売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05677 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 2024年3月期第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)における当社グループの財政状態及び経営成績等は、以下のとおりです。

 なお当社グループは、「第1 企業の概況 2事業の内容に記載のとおり事業分野を変更しております 以下の前第3四半期連結累計期間との比較は変更後の区分に基づいております

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの経営成績につきましては、ボイスコミュニケーション事業に おいて、通信事業者及び官公庁や鉄道会社向けに収益性の高い自社ソフトウェア販売の増加があったことに加え、通信事業者向けのクラウドサービスの増加があり、コミュニケーションDX事業において、前期末にMVNO事業者向けに提供を開始したサブスクリプション型サービス販売が積み上がり、また、導入済みのモバイルコアシステムのセキュリティ強化や運用の簡易化に向けた更改対応を実施したこと、さらには、企業DXに関連したシステム開発案件が増加したことなどにより、売上高は、2,382,207千円(前年同期比33.9%の増加)となりました。

損益面につきましては、売上高の増加に伴う増益の影響に加え、ソフトウェア開発投資の減少、人件費やソフトウェア償却費等の減少に伴う固定費の削減により売上総利益は927,739千円(前年同四半期比35.8%の増加)、営業利益は、71,546千円(前年同四半期は、178,012千円の営業損失)、経常利益は、65,294千円(前年同四半期は、183,333千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、51,941千円(前年同四半期は、165,157千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

受注面につきましては、ボイスコミュニケーション事業において、保守サービスやクラウドサービスについて、堅調に受注が増加したことや、電力会社向けに自社ソフトウエア案件を受注したことに加え、コミュニケーションDX事業において、モバイル通信制御システムの更改案件や企業DXに関連したシステム開発案件等を受注したことにより、受注残高は1,299,628千円(前年同四半期比1.1%の増加)となりました。

 

区分

第 22 期

第3四半期

連結累計期間

第 23 期

当第3四半期

連結累計期間

増減

増減率(%)

売上高

(千円)

1,779,723

2,382,207

602,484

33.9

売上総利益

(千円)

682,967

927,739

244,772

35.8

営   業   利   益   又は

営   業   損   失   (△)

(千円)

△178,012

71,546

249,559

経   常   利   益   又は

経   常   損   失   (△)

(千円)

△183,333

65,294

248,628

親会社株主に帰属する四半期純利益又は親会社株主に帰属する四半期純損失(△)

(千円)

△165,157

51,941

217,098

受注残高

(千円)

1,285,934

1,299,628

13,693

1.1

 

 当第3四半期連結累計期間における事業区分別の概況は、以下のとおりです。

 

区分

第 22 期

第3四半期

連結累計期間

第 23 期

当第3四半期

連結累計期間

増減

増減率(%)

ボイスコミュニケーション事業

(千円)

1,625,579

1,779,328

153,748

9.5

コミュニケーションDX事業

(千円)

154,143

602,879

448,735

291.1

 

〔ボイスコミュニケーション事業〕

 当第3四半期連結累計期間では、DX関連においては、働く場所の多様化に伴い、法人電話のスマートフォン需要が引き続き高い傾向にあります。仕事の電話をいつでもどこでも自身のスマートフォンで受発信できる「スマートフォン内線ソリューション」の販売が引き続き好調でした。このようなDX化に向けた各企業の取り組みの中で、自社でクラウドサービスを展開される企業も増加傾向にあります。当社グループはこのような企業のパートナーとなり、自社のクラウドサービス基盤を提供し、導入に伴う環境構築や運用面でのサポートを行うことで堅調に実績を積み上げています。都築電気株式会社のクラウドPBXサービス「TCloud for Voice」もそのひとつであり、オンプレミスからクラウドサービスへ切り替える企業より好評をいただいております。また、コンビニエンスストア各拠点の店頭にあるマルチメディア端末を接続するSIPサーバーとして、ソフトウェア「NX-C1000 for Enterprise」を提供しました。こちらは多店舗展開をする小売業界のニーズに応えた事例となります。そのほか、近年クラウドPBXの需要が高まる中、当社グループのクラウドPBXサービス「U-cube voice」も大手通信事業者を介して様々な企業に継続的にご利用いただいています。運用の利便性を向上する新機能を追加したことにより、更にサービスが充実しています。

 当社グループでは、クラウドサービスの展開を拡大している中で、利用者に安心してサービスをご利用いただける環境の整備を実施しています。それに伴い、サービス運用やシステム保守を担うシステムサポート部において、国際規格である情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証「ISO/IEC 27001:2013」ならびにISMSクラウドセキュリティ認証「ISO/IEC 27017:2015」を取得いたしました。自社クラウドサービスのセキュリティ維持・改善においてより高いレベルを推進し、一層信頼される企業を目指します。

 PSTNマイグレーション関連においては、大手通信事業者に向けたソフトウェアSBC「NX-B5000」の需要が、2025年の移行完了に近づき落ち着いてきましたが、昨今では一般企業において、働く場所やデバイスの多様化により、IP電話サービスの需要が拡大しています。これによるトラフィックの増加が見込まれており、マルチ接続ゲートウェイ「NX-B5000 for Enterprise」の販売に繋がっています。大規模IVRサービス事業者の設備IP化に向けた販売や、クラウドPBXサービス事業者のゲートウェイとして、当社グループの通信事業者向けの製品の実績が評価され採用されました。これは、エンタープライズユーザーやコンタクトセンターでもIP化が加速している表れであり、引き続き顧客のニーズを捉えつつ、案件の獲得に取り組んでいきます。

