E05553 Japan GAAP
前期
184.3億 円
前期比
104.0%
株価
787 (03/28)
発行済株式数
9,110,000
EPS(実績)
53.00 円
PER(実績)
14.85 倍
前期
603.6万 円
前期比
101.9%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(16.0年)
従業員数
741人(連結:1,262人)
当社グループは、当社、子会社6社および関連会社2社で構成され、コンピュータシステム構築に必要な全体または一部のソフトウェア開発を受託して行う「システム開発事業」、各種ERPパッケージ等によるシステム構築を核としたエンドユーザ向けのシステムインテグレーションを行う「SI事業」、顧客のコンピュータシステムに関する様々なニーズに対応する運用・保守等のサポートサービス事業、関連機器・パッケージソフト等の販売事業、新規領域を推進する新事業など、他の事業セグメントに属さない事業から構成される「その他事業」を主な事業としております。
当社は、設立以来多様な分野において、特殊な業種・業務ノウハウ、先進技術を背景に、企業の情報システムの構築を支えてきました。代表的なものに、社会インフラ企業の基盤構築や通信キャリア、大手鉄道輸送会社に代表される収入・料金管理、ならびに全国規模で拡がる社会インフラネットワークを監視・制御するシステム開発などがあります。また、定型業務ではない複雑な顧客固有の特殊業務分野のシステム化も行っております。
当社グループにおいて受託契約を行うシステム開発には、1次請けのケースと2次請けのケースがあります。
当社グループの事業における当社および関係会社の位置付けおよびセグメントとの関連は、下表のとおりであります。
前頁で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要、ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和等により、社会経済活動の正常化が進むなかで、緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢等の地政学的リスクや世界的な金融引き締めを背景とした海外景気の下振れリスクに加えて、資源価格の高騰や円安による物価上昇が進行し、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループが属する情報サービス産業につきましては、本年4月に経済産業省が発表した2023年2月の特定サービス産業動態統計(確報)によれば、売上高合計は前年同月比3.2%増と11ヵ月連続で前年を上回ったほか、売上高の半分を占める「受注ソフトウェア」も前年同月比6.1%増と11ヵ月連続で前年を上回りました。
このような事業環境のもと、当社グループは、2023年3月期を初年度とする5ヵ年中期経営計画「Vision2026」をスタートし、「基盤事業の質的転換」「プライムビジネス※の拡大」「新領域へのチャレンジ」の3つの基本方針のもと、事業拡大と高収益化の実現に向けて取り組んでおります。
「基盤事業の質的転換」に向けては、プロダクトやクラウドサービスなどの各種開発ツール等を活用した開発手法の活用拡大に加え、2021年に資本業務提携を締結した3社(株式会社JR東日本情報システム、兼松エレクトロニクス株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)との連携の強化、請負案件の拡大、不採算案件の抑制等の取り組みを進めました。「プライムビジネスの拡大」に向けては、各種イベントや展示会への出展、セミナーの開催など積極的な販売活動を展開したほか、提案力の強化に向けてコンサルタントやエバンジェリストの育成に取り組みました。「新領域へのチャレンジ」に向けては、昨今、対策の重要性が高まっているサイバーセキュリティ領域や、今後拡大が見込まれるデジタル金融領域など、新たな事業領域拡大に向けた検討やエンジニアの育成を進めました。
また、昨年7月にキーウェア東北株式会社(連結子会社)を設立しました。同社は本年1月よりいわぎんリース・データ株式会社のシステム部門の事業を承継し、東北地域を基盤とする企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現に向けて当社グループで連携し提案活動を推進しております。
※ 当社グループでは、お客さまと直接契約を結びサービスやソリューションを提供する事業を「プライムビジネス」と称しております。
当社グループの当連結会計年度の受注高は19,504百万円(前年同期比615百万円増、3.3%増)、売上高は19,173百万円(同746百万円増、4.0%増)、営業利益は738百万円(同187百万円増、34.0%増)となりました。営業外収益として持分法による投資利益231百万円を計上したことなどにより、経常利益は921百万円(同165百万円増、22.0%増)となり、特別損失として投資有価証券評価損186百万円および法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は482百万円(同73百万円減、13.2%減)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
受注高は12,977百万円(前年同期比636百万円増、5.2%増)、売上高は12,350百万円(同468百万円増、3.9%増)、営業利益は892百万円(同115百万円増、14.8%増)となりました。
当連結会計年度におけるシステム開発事業は、安定的な収益獲得を実現すべく、事業部門を越えた体制構築を進め、当社グループの強みでもある大型案件の獲得と確実な遂行に取り組むとともに、今後更なる拡大が見込まれるIoTやクラウド等のDX関連の技術力強化やローコード開発ツール、ノーコード開発ツールなどの活用により業務の効率化、低コスト化を図るなど、積極的に事業を推進してまいりました。
この結果、受注高につきましては、前期に大型案件獲得のあった運輸系や、案件拡大のあった官庁系、金融系、医療系などが反動減となったものの、公共系での大型案件獲得、クラウド関連での案件拡大などにより、前期比で増加いたしました。売上高につきましては、公共系やクラウド関連での受注増加に加え、運輸系などで前期に受注した案件の開発が順調に進捗したことなどにより、前期比で増加いたしました。営業利益につきましては、売上高の増加に伴い前期比で増加いたしました。
受注高は4,816百万円(前年同期比149百万円増、3.2%増)、売上高は5,102百万円(同416百万円増、8.9%増)、営業利益は1百万円(前年同期は194百万円の損失)となりました。
当連結会計年度におけるSI事業は、案件を着実に遂行し生産性の向上を実現すべく、開発におけるプロダクトやクラウドサービスの活用拡大により業務の効率化、低コスト化を図るとともに、前述の資本業務提携をした3社(株式会社JR東日本情報システム、兼松エレクトロニクス株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)との連携強化により新規案件の獲得、領域の拡大を目指すなど、積極的に事業を推進してまいりました。
この結果、受注高および売上高につきましては、基幹システム系での大型案件獲得などにより、前期比で増加いたしました。損益面につきましては、売上高の増加に加え、前期から継続していた不採算案件が収束したことなどにより、利益計上となりました。
受注高は1,709百万円(前年同期比170百万円減、9.1%減)、売上高は1,720百万円(同138百万円減、7.4%減)、営業損失は125百万円(前年同期は7百万円の損失)となりました。
