売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31131 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の分析

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、内需及びインバウンド需要の回復など、社会活動の正常化の動きがみられました。一方で、国際情勢不安、円安の進行、物価上昇など、景気動向についてもいまだ予断を許さない状況が続いております。

 AIビジネスの国内市場においては、2023年度以降は、アプリケーション機能の高度化や特定業務に特化したシステム活用への投資が増えるとみられています。アプリケーションやシステムをユーザーの要望に合わせて複雑化させると、コストや開発スピードなどの要因から外注よりも内製化するケースが多くなると予想され、それに伴い、特に内製化に関連するミドルウェアやサーバー/ストレージ/IaaSなどの品目が大きく伸長することから、2027年度には2021年度比1.7倍の1兆9,787億円が予測されています(富士キメラ総研「2022 人工知能ビジネス総調査」)。

 南米のスマートリテールデバイス市場は、2019年の18億3,220万米ドルから2027年までに26億6,920万米ドルに成長すると予想されています。2020年から2027年までに5.3%のCAGRで成長すると推定されています。南米のスマートリテールデバイス市場は、ブラジル、アルゼンチン、およびその他の南米の地域に分類されます。この地域には複雑なマクロ経済的および政治的環境を抱える国がいくつかあり、さまざまな成長シナリオが存在します。ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルーなどの発展途上国は、インフラストラクチャーや小売部門の開発に多額の投資を行っています。さらに、これらの地域の多くの小売業者は、競争力を高め、変化のメリットを適応させるためにデジタル変革を開始しています。コロンビアとブラジルはデジタルイノベーションに急速に進化しており、チリはデジタル化とイノベーションにおいて最も優れた国にランクされ、「傑出した」国とみなされています。このデジタル変革は、地域全体のスマート小売デバイス市場に新たな機会を提供します。都市化の進行により、さまざまなショッピング複合施設やレクリエーションセンターが成長しており、この地域のスマート小売デバイスの需要が高まると予想されています(Business Market Insights「South America Smart Retail Devices Market research report 」)。

 リテールテック(決済端末・セルフ操作端末、次世代ファシリティ、次世代オペレーション)の国内においては、コロナ禍でも事業を維持するために、フルセルフレジや遠隔接客システムなど、非接触対応や少人数のスタッフで業務を行うための投資が進み、従来、データ化できていなかった消費者の属性や店内行動などの可視化、およびデータ利活用に関する品目が伸びており、今後は、レジレス決済システムやスマートエントランスなど、次世代ソリューションが伸びるほか、RFIDソリューションや需要予測システムなど、サプライチェーン全体の最適化に関連する品目が伸長することから、2030年の市場は2021年比2.2倍の5,553億円が予測されています(富士経済「2022年版 次世代ストア&リテールテック市場の現状と将来展望」)。

 デジタルトランスフォーメーションに係る流通/小売業界については、実店舗の人手不足を補い、来店客の購買体験を改善・拡充するフルセルフレジ、また、食品スーパーや総合スーパーではタブレット端末付きショッピングカートの導入が進んでおり、今後は無人店舗ソリューションの伸びも期待されること。ショッピング体験の拡充に向けて、小売事業者やSI、広告事業者がAR/VR技術を活用した展開を進められていること。デジタルオペレーションでは、自動発注システムが食品や総合スーパーを中心に採用が広がっており、卸事業者のSCM向けの導入も期待され、また、需要予測システムは廃棄ロス削減やSDGs対応ニーズにより、全国展開する大手リテーラーで導入が進んでいることから、2030年度予測は2021年度比3.6倍の1,852億円と予測されています(富士キメラ総研「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編」)。

 

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は次のとおりであります。

 

(売上高)

