E33574 Japan GAAP
前期
510.6億 円
前期比
123.0%
株価
1,430 (04/26)
発行済株式数
10,086,900
EPS(実績)
166.16 円
PER(実績)
8.61 倍
前期
480.8万 円
前期比
102.2%
平均年齢(勤続年数)
43.3歳(9.2年)
従業員数
132人(連結:17,729人)
当社グループは、株式会社マツオカコーポレーション(当社)、連結子会社23社の他、持分法適用関連会社5社で構成されており、アパレル製品の企画、製造及び物流等を主な内容とした事業活動を行っております。
なお、当社グループはアパレルOEM事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連付けた記載はしておりません。
(1)アパレルOEM事業の特徴
アパレルOEM(Original Equipment Manufacturer)とは、アパレルメーカー、商社及び量販店からの発注を受け、相手先(委託者)のブランドで衣料品を製造する事業形態のことを言います。
アパレル産業は、基本的には工程ごとに分業されております。主にアパレルメーカーが企画及びデザイン、繊維・生地メーカーが繊維製造、アパレルOEMメーカーが完成衣料品製造、アパレル専門小売店が小売りを担っております。衣料品の製造とは、アパレルメーカーのデザイン及びパターン設計に従って裁断及び縫製を施すことを指します。物流などの流通機能は、発注から物流までを取り纏める繊維商社の他、大手アパレルメーカー及び小売店が自社独自の物流システムで行う場合もあります。
近年はアパレル産業におけるバリューチェーン(顧客に価値が届けられるまでに企業間で付加される価値のつながり)の統合が目立っており、株式会社ファーストリテイリング(主要ブランド:ユニクロ、本社所在地:日本)、Inditex(主要ブランド:ZARA、本社所在地:スペイン)、H&M Hennes & Mauritz AB(主要ブランド:H&M、本社所在地:スウェーデン)及びGap Inc.(主要ブランド:GAP、本社所在地:アメリカ)等企画及びデザインを手掛けるSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel:製造小売業)が台頭しております。しかし、これらの企業も一部を除き縫製等の製造工程はアパレルOEMメーカーに委託する構造にあり、アパレル産業において当社グループのようなアパレルOEMを担う企業の役割は拡大しております。
出典:UZABASE作成、当社修正
なお、当社グループは、アパレルОEM企業として、縫製加工を中心に、商品企画、素材生産及び物流に至るまでの衣料品生産に係る各工程への対応が可能であることが特徴であります。
(2)当社グループとSPAの関連性
当社グループが属するアパレル業界においては、商品企画から製造販売まで一貫して自社で行うSPAが主流となってきており、SPAの成功要因は主に「開発力」、「仕入力」、「販売力」及び「ブランド力」の四点と考えられております。
当社グループは、この内、SPA企業における「開発力」及び「仕入力」に関係しております。
「開発力」において、SPA企業は消費者ニーズを素早く反映した競争力のある商品企画を求めており、当社グループは生地開発力及びデザイン開発力によりSPA企業の「開発力」に貢献しております。
「仕入力」について、SPA企業自らが自社工場を有している場合は少なく、外部委託にて生産を行っているため、生産企業との協調体制が必要となっております。当社グループは、中国、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム及びインドネシアと複数の海外生産拠点を確立することによりSPA企業との協調体制を構築し、大量受注の獲得を実現しております。
(3)当社グループの事業領域
① 商品企画
SPA及びアパレルメーカー等の顧客のニーズに対して、当社グループの商品企画力や縫製技術を活かしたサンプル品の提案を行い、顧客からの受注に繋げます。
生産を行う工場は、納期、縫製難易度及び生産能力等に応じて決定いたします。
② 生地調達・生産
縫製加工に必要な生地を外部から調達します。
なお、インナーウェアについては、原糸を外部から調達し、東レグループとの合弁子会社TM Textiles & Garments Ltd.(バングラデシュ)にて生地生産を行っております。
③ 縫製加工
縫製加工については、中国、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナム及びインドネシアにて行っており、検反、裁断、縫製、洗い及び仕上げの工程を経て最終製品を生産しております。
また、自社工場の生産能力を超える受注を受けた場合は、品質管理が十分可能な外注工場を利用することがあります。
④ 販売
各工場にて、縫製加工品の梱包後、最適物流手段、最適ルート及び最適スピードにより、顧客に販売を行います。
(4)当社グループの事業内容と関係会社の位置付け
当社グループの事業内容と関係会社の位置付けは、次のとおりであります。
(当社グループの事業内容と取扱品目の関係)
① カジュアルウェア及びワーキングウェア
カジュアルウェアは、市場の流行やトレンドを取り入れた商品企画が行われることに特徴があります。最終顧客は市場のトレンドを重視するために、1年間の商品企画を2シーズン(春夏と秋冬)から4シーズン(春、夏、秋、冬)に分けております。