当連結会計年度におけるその他事業は、事業拡大による継続的な成長を実現すべく、既存領域の更なる拡大や、新たなサービスやソリューションの創出、新規顧客やロイヤルカスタマーの創出に取り組むなど、積極的に事業を推進してまいりました。
しかしながら、受注高および売上高につきましては、サポートサービス系、販売系が軟調に推移し、前期比で減少となりました。損益面につきましては、売上高の減少に加え、コンサルティング営業の体制強化により販売費が増加したことなどが影響し、損失計上となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は、次のとおりであります。
流動資産残高は、7,368百万円(前連結会計年度末比320百万円増、4.5%増)となりました。主な変動要因は、現金及び預金の増加、売掛金の増加、契約資産の減少であります。
固定資産残高は、3,784百万円(前連結会計年度末比88百万円増、2.4%増)となりました。主な変動要因は、のれんの増加、ソフトウェア仮勘定の増加、投資有価証券の減少であります。
流動負債残高は、3,015百万円(前連結会計年度末比152百万円減、4.8%減)となりました。主な変動要因は、買掛金の減少、短期借入金の減少、契約負債の増加であります。
固定負債残高は、330百万円(前連結会計年度末比207百万円増、170.1%増)となりました。主な変動要因は、退職給付に係る負債の増加であります。
純資産残高は、7,807百万円(前連結会計年度末比352百万円増、4.7%増)となりました。主な変動要因は、利益剰余金の増加であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,038百万円(前連結会計年度末比128百万円増、14.1%増)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
営業活動による資金は、持分法による投資利益の計上(231百万円)、売上債権の増加(173百万円)、仕入債務の減少(294百万円)、法人税等の支払い(180百万円)などがあったものの、税金等調整前当期純利益の計上(734百万円)、投資有価証券評価損益の計上(187百万円)、未払消費税等の増加(254百万円)などにより、653百万円の増加(前期は552百万円の増加)となりました。
投資活動による資金は、事業譲受による収入(54百万円)などがあったものの、無形固定資産の取得による支出(107百万円)などにより、50百万円の減少(前期は394百万円の減少)となりました。
財務活動による資金は、短期借入金の純減(375百万円)などにより、474百万円の減少(前期は343百万円の減少)となりました。
当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保することを基本方針とし、運転資金および設備資金につきましては、自己資金または取引金融機関からの借入により調達しております。このうち、借入による資金調達につきましては、短期の運転資金の調達は短期借入金を基本とし、大規模な設備投資や長期の運転資金の調達は長期借入金を基本としております。
当社グループは、運転資金の効率的かつ安定的な調達を行うため、取引銀行との間でコミットメントライン契約および当座貸越契約を締結しております。これら契約に基づく当連結会計年度末における極度額および借入金残高は、次のとおりであります。なお、コミットメントライン契約には、財務制限条項が付されております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しておりますが、グループの事業内容なども踏まえ会計方針を定めております。
連結財務諸表の作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これら見積りについて、現在入手可能な情報や過去の実績などを勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、主なものは次に記載のとおりであります。なお、そのうち特に重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
① 収益及び費用
受注制作のソフトウェア開発に係る収益は、履行義務の充足に係る進捗度に基づき認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積り方法は、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。なお、進捗度を合理的に見積もることができないが、当該履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれるものについては、原価回収基準により収益を認識しております。また、契約の開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる期間がごく短い案件については、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。
サポートサービス等の役務提供に係る収益は、履行義務の充足に係る進捗度に基づき認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積り方法は、顧客との契約等に基づくアウトプット法で算出しております。なお、進捗度を合理的に見積もることができないが、当該履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれるものについては、原価回収基準により収益を認識しております。
債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率法により、貸倒懸念債権および破産更生債権等については財務内容評価法により計上しております。
受注案件の損失に備えるため、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについて、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を計上しております。
従業員に対する賞与支給に備えるため、将来の支給見込み額のうち当連結会計年度において負担すべき金額を計上しております。
⑤ 投資有価証券
取引関係等の維持・強化のため、特定の取引先に対する投資を行っております。当連結会計年度末における市場価格のない株式等の評価については、投資先の資産状況、経営状況などを勘案し、必要と判断した場合には減損処理を行っております。投資先の資産状況、経営状況がさらに悪化した場合には、追加の減損処理が必要となる可能性があります。
⑥ 無形固定資産
無形固定資産のうち子会社の株式取得により発生したのれんについては、20年間で均等償却しております。当該子会社の将来における収益によっては、減損処理が必要となる可能性があります。
また、市場販売目的のソフトウェアについては、見込販売数量に基づく償却額と見込有効期間(3年)に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を償却しております。販売が見込数量に達しない場合は、見込販売数量の見直しによる償却額の見直しが必要となる可能性があります。
⑦ 繰延税金資産
企業会計上の収益・費用と課税所得計算上の益金・損金の認識時点が異なることから、会計上の資産・負債と課税上の資産・負債の額に一時的な差異が生じる場合において、一定期間内における回収可能性に基づき連結貸借対照表上に繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積りが減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。