売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E05677 Japan GAAP

売上高

35.2億 円

前期

30.5億 円

前期比

115.4%

時価総額

23.0億 円

株価

757 (07/16)

発行済株式数

3,041,800

EPS(実績)

54.88 円

PER(実績)

13.79 倍

平均給与

702.8万 円

前期

715.9万 円

前期比

98.2%

平均年齢(勤続年数)

46.4歳(8.2年)

従業員数

138人(連結:139人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社及び子会社(以下「当社グループ」という。)の事業は、音声を中心とする通信技術に関するソリューション・サービスの提供を行う単一セグメントとなっております。創業当時から通信事業者向けの音声ネットワークのIP化とソフトウェア化を実現する高度なソリューションを提供しております。その開発で蓄積してきた技術・経験を活かして、市場のニーズに応えるべく、あらゆるビジネスユーザーをターゲットとした、IP-PBX、事業者間接続ゲートウェイ、通話録音装置をはじめとし、音声認識/AIを取り入れたソリューション・サービスや、様々なビジネスシーンで活用できる各種クラウドサービスを展開しております。

 当社グループが手掛ける事業内容は、主に2つに区分しております。音声を中心とし、長年培ってきた技術や経験によって生み出せる多様なソリューション・サービス、もうひとつは、DX化促進により需要が拡大している音声認識/AI及びCPaaSや、クラウドベースの業務支援システム(BSS)などのソリューション・サービスになります。

 以上のことをふまえ、前連結会計年度まで、「ボイスコミュニケーション事業」と「モバイル通信ソリューション事業」としておりましたが、当連結会計年度より、「ボイスコミュニケーション事業」と「コミュニケーションDX事業」に分類しております。なお、当社グループの事業が単一セグメントであることは変更ありません。

 

[ボイスコミュニケーション事業]

 ボイスコミュニケーション事業は、あらゆるビジネスユーザーの音声通信をサポートするソリューションやサービスを、通信事業者や多様な販売パートナーを通じて提供します。

・通信事業者向けのソリューションで培った音声通信に関するソフトウェアの開発、構築、運用を提供

・オンプレミスPBXの更改期の到来やリモートワークの推進によって需要が拡大しているクラウドPBXの提供

・通信事業者のPSTNマイグレーションに向けた既設システムの更改や、機能の強化・セキュリティ対策対応

・一般企業向けのDX化やPSTNマイグレーションに向けた、通信システムの更改、通信ソリューション・サービスの提供

・通信事業者のPSTNマイグレーションに向けた既設システムの更改や、機能の強化・セキュリティ対策対応

・企業のコンタクトセンター向けにオムニチャネルでのシームレスなコミュニケーションを実現するための相互接続ソリューションや通話録音ソリューションの提供

24時間365日提供可能な、日本全国への駆けつけ体制を保持する保守サービスの提供

 創業以来、一貫して音声通信に関わるソリューションを提供しており、自社開発のソフトウェアや海外製品を取り扱っております。これまで手掛けてきたソリューションの開発・導入実績は、通信事業者のみならず、大規模から小規模のビジネスユーザーに対応することができます。また、オンプレミスPBXやビジネスホンを利用している顧客基盤を有するSI企業や、クラウドサービス事業者とパートナーシップを組み、当社グループの保有する技術を、オンプレミス型/クラウド型であるOEM/Enablerサービスとして提供していきます。

 

[コミュニケーションDX事業]

 コミュニケーションDX事業は、オムニチャネルコミュニケーションやAI技術を活用して業務のDX化に貢献するクラウドサービス、音声認識/AIやCPaaSといった技術を活用したDXソリューション・サービス、等の研究開発活動に取り組んで様々な商用サービスを提供します。

・業務ごとのアプリケーションを選択できる音声認識/AI、オムニチャネルコミュニケーションなどのクラウドサービスを提供

・多様化したコミュニケーションを連携するプラットフォームとして、CPaaSを活用したソリューションの提供

・金融コンプライアンス対応としてAIを活用したソリューションの提供

・建設及び工事現場における危険予知活動に役立つ生成AIソリューションの提供

・CSM(Customer Service Management)のDX化対応であるクラウドIVR(自動音声応答)の提供

・クラウドベースの業務支援システム(BSS)サービスの提供

・業種やビジネスモデルに特化したソリューションの商用化に向けた研究開発(建設工事業界、医療介護業界、金融業界など)

