売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E31056 Japan GAAP

売上高

64.2億 円

前期

61.0億 円

前期比

105.2%

時価総額

239.4億 円

株価

598 (03/28)

発行済株式数

40,027,526

EPS(実績)

24.46 円

PER(実績)

24.45 倍

平均給与

637.0万 円

前期

628.4万 円

前期比

101.4%

平均年齢(勤続年数)

41.5歳(6.8年)

従業員数

191人(連結:262人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(メディカル・データ・ビジョン株式会社)、子会社7社及び関連会社1社により構成されております。当社グループは、高いセキュリティ環境の下、膨大な医療・健康に係るデータを蓄積し、それを有効活用することが、医療の質向上、ひいては医療消費者や生活者へのメリット創出につながると考えています。

 当社グループの事業は、「医療データネットワーク事業」の単一セグメントであるためセグメント毎の記載をしておりませんが、サービスは、(1)データネットワークサービス、(2)データ利活用サービス、及び(3)その他サービスで構成されております。

 

(1)データネットワークサービス

 データネットワークサービスは、情報の発生元の一つである医療機関に経営支援システムを提供すると同時に、医療機関及び患者から二次利用の許諾・同意を得たうえで医療・健康情報を収集・蓄積するものであります。主要サービスとして、①「MDV Act」、②「EVE」、③「Medical Code」、④その他医療機関向けサービス、⑤「カルテコ」等を展開しております。

 これらの経営支援システム等の提供に加え、お客様サポートサイトの提供、セミナーや勉強会の開催などをはじめとする様々なサポートを実施することにより、導入病院との強固な信頼関係に基づいたネットワークを構築しております。このネットワークを背景に、導入病院の中からデータ提出病院を日本全国くまなく分散して抽出し、DPCデータの提供を受け、大規模診療データベースを構築しております。

 

① 「MDV Act」

 「MDV Act」は、医療機関をサービス対象としており、現在無料で提供しているメインストーリー機能は、「EVE」、「Medical Code」を用いた分析の入り口となる、病院経営分析に必要な指標を一覧表示できるクラウド型病院経営改善アプリケーションです。分析に不慣れな方でも簡単に、病院全体の経営課題・改善点を抽出することができ、手間なく資料にすることが可能となります。

② 「EVE」

 「EVE」は、医療機関をサービス対象としており、出来高請求とDPC請求の差額分析、患者数・在院日数・医療資源などの各種指標を疾患別・症例別に分析するDPC分析ベンチマークシステムです。「EVE」の導入数は、2023年12月末現在、718病院となっており、大規模なDPC対象病院ベンチマークデータを保有していることが当製品の大きな強みとなっています。病院は「EVE」を導入することにより、他院との比較ができるベンチマーク機能で、自院の強みと弱みを把握した上での診療および経営方針の立案が可能となります。

③ 「Medical Code」

 「Medical Code」は、医療機関をサービス対象としており、DPCデータや電子レセプトデータなどの標準フォーマットデータを活用し、院内に埋もれているさまざまな経営課題の解決を支援するシステムです。原価計算はもちろん、そのコストデータを利用した経営改善の手法まで提示します。病院は「Medical Code」を導入することにより、院内での情報共有、意識改革・行動誘発を促し、効果的な経営改善が可能となります。

④ その他医療機関向けサービス

 その他医療機関向けサービスとして、「MDVデータプラットフォームサービス/MDV DPS(健全な病院経営支援のための情報活用基盤)」、「Director(「公立病院経営強化プラン」作成支援サービス)」、「カンゴッチ+(看護必要度分析アプリケーション)」などを提供しております。

 また、子会社各社において、CADA株式会社では「CADA決済(医療費後払いサービス)」、メディカルドメイン株式会社では医療系システム開発・販売事業、株式会社システム ビィー・アルファでは健診システム「アルファビーナス(総合健康管理システム)」及び「アルファサルース(クラウド型総合健康管理システム)」などのソフトウエア開発・販売事業を展開しております。

⑤ 「カルテコ」

 「カルテコ」は、患者及び生活者をサービス対象としており、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHRサービスです。患者自身が診療情報の一部(受診した医療機関情報、傷病名、検査結果、処方薬、処置・手術など)を保管・閲覧できるWEBサービスです。

 

(2)データ利活用サービス

 データ利活用サービスは、当社グループがデータネットワークサービスを通じて収集・蓄積した大規模診療データベースを中心とする医療・健康情報を活用したサービスであり、主に、製薬会社、研究機関、患者、生活者などに各種分析データ提供などを行っております。主要サービスとしては、①「MDV analyzer」、②アドホック調査サービス等を提供しております。

