E20616 Japan GAAP
前期
505.0億 円
前期比
72.4%
株価
1,562 (04/24)
発行済株式数
42,352,485
EPS(実績)
164.69 円
PER(実績)
9.48 倍
前期
381.5万 円
前期比
110.4%
平均年齢(勤続年数)
37.3歳(5.0年)
従業員数
852人(連結:873人)
当社グループは、当社及び連結子会社17社により構成されており、遊休不動産を活用して付加価値を加え、総合的な空間サービスを提供することでその価値を再生する空間再生流通事業を主軸に展開しております。
当社グループ事業の特徴としては、以下の点があげられます。
①業界トップの全国ネットワークとサービス力
全国237施設の圧倒的な拠点ネットワークと認知度による集客力、フレキシブルオフィスの豊富な管理運営実績を活かし、単にスペースを転貸するだけでなく、スペースの利用に付随する料飲、備品レンタル、宿泊施設、移動手配、イベントの制作・運営サポート等の様々なサービスを利用顧客に応じてワンストップで提供し、収益機会の拡大に取り組んでいる点
②不動産開発の知見
遊休資産(不採算資産、不稼働時間が多い不動産)を保有する不動産オーナーを、フレキシブルオフィスの主な仕入ターゲットとすることで、不動産の調達単価を引き下げ、比較的安価で顧客へのサービス提供を実現している点
フレキシブルオフィスの具体的な用途としては、会議、セミナー、講演会、研修、人材採用、試験会場、懇親会、展示会、レンタルオフィス等多岐にわたっております。現在、テレワークの浸透による企業内のオフィス縮小化や分散化が勢いを増しており、当社グループが運営するフレキシブルオフィスに対する需要は今後も拡大するものと予想されます。また、フレキシブルオフィスの利用顧客は業種や規模を問わず多種多様であり、利用の多くをリピーターが占めている点も当社グループの強みであります。
なお、当社グループの事業は空間再生流通事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。
当社グループが提供する空間再生流通事業は、フレキシブルオフィス、ホテル・宿泊研修、料飲・バンケット、イベントプロデュース、BPOと5つの領域から構成されており、各事業の詳細は以下のとおりです。
(1)フレキシブルオフィス
当社グループは、時間貸しの貸会議室・宴会場の管理・運営を行っております。
当社グループの管理運営する施設は、国内では東京・札幌・仙台・千葉・横浜・名古屋・大阪・広島・福岡等の大都市圏を中心に、全国に圧倒的な拠点ネットワークを展開しています。
当社グループは、不動産の仕入を行うにあたり、物件オーナーとの契約形態として、通常の固定賃料による賃貸借契約・定期賃貸借契約の他、運営受託契約として変動賃料による契約など、賃料水準等の状況に応じてリスクの低減を図りつつも、オーナー側にもメリットが生まれるような賃借条件を提案しております。
契約形態別の収益性については、運営受託契約による施設は、施設における売上高の一定割合をオーナーに支払うこととなるため、稼働率に関わらず利益率はほぼ一定となり、売上高が低迷した場合でも損失を抑制することが可能です。一方で、通常の固定賃料を支払う契約による施設は、施設の稼働率に関わらず、定額の賃借料が継続的に発生するリスクがある反面、売上高が損益分岐点を大きく超えた場合には収益性が高くなるという特徴があります。
このような中、当社グループは以下のとおりマルチブランド展開をすることで、様々な利用顧客のニーズに応えております。
※画像省略しています。
(2)ホテル・宿泊研修
貸会議室・宴会場を利用する顧客からのニーズに応える派生サービスとして、ビジネスホテルやリゾートホテル、企業の宿泊研修に特化した施設等、多様な形態の宿泊施設を提供しております。具体的には、アパホテルのフランチャイズとして展開する、会議室設備を併設した新スタイルのビジネスホテル「TKPアパホテル」、企業の保養所をリノベーションし宿泊研修に特化させた「レクトーレ」、既存の施設をリノベーション・アップグレードし、全室温泉完備で会議室も併設する「石のや」等の運営を行っております。各物件については宿泊施設の規模、経済合理性を勘案し、賃借、当社所有、当社連結子会社である特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)による所有を行っております。
(3)料飲・バンケット
当社グループの料飲施設を活用し、会議室用の弁当・ケータリングサービス、当該サービスをもとにした懇親会・パーティー等のプランニングを行っております。また、レストラン・カフェの運営や配ぜんスタッフの派遣・紹介等のサービスを行っております。
(4)イベントプロデュース
会議室の利用に加え、企業の大型イベント、セミナーや展示会等において、マーケティングプロデュースサービスとともに、クラウド型イベント管理システムを提供し、企業のイベント運営の総合的支援を行っております。
また、医療業界に特化した学会運営に関するコンサルティングや運営サポート、イベント機材のレンタルサービスなども行っております。
(5)BPO
コールセンター運営を行うテレマーケティングサービスのほか、採用代行サービスやイベントの事務局代行サービス等の提供を行っております。
これらの事業領域を組み合わせることにより、当社グループは以下の効果を狙っております。
・備品や機材レンタル等のオプションサービスや料飲・バンケットサービス等、フレキシブルオフィス利用における周辺サービスのニーズを商品化し、顧客単価を向上させる
・ホテル・宿泊研修サービスにより宿泊を伴う企業イベント案件を獲得することで、それぞれの施設への送客と長時間利用を促進するとともに、顧客にとっての利便性を向上させる
・イベントプロデュースやBPO等のサービスにより、会議室利用における法人顧客の外注ニーズを捉える
(ビジネスモデル概念図)※画像省略しています。
[事業系統図]
当社グループの事業の系統図は、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、諸外国における金融政策の転換を背景とした急速な為替相場の変動やロシア・ウクライナ問題の長期化による世界的な資源価格の高騰等、将来的な見通しが不透明な状態が継続しております。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ、社会経済活動の正常化が大きく進んでいることから、当社グループを取り巻く事業環境は改善傾向にあります。