 これまで音声通信に関わるソリューションを提供してきた実績を踏まえて新たな市場を開拓する取り組みを開始しました。従来のERPでは主流であった大規模な総合型基幹システムから、業務ごとにアプリケーションが選択できるクラウド型のサービス利用にシフトしている中で、オムニチャネルコミュニケーションのクラウドサービスや、多様化したコミュニケーションサービスの相互連携などの需要が拡大しております。このように将来発展の可能性が見込まれる市場のニーズを捉え、当社グループの強みであるコミュニケーション技術とクラウド技術の融合を図り、業種や業務に特化したDXソリューションを開発、事業化していきます。

[事業系統図]

 主要な事業は、グローバルスタンダードに基づく「インターネット・プロトコルによる音声通信」を中心とする通信技術、大手通信事業者が求めるキャリアグレード(短時間の停止も許されない公共的社会インフラを支える技術や品質)のソリューション・サービスの提供となります。IP-PBX(インターネット・プロトコルによる内線・外線電話交換機システム)、相互接続ゲートウェイ(Session Border Controller: 音声ネットワークの相互接続のための手順を実行し実際の接続を行う)、通話音声キャプチャリング、音声認識AIシステムをオンプレミスとクラウド環境の両方の形態で提供しています。その他、グローバルスタンダードであるインターネット技術による音声通信関連ソフトウェア製品の開発・販売を中心として、自社ソフトウェア製品及び他社ソフトウェア製品との組合せによる音声ネットワーク・ソリューションを提供、一部音声通信機器の輸入・販売の他、通話録音及び音声認識製品の製造・販売、クラウドを利用した通信サービス及びサービス基盤、保守サポートの提供を行い、音声通信、コミュニケーションのDXを中心に事業を展開しております。

 製品開発・製造にあたっては、ソフトウェア開発パートナーやハードウェア製造パートナーへ業務委託を行う場合があります。

 また、製品の販売に伴い必要となるソフトウェア、ハードウェア、クラウドサービスの仕入は、海外・国内ベンダー及び連結子会社からの調達を行っております。納入後の保守サービスの一部(受付業務等)につきましては、保守サポートを専業とする外部のパートナーへ業務委託を行っております。

 ボイスコミュニケーション事業の主要な顧客は国内の大手通信事業者及び企業ユーザーや官公庁であり、販売形態は、当社からの直接販売の他、エクシオグループ株式会社、サクサ株式会社、NECネッツエスアイ株式会社、岩崎通信機株式会社、株式会社タカコム、都築電気株式会社など資本業務提携パートナーをはじめとする販売パートナーやシステムインテグレーター経由で行います。

 コミュニケーションDX事業は特定マーケットに特化したソリューションを展開しており、直接提供を中心として、上記の販売パートナーやシステムインテグレーター経由で提供する場合もあります。

 

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 

24/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当社グループは、「第1 企業の概況 3事業の内容」に記載のとおり、事業分野を変更しております。 以下の前連結会計年度との比較は、変更後の区分に基づいております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループをとりまく情報通信分野は、様々な環境下の中で、ライフスタイルにあった働き方やコミュニケーションの手法を選択できるよう、企業による前向きな設備投資が進んでおり、クラウドサービスへの移行、DX(デジタル・トランスフォメーション)の推進による需要が増加しています。国内のICTサービス市場規模は、今後さらに拡大化されることが見込まれます。業界再編計画、通信の大容量化と通信サービス提供価格の変化、クラウドサービスの拡大、第5世代移動通信システム(5G)/IoTソリューションの開発・利用環境の整備、AI技術を活用したサービス提供など、引き続き構造変化が進行しています。

 こうした状況の下、当社グループ活躍の場はさらに広がるものと期待して、以下のとおり事業を展開してまいりました。

 

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,277,838千円となり、前連結会計年度と比べ273,750千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が54,336千円、売掛金が75,243千円、原材料及び貯蔵品が61,847千円、製品が10,100千円、ソフトウエア資産が70,066千円(新規開発及び取得等により366,576千円増加、減価償却により296,510千円減少)、繰延税金資産が23,205千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、仕掛品が9,955千円、のれんが10,916千円、差入保証金が15,212千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債の総額は、1,317,904千円となり、前連結会計年度と比べ109,987千円の増加となりました。増加の主な要因は、買掛金が31,773千円、賞与引当金が25,785千円、未払法人税等が28,805千円、流動負債「その他」に含まれる未払費用が13,444千円、未払消費税等が41,389千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が42,776千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,959,934千円となり、前連結会計年度と比べ163,762千円の増加となりました。増加の主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が166,920千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、子会社株式の追加取得により資本剰余金が5,000千円減少したことによるものであります。