流行やトレンドを重視するアパレルメーカー及びSPAは、リードタイム(受注から納品までの期間)の短縮を求めております。また、最終顧客のコスト戦略に合わせて、当社グループの展開する国の特徴やリスクについてアパレルメーカー及びSPAへ説明を行い、適地での生産を行っております。
各国に最新の機械設備を導入すると同時に人材育成にも力を入れることで、進出先のいずれの発展途上国で生産しても品質を維持できることは当社の強みであります。
ワーキングウェアは、一般的に職場内での作業を行う際に着用される衣類の総称を言います。カジュアルウェアとは違い、市場の流行やトレンドよりも、素材の機能性や作業の利便性を重視した商品企画が行われます。デザイン変更は頻繁にはしないことが特徴ですが、ワーキングウェアは、オリンピック等の市場の特需や企業別の発注があります。いずれも安定したサプライチェーンに対応できる生産背景が求められております。
② インナーウェア
インナーウェアにおきましては、編み工程と、染色工程、縫製工程を一貫して行っており、機能性肌着の生産に特化しております。合弁相手の技術力を生かした素材開発も行っており、特に、生地の風合や吸湿発熱及び吸汗速乾といった機能素材を用いた製品の生地開発にも力を入れております。
従来、進出先のバングラデシュでは編み工程と染色工程を担う工場と、縫製工程を担う工場との分業が一般的でありますが、当社では3工程を一貫して管理することで、中国等競合となる他国と同等の品質コントロールを実現しております。
③ 生地加工
生地加工におきましては、生地開発と特殊加工に特化し、フィルムラミネーション(生地にフィルムを張り合わせる加工)やコーティング(生地の表面効果加工)、生地への撥水加工を行っております。フィルムラミネーションやコーティングは、加工専用の機械で表生地の表面もしくは裏面の加工に使用するフィルムや薬品と生地を張り合わせ、本来、生地にはない新たな機能性を追加することで生地そのものの付加価値を高めています。これらの加工を施した製品は、雨着やマウンテンパーカーに加え、高機能スポーツウェアやカジュアルウェアの新しい素材として需要が急速に拡大してきており、また、各種素材分野への汎用性もあることから介護・医療福祉等市場規模の更なる拡大が見込まれております。
(事業系統図)
(注) 1.二重線で囲んだ会社は連結子会社であります。
2.上記以外に連結子会社6社があります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の概要
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進むなか、ウクライナ問題や資源・エネルギー価格の高騰が長期化し、インフレ抑制のための金利引き上げの影響等により景気の減速懸念が強まりました。
わが国経済においては、感染予防対策の緩和により、経済活動が正常化に向かいましたが、日米金利差を背景とした不安定な為替相場や資源・エネルギー価格上昇による物価高の影響が個人消費や企業活動に見られ、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いています。
このような状況のなか、受注においては、コロナ禍が長期化する一方で、世界的にもウィズコロナの局面に入り、行動制限の緩和等からアパレル製品の需要は回復傾向にあります。中国のロックダウンやウクライナ問題等グローバルな地政学的リスクから、顧客が生産地を見直し、多元化を検討する動きがあるなかで、当社グループのもつ幅広い生産拠点と生産体制が顧客ニーズの受け皿となり、受注は堅調に推移いたしました。
生産においては、工場新設に伴う先行経費や急激な円安進行による生産コストの上昇等が利益を押し下げる要因として影響しましたが、世界的な物流混乱や、素材・副資材の着荷遅延も徐々に解消され、既存の生産拠点における稼働率は総じて好調を維持しました。
当社グループが展開する国ごとの生産状況は以下のとおりであります。
(中国)
ゼロコロナ政策によるロックダウンとその解除による感染再拡大で混乱が生じ、受注および販売面で伸び悩みましたが、生地加工の事業においては、安定した稼働率が顧客ニーズに合致し、好調に推移しました。また、かねてより進めているASEAN諸国等への生産地シフトの一環として、縫製工場を1か所閉鎖しましたが、当該工場で生産していたものは他国の生産拠点へ適宜移管し、最適地での生産体制を整備しました。
(バングラデシュ)
ISHWARDI MATSUOKA BANGLADESH.LTD.第1期工場では生産ラインを増やし生産能力が伸長したほか、同第2期工場が完成し、バングラデシュにおける生産能力拡大の体制が整いました。今後は、受注状況に合わせて工員を増員し機械設備も拡充する計画ですが、本格的な稼働開始は2024年3月期以降になる見込みです。
(ベトナム)
2022年1月に生産開始したAN NAM MATSUOKA GARMENT CO.,LTD第2期工場での生産が軌道に乗り、ベトナムにおける生産基盤の強化に寄与しました。新型コロナウイルスの影響も限定的となったことで稼働率が安定し、中国からの生産移管先として生産量が伸長しました。
(ミャンマー)
新型コロナウイルス感染拡大やクーデターによる政情不安の影響で減少していた従業員数もコロナ前の水準に近づき、稼働率の安定とともに生産量も復調しました。継続して工場独自で新規顧客開拓にも取り組み、新たな受注獲得の成果も見え始めました。
(インドネシア)
