売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E31131 Japan GAAP

売上高

19.2億 円

前期

16.9億 円

前期比

113.7%

時価総額

398.9億 円

株価

2,321 (05/02)

発行済株式数

17,188,051

EPS(実績)

-30.85 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

585.2万 円

前期

546.7万 円

前期比

107.0%

平均年齢(勤続年数)

35.7歳(3.6年)

従業員数

38人(連結:177人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

1.当社グループのミッション

 当社グループは、「Change the Frame 〜テクノロジーで実社会に変革をもたらし、新しい暮らしをつくりあげる〜」というミッションを掲げています。これは、データセクション株式会社の強みはその名のとおりデータ分析の「技術力」であり、その技術を世の中にしっかりと実装することを最重要視しているためです。創業から今日に至るまでデータ分析の領域をテキスト、画像・動画、音声データへと広げて参りました。

 創業当初から当社は「自然言語処理」というテキスト解析の技術をベースにビッグデータ(※1)、特にソーシャルメディア(※2)から得られる情報の分析サービスを提供してまいりました。具体的には、消費者のクチコミを把握し、広報・プロモーション業務や世の中の風評リスク対策業務へ活用すべくSaaS(※3)による分析ツールの提供や、これらの分析を人的に行うコンサルティングサービス、更には個別企業向けにカスタマイズ開発を行うソリューションサービスを展開しております。

 また、近年ではテキスト解析技術のみならずDeep Learning(※4)による「画像・動画解析」をAI技術にて開発しております。この画像・動画解析技術を活用して様々な新規事業開発を行い、後述の「(1)SaaS」に記載されている店舗内カメラデバイスによる小売店支援ツールである「FollowUP」は現在当社グループの中核サービスとして位置づけられております。 また、AI技術という手段は様々な業界・業務に活用できる可能性を秘めております。そのためには、しっかりと業界毎、もしくは業務毎の課題を理解した上で技術を実装する必要があります。こうした業界毎の課題や知識・ノウハウを深く把握するための手段として、その業界に強みを持つ企業との資本業務提携やM&Aを視野に入れた事業展開を行ってまいります。

 

2.具体的なサービスの内容

 当社グループは、当社と連結子会社5社及び関連会社1社により構成されております。当社はソーシャルメディアから得られる情報分析についての「SaaS」及び「リサーチコンサルティング」と、AI技術やソーシャルメディアのデータ分析に関するシステム開発を行う「ソリューション」を担っております。また、連結子会社であるソリッドインテリジェンス株式会社は海外特化型の「リサーチコンサルティング」、連結子会社である株式会社ディーエスエスは基幹システムの保守運用受託、システム受託開発に関する「ソリューション」、連結子会社であるJach Technology SpA、Alianza FollowUP S.A.S.、Inteligenxia S.Aは「SaaS」の主力である「FollowUP」の海外展開をそれぞれ担っております。

 なお、当社グループの事業は単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、サービスの名称は「SaaS」、「リサーチコンサルティング」、「ソリューション」としております。これらに加え、AI技術とデータ分析を活用した様々なビジネスモデルのイノベーションを推進するAI新規事業開発を展開しております。

 

 当社グループの主な特徴は以下のとおりです。

・自然言語処理技術、画像動画解析技術、音声解析技術などのデータ解析技術が強みの源泉

・「SaaS」、「リサーチコンサルティング」、「ソリューション」という3つのサービスを提供

・AI、データ分析関連新規ビジネスの創出力

 

 サービスごとの具体的な説明は以下のとおりです。

(1)SaaS

 SaaSで提供するサービスには「FollowUP」や「Insight Intelligence」等があります。

①FollowUP

 FollowUPは、入店客の店内行動から、販売パフォーマンスの向上や改善の施策を導き出す店舗分析ツールです。店舗の現状を常時把握できる分析機能や、店舗オペレーションの改善に結びつく充実したサポート体制により、売り上げ向上に貢献します。

 また、アフターコロナにおける小売業界のDX推進等を支援するため、店舗内(スーパーマーケット、ドラッグストア、アパレル、銀行などの店舗及びショッピングモール)の人数を可視化し、入り口にて入店の可否を表示することで入店制限の自動化を支援する「Store Capacity Control(SCC)」、店舗入場者の発熱やマスク着用の有無を検知し、店舗スタッフの入退室を顔認識で管理することで万が一スタッフに感染者が発生した場合に、いつどの店舗にいたかのトレーサビリティを実現する「HealthyUP」、店舗内で実施する消毒などの感染対策オペレーションのスタッフ教育が行えるeラーニングと、日々の感染対策オペレーションの確実な実行を支援するタスキング機能を提供する「COVID-19 Tasking」などのサービスも提供しております。