こうした状況のもと、当社グループの主力である貸会議室事業は、会議やセミナー、研修等を対面で実施する需要がコロナ禍から大きく回復したことを受け、売上高の回復基調が通年で継続いたしました。飲食を伴う懇親会の受注水準はコロナ禍以前に比べ未だ低位ではあるものの、前期と比較し着実に改善しております。
ホテル・宿泊研修事業につきましては、移動を伴う旅行や出張等のビジネス利用が堅調に推移したことで、当社リゾートホテル・ビジネスホテル等の宿泊サービス売上高は過去最高を更新いたしました。また、今後の更なる収益拡大を見越し、当連結会計年度において、当社初の独自ビジネスホテルブランドである「TKPサンライフホテル」を出店いたしました。
以上の取組みの結果、当連結会計年度における売上高は50,504百万円(前期比13.0%増)、EBITDA(注)は8,748百万円(前期比88.9%増)、営業利益は3,575百万円(前期は営業損失883百万円)、経常利益は3,062百万円(前期は経常損失1,585百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は4,936百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失3,211百万円)となりました。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおり、より効率的な収益構造の構築を目的に、貸会議室事業と比較しCAPEX負担が大きいビジネスモデルであるリージャス事業の売却を実施いたしました。売却に伴う特別損失の発生やその損失に伴う税効果の期ずれから、当連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失を計上するも、今後はその売却資金を活用し、需要回復の本格化を見据えた新規出店の積極推進を含む事業の強化や「再生」をテーマとした新規事業に経営資源を集中投下する方針です。
(注)営業利益又は営業損失に減価償却費、のれん償却費、長期前払費用償却費及び顧客関連資産等の無形資産償 却費を加算してEBITDAを算出しております。
② 連結業績 (単位:百万円)
|
2022年2月期 |
2023年2月期 |
前期比 |
売上高 |
44,685 |
50,504 |
+13.0% |
EBITDA |
4,630 |
8,748 |
+88.9% |
営業利益又は営業損失(△) |
△883 |
3,575 |
- |
経常利益又は経常損失(△) |
△1,585 |
3,062 |
- |
親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△3,211 |
△4,936 |
- |
③財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ15,498百万円増加し、38,301百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加18,729百万円等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ54,688百万円減少し、33,788百万円となりました。主な要因は、のれんの減少34,726百万円、建物及び構築物の減少8,372百万円等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ7,688百万円減少し、12,467百万円となりました。主な要因は、その他の減少6,139百万円等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ24,624百万円減少し、26,753百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少18,521百万円等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ6,878百万円減少し、32,868百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の減少4,936百万円、非支配株主持分の減少1,854百万円等によるものであります。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ18,729百万円増加し、32,661百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、4,849百万円(前期は2,892百万円の支出)となりました。主な要因は、非資金項目調整8,177百万円があった一方で、税金等調整前当期純損失が2,877百万円、事業整理損の支払額2,957百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、36,963百万円(前期比2907.9%増)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出1,311百万円があった一方で、長期貸付金の回収による収入3,116百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入34,727百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、23,162百万円(前期は292百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入1,300百万円があった一方で、長期借入金の返済及び社債の償還による支出21,887百万円、非支配株主への払戻による支出1,800百万円等があったことによるものであります。
(参考)
※画像省略しています。
⑤生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は空間再生流通事業の単一セグメントですが、連結グループにおける売上高のうち大部分をTKP貸会議室・宿泊事業が占めるため、サービス別売上高を記載いたします。