PT. MATSUOKA INDUSTRIES INDONESIAにおいては、継続して品質や生産性の向上に取り組んだ結果、生産能力が伸長し、生産量や売上高の増加に貢献しました。引き続き収益改善の途上ではありますが、生産コスト低減や生産管理精度向上に対する取り組みが実を結びつつあります。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は627億78百万円(前期比23.0%増)、営業利益は67百万円(同62.8%減)となりました。また、経常利益は為替差益等の計上により32億2百万円(同208.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は16億76百万円(同199.8%増)となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べて74億16百万円増加し、592億95百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べて45億55百万円増加し、269億90百万円となり、純資産は前連結会計年度末に比べて28億60百万円増加し、323億5百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フロー5億6百万円の支出、投資活動によるキャッシュ・フロー61億97百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フロー49億9百万円の獲得となった結果、前連結会計年度末に比べて7億25百万円減少し、144億80百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは5億6百万円の支出(前期は8億21百万円の獲得)となりました。主な要因としては、税金等調整前当期純利益の計上29億2百万円、減価償却費の計上18億46百万円等があったものの、仕入債務の減少20億33百万円、棚卸資産の増加12億4百万円、売上債権の増加11億86百万円、法人税等の支払額6億41百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは61億97百万円の支出(前期は28億11百万円の支出)となりました。主な要因としては、有形固定資産の取得による支出61億32百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは49億9百万円の獲得(前期は31億49百万円の獲得)となりました。主な要因としては、長期借入金の返済による減少10億75百万円、配当金の支払による減少3億92百万円等があったものの、長期借入れによる収入24億35百万円、短期借入金の純増額23億73百万円、社債の発行による収入14億75百万円等があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当社グループは、アパレルOEM事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
生産国別の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症対策と経済活動の両立が進むなか、ウィズコロナの局面に移行しつつあり、行動制限の緩和等からアパレル製品の需要は回復傾向にありました。ウクライナ問題等の地政学的リスクに対し、当社グループの幅広い生産拠点と生産体制が顧客ニーズの受け皿となり、受注は堅調に推移いたしました。
売上高につきましては、生産能力の増強など各生産拠点での生産量が増加し、また新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和等の影響により、前連結会計年度に比べて117億22百万円増加の627億78百万円(前期比23.0%増)となりました。中期経営計画「ビジョン2025」では、当連結会計年度の売上高は560億円を計画しておりましたが、計画比12.1%増と計画達成しております。
生産国別の売上高では、中国からASEAN諸国等への生産地シフトを実施しておりますが、バングラデシュ・ベトナムをはじめ各生産拠点の生産は堅調に推移し、売上高が増加しました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、堅調な受注増加に伴い増加するとともに、円安による工場コスト増加等により、前連結会計年度に比べて107億2百万円増加の569億87百万円(同23.1%増)となりました。
売上総利益率は、売上原価の増加の他、円安による工場コスト増加の影響により、前連結会計年度9.3%から当連結会計年度では9.2%へと0.1ポイント低下しました。この結果、売上総利益は57億91百万円(同21.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、売上高増加による影響とともに、円安による工場コスト増加等により、前連結会計年度に比べて11億33百万円増加の57億23百万円(同24.7%増)となりました。この結果、営業利益は67百万円(同62.8%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、為替レートがドル高現地通貨安に推移したことにより為替差益28億48百万円を計上し、前連結会計年度に比べて24億19百万円増加の34億24百万円となりました。連結会計年度の営業外費用は、借入金の増加に伴う支払利息の増加等により前連結会計年度に比べて1億40百万円増加の2億89百万円となりました。この結果、経常利益は32億2百万円(同208.6%増)となりました。中期経営計画「ビジョン2025」では、当連結会計年度の経常利益は12億円を計画しておりましたが、計画比166.9%増と計画達成しております。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度にありました中国での土地使用権及び建物売却に伴う固定資産売却益1億1百万円の計上が剥落したことにより、前連結会計年度に比べて90百万円減少しております。当連結会計年度の特別損失は、嘉興茉織華華為制衣有限公司の華為工場閉鎖に係る特別退職金の発生等があり、前連結会計年度に比べて3億11百万円増加しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は16億76百万円(同199.8%増)となりました。