 

① 「MDV analyzer」

 「MDV analyzer」は、主に製薬企業及び研究機関をサービス対象としており、急性期医療機関の薬剤処方実態を日単位で分析できるWEB分析ツールです。製薬企業及び研究機関は「MDV analyzer」を導入することにより、特定の薬剤に対する患者数分析、併用薬分析、併発疾患分析、処方量・日数分析、薬剤・疾患パターン分析など、具体的な薬剤の処方実態分析が可能となります。また、「MDV analyzer for Academia(疫学調査支援ツール)」、及び「MDV analyzer for Oncology(癌領域に特化したデータ分析ツール)」など、利用者が求めるサービスラインナップの拡充に努めております。

② アドホック調査サービス

 アドホック調査サービスは、主に製薬企業及び研究機関をサービス対象としており、「MDV analyzer」の定型の分析メニューでは対応できない製薬会社のニーズに対し、個別の分析データ及び調査レポートを提供するサービスです。

 

(3)その他サービス

 株式会社Doctorbookにおいて「Doctorbook(医療分野に特化した会員型医療動画配信サービス)」、「Doctorbook academy(歯科オンラインプラットフォームメディア)」、及び「Clinical Cloud(医療従事者向けクラウドプラットフォーム)」などの事業やサービスを提供しております。

 

(事業系統図)

 

※画像省略しています。

24/03/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、「生活者が生涯を通じて自身の医療・健康情報を把握できる社会」及び「それらの情報をもとに、自身で医療・健康分野のサービスを選択できる社会」の実現をビジョンとして定義しております。当社グループは、主にデータネットワークサービスとデータ利活用サービスの2つの事業を展開しており、高いセキュリティ環境の下、膨大な医療・健康に係るデータを蓄積し、それを有効活用することが、医療の質向上、ひいては患者や生活者へのメリット創出につながると考えております。

 データネットワークサービスは、情報の発生元の一つである医療機関に経営支援システムを提供すると同時に、医療機関及び患者から二次利用の許諾・同意を得たうえで医療・健康情報を収集・蓄積するものであります。データ利活用サービスは、当社グループがデータネットワークサービスを通じて収集・蓄積した大規模診療データベース「さくらDB」を中心とする医療・健康情報を活用したサービスであり、主に製薬会社、研究機関などに各種分析データ等を提供するものであります。また、当連結会計年度よりデータネットワークサービスの一部をその他サービスとして区分化し、新たな収益の柱とすべく事業を推進しております。その他サービスについては、当社の子会社であるDoctorbookが扱う医療動画配信サービスなどで構成されています。

 当連結会計年度においては、2022年11月に発表した中期経営計画の1カ年目となり、中期経営計画達成に向けての2つのテーマである、データ獲得基盤の強化とオープンアライアンス戦略を軸に事業活動を行ってまいりました。

 データ獲得基盤の強化においては、「MDV Act」を中心に医療機関向けサービスのクラウド型への移行が順調に進んだことにより、新規顧客の獲得が進み、顧客数が着実に積み上がりました。オープンアライアンス戦略においては、複数の新規アライアンス契約の締結を行いました。引き続き積極的なアライアンス先の獲得や提携先との関係強化、提携を生かした新たなサービスの提供を推進してまいります。

 また、2023年11月にPHRシステムである「カルテコ」のスマートフォンアプリ版を全面リニューアルし、リリースいたしました。『わたしと大切な家族の健康管理』をコンセプトに、バイタルセンシング技術により自分自身や家族の自律神経のバランスを計測することで、家族の健康管理が容易になりました。さらに、健診結果などのデータを取り込むことで疾患の発症確率やかかる医療費を予測し、検査キット販売やオンライン診療に誘導する機能も搭載しました。今後も随時機能追加を予定しており、カルテコの普及及び利用促進を図ってまいります。

 この結果、当連結会計年度の売上高は6,419,026千円(前期比5.2%増)、売上総利益は5,031,002千円(前期比0.0%増)、販売費及び一般管理費は3,260,081千円(前期比0.4%減)、営業利益は1,770,921千円(前期比0.7%増)、経常利益は1,700,418千円(前期比2.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は979,125千円(前期比12.5%増)となりました。

 また、当社グループは、医療データネットワーク事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。(以下、「② キャッシュ・フローの状況」においても同じ。)