②Insight Intelligence

 Insight Intelligenceは、「ソーシャル・ビッグデータの傾聴・分析を行うツール」であり、調べたいトピックに対して、ソーシャルメディアのデータ分析をリアルタイムに行うことができるツールであります。

 対象顧客としては、一般消費者向けに商品やサービスを提供する大手メーカーやサービス提供会社及び広告会社・PR会社、コンサルティング会社等の広報部、宣伝部、コンサルティング部、営業戦略部、経営戦略部、リスク管理部などで、「広告出稿後の効果測定を行いたい」、「マーケティング戦略に活用したい」、「リスク情報を認知したい」といった顧客の要望に応えるサービスです。

③Insight Intelligence Q

 Insight Intelligence Qは、当社がソーシャルメディア分析コンサルティングのサービス提供を通して長年培ってきたノウハウを取り入れ、「マーケター視点のソーシャルリスニングツール」として開発されたものです。

Insight Intelligence Qにより、マーケターが手間暇をかけて行っていたデータ解析の結果をスピーディーに取得することができ、様々な施策に生かすための知見(ファインディングス)を得ることが可能となります。

④その他提供サービス

ソーシャルリスクモニタリングツール「Social Monitor」

  ソーシャルメディア上に存在するリスク情報を、素早くかつ効率的に把握できるサービスであります。

 

(2)リサーチコンサルティング

SaaSのツール活用にとどまらず、ソーシャルメディアのデータをアナリストが分析、コンサルティングするサービスを提供しております。大手広告代理店との共同サービスを基に、ソーシャルメディアのデータ分析の切り口を定型化した手法により、属人的にならない品質の高い分析を提供できる体制を整備しています。当社の連結子会社であるソリッドインテリジェンス株式会社では、外国人が投稿する多言語のソーシャルメディアの分析・コンサルティングサービスを官公庁・自治体・訪日インバウンド事業を展開している企業に提供しています。新型コロナウイルス感染症の影響より、早期回復を模索するために訪日外国人の意識調査への関心は依然高いままであると認識しております。

ソーシャルメディアのデータ分析・評価は、顧客から定期的に求められることが多く、リサーチコンサルティングにおいても、継続的な売上を期待できる体制となっております。

 

(3)ソリューション

 ソリューションは、顧客が持つ自社内のデータを基に、当社グループに蓄積されているソーシャルメディアのデータや、AI技術を組み合わせて、セミオーダー型にてシステムの受託開発を行うものです。

一般的に大手のシステムインテグレーターにおけるシステム開発においては、「ユーザインターフェース設計」「システム設計」「プログラムコーディング」「プログラムテスト」「システムテスト」「オペレーションテスト」等多くの工程を経て成果物が作り出されるため、開発のための時間とコストが多くなる等により、顧客の修正要望に応えることが難しい状況であると考えられます。

当社グループでは、プロトタイピング手法により、まず成果物の外形を作り出し、その外形から修正を加えていくという手法をとることで、コストをリーズナブルに、短期間で、お客様の要望を満たす成果物を開発することを目指した体制を整えております。

また、当社の連結子会社である株式会社ディーエスエスにおいては、金融系システムのアプリケーション開発・基盤構築及び運用・保守事業を行っており、当社グループの事業においてフィンテック領域を担っております。同社は2021年4月に共同印刷株式会社の100%子会社であるTOMOWEL Payment Service株式会社と、法人向けプリペイドカードサービス「Bizプリカ」( https://bizpreca.jp/ )の共同運営に関する業務提携を締結するなどフィンテック領域での事業展開の加速を図っております。

 

(4)AI新規事業開発

 当社グループは、上記のサービスに加え独自のAI技術(Deep Learning)を活用したソリューションを提供しております。サービス内容としましては、AIプラットフォームである「MLFlow(Machine Learning Data Flow)」などがあります。

 AIソリューションについて、主な差別化要因として、Deep Learningを活用したAIソリューションに早期から着手していることによるノウハウの蓄積と先行優位性が挙げられると当社では考えております。

 