b.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて74億16百万円増加し、592億95百万円となりました。主な要因としては、有形固定資産の増加47億44百万円、棚卸資産の増加17億11百万円、受取手形、電子記録債権及び売掛金の増加13億35百万円等があったことによるものです。
棚卸資産の増減については、商品及び製品の納期に連動しております。仕掛品や原材料及び貯蔵品の期末金額は毎年変動いたします。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて45億55百万円増加し、269億90百万円となりました。主な要因としては、支払手形及び買掛金、電子記録債権の減少10億49百万円等があったものの、短期借入金の増加24億15百万円、転換社債型新株予約権付社債の増加15億円、長期借入金の増加13億59百万円等があったことによるものです。
長期借入金及び転換社債型新株予約権付社債の増加については、主に子会社への投資を行うために金融機関より調達をしたものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて28億60百万円増加し、323億5百万円となりました。主な要因としては、配当金の支払3億92百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加16億76百万円、為替換算調整勘定の増加11億52百万円等があったことによるものです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
内容につきましては本書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資本需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度末において借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は148億43百万円、現金及び現金同等物の残高は144億80百万円となっております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業活動に支障が生じるような資金繰りの悪化は発生しておりません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として会社別にグルーピングを行い、収益性が低下した資産グループについて、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。
収益性の低下の評価において用いる将来キャッシュ・フローについては、各社及び各工場の事業計画等に基づき見積っていますが、経営環境の変化等により当初見込んでいた利益が得られなかった場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
コロナ禍により生産地における「つくり場」が減少したことや、国際物流の混乱から、生産地の見直しや代替え地での生産を検討する顧客が増えております。ものづくりが困難な時期だからこそ、顧客の求めるタイミングで良質な製品をお届けできる生産体制の整備が最重要な課題であるとの認識のもと、当社グループでは中期経営計画「ビジョン2025」に基づき、2022年3月期、2023年3月期の2年間で大型設備投資を行い、ベトナム・バングラデシュにおいて新しい生産拠点の建設を推進いたしました。これにより両国における生産能力の拡大とともに、当社グループがかねてより注力してきた、中国からASEAN諸国等への生産シフトがさらに進行し、中期経営計画達成に向けて前進することを目指しております。
今後は、アフターコロナへの移行に加え、インバウンド需要の急回復によってアパレル流通在庫の調整が進み、当社顧客からの発注が回復すると想定しております。その需要(顧客ニーズ)の回復をしっかりと受け止め、受注と収益につなげられるよう、新設したベトナムおよびバングラデシュの工場をしっかりと立ち上げ、フル稼働に向けた体制を整備してまいります。
また、当社グループの強みの一つであるグローバルな工場展開をベースに、国・拠点ごとの特性を活かし、アイテムやロット、納期等の顧客ニーズに最適な生産地を提案することにより営業力を強化し、同時に展示会等を通じて新規顧客へもその優位性を訴求してまいります。
素材開発を得意とするグループ子会社においては、これまでに培った生地加工技術や素材特性に関するノウハウを活かし、お客様の製品戦略に沿う潜在的なニーズを引き出し、それに見合った素材を積極的に提案あるいは開発することにより、新領域への製品展開を目指してまいります。