株式会社ディー・ディー・エス

上場廃止 (2023/08/04) 内部管理体制確認書の提出前で、内部管理体制等について改善の見込みがなくなったと当取引所が認める場合 情報・通信業システムグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02104 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

当社の子会社であるDDS Korea,Inc.が2023年7月に全ての銀行口座の閉鎖が完了し、活動を休止しております。現時点において同社の清算は結了しておりませんが、同社の金額及び質的観点からの重要性は乏しいため連結対象から除外しました。また、当社は他に子会社が存在しないことから、当第3四半期より連結決算から単体決算に移行いたしました。

なお、当第3四半期累計期間より四半期財務諸表を作成しているため、前年同四半期との比較分析は行っておりません。

 

(1)経営成績に関する分析

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、財務省などが発表した「法人企業景気予想調査」で、7月から9月にかけての大企業景況感指数は、プラス5.8ポイントと2期連続のプラスになり、持ち直しを見せているものと思われます。

当社の主たる事業領域である情報セキュリティ業界においては、ネットバンクの不正送金やクレジットカードの不正利用などが拡大しており、サイバー攻撃の脅威や情報漏洩などの情報セキュリティ対策に対する関心は引き続き高まっております。また、サプライチェーンへのサイバー攻撃は、製造業において大きな懸念であることが顕著になってきました。

ゼロトラストセキュリティなど新しいセキュリティ実装では認証基盤は大きな要素となっており、パスワードにとってかわる、より安全かつより簡単な本人確認に対するニーズが拡大してきております。さらに、多くの府省・業界団体などから認証強化を盛り込んだセキュリティガイドラインへの遵守が必須となってきており社会全体で認証強化の流れは継続されております。

特に一般社団法人日本自動車工業会と一般社団法人日本自動車部品工業会のサイバーセキュリティガイドラインが2023年9月1日に改訂されました。

そこには多要素認証を導入すべき範囲、強度が明記されており、製造業におけるニーズも高まっております。

このような環境のなか、当社の主力事業であるクライアント・サーバーシステムEVEシリーズ・万能認証基盤Themisと指紋認証機器UBFシリーズを中心にしたバイオ事業については、従来の認証基盤ソリューションの販売に加え、ゼロトラストセキュリティ分野への進出を上流工程から参入する為、0から始めるセキュリティ‐ID管理・認証が分かるサイト-を新規に公開し啓蒙活動を継続しております。(https://zerokara.dds.co.jp/)

製品面では、DDS独自の軽量顔認証エンジンを搭載した「EVECLOUD」を7月に販売開始、多要素認証基盤「EVEMA」・「Themis」の顔認証機能強化とラインアップを充実し、進化したパナソニック コネクト社製顔認証とDDS独自の軽快顔認証を利用可能にする計画を発表いたしました。

さらに、ゼロトラストセキュリティの一役を担うログ管理プラットフォームである純国産の次世代型SIEM「LogStare」の取り扱いを開始いたしました。

他社との協業としては、株式会社アエルプランニングと共同で2種類のホワイトペーパーを作成し、ID管理・特権ID管理とIT資産管理の融合によるセキュリティ対策と内部不正対策の提案活動を開始しました。早速、小規模なプロジェクトながら、当第3四半期に大企業より受注、納品し、売上を計上出来ました。

案件開拓力向上のため、製品連携や販売パートナーのソリューションとして当社製品が採用されるよう他社との連携を推進し、従来から行ってきた展示会出展やセミナーへの参加による販売促進活動においても、パートナー企業との共同出展や、パートナー企業に当社製品を出展いただくなどの活動を強化、継続しております。当第3四半期会計期間では、キステム株式会社が新規に加盟いたしました。さらに、2016年の「自治体強靭性向上モデル」において導入された認証基盤の買換え需要が継続しており、それに加え在宅勤務を可能とするセキュリティ実装、マイナンバー取扱事務以外の行政システムへのセキュリティ実装などの追加需要もあり、官公庁・自治体より安定したご発注をいただきました。さらに、各府省のセキュリティガイドラインに従う企業も増えてきており、医療、金融、公共性の高い企業などからも大規模案件の落札は概ね計画どおりに推移しました。しかしながら、少ないながらも上場廃止による悪影響は否定できず、納品・売上計上が遅延しております。それでも第3四半期累計期間では前年度連結値実績を上回る結果になりました。

