株式会社ディー・ディー・エス

上場廃止 (2023/08/04) 内部管理体制確認書の提出前で、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合 情報・通信業システムグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02104 Japan GAAP

売上高

9.44億 円

前期

9.16億 円

前期比

103.1%

時価総額

3.87億 円

株価

8 (08/03)

発行済株式数

48,360,814

EPS(実績)

0.00 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

669.9万 円

前期

667.9万 円

前期比

100.3%

平均年齢(勤続年数)

43.6歳(8.0年)

従業員数

59人


3【事業の内容】

 当社は、指紋認証機器(UBFシリーズ)の設計、開発、生産、販売を主たる事業としております。生産については、ファブレス企業であり、日本、台湾及び中国のEMS(Electric Manufacturing Service)に生産委託を行っており、当社は生産管理、品質管理を行っております。また、FIDO加盟企業からFIDO規格製品を仕入れ、当社が日本国内の最終得意先に販売しております。

 当社の状況を事業系統図に示すと次のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

 

 

 

24/03/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社の子会社であるDDS Korea,Inc.は2023年7月に全ての銀行口座の閉鎖が完了し、活動を休止しております。現時点において同社の清算は結了しておりませんが、同社の金額及び質的観点からの重要性は乏しいため連結対象から除外しました。また、当社は他に子会社が存在しないことから、当事業年度より連結決算から単体決算に移行いたしました。

①財政状態及び経営成績の状況

 当社の主力事業であるバイオ事業については、自治体をはじめとした官公庁において「自治体強靭性向上モデル」の買換え需要が今後も数年に亘って継続すること、ならびに医療を始めとする民間企業での採用の増加が見込まれること、及び、文教市場において GIGAスクールにおいて導入されたデバイスに対してだけでなく、職員向けの認証強化が求められていることから、市場環境は、拡大基調にあるものと認識しております。それらに対し数年来構築してきた代理店網を活用しさらに売上増加を推進して参ります。さらに、認証基盤ソリューション関連の従来当社が提供していなかった製品も取り揃え、認証プロダクト提供から認証ソリューション提供に拡大して参ります。具体的にはゼロトラストセキュリティ提案が出来る品揃えを考慮し、当社で提供していく製品と、製品連携により協業していく製品により、あらゆるお客様の要望に応えられるように行って参ります。

 以上のことから、公共・民間市場とも環境は拡大基調にあるものと認識しております。また、ゼロトラストセキュリティ関連のID管理を中心とした新しいソリューション販売も実績につながっており、既存ユーザーへの追加販売や、認証基盤ソリューションだけではアプローチ出来なかった顧客の新規開発につながっております。それらに対し数年来構築してきた代理店網を活用し売上増加を見込んでおります。さらに製品面では、EVEシリーズ及びThemisに自社 製顔認証「軽快顔認証プラグイン」の組み込み発売をいたしました。それにより、仕入コストの低減や、新規顧客開拓なども見込んでおります。クラウド認証サービス事業については、第2四半期にIDaaSのサービス発表をいたしました。FIDOで培った技術を活かし、同年7月のサービスインより営業活動を開始しました。具体的には下記のとおりです。

 

 ①IDaaS市場への参入

 EVECLOUDでIDaaS市場への展開を開始しております。

 従来のIDaaSと比較して、顔認証の利用に加えてFIDO2にも対応するなど生体認証の選択肢を増やし、Windows OSやChrome OSへのログオン認証機能の他、代行入力方式によるSSO機能も搭載しております。

 クラウドを多用しながら、OSへのログオンも利用したい、レガシーシステムでも利用したいといった顧客にマッチするサービスです。

 文教市場での引き合いも多く、経年変化が大きい子供顔への対応、なりすまし対策といった顔認証強化や、校務支援システム、学習支援システム等への連携を進めております。

 これまで当社がアプローチ出来なかったIDaaS市場に対し、従来のサービスには無く、お客様のニーズが高い機能を搭載しての市場参入になります。

 

 ②自社開発した顔認証

 AI技術をフル活用した自社製顔認証エンジンで、パソコンやスマートフォンでの利用を想定し、軽快に動作するよう開発しております。

 現在、クラウドサービスであるEVECLOUDの他、なりすまし対策を加えたエンジンを2024年1月からオンプレミスの認証基盤であるEVEMAへ搭載、Themisにも今春の搭載を予定しております。