 当第3四半期連結累計期間の売上高は1,549百万円(前年同四半期比16.3%増)となりました。この主な要因は、連結全会社が増収となったことにありますが、中でも、チリの連結子会社であるJach Technology SpA(以下、「Jach」といいます。)がオーガニックに大きく売上高を伸ばしたほか、前連結会計年度の第2四半期に連結子会社とし前連結会計年度の下期から損益を取り込んでいる同じくチリの連結子会社であるInteligenxia S.A.(以下、「Inx」といいます。)のPMI効果による売上高の増加、また、当連結会計年度の第1四半期からFollow UP Peru S.A.C.(以下、「Peru」といいます。)を非連結子会社から連結子会社としたことなど、海外事業においてサービスの受注が大きく増加したことによるものであります。

 

(売上原価)

 当第3四半期連結累計期間の売上原価は1,057百万円(前年同四半期比27.2%増)となりました。この主な内訳は、人件費518百万円、業務委託費408百万円、減価償却費100百万円、サーバー使用料39百万円であります。

 

(販売費及び一般管理費)

 当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は674百万円(前年同四半期比8.3%増)となりました。この主な内訳は、人件費349百万円、業務委託費66百万円、のれん及び顧客関連資産償却費42百万円、地代家賃29百万円、募集費28百万円、支払報酬料28百万円、租税公課25百万円、支払手数料17百万円であります。

 

(営業外費用)

 支払利息として20百万円、また、持分法による投資損失として5百万円等を計上いたしました。

 

(特別損失)

 2023年12月14日付「連結子会社における損失発生について」にて開示しました優先配当権の処理として、旧株主との間で、既存の旧株主向けの貸付金との相殺消去を軸としたクロージング協議を進めており、この関係で、旧株主向け貸付金に係る回収可能性の見込を勘案し、当該貸付金に関する貸倒損失として505百万円を計上いたしました。

 

 上記により、売上高は1,549百万円(前年同四半期比16.3%増)となった一方、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加を主因として、営業損失は182百万円(前年同四半期は122百万円の営業損失)となりました。この結果、調整後EBITDAは、のれんの償却費などキャッシュアウトを伴わない費用はほぼ計画通りであったものの、営業損失の拡大により△23百万円(前年同四半期は115百万円)となりました。また、営業外費用に、支払利息20百万円、及び持分法による投資損失5百万円等を計上した結果、経常損失は217百万円(前年同四半期は47百万円の経常損失)となり、特別損失として、貸倒損失505百万円を計上したこと及び、足元の業績を踏まえ将来の課税所得を再度見積もりしたことによる法人税等調整額89百万円などを計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は852百万円(前年同四半期は14百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。

 

※ 調整後EBITDA=営業利益+減価償却費+無形固定資産償却費+株式報酬費用+M&A関連費用

 

 当第3四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 第2四半期連結会計期間において、報告セグメントの区分を変更しております。詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」をご参照ください。

 なお、セグメントごとの比較情報については、前第3四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

イ. 国内事業

 国内事業では、AI・システム開発事業、ソーシャルメディア分析事業、リテールマーケティング事業、新規事業を行っております。

 AI・システム開発事業は、当社単体でビッグデータ分析で培った技術力・ノウハウとAI技術(テキスト/画像/音声)を活用したユーザ個別ソリューション開発を行うとともに、連結子会社の株式会社ディーエスエス(以下「DSS」といいます。)では、決済サービスの提供(法人向けプリペイドカードサービス「Biz プリカ 」

(https://bizpreca.jp/))、SES事業(カード会社、決済会社、証券会社等)、カード会社を中心とした金融

系受託開発、MSPサービス(AWSを中心としたクラウドシステム構築・運用・保守サービス)、セキュリティサービス(PCIDSSコンサル業務やセキィリティ診断サービス等)を提供しております。

 当第3四半期連結累計期間の当社においては、2023年9月にThe ROOM4D株式会社(以下「4D」といいます。)から譲り受けたデータサイエンス事業が寄与し、前年同四半期と比べ、売上高が増加しました。また、DSSにおいては、複数の大型開発案件が進行し、前年同四半期と比べ売上高が増加いたしました。