クラウド認証サービス事業は、これまでのマガタマ/FIDO事業を吸収し、新規事業として進めております。FIDOの普及については、各種ブラウザの対応等標準プロトコルとしての認知は進んで来ていますが、オンリーワンの認証商材とはなっていない状況です。同様のユーザー経験は他の技術を利用しても可能な為、幅広くクラウド市場への認証サービス提供を行っていく必要があります。つまり、FIDOに限らず、クラウドでの認証を既存技術でも提供し、サービス事業全般の底上げをはかってまいります。FIDOの技術による機能の提供につきましては、価格競争力を踏まえオープンソースの活用も含め引き続き新規事業の商品として提供する予定です。近年、クラウドサービスやスマートデバイスが普及し、企業のIT環境において、ファイアウォールは境界とならなくなってきました。そうした今、企業のリソース・ユーザーを区分する境界は、ユーザーのID管理となっています(このネットワークをゼロトラスト環境と呼びます)。ゼロトラスト環境では、クラウド型のID管理、シングルサインオン、認証等のセキュリティサービスの必要性が高まっています。いわゆる、IDaaS系商品の市場です。IDaaSとは「Identity as a Service」の略です。主な機能として、ID管理、シングルサインオン、多要素認証などがあります。従来ID管理システムは、企業のオンプレミスの情報システムとして構築、運用が行われてきました。クラウドサービスの利用が一般化する中で、ID管理に関してもクラウド上で管理する事に関しての抵抗感や懸念は払拭され、同市場が拡大してきました。複数のクラウドサービスの業務利用が一般化し、クラウドサービスごとのパスワード管理やログイン、認証強化が煩雑となったことから、IDaaSの導入需要が加速しました。特にコロナ禍によるテレワークの増加が大きく後押しし、引き続きクラウドシフトは進む為、同市場の拡大が今後も予測されます。当社は、上記の市場ニーズにこたえる複数の商品を認証基盤として個々に商品を販売しております。第2四半期では、それらを統合するIDaaS系新商品を発表いたしました。DDS独自の軽量顔認証エンジンを搭載し、「EVECLOUD」というサービス名で同年7月にサービスインをいたしました。経営面では、賃料削減を目的に、9月に東京支社の移転を実施いたしました。テレワーク・在宅勤務の推進による通勤費の削減や業務効率の向上など働き方改革も同時に推進してまいります。

また、当社は8月に上場廃止になりました。

上場廃止による悪影響の懸念はありましたが、運転資金面、人材流出面等への影響は受けておりません。よって、製品開発、サービス及びサポート提供などの事業継続性については疑問視されておらず、現状では業績に対する影響は若干の受注遅延に留まり、大きな売上減少にはつながっておりません。

これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は718百万円となりました。損益面においては、販売費及び一般管理費は527百万円となりました。これにより、営業損失86百万円、経常損失90百万円となりました。四半期純損失は107百万円となりました。

 

(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

バイオ事業については、自治体をはじめとした官公庁において「自治体強靭性向上モデル」の買換え需要が今後数年に渡って継続すること、文部科学省のガイドラインに従い、教育委員会での導入が急伸していること、以上のことから公共市場において堅調であること、民間企業では、サイバー攻撃による影響を受け金融、医療に加え、一般社団法人日本自動車工業会と一般社団法人日本自動車部品工業会のサイバーセキュリティガイドラインが2023年9月1日に改訂されそこには多要素認証を導入すべき範囲、強度が明記されており、製造業でも採用の増加が見込まれること。

以上のことから、公共・民間市場とも環境は拡大基調にあるものと認識しております。また、ゼロトラストセキュリティ関連のID管理を中心とした新しいソリューション販売も実績につながっており、既存ユーザーへの追加販売や、認証基盤ソリューションだけではアプローチ出来なかった顧客の新規開発につながっております。それらに対し数年来構築してきた代理店網を活用しさらに売上増加を見込んでおります。さらに製品面では、EVEシリーズ及びThemisに自社製顔認証「軽快顔認証プラグイン」の組み込み発売をいたしました。

それにより、仕入コストの低減や、新規顧客開拓なども見込んでおります。クラウド認証サービス事業については、第2四半期にIDaaSのサービス発表をいたしました。FIDOで培った技術を活かし、同年7月のサービスインより営業活動を開始しました。

しかしながら、上場廃止の決定などにより、買い控えの可能性も否定できず不安定な状況です。

 

(流動資産)

 当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末に比べて24百万円(1.5%)増加し、1,644百万円となりました。この主な内訳は、現金及び預金648百万円、売掛金158百万円、製品128百万円、預け金560百万円であります。

(固定資産)

 当第3四半期会計期間末の固定資産は、主として土地の売却による減少(248百万円の減少)、投資有価証券の

増加(49百万円の増加)により前事業年度末に比べて188百万円(△62.0%)減少し、115百万円となりました。こ

の内訳は、有形固定資産1百万円、無形固定資産20百万円、投資その他の資産93百万円であります。

(流動負債)

 当第3四半期会計期間末の流動負債は、主として課徴金引当金の減少(205百万円の減少)により前事業年度末に比べて81百万円(△15.3%)減少し、452百万円となりました。この主な内訳は、未払金28百万円、未払費用29百万円、賞与引当金46百万円、契約負債241百万円であります。

(固定負債)

当第3四半期会計期間末の固定負債は、主として長期契約負債の増加(20百万円の増加)により、前事業年度末に比べて20百万円(6.8%)増加し、327百万円となりました。この内訳は、退職給付引当金26百万円、長期契約負債300百万円であります。

(純資産)

当第3四半期会計期間末における純資産は、主として利益剰余金の減少(107百万円の減少)により前事業年度末に比べて103百万円(9.5%)減少し、980百万円となりました。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における当社の研究開発活動の金額は、29百万円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 2023年3月31日に提出した前事業年度の有価証券報告書の「資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載した内容から重要な変更はありません。