 これにより、仕入コストの削減のみならず、フレキシブルなライセンス体系での提供、顧客向けのカスタマイズも可能になり、費用削減と売上増大を両立させて行きます。

 

 なお、海外事業につきましては、当社の連結子会社でありましたDDS Korea,Inc.が2023年7月に全ての銀行口座の閉鎖が完了し、活動を休止しております。現時点において同社の清算は結了しておりませんが、同社の金額及び質的観点からの重要性は乏しいため連結範囲から除外しました。また、当社は他に子会社が存在しないことから、当事業年度において連結財務諸表を作成しておりません。このため、前期比は前期個別財務諸表の業績と比較して算定しております。

 

(売上高)

 売上高は944,400千円(前事業年度比3.1%増)となりました。

 

(売上総利益)

 売上原価は、369,301千円(前事業年度比17.1%減)となり、売上総利益は575,099千円(前事業年度比22.2%増)となりました。

 

(営業利益)

 販売費及び一般管理費は、698,961千円(前事業年度比7.7%増)となり、営業損失は123,861千円(前事業年度は、営業損失178,014千円)となりました。

 

(経常利益)

 経常損失127,630千円(前事業年度は、経常損失179,359千円)となりました。

 

(当期純利益)

 当期純損失151,714千円(前事業年度は、当期純損失843,462千円)となりました。

 

(流動資産)

 流動資産は、前期末と比較して36,312千円増加し、1,655,758千円となりました。これは主に、現金及び預金が471,766千円増加、預け金が401,550千円減少したことによるものであります。

 

(固定資産)

 固定資産は、前期末と比較して205,984千円減少し、98,688千円となりました。これは主に、土地が売却により248,529千円減少、投資有価証券が52,703千円増加、関係会社貸付金が559,309千円減少、当該債権に係る貸倒引当金が559,309千円減少したことによるものであります。

 

(流動負債)

 流動負債は、前期末と比較して66,993千円減少し、467,156千円となりました。これは主に、買掛金が21,837千円増加、契約負債が47,041千円増加、未払消費税が43,575千円増加、課徴金引当金が205,730千円減少したことによるものであります。

 

(固定負債)

 固定負債は、前期末と比較して43,110千円増加し、349,350千円となりました。これは主に長期契約負債が41,250千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 純資産は、前期末と比較して145,788千円減少し、937,939千円となりました。これは主に利益剰余金が151,714千円減少したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当社の子会社であるDDS Korea,Inc.が2023年7月に全ての銀行口座の閉鎖が完了し、活動を休止しております。現時点において同社の清算は結了しておりませんが、同社の金額及び質的観点からの重要性は乏しいため連結対象から除外しました。また、当社は他に子会社が存在しないことから、2023年12月期第3四半期より連結決算から単体決算に移行いたしました。これに伴い、第29期より連結財務諸表を作成しておりませんので、第29期の連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,241,270千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 売上債権が増加したことによる支出32,324千円などがありましたが、税引前当期純損失149,787千円に含まれる不正関連損失48,588千円の支出等により、資金が減少し146,176千円の支出となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の売却による収入266,698千円、投資有価証券の取得による支出50,000千円などがあったため、216,392千円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 該当事項はありません。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前期比(%)

バイオメトリクス事業(千円)

307,690

92.3

合計(千円)

307,690

92.3

(注)1.当社は、バイオメトリクス事業の単一セグメントであります。

2.上記の金額は、製造原価によっております。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前期比(%)

バイオメトリクス事業(千円)

944,400

103.1

合計(千円)

944,400

103.1

(注)1.当社は、バイオメトリクス事業の単一セグメントであります。

2.当事業年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム株式会社

209,835

22.22

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 世界経済はインフレ傾向にあり、また国際情勢も一段と不安定化する中、不確実性が高まっています。 しかしながら我が国の経済は、景気回復の動きは維持されており、雇用情勢の改善・名目賃金の増加は続いています。企業の設備投資意欲も強く、インバウンド需要が増加に転じたことや、世界的な半導体需要が底打ちしていることなども、景気にとって追い風となっています。