3.当社グループの今後の新たな可能性について

 前述した、SaaS、リサーチコンサルティング、ソリューションが、当社の現在における主力サービスとなっており、これら既存サービスにおいても継続的な発展が期待できます。また今後は、どの業界も「IT化」が進んだように「機械学習」を生かしたビジネス開発をしていくことが主流となると考えられます。このように「機械学習前提社会」へと変革していく流れを当社が主導し、AI技術とデータ分析のさらなる活用により、様々なビジネスモデルでのイノベーションを創出していく可能性も期待ができます。

 

 

AI技術とデータ分析の活用による取り組みの事例

 データセクションが保有する、データ解析技術(自然言語処理、画像・動画解析、音声解析)を核に、AI技術の多様な産業領域への適用・拡大が期待されています。今後、更に開発スピードを速めるとともに、AI技術を適用する産業領域の拡大に努めてまいります。

 具体的には、以下に示す分野へ取り組んでおります。

a.コミュニケーション分野

 音声解析AIを活用した、議事録作成、音声翻訳、合成音声、スマートカンファレンス(リアルタイムで音声をテキスト化・多言語翻訳し、議事作成や情報管理を実現)などのサービスの実装を目指しております。

 また、コールセンターの自動応答システムや、音声アシスタント端末など、自然言語によるユーザインターフェイスのコアAI技術獲得を目指しております。

b.小売・流通分野

 小売・流通業に対する取り組みとして、AIの画像解析技術を活用した、売上向上及びコスト削減、マーケティング施策の立案などに向けたソリューション開発を進めております。

c.医療分野

 医療分野についての取り組みとして、遠隔地の医療データを収集し、収集した医療データへAI技術を適用することで遠隔医療を推進し、医療・介護の社会負担を軽減するソリューションの開発を進めております。

 

 

<用語解説>

※1

ビッグデータ

 従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が困難な大規模なデータの集合です。

※2

ソーシャルメディア

 インターネット上で展開される情報メディアのあり方で、個人による情報発信や個人間のコミュニケーション、人の結びつきを利用した情報流通等、社会的な要素を含んだメディアです。

※3

SaaS

 ソフトウェアを通信ネットワークなどを通じて提供し、利用者が必要なものを必要なときに呼び出して使う利用形態です。

※4

Deep Learning

 データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術です。機械学習や深層学習とも呼ばれています。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

23/06/30

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としての活動制限が緩和されることにより経済活動が順次再開されている一方、為替相場の変動やロシアのウクライナ侵攻に起因した資源価格の高騰など、依然として先行き不透明な状態が継続しています。

 当社の主要セグメントの属するリテールテック市場(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。

 デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界の国内市場(投資金額)については、スーパーなどの小売店舗における現場担当者の経験知がシステム化され、需要予測・発注業務が自動化されるほか、OMO(Online Merges with Offline)が進展し、実店舗とECの顧客購買データと行動データを活用したRaaS(Retail as a Service)ビジネスが普及するとみられること、販売業務の省人化と顧客行動データの取得・活用、購買体験の向上に向けてデジタル店舗技術が浸透し、市場が拡大するとみられることから、2030年度予測は2020年度比5.6倍の2,455億円と予測されています(富士キメラ総研「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。

 また、AIビジネスの国内市場においては、2021年度以降は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現するための要素技術の一つとしてAIの利用がさらに増加していき、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。

 このような状況のもと、当社グループは、当連結会計年度において、グローバル展開加速のための事業投資、体制強化のための積極的な人材採用やリテンション強化施策等を実行しております。

 また、第1四半期連結会計期間において重要性が増したことに伴い、ペルーの非連結子会社であったFollow UP Peru S.A.C.を、連結子会社化いたしました。

 

 当連結会計年度の経営成績は次のとおりであります。

(売上高)
 当連結会計年度の売上高は1,924百万円(前期比13.7%増)となりました。この主な要因は、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)においてシステム開発案件の受注が増加したこと、前連結会計年度の第2四半期に連結子会社とし前連結会計年度の下期から損益を取り込んでいるInteligenxia S.A.の売上が当連結会計年度の売上高に寄与したこと、当連結会計年度の第1四半期からFollow UP Peru S.A.C.を非連結子会社から連結子会社としたこと、海外連結子会社各社においてサービスの受注が増加していることによるものであります。

 

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は1,138百万円(前期比13.0%増)となりました。この主な内訳は、人件費525百万円、業務委託費453百万円、減価償却費102百万円であります。