 音声認識&AIサービス関連においては、コンプライアンス強化に向けて有効な、音声認識BPOサービス

「U-cube cogni」を金融機関に継続してご利用いただいています。また、株式会社NTTドコモによる携帯電話向け通話録音サービスや、通信事業者向けに通話録音自動テキスト化の機能となる「U-cube rec」を提供しています。そのほかには、全国に拠点を持つ官公庁や、複数の拠点を有する鉄道会社向けに、通話録音システム「LA-6000」を提供しました。通話の録音から録音データの収集・蓄積・管理まで実現することができ、今後も全国の拠点展開が見込まれます。

 保守サポート・サービスにおいては、堅調に推移しています。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、1,779,328千円(前年同四半期比9.5%の増加)となりました。

 

〔コミュニケーションDX事業〕

 当第3四半期連結累計期間では、DX/AIソリューション関連においては、業務のDX化が加速する中、電話システム機能の拡充、コールセンター支援、スマートフォンのアプリケーションに関するシステム開発などを実施し、当社グループの「U-cube connect」、「U-cube cogni」により音声認識後のデータの利活用を提供しています。さらに「U-cube connect」にSMS送信、FAX送受信機能を拡充したマルチチャネル対応IVRサービスも開始し、企業のDX導入に貢献します。また、エクシオグループ株式会社と協業し、クラウド型プラットフォームServiceNowの導入及び運用支援を継続して行っています。これによりServiceNowの新たなソリューションとして、エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社と協業し、IVRやSMS配信、音声認識などの音声DXソリューションを連携した、電話応対業務の自動化ソリューションも提供を開始しました。電話応対業務の効率化、顧客との情報共有により双方の負荷を削減、応対履歴管理による対応品質の向上などを実現しています。また、一般社団法人建設技能人材機構に、既存の電話システムと当社グループのオムニチャネルコミュニケーションサービス、都築電気株式会社のグループ企業である株式会社コムデザインのクラウド型CTIを連携したコールセンターソリューションを導入しました。簡易なお問い合わせに対しては、受付からSMS送信での情報提供まで自動で行えるようになり、スーパーバイザーによるモニタリングや対応履歴の管理・共有も高度化され、一層の顧客対応品質の向上と業務効率化を可能としています。

 そのほかには、音声通話、メッセージング、ビデオ通話などのコミュニケーション機能をAPIで提供するクラウドベースの通信プラットフォームであるCPaaS(Communications Platform as a Service)を自社で開発し、「U-cube CPaaS」として本格的に提供を開始しました。国内の通信事業者をはじめ多くの企業への導入実績を持つ当社グループのソフトウェアが活用されており、異なる事業者間やサービス間の相互接続性に優れたサービスです。当社グループの長年の通信事業者への導入実績から、安定した品質で永続的にサービスを提供すると同時に、グローバルパートナーを含め他の主要なCPaaSプロバイダとの連携により、新しい機能をいち早く提供いたします。またこれにより、ユーザー企業は日本のレギュレーションに沿った機能提供やサポートを受けながら、安定的で新規性の高い独自アプリケーションの開発を行うことができます。当社は、「U-cube CPaaS」を用いてパートナー企業が開発したクラウドアプリケーションを相互に利用できる会員制のコミュニティ「NextGen CaMP」を本年度より発足しており、先に記載した一般社団法人建設技能人材機構に向けたコールセンターソリューションも、まさにこの活動から生まれた都築電気グループとのコラボレーションによる導入事例となります。会員数の拡大及び会員間の交流や情報交換を通じて、国内市場におけるCPaaSの効果的な利用促進と市場のさらなる拡大を目指しています。

 BSSソリューション関連においては、前期に引き続き、モバイル事業者のユーザー制御、サービス制御、接続先毎の通信速度を制御するシステムの運用支援を行っています。また、導入済みのモバイルコアシステムのセキュリティ強化や、運用の簡易化に向けた更改対応を実施しました。そのほかには、モバイルサービスの運用支援を手掛けてきた実績から、モバイル通信制御システムの更改案件やMVNO設備の運用支援を実施しています。

 

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、602,879千円(前年同四半期比291.1%の増加)となりました。

 

②財政状態の状況

 資産、負債、純資産の状況

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、3,122,562千円となり、前連結会計年度と比べ118,474千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が202,865千円、仕掛品が66,064千円、原材料及び貯蔵品が104,398千円、流動資産「その他」に含まれる前払費用が23,137千円、ソフトウェア資産が100,273千円(新規開発及び取得等により265,251千円増加、減価償却により164,978千円減少)増加したことによるものであり、減少の主な要因は、前連結会計年度末に計上された売上債権等の回収により売掛金が376,482千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債の総額は、1,273,052千円となり、前連結会計年度と比べ65,136千円の増加となりました。増加の主な要因は、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が25,072千円、前受金が142,896千円、流動負債「その他」に含まれる未払費用が13,052千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、買掛金が86,332千円、流動負債「その他」に含まれる未払消費税等が11,316千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は、1,849,510千円となり、前連結会計年度と比べ53,337千円の増加となりました。増加の主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が51,941千円増加したことによるものであります。

 なお、2023年6月23日開催の第22回定時株主総会決議に基づき、資本準備金及び利益準備金の額の減少並びに剰余金の処分による欠損補填を行っております。これにより、資本剰余金が387,482千円減少し、利益剰余金が同額増加しております。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は、70,439千円であります。なお、当第3四半期累計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。

 

(5)従業員数

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員の著しい増減はありません。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、通信技術に関するソリューション・サービス提供を事業とする単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

① 生産実績

 当社グループは、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。

② 受注状況、販売実績

 

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

前年同四半期比(%)

受注高(千円)

1,729,219

102.5

受注残高(千円)

1,299,628

101.1

販売実績(千円)

2,382,207

133.9

 

(7)主要な設備

 当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい増減はありません。