 当社の主たる事業領域である情報セキュリティ業界においては、引き続きサイバー攻撃による情報漏えい事故やキャッシュレス決済の不正利用、不正送金問題が継続し、官公庁、企業サイドや個人を含めた社会全体で情報セキュリティ対策に対する関心は高まっています。多くの府省・業界団体などから認証強化を盛り込んだセキュリティガイドラインが示されており、その準拠が進み始めています。特に自動車工業会、自動車部品工業会がサイバーセキュリティガイドラインの改定版を公開し、サプライチェーン向けのセキュリティ実装に力を入れ始めました。他要素認証はその重要な機能に位置付けられ、2024年に向けて市場が活性化され始めました。総じて、社会全体で認証強化の流れが加速された年度でした。

 製品面において自社製顔認証エンジン「軽快顔認証」をEVECLOUDに搭載しリリースしました。今後、EVEMA、Themisにも搭載する予定です。これらにより、柔軟なライセンス制度での販売や、価格低減、利益率の向上が期待出来ます。また、ゼロトラストセキュリティをベースに製品展開を進め、ID管理ソリューション「LDAP Manager」に加えて、次世代マネージド・セキュリティ・プラットフォーム「LogStare」の取り扱いを開始しました。

 販売面においては、案件開拓力向上のため、製品連携やSIerのソリューションとして当社製品が採用されるよう他社との連携を推進しています。また、従来から行ってきた展示会出展やセミナーへの参加による販売促進活動においても、パートナー企業との共同出展や、パートナー企業に当社製品を出展いただくなどの活動を強化、継続しています。当期は9社より販売パートナーの申請をいただき、弊社販売パートナー制度に加盟いただきました。2016年にございました「自治体強靭性向上モデル」において導入された認証基盤の買換え需要は継続しており、加えて在宅勤務を可能とするセキュリティ実装、マイナンバー取扱事務以外の行政システムへのセキュリティ実装などの追加需要もあり、官公庁・自治体より引き続き安定したご発注をいただきました。各府省のセキュリティガイドラインに従う企業も増えてきており、医療、金融、公共性の高い企業などからも大規模案件を多数受注し概ね計画通りに推移しました。特に医療では、2027年に稼働する医療情報システムへの搭載が求められており、案件の増大がみられました。

 マガタマ・FIDO事業については、昨年に引き続きApple、Google、Microsoftが、FIDO標準のサポート拡大にコミットし、パスワードレス認証の普及が期待される状況に変化はありません。しかしながら、FIDOの普及に伴いオープンソース系の商品も市場に浸透してきており、提案価格の低下は避けられない状況になっております。

 また、当社は2023年8月に上場廃止となり、その影響への懸念があったものの運転資金面、人材流出面等への影響は受けておりません。よって、製品開発、サービス及びサポート提供などの事業継続性については疑問視されておらず、現状では業績に対する影響は若干の受注遅延に留まり、大きな売上減少にはつながっておりません。

 これらの結果、当事業年度の売上高は944,400千円(前期は916,409千円)となりました。損益面においては、販売費及び一般管理費は698,961千円であり前期比で50,220千円増となりました。これにより、営業損失123,861千円(前期は営業損失178,014千円)、経常損失127,630千円(前期は経常損失179,359千円)となりました。また、不正関連に係る調査費用や対策費用等発生額48,588千円を、特別損失に計上いたしました。これにより当期純損失151,714千円(前期は当期純損失843,462千円)となりました。

②キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 なお、当社の資本の財源及び資金の流動性について、資金需要のうち主なものは、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成にあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。特に以下の項目が財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

棚卸資産の評価

1.当事業年度の財務諸表に計上した金額

               (単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

製品

128,601

122,006

2.識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

 当社は、一定の保有期間を経過した製品や販売価額が帳簿価額を下回っている製品は、収益性が低下している棚卸資産として帳簿価額を一定額まで切り下げております。

 この評価にあたっては、滞留在庫と判断する保有期間の要件や販売価額の算定方法を策定することが必要です。これらは評価時点における情報セキュリティや認証強化に対する社会全体の関心や生体認証市場の動向に対する一定の仮定に基づき見積もっているため、不確実性を伴っております。

 そのため、実際の社会情勢や市場動向が仮定と大きく乖離した場合には、翌事業年度の棚卸資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。