 

(販売費及び一般管理費)
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は841百万円(前期比38.5%増)となりました。この主な内訳は、人件費389百万円、のれん及び顧客関連資産償却費119百万円、業務委託費55百万円、備品消耗品費31百万円、租税公課30百万円、減価償却費26百万円、募集費25百万円、監査報酬23百万円、地代家賃22百万円であります。

 

(営業利益及び調整後EBITDA)

 上記より、売上高1,924百万円(前期比13.7%増)、グローバル展開加速のための事業投資、人材採用を中心とする体制強化による人件費の増加、DSSにおける受注案件の大型化に対する外注費(業務委託費)の増加により営業損失55百万円(前期は77百万円の営業利益)となりましたが、調整後EBITDAは、特別損失として計上したのれん償却費461百万円を無形固定資産償却費に加え算出した結果689百万円(前期比128.4%増)となりました。

※調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用

 

(営業外収益)

 当社が保有する外貨建債権等の評価替えに際し、円安が進行したことから、為替差益として72百万円を計上いたしました。また、非連結子会社からの配当による受取配当金7百万円等を計上いたしました。

(特別利益)

 投資有価証券売却益として102百万円を計上いたしました。

 

(特別損失)

 経営環境の変化等により当初の事業計画からの乖離が生じ、一時的に超過収益力が見込めなくなった子会社(Jach Technology SpA)について減損処理を行った結果、のれん償却費として461百万円を計上いたしました。また、当社の保有する固定資産の一部について減損の兆候が認められたため、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく回収可能性を検討した結果、減損損失170百万円等を計上いたしました。加えて、当社が保有する投資有価証券の一部について、取得価額に比べて実質価額が著しく下落したため、減損処理により投資有価証券評価損として13百万円を計上いたしました。

 

(法人税等調整額)

 現時点での将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産を計上することとし、これにより法人税等調整額(益)30百万円を計上いたしました。

 

(経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の経常利益は、営業外収益に、外貨建債権等に係る為替差益72百万円、及び非連結子会社からの配当による受取配当金7百万円等を計上した結果、経常利益46百万円(前期比71.6%減)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益102百万円を計上したこと、特別損失としてのれん償却費461百万円、減損損失170百万円、及び投資有価証券評価損13百万円等を計上したこと、並びに法人税等調整額(益)30百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純損失530百万円(前期は2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

イ. リテールマーケティング

 リテールマーケティングにおきましては、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして提供しております。

 当連結会計年度における「FollowUP」の国内展開は、顧客層の広がりや数十店舗単位での一括導入も進んでいるため、顧客数自体は横ばいであるものの、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数は増加し、売上高は前期と比べ増加いたしました。

 「FollowUP」の海外展開においては、複数国において大型案件が進行し、必要な事業投資を実行しながら着実にプロジェクトを進行しております。当連結会計年度においては南米を中心に多ヵ国かつ多店舗で展開をするショッピングモールへの全店導入の交渉を行い、順調に受注を獲得しております。売上においては、連結子会社であるJach TechnologySpA(チリ)及びAlianza FollowUP S.A.S.(コロンビア)において順調に売上を伸ばしているほか、前連結会計年度以降連結に取り込んだInteligenxia S.A.(チリ)とFollow UP Peru S.A.C.(ペルー)が業績に寄与し、売上高は前期と比べ増加いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は939百万円(前期比68.9%増)となり、セグメント利益は69百万円(前期は18百万円のセグメント損失)と利益が拡大しました。

ロ. データ分析ソリューション

 データ分析ソリューションでは、ソーシャルメディア分析事業、AI・システム開発事業、新規事業を行っております。

 ソーシャルメディア分析事業では、ソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。

 AI・システム開発事業では、ビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社のDSSでは、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ」( https://bizpreca.jp/ ))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。

 新規事業では、AIによる医療系データ解析サービス(NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図))の開発、音声解析AIによるサービスの開発、を行っております。

 当連結会計年度におけるソーシャルメディア分析事業は、当社においては、効率的な業務体制構築をすすめてまいりましたが複数顧客の解約により前期と比べ売上高は減少しました。また、連結子会社であるSIは、当連結会計年度においては、前期と比べ受注案件数が減少し売上高は減少しました。

