E00649 Japan GAAP
前期
901.0億 円
前期比
117.3%
株価
1,884 (03/28)
発行済株式数
13,354,688
EPS(実績)
228.38 円
PER(実績)
8.25 倍
前期
593.4万 円
前期比
103.9%
平均年齢(勤続年数)
45.0歳(23.3年)
従業員数
785人(連結:1,318人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社8社、非連結子会社3社、持分法適用関連会社6社、及び持分法非適用関連会社7社により構成され、紙パルプ製品の製造販売、発電事業を主な内容とし、さらに、セルロース・ナノファイバー関連製品の製造・販売、紙加工品の製造・販売、原材料等の供給、製品の断裁加工・選別包装、並びに製品の物流及びその他のサービス等の事業活動を展開しております。
当社グループの事業内容及び事業に係る位置付けは、次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
紙・パルプ製造事業
発電事業
その他
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループを取り巻く経済環境は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限緩和により、経済活動の正常化が進み、景気は持ち直してきましたが、一方で、円安や長期化するロシア・ウクライナ問題による国際情勢の不安定化、原燃料価格の高止まり等、景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
このような状況のなか当社グループは、グラフィック用紙の需要減退に対応すべく、紙・パルプ事業の生産体制再構築の取り組みを進めるとともに、グループ事業について選択と集中による収益力向上を図るなど、既存事業の発展・強化に努めております。
環境ビジネスとして、nanoforestの化粧品原料への利用拡大、鶏舎用環境改善資材の販売を進めるとともに、農林水産省が策定する「みどりの食糧システム戦略」で推進する総合防除(IPM)の「物理的防除」に対応した農業資材の実用化への取り組みや、nanoforestを用いてプラスチック再生時の物性低下を防止する技術を利用し、再生プラスチック循環型社会の実現に向けた取り組みを進めております。加えて、プラスチック使用削減に貢献する中越エコプロダクツ事業については試運転を進め、早期事業化に注力しております。
当期の営業成績につきましては、製品価格の改定や製品販売強化、安定操業に取り組んだことにより前期と比較し、増収・増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は105,668百万円(前年同期比17.3%増収)となり、営業利益は2,594百万円(前年同期比10.3%増益)、経常利益は3,397百万円(前年同期比10.4%増益)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,050百万円(前年同期比140.5%増益)となりました。
事業の種類別セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(紙・パルプ製造事業)
◎ 新聞用紙
発行部数の減少による全体的な需要減に歯止めが掛からず、数量は前期を下回りました。金額は価格改定が寄与したものの数量減を補完するには至りませんでした。
◎ 印刷用紙
国内販売につきましては、コロナ禍で落ち込んでいた経済活動は正常化するも、複数回に亘る値上げやチラシ関連を中心とした低グレード化が進み全体数量は前期を下回りました。輸出については、期前半は好調に推移しましたが、期後半は東南アジアを中心とした需要減退があり、数量は前期並みとなりました。金額は販売数量減があったものの、価格改定が寄与して前期を上回ることが出来ました。
◎ 包装用紙
国内販売につきましては半導体不足による自動車関連低調が尾を引き、製粉関連の伸び悩みの影響も大きく、行動制限解除による土産物関連での手提袋の需要回復はありましたが、数量は前期を下回りました。内需減退の受け皿である輸出は東南アジアを中心とした需要減により前期を下回りました。販売数量減があったものの価格改定が寄与し金額は前期を上回ることが出来ました。
◎ 特殊紙・板紙及び加工品等
壁紙は好調に推移し前期を上回り、脱プラ需要および巣ごもり需要の食品関連を中心とした加工原紙も前期を上回りました。金額に関しましても販売数量増に加え価格改定が寄与し前期を上回ることが出来ました。
◎ パルプ
昨年秋口までの世界的パルプ市況の好調により、数量・金額ともに前期を上回りました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 94,246百万円(前年同期比 19.1%増収)
連結営業利益 1,559百万円(前年同期比 19.9%増益)
(発電事業)
燃料価格の高騰はありましたが、売電単価の価格改定を行ったことなどにより増収・増益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 7,340百万円(前年同期比 13.8%増収)
連結営業利益 806百万円(前年同期比 12.5%増益)
(その他)
文具事業の事業整理や原燃料価格の高騰等により減収・減益となりました。
これらにより、当事業の業績は以下のとおりとなりました。
連結売上高 16,543百万円(前年同期比 13.7%減収)
連結営業利益 100百万円(前年同期比 59.3%減益)