 なお、2023年6月23日開催の第22回定時株主総会決議に基づき、資本準備金及び利益準備金の額の減少並びに剰余金の処分による欠損填補を行っております。これにより、資本剰余金が387,482千円減少し、利益剰余金が同額増加しております。

 

b.経営成績

 当社グループの経営成績については、ボイスコミュニケーション事業において、通信事業者及び官公庁や鉄道会社向けに収益性の高い自社ソフトウェア販売の増加があったことや大手電力会社向けにサービス運用安定化を目的としたバックアップシステムの構築案件の獲得に加え、通信事業者向けのクラウドサービスの増加がありました。また、コミュニケーションDX事業において、前連結会計年度末にMVNO事業者向けに提供を開始したサブスクリプション型サービス販売が積み上がったことに加え、導入済みのモバイルコアシステムのセキュリティ強化や運用の簡易化に向けた更改対応を実施したこと、さらには、継続案件として企業DXに関連したシステム開発案件が増加したことなどにより、売上高は、3,522,737千円(前連結会計年度比15.4%の増加)となりました。

損益面につきましては、売上高の増加に伴う増益の影響に加え、ソフトウェア開発投資の減少、人件費や業務委託費が減少したほか、レイアウト変更による家賃等の減少に伴う固定費の削減により売上総利益は1,305,309千円(前連結会計年度比13.7%の増加)、営業利益は、181,391千円(前連結会計年度比479.6%の増加)、経常利益は、173,759千円(前連結会計年度比629.7%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、166,920千円(前連結会計年度は、454,411千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

受注面につきましては、ボイスコミュニケーション事業において、保守サービスやクラウドサービスについて、堅調に受注が増加したことや、コミュニケーションDX事業において、サブスクリプション型サービスの受注獲得や企業DXに関連したシステム開発案件等を受注したことにより、受注残高は1,735,795千円(前連結会計年度比11.1%の減少)となりました。

 

区分

第 22 期

(2023年3月期)

第 23 期

(当連結会計年度)

(2024年3月期)

増減

増減率(%)

売上高

(千円)

3,053,432

3,522,737

469,305

15.4

売上総利益

(千円)

1,148,046

1,305,309

157,263

13.7

営業利益

(千円)

31,298

181,391

150,092

479.6

経常利益

(千円)

23,813

173,759

149,945

629.7

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

△454,411

166,920

621,332

受注残高

(千円)

1,952,616

1,735,795

△216,821

△11.1

 

 当連結会計年度における事業区分別の概況は、以下のとおりです。

 

事業区分の名称

第22期

(2023年3月期)

第23期

(当連結会計年度)

(2024年3月期)

増 減

増減率(%)

ボイスコミュニケーション事業(千円)

2,631,117

2,693,320

62,203

2.4

コミュニケーションDX事業(千円)

422,315

829,417

407,101

96.4

 

〔ボイスコミュニケーション事業〕

 ボイスコミュニケーション事業は、あらゆるビジネスユーザーの音声通信をサポートするソリューションやサービスを、通信事業者や多様な販売パートナーを通じて提供します。

 当連結会計年度では、DX関連においては、働く場所の多様化に伴い、法人電話のスマートフォン需要が引き続き高い傾向にあります。仕事の電話をいつでもどこでも自身のスマートフォンで受発信できる「スマートフォン内線ソリューション」の販売が引き続き好調でした。

 このようなDX化に向けた各企業の取り組みの中で、自社でクラウドサービスを展開される企業も増加傾向にあります。当社グループはこのような企業のパートナーとなり、自社のクラウドサービス基盤を提供し、導入に伴う環境構築や運用面でのサポートを行うことで堅調に実績を積み上げています。都築電気株式会社のクラウドPBXサービス「TCloud for Voice」もそのひとつであり、オンプレミスからクラウドサービスへ切り替える企業より好評をいただいております。

 また、大手通信事業者を介してクラウドPBXの需要の拡大化による、当社グループのクラウドPBXサービス「U-cube voice」も様々な企業に継続的にご利用いただいています。運用の利便性を向上する新機能を追加したことにより、さらにサービスが充実しました。

