グループは、棚卸資産の市場需要に基づく将来の消費見込み又は販売見込み並びに市場状況に基づく時価の見積額を測定し、棚卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。具体的には製品及び原材料等の評価は非鉄金属相場等で変動する直近月の平均販売単価や平均再調達単価等を時価とした評価を実施しており、実際の市場における将来需要又は時価が当社グループの見積りより悪化した場合、期末に計上した評価減を超える損失が発生する可能性があります。