(注)TKP貸会議室・宿泊事業は、TKP単体と、TKP宿泊事業における不動産を所有する特別目的会社 (TKPSPV-1号~TKPSPV-4号・TKPSPV-6号)の合計を示しております。
a.生産実績
当社グループは生産実績が僅少であるため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
TKP貸会議室・宿泊事業のサービス別売上高は以下のとおり推移しております。
1)TKP サービス別売上高四半期推移
※画像省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。
当社グループが採用している重要な会計方針及び重要な見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載のとおりであります。
2)経営成績
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
3)キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4)資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
空間再生流通事業を推進するにあたって、オフィスビル等の不動産に関しては賃貸借契約を締結し、土地・建物を直接保有しないことで設備投資を抑制する運営を行っております。
(財務政策)
貸会議室・宿泊施設に適した不動産を適時、機動的に取得するため、手許流動性を比較的厚めに保っております。これらの資金は、主に金融機関からの借入により調達しております。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、金利スワップ等の手法を活用しております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、空間再生流通事業の単一セグメントですが、参考のためTKP及び2023年2月1日に事業売却を実施いたしました日本リージャス社の詳細を掲載します。
1)TKP
(単位:百万円)
|
2022年2月期 |
2023年2月期 |
前期比 |
売上高 |
24,892 |
29,934 |
+20.3% |
売上総利益 |
8,310 |
12,030 |
+44.8% |
販売費及び一般管理費 |
7,405 |
7,316 |
△1.2% |
EBITDA |
2,273 |
5,995 |
+163.7% |
営業利益 |
905 |
4,714 |
+420.6% |
TKPは、2023年2月期に4施設の出店を行った一方、賃借物件の契約期間満了やコロナ禍で不採算となった施設の撤退に伴い5施設を退店し、2023年2月末時点で237施設を運営しております。
2023年2月期において、新型コロナウイルスの影響は継続したものの、社会経済活動の正常化が大きく進み、対面イベントにおける開催制限が緩和される傾向にあったことから、会議やセミナー、研修等、貸会議室の需要はコロナ禍以前の水準に向け堅調に回復しました。これまで実施が控えられてきた飲食を伴う懇親会については、大規模での実施は引き続き控えられる傾向にあったものの、徐々に回復し、当連結会計年度における料飲の売上高は前期と比較し2倍以上となりました。また、足許におきましても、問い合わせや受注が堅調に推移しております。
また、ホテル・宿泊研修事業については、全国旅行支援や入国制限の緩和による旅行需要やビジネス宿泊需要の回復を受けて稼働率・単価が上昇する等、好調に推移いたしました。また、当社がフランチャイジーとして運営するアパホテルは、10棟の運営ホテルの内5棟を通年で新型コロナウイルス感染者用宿泊療養施設/感染対策用施設として貸し出すことで、安定した収益を確保いたしました。なお、当5棟は、貸し出しが解除され次第、4月より順次、通常運営に戻る見込みです。
以上の結果、TKPの当連結会計年度における売上高は29,934百万円(前期比20.3%増)、EBITDAは5,995百万円(前期比163.7%増)、営業利益は4,714百万円(前期比420.6%増)と、前期と比較し増収増益となりました。
さらに、当第4四半期における貸会議室事業のKPI(重要業績評価指標)である坪あたり売上高についても、貸会議室需要の回復を要因に、前年同四半期と比較して2,189円上昇いたしました。
会議室面積1坪あたり売上高の推移 (単位:円)
|
第1四半期平均 |
第2四半期平均 |
第3四半期平均 |
第4四半期平均 |
2022年2月期(A) |
22,825 |
29,687 |
24,141 |
26,838 |
2023年2月期(B) |
31,780 |
27,168 |
28,658 |
29,027 |
(B)-(A) |
+8,955 |
△2,519 |
+4,517 |
+2,189 |
(注)売上高は会議室料と利用に付随するオプション・ケータリング料の合計
2)日本リージャス社
日本リージャスは2023年2月1日に実行した同社全株式の譲渡に伴い、2023年2月期通期業績のうち2023年2月を除く11ヵ月分を計上しております。
(単位:百万円)
|
2022年2月期 |
2023年2月期 (11ヵ月分) |
売上高 |
17,569 |
17,613 |
売上総利益 |
3,668 |
3,474 |
販売費及び一般管理費(注)1 |
2,697 |
2,598 |
EBITDA |
1,724 |
1,606 |
営業利益(注)1 |
971 |
875 |
調整後EBITDA(注)2 |
2,480 |
3,011 |
調整後営業利益(注)2 |
1,727 |
2,281 |
顧客関連資産償却費及びのれん償却費 |
2,247 |
2,018 |
(注)1.販売費及び一般管理費と営業利益は、日本リージャス買収に伴う顧客関連資産償却費及びのれん償却費控除前の数値です。
2.前期の期中において、フランチャイズ費用の増加が発生しているため、前期と今期を同じ条件でお示しする目的で、フランチャイズ費用計上前の数値を調整後EBITDA及び調整後営業利益として出しております。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。