 そのほかに、コンビニエンスストア各拠点の店頭にあるマルチメディア端末を接続するSIPサーバーとして、ソフトウェア「NX-C1000 for Enterprise」を提供しました。こちらは多店舗展開をする小売業界のニーズに応えた事例となります。

 当社グループのIPセントレックスサービスをご利用の大手電力会社向けには、災害等に直面した場合においても、安定した運用の継続を可能にするバックアップシステムを構築し、提供しました。導入実績のある顧客に向けたフォローとサポート体制の充実により、更なる案件の獲得へとつながった事例となります。

 当社グループでは、クラウドサービスの展開を拡大している中で、利用者に安心してサービスをご利用いただける環境の整備を実施しています。それに伴い、サービス運用やシステム保守を担うシステムサポート部において、国際規格である情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証「ISO/IEC 27001:2013」ならびにISMSクラウドセキュリティ認証「ISO/IEC 27017:2015」を取得しました。自社クラウドサービスのセキュリティ維持・改善においてより高いレベルを推進し、一層信頼される企業を目指します。

 PSTNマイグレーション関連においては、大手通信事業者に向けたソフトウェアSBC「NX-B5000」を販売しました。昨今では一般企業においても、働く場所やデバイスの多様化により、IP電話サービスの需要が拡大しています。これによるトラフィックの増加が見込まれており、マルチ接続ゲートウェイ「NX-B5000 for Enterprise」の販売へと繋がっています。大規模IVRサービス事業者の設備IP化に向けた販売や、クラウドPBXサービス事業者のゲートウェイとして、当社グループの通信事業者向けの製品の実績が評価され採用されました。これは、エンタープライズユーザーやコンタクトセンターでもIP化が加速している表れであり、引き続き顧客のニーズを捉えつつ、案件の獲得に取り組んでいきます。

 

 音声認識&AIサービス関連においては、通話音声・録音音声をテキスト化することにより、コンプライアンス強化に向けて有効に活用できる音声認識BPOサービス「U-cube cogni」を、金融機関にご利用いただいています。

 また、株式会社NTTドコモによる携帯電話向け通話録音サービスや、通信事業者向けに通話録音の自動テキスト化を実現する機能「U-cube rec」を提供しています。導入される際に、サーバーなどの設備やシステム管理者を用意する必要がなく、通話録音データの蓄積や管理をクラウド上で行い、セキュリティ対策も万全なサービスとなります。

 そのほかに、全国に拠点を持つ官公庁や、複数の拠点を有する鉄道会社向けに、通話録音システム「LA-6000」を提供しました。通話の録音から録音データの収集・蓄積・管理まで実現することができ、全国の拠点展開を実施しています。

 このように当社グループの「LA-6000」は、通話録音システムとして多くの実績がありますが、世の中のDX化が加速する中で活用方法の多様化に取り組んでいます。録音データの保存のみならず、複数の企業が提供している音声認識サービスのキャプチャサーバーとしても活用できることから、全国に拠点を持つ官公庁や保険会社のコールセンター向けに導入されました。音声を取得した後、音声認識エンジンに受け渡して音声をテキスト化することが可能となり、文字でいち早く情報を検索・分析することによって、多くのオペレーターを抱えるコールセンターなどの業務効率化に需要が見込まれます。

 保守サポート・サービスにおいては、堅調に推移しています。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、2,693,320千円(前連結会計年度比2.4%の増加)となりました。

 

〔コミュニケーションDX事業〕

 コミュニケーションDX事業は、オムニチャネルコミュニケーションやAI技術を活用して業務のDX化に貢献するクラウドサービス、音声認識/AIやCPaaSといった技術を活用したDXソリューション・サービス、等の研究開発活動に取り組んで様々な商用サービスを提供します。

 DX/AIソリューション関連においては、業務のDX化が加速する中、電話システム機能の拡充、コールセンター支援、スマートフォンのアプリケーションに関するシステム開発などを実施し、当社グループの「U-cube connect」、「U-cube cogni」により音声認識後のデータの利活用を提供しています。さらに「U-cube connect」にSMS送信、FAX送受信機能を拡充したマルチチャネル対応IVRサービスも開始し、企業のDX導入に貢献します。

 継続案件として、一般社団法人建設技能人材機構に、既存の電話システムと当社グループのオムニチャネルコミュニケーションサービス、CTIと連携したコールセンターソリューションを導入しています。簡易なお問い合わせに対しては、受付からSMS送信での情報提供まで自動で行えるようになり、スーパーバイザーによるモニタリングや対応履歴の管理・共有も高度化され、一層の顧客対応品質の向上と業務効率化を可能とするものとなります。