 当連結会計年度におけるAI・システム開発事業は、当社においては、既存取引のストック収入の減少に対し、データ収集と分析に関する複数の開発案件を受託したことから、売上高は前期と比べ微減となりました。また、DSSでは、近年取り組んできた難易度の高い大型案件を着実にリリースしたことにより、前期と比べ売上高は増加いたしました。一方で、難易度の高いプロジェクトへの対応や業務の工数が増加しているため、持続的な成長を維持すべく、積極的な人材採用や外注を利用したリソースの確保等を実行してまいりました。

 当連結会計年度における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。

 これらの結果、当連結会計年度の外部顧客への売上高は、AI・システム開発事業で売上高が増加したものの、ソーシャルメディア分析事業で売上高の減少した結果985百万円(前期比13.3%減)となり、セグメント損益については、DSSにおける受注案件の大型化に対する外注費(業務委託費)の増加等により、セグメント損失111百万円(前期は275百万円のセグメント利益)となりました。

 

また、当連結会計年度における財政状態の概況は次の通りであります。

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して14百万円減少し(前年度末比0.3%減)、4,386百万円となりました。
 これは、その他流動資産が133百万円、ソフトウエアが112百万円、投資その他の資産が232百万円増加し、のれんが562百万円減少したことを主要因とするものであります。

 

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して294百万円増加し(前年度末比18.6%増)、1,877百万円となりました。

 これは、短期借入金が108百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が190百万円それぞれ増加したことを主要因とするものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して309百万円減少し(前年度末比11.0%減)、2,508百万円となりました。

 これは、譲渡制限付株式等の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ59百万円増加したこと及び海外子会社の財務諸表の為替換算により生じた為替換算調整勘定が74百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が526百万円減少したことを主要因とするものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して、5百万円減少し、その結果として1,415百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、2百万円(前連結会計年度は、113百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失△500百万円、投資有価証券売却損益△102百万円、減価償却費143百万円、減損損失170百万円及びのれん償却費566百万円の計上等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、255百万円(前連結会計年度は、304百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入102百万円の一方、有形固定資産の取得による支出86百万円、無形固定資産の取得による支出210百万円、貸付による支出41百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は、242百万円(前連結会計年度は、28百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金による収入560百万円、短期借入金の増加101百万円、長期借入金の返済による支出385百万円によるものであります。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当社グループは、事業の特性上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。

 

 b.受注実績

 当社グループは、事業の特性上、受注実績の記載になじまないため、省略しております。

 

 c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

リテールマーケティング(千円)

939,003

168.9

データ分析ソリューション(千円)

985,255

86.7

合計(千円)

1,924,259

113.7

 

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社デジタルガレージ

187,732

11.1

219,294

11.4

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当社グループは、M&Aを活用しグロ-バルな成長を推進しており、そのような授業特性を踏まえ、当社グループの事業活動におけるキャッシュ・フロー創出力を示す指標として調整後EBITDA(※)を重要な指標として位置付けております。

(※)調整後EBITDA = 営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用

 

 当連結会計年度における調整後EBITDAは689百万円であり、前連結会計年度と比較して387百万円増加しました。また、売上高に対する調整後EBITDA比率は35.8%であり、前連結会計年度と比較して18.0ポイント改善しました。引き続き当該指標の改善に邁進してまいります。

 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高1,924百万円(前年同期比13.7%増)、営業損失55百万円(前期は77百万円の営業利益)、経常利益46百万円(前期比71.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失530百万円(前期は2百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 セグメント別の売上高の状況は以下のとおりであります。

(リテールマーケティング事業)

 リテールマーケティング事業では、国内展開で、顧客層の広がりや数十店舗単位での一括導入も進み、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数は増加し、売上高増加に寄与しました。海外展開においては、複数国において大型案件が進行し、必要な事業投資を実行しながら着実にプロジェクトを進行しており、連結子会社であるJach TechnologySpA(チリ)及びAlianza FollowUP S.A.S.(コロンビア)において順調に売上を伸ばしているほか、前連結会計年度以降連結に取り込んだInteligenxia S.A.(チリ)とFollow UP Peru S.A.C.(ペルー)が売上高増加に寄与いたしました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は939百万円(前期比68.9%増)となりました。一方、コスト面では海外子会社ののれん償却負担や将来のさらなる成長への投資のために人員強化を行ったことや販売促進を強化したにより、営業費用が増加した結果、セグメント利益は69百万円(前連結会計年度は18百万円のセグメント損失)となりました。

(データ分析ソリューション)