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ722百万円増加し、122,751百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,290百万円減少し、71,118百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,013百万円増加し、51,633百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,751百万円減少し、8,110百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,662百万円(前連結会計年度比67.7%減少)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益3,119百万円、減価償却費5,823百万円、売上債権の増加額4,596百万円、棚卸資産の増加額2,941百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,124百万円(前連結会計年度比62.7%増加)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出5,979百万円、長期貸付金の回収による収入630百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,795百万円(前連結会計年度比18.6%減少)となりました。
これは主として、長期借入による収入5,200百万円、短期借入金の純増減額2,499百万円による支出、長期借入金の返済による支出6,538百万円、配当金の支払額532百万円によるものです。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) パルプは未晒総生産量であり自家消費量を含んでおります。
当社グループは、大部分が市況を勘案した見込み生産を行っており、グループ全体の受注状況を把握することは困難であるため、該当事項については記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、製品価格の改定や国内・輸出向けに製品の販売を強化したことが寄与し、売上高は105,668百万円と前期に比べ15,563百万円の増収(前年同期比17.3%増)となりました。収益面では、円安や原燃料価格の高騰の影響を受けたものの、製品価格の改定のほか、安定操業や製造コストの縮減に努めたことで、営業利益2,594百万円(前年同期比10.3%増)、経常利益3,397百万円(前年同期比10.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,050百万円(前年同期比140.5%増)の増益となりました。
セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
2024年3月期の国内経済につきましては、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限解除が進み、インバウンド需要の回復など、経済活動は回復傾向にあるものの、物価上昇に伴う消費マインド停滞等、先行きについては不透明な状態が続くものと思われます。
また、海外におきましても、長期化するロシア・ウクライナ情勢や外国為替相場の変動等の影響による原燃料価格の上昇、中国の景気減速に伴う中国・東南アジアへの輸出減少など、経済活動の先行きは予断を許さない状況です。
このような状況下、販売におきましては原燃料価格の高騰に応じた適正価格の維持、製造工程における効率向上、安定操業実現による製造コスト圧縮の取り組みにより、収益基盤の強化を図ってまいります。また、『中期経営計画2025』で掲げる「既存事業の構造転換」・「環境投資・環境ビジネスの推進」の取り組みを確実に実践してまいります。
⑤ 財政状態及びキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ0.6%増加し、122,751百万円となりました。これは主として、現金及び預金が6,751百万円減少しましたが、受取手形、売掛金及び契約資産が4,596百万円、商品及び製品が1,606百万円、原材料及び貯蔵品が1,206百万円増加したこと等によります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3.1%減少し、71,118百万円となりました。これは主として、金融機関からの借入金が3,838百万円減少したことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6.2%増加し、51,633百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益3,050百万円、配当金の支払534百万円などにより利益剰余金が2,516百万円増加したことによります。また自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.2ポイント増加し42.0%となりました。
当社グループのキャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループの資金計画は、設備投資資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、銀行借入やコミットメントラインの利用などによって流動性を保持しております。今後の主な設備投資資金需要として、家庭紙マシンの新設(投資総額49億円)を予定しております。
また、当社グループはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、資金融通を行うことで資金効率を高めております。
当社グループの当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ6,751百万円減少し、8,110百万円となりました。
なお、当連結会計年度末の金融機関からの借入金の内訳は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、常に市場ニーズに密着し、創造的で信頼性の高い技術をもって、人と環境にやさしい「紙」の開発と安定した製品の供給により、経済・社会・文化の発展に寄与することを社会的使命と認識し「紙」の文化の創造に果敢に挑戦しております。
そして、「株主重視」「顧客重視」に心がけ、当社グループの総合力に対する信頼性と収益性の確保・向上を目指し、株主・顧客・地域社会・社員・企業の共存共栄を図るとともに、社会に対する貢献を重点に企業活動を行ってまいります。
また、グローバル化に対応し、迅速な情報開示に努め、透明な経営姿勢を保ち、加えて効率的な連結経営を行うことで、国際競争力の強化を図り、当社グループの存在価値を高めてまいります。