 音声通話、メッセージング、ビデオ通話などのコミュニケーション機能をAPIで提供するクラウド型通信プラットフォームCPaaSを、自社で開発し「U-cube CPaaS」として提供しています。国内の通信事業者をはじめ多くの企業への導入実績を持つ当社グループのソフトウェアが活用されており、異なる事業者間やサービス間の相互接続性に優れたサービスです。NECネッツエスアイ株式会社が提供するAIによる電話取次ぎサービス「Canario」の基盤として採用されているほか、エクシオグループ株式会社と実施したServiceNowへの電話応対業務自動化ソリューション連携にも活用されており、パートナー企業を含む多くの企業で活用されています。当社グループの長年の通信事業者への導入実績から、安定した品質で永続的なサービスや、グローバルパートナーを含む主要なCPaaSプロバイダとの連携によって創造する新しい機能を、いち早く提供しています。またこれにより、ユーザー企業は日本のレギュレーションに沿った機能提供やサポートを受けながら、安定的で新規性の高い独自アプリケーションの開発を行うことができます。当社は、「U-cube CPaaS」を用いてパートナー企業が開発したクラウドアプリケーションを相互に利用できる会員制のコミュニティ「NextGen CaMP」を本年度より発足しており、先に記載した一般社団法人建設技能人材機構に向けたコールセンターソリューションも、まさにこの活動から生まれた都築電気グループとのコラボレーションによる導入事例となります。さらに、当該コミュニティの会員である株式会社電話放送局と協業して、IVRサービス事業の拡大とともに、CPaaSやAIを活用した新規ビジネスの共創に取り組んでいます。会員数の拡大及び会員間の交流や情報交換を通じて、国内市場におけるCPaaSの効果的な利用促進と市場のさらなる拡大を今後も目指していきます。

 また、NTTタウンページ株式会社の「Digital Lead for DX SMSソリューション」に、当社グループの「U-cube connect」がIVRオプション機能として採用され、提供を開始しました。カスタマーセンターやコールセンター事業者などに対し、電話応対業務のDX化を推進する取り組みであり今後の需要がさらに見込まれます。

 

 BSSソリューション関連においては、前期に引き続き、モバイル事業者のユーザー制御、サービス制御、接続先毎の通信速度を制御するシステムの運用支援を行っています。また、導入済みのモバイルコアシステムのセキュリティ強化や、運用の簡易化に向けた更改対応を実施しました。そのほかには、モバイルサービスの運用支援を手掛けてきた実績から、モバイル通信制御システムの更改案件やMVNO設備の運用支援を実施しています。

 こうしたクラウドベースの業務支援システムの構築経験を活かし、企業における業務の実態を分析・整理した上で改善策を提案するなど、業務改善に向けたコンサルティングも行っています。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、829,417千円(前連結会計年度比96.4%の増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して54,336千円増加し1,262,035千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動により獲得した資金は484,283千円(前連結会計年度は、414,482千円の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益173,759千円、減価償却費315,329千円、のれん償却額10,916千円、賞与引当金の増加25,785千円、仕入債務の増加31,773千円、未払又は未収消費税等の増減額41,680千円等によるものであります。主な減少要因は、売上債権の増加75,243千円、棚卸資産の増加61,992千円等によるものであります。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動により使用した資金は380,764千円(前連結会計年度は、608,905千円の使用)となりました。増加要因は、差入保証金の回収による収入15,212千円によるものであります。減少要因は、有形固定資産の取得による支出21,810千円、無形固定資産の取得による支出362,066千円、資産除去債務の履行による支出12,100千円によるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動により使用した資金は49,183千円(前連結会計年度は、155,702千円の獲得)となりました。増加要因は、長期借入れによる収入200,000千円によるものであります。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出242,776千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出5,000千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、音声を中心とする通信技術に関するソリューション提供を行う単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

a.生産実績

 当社グループは、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

ボイスコミュニケーション事業(千円)

2,499,320

1,224,342

86.3

コミュニケーションDX事業(千円)

806,596

511,452

95.7

合計(千円)

3,305,916

91.1

1,735,795

88.9

(注)当連結会計年度より事業区分を再編したことにより、受注高の前年同期との比較分析は行っておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業区分別に示すと、次のとおりであります。

事業区分の名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ボイスコミュニケーション事業(千円)

2,693,320

102.4

コミュニケーションDX事業(千円)