 データ分析ソリューション事業では、DSSで近年取り組んできた難易度の高い大型案件を着実にリリースしたことなどにより、AI・システム開発事業で売上高が増加したものの、ソーシャルメディア分析事業で売上高の減少した結果、当連結会計年度の売上高は985百万円(前期比13.3%減)、セグメント損失111百万円(前連結会計年度は275百万円のセグメント利益)となりました。

 

b. 経営戦略の現状と見通し

 2024年3月期も引き続き、売上及び利益の拡大に努めてまいります。

 具体的には、各事業において下記の対応を行い企業価値の向上を図ってまいります。

イ. リテールマーケティング

「国内」

・FollowUPの提供によるオーガニックな成長を維持するとともに、開発した自社プロダクトの投入や、他の自社サービスとのクロスセル等により付加価値の向上と、幅広い業種の顧客からの大型案件を図り、売上と利益の拡大を目指します。

「海外」

・インフォーマルマーケット(露店等)から、フォーマルマーケット(ショッピングモール等)への市場成長が加速する南米マーケットにおいては、引き続き、現地の上場ディベロッパーなどや、小売業オーナーとのリレーションを活かし、ショッピングモールなどの大型案件の獲得を目指すとともに、買収により抑えたリセラーの販路や、プロダクトのラインナップ強化により、その提供価値を拡大いたします。

ロ. データ分析ソリューション

「AI・システム開発事業」

・当社単体では、市場調査に基づく顧客ニーズに照らした更なるコンサルティング機能の発揮や、ターゲッティングの先鋭化により付加価値性の高い大型案件の受託を図るとともに、今後のIT活用可能性の高い業種、パブリックセクター案件への参画など戦略的な取組と、産学官連携による協働研究案件など、将来の収益基盤となるチャネル拡大を併進します。このため、エンジニアの採用強化に加え、稼働体制を整備することで、受注採算の向上にも努めてまいります。

・連結子会社の株式会社ディーエスエスにおいては、大手金融機関等との強固なリレーションで得られたノウハウを、デジタル決済や自社プロダクト開発に活かし、中期的な収益基盤の拡大に努めるとともに、短期的なエンジニアリソースの不足などにも対応するため、柔軟な人材採用、機動的な外注の活用、マネジメント層の育成等の体制強化を進めてまいります。

 

「ソーシャルメディア事業」

・「Insight Intelligence」や「Insight Intelligence Q」などのツールにおいては、引き続き効率的なリード獲得に努めるとともに、リテールマーケティング等の他事業とのクロスセル、金融機関などのチャネル拡大により、着実な成長を目指します。

・連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社においては、PR(セミナー実施、展示会出展等)による観光(インバウンド)領域における更なる知名度の拡大、・内閣府、外務省、農水省、経産省などの中央省庁およびその外郭団体からの受託拡大による観光以外の公官庁案件の横展開・安定化、その他新サービスの開発等を定性的な目標としております。

 

 2024年3月期の連結業績は、売上高2,000百万円と国内・海外双方のバランス良い成長を図るとともに、各社においてより一層、受注採算やコスト意識を徹底することによる利益向上、また、当連結会計年度で、のれんの一括償却及び減損損失を計上したことによる償却費の減少などを考慮し、営業利益は60百万円の予想としております。また、調整後EBITDAは、のれんの減損を考慮しない平年度ベースで、295百万円と増益を見込んでおります。

 

 

 

c. 資本の財源及び資金の流動性の分析

(財務戦略)
 当社グループは、安定した財務基盤を維持し、手元資金を十分に確保することで、積極的な投資の機会を確保することを基本的な財務戦略としております。この戦略にもとづき海外事業に積極的に投資を行ってきた結果、当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は2百万円となりました。

(具体的な資金需要と資金調達方法)
 当社グループは、主に「FollowUP」のサービス提供のため顧客店舗に設置する機器等の設備投資、サービス拡充目的のためのソフトウエア開発等を行っています。また、事業シナジーがあり利益の増大を見込むことができる事業には、M&Aも含め積極的に投資を行う方針です。これらを実行するための資金調達は、財務安定性の維持と投資のリスクや回収期間を考慮して自己資本、借入及びその組合せのうち最適な方法により資金調達を行う方針です。

(資金の流動性)
 営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金と、金融機関からの長期借入金及び当座貸越契約の締結等のさまざまな手段により資金調達を行い、手元資金の流動性を十分に確保しております。

 

d. 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。