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、3,218,073千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,616,314千円(前期は910,795千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が1,567,922千円であったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、437,831千円(前期は868,752千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出が393,744千円であったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、225,264千円(前期は979,359千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額が228,827千円であったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、医療データネットワーク事業の単一セグメントであります。

 

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

生産高

データネットワークサービス(千円)

832,073

135.8

データ利活用サービス   (千円)

446,242

133.4

その他          (千円)

109,708

86.3

合計(千円)

1,388,024

129.2

 (注1)金額は売上原価によっております。

 (注2)サービスの区分については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり変更しておりま

         す。

 

b. 受注実績

 当社グループのサービスは、受注から納品までの期間が極めて短いため、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

販売高

データネットワークサービス(千円)

1,462,937

95.3

データ利活用サービス   (千円)

4,434,644

110.8

その他          (千円)

521,444

92.1

合計(千円)

6,419,026

105.2

 (注)サービスの区分については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり変更しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産残高は、前連結会計年度末と比べて1,323,839千円増加し、6,221,216千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末と比べて1,137,682千円増加し、4,662,221千円となりました。これは主に、現金及び預金が953,218千円、売掛金が140,757千円増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末と比べて186,157千円増加し、1,558,995千円となりました。これは主に、投資有価証券が279,757千円増加したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末の負債残高は、前連結会計年度末と比べて613,052千円増加し、1,904,142千円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末と比べて598,721千円増加し、1,805,513千円となりました。これは主に、未払法人税等が382,425千円増加したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末と比べて14,330千円増加し、98,629千円となりました。これは、資産除去債務が14,330千円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産残高は、前連結会計年度末と比べて710,787千円増加し、4,317,074千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が979,125千円であることと、剰余金の配当の結果、利益剰余金が749,944千円増加したことによるものです。

 

③ 当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 データネットワークサービスにおいては、「MDV Act」を中心にクラウド型サービスへの移行が順調に推移したものの、機能的なバグの改修の影響によりクラウド型健診システム「アルファサルース」の拡販が当初の想定より進まなかったことなどから、売上高は1,462,937千円(前期比4.7%減)となりました。データ利活用サービスにおいては、主に製薬会社向けの調査・分析サービス及びWEB分析ツールである「MDV analyzer」の売上拡大により、売上高は4,434,644千円(前期比10.8%増)となりました。その他サービスにおいては、コロナ禍の収束によるLIVE配信受託の減少などの影響などから、売上高は521,444千円(前期比7.9%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,419,026千円(前期比5.2%増)となりました。

 

(売上総利益)

 売上高が前期比で増加したものの、データネットワークサービスにおけるクラウドサービスの提供開始に伴う費用の増加や、データ利活用サービスにおける保険者データの仕入に係る費用の増加などによる原価の増加により、売上総利益は5,031,002千円(前期比0.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費及び営業利益)

 販売費及び一般管理費においては、人員増強・既存人員の昇給などによる人件費の増加があったものの、研究開発費などの減少により3,260,081千円(前期比0.4%減)となりました。この結果、営業利益については1,770,921千円(前期比0.7%増)となりました。

 

(経常利益)

 営業外費用において、当連結会計年度より持分法適用会社である株式会社センシングの投資損失を計上したことなどにより、経常利益は1,700,418千円(前期比2.9%減)となりました。

 

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損失において、当社連結子会社である株式会社Doctorbook及び株式会社システム ビィー・アルファにおけるのれん等の減損損失を計上しました。また、法人税、住民税及び事業税を625,037千円、法人税等調整額を△11,412千円などを計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は979,125千円(前期比12.5%増)となりました。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは財務の安全性を重視するとともに、銀行借入に依存しない経営を継続しております。資金の運用は短期的な預金等に限定するとともに、運転資金については内部資金により調達することを原則としております。

 当社グループの運転資金需要の主なものは、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費等の営業費用であり、これらの支出は内部資金によっております。また設備投資資金等についても、現金及び預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。

 また、利益配分に関して、当社は株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと位置付けており、連結配当性向20%以上程度を目途に、長期安定的な配当を行っていくことを基本方針としています。加えて、資本効率の向上を通じた株主利益の向上及び機動的な資本政策の遂行のため状況に応じて自己株式取得を機動的に行ってまいります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高成長率、売上高経常利益率、ROEを経営上の重要な指標と位置づけ、高い成長率の持続と収益性及び資本効率のさらなる向上を図り、企業価値のさらなる増大を目指しております。

 当連結会計年度の売上高成長率は5.2%、売上高経常利益率は26.5%、ROEは25.2%となりました。

 引き続き、これらの指標について、高水準の持続及び改善に取り組んでまいります。