829,417

196.4

合計(千円)

3,522,737

115.4

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

 

前連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

当連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

402,638

13.2

383,936

10.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、3,277,838千円となりました。流動資産は2,455,575千円となり、主な内訳は、現金及び預金が1,262,035千円、売掛金が967,341千円、製品が21,152千円、仕掛品が5,531千円、原材料及び貯蔵品が120,438千円であります。

 固定資産は、822,262千円となり、主な内訳は、有形固定資産が52,436千円、のれんが9,096千円、ソフトウェア資産が651,923千円、差入保証金が44,518千円、繰延税金資産が58,360千円であります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債の総額は、1,317,904千円となりました。流動負債は、1,007,239千円となり、主な内訳は、買掛金が302,740千円、1年内返済予定の長期借入金が188,946千円、前受金が230,264千円であります。

 固定負債は、310,665千円となり、主な内訳は、長期借入金が285,871千円であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、1,959,934千円となりました。主な内訳は、資本金が1,127,092千円、資本剰余金が686,740千円、利益剰余金が145,204千円であります。

 

b.経営成績

 経営成績の状況に関する分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

Ⅰ ソフトウェア資産の減損損失の可能性について

 当社グループは通信システムに関わるソフトウェアを開発しており、現時点で適正と考えられるソフトウェア資産を計上しております。しかしながら今後、事業環境の変化により保有するソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、減損損失が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

Ⅱ プロジェクトの納期変動リスクについて

 当社グループでは、プロジェクトごとに売上規模や利益率が異なり、その売上計上時期によって業績が大きく変動します。想定外の仕様の変更など顧客側の都合等により契約上、当初予定されていた期間内に、顧客による検収を受けることができない場合、またシステムの不具合等の要因によりサービスの納品時期がずれ込んだ場合、当社グループの四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 キャッシュ・フローの状況に関する分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

Ⅰ 資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。
運転資金需要のうち主なものは営業活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための引合費用等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に通信システムに関わるソフトウェアの開発費(外注費及び人件費等)によるものであります。

 

Ⅱ 財務政策

 当社グループの財務政策は、資産構成や投資内容に最適な資金調達を行うことを基本方針としており、その運転資金及び設備資金について現状では自己資金又は長期を中心とする金融機関からの借入によって対応しております。今後も、調達手段の選択においては、資本コスト、資金調達環境及び条件、自己資本比率、手許流動性の水準などを総合的に勘案し、長期的な企業価値向上に最も資すると考える方法により対応してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り・予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り・予測の評価を実施しておりますが、不確実性が伴うため、当初の見積り・予測数値と実際の数値に乖離が生じる可能性があります。

当社グループでは特に以下の会計方針を重要と認識しており、連結財務諸表作成において必要となる見積り・予測に影響を与える可能性があると考えております。

 

a.市場販売目的ソフトウェアの減価償却方法

 市場販売目的のソフトウェアについては、見込販売収益に基づく償却額と残存見込販売有効期間(3年)に基づく均等償却額とのいずれか大きい金額を計上する方法により減価償却金額を算出しております。

 この見込販売収益は、各ソフトウェアの製品カテゴリー別に、顧客単位で積み上げられた販売計画を基礎としております。
 なお、販売実績収益又は将来の販売見込収益が当初見込と比べて大きく乖離した場合、追加の費用計上が必要となる場合があります。

 また、今後、事業環境の変化により保有する市場販売目的ソフトウェアの収益性が著しく低下し投資額を回収できなくなった場合には、一時費用が発生し当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

b.繰延税金資産

 当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出されておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。

 

c.のれんの減損

 のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの減損の兆候を識別した場合には、のれんの対象事業の将来キャッシュ・フローの見積りを毎期末実施しております。その結果、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。

 

d.自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定の減損

 自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定については、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合は無形固定資産に計上しております。なお、減損の兆候が識別され、将来の収益獲得見込額に基づき算定された割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較し、減損損失を認識すべきであると判定された自社利用のソフトウェア及びソフトウェア仮勘定については、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

 

④ 経営上の目標の達成状況について

当連結会計年度の業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」で述べたとおりとなりました。

また、現ステージにおいては事業の成長を持続することが重要であるとの経営判断に基づき、CAGR(年平均成長率)を重要な指標と位置付けておりますが、当連結会計年度においては15.4ポイント増加いたしました。引き続き、目標とする経営指標を達成できるよう改善に取り組んでまいります。