 今後は、大手優良企業を中心とする顧客及びデータ活用とAIの開発実績を保有している4DのPMIとして、データサイエンス領域の強化を図るほか、データの利活用などのコンサルティング、あるいはIT教育などの顧客ニーズを契機に、当社の強みである大容量のデータ分析あるいは、保守運用までの一貫してサービス提供を拡大するとともに、Fintech領域を事業基盤とするDSSとの更なる連携を図り、受注拡大につとめてまいります。

 ソーシャルメディア分析事業は、当社単体でソーシャルメディア分析ツール「Insight Intelligence」及び「Insight Intelligence Q」などのストック型のサービスを提供するとともに、連結子会社のソリッドインテリジェンス株式会社(以下「SI」といいます。)で多言語ソーシャルメディア分析におけるコンサルティングサービスを提供しております。

 当第3四半期連結累計期間の当社単体においては、昨年度からの効率的な販売体制構築を優先した結果、新規受注が伸び悩み、売上高は前年同四半期と比べ減少しました。一方、連結子会社であるSIにおいては、パブリックセクターやインバウンドニーズを的確にとらえ売上高は増加いたしました。この結果、事業全体では前年同四半期に比べ、売上高は増加いたしました。

 リテールマーケティング事業は、当社において、小売店舗に設置したAIカメラで取得する画像・動画データとPOSデータと掛け合わせて分析することで店舗の業績向上を支援するストック型のサービス「FollowUP」を主要サービスとして、国内大手企業などへ提供しております。

 当第3四半期連結累計期間における「FollowUP」の国内展開は、昨年度後半から今年度にかけて、多店舗展開を行う小売業の顧客からの複数の受注が進行し、「FollowUP」の導入店舗数及びカメラ設置台数が増加したことで、売上高は前年同四半期と比べ増加いたしました。

 新規事業では、AIによる医療系データ解析サービスとして、モニタリングAI(心電図)、NEDO軽度認知症解析AI(音声)、NEDO脳波癲癇解析AI(脳波、心電図)の開発、音声解析AIによるサービスの開発、を行っております。

 当第3四半期連結累計期間における新規事業は、小売業向けの新規のプロダクト開発や医療関連ビジネスの進行に注力いたしました。

 これらの結果、国内各社全般に受注が拡大していることから、売上高は934百万円(前年同四半期比8.7%増)と増加しましたが、本年度の基本方針である事業ポートフォリオの再構築に向けた先行費用の発生、事業買収による、今後中核となるエンジニア人材の増強や、業容拡大に対応したBPO費用の拡大、ならびにグローバル企業としての基盤整備とガバナンス強化に向けた専門家の活用などによる人件費及び業務委託費の増加などの費用増加がこれを上回ったため、41百万円(前年同四半期は62百万円のセグメント利益)のセグメント損失となりました。

 

ロ. 海外事業

 海外事業においては、グローバル20か国以上への「FollowUP」展開を行っております。

 相対的に今後の高い成長性が見込まれる南米マーケットを主戦場とし、チリの連結子会社であるJachにおいては、現地上場ディベロップメントなど優良大口顧客からの受注など、オーガニックに案件や顧客の大型化を進行したほか、傘下子会社であるスペイン及びパナマの非連結子会社を、第2四半期連結会計期間から連結子会社化することで、複数国における商圏拡大を通じ、グローバルな事業基盤を更に強化しております。

 また、2021年に買収を行ったInx並びに、前連結会計年度に連結子会社化したPeruなども順調な企業成長を実現しており、買収事業としてのPMIも着実に進行しております。

 これらの結果、海外事業における当第3四半期連結累計期間の外部顧客への売上高は630百万円(前年同四半期比28.6%増)となり、セグメント利益は135百万円(前年同四半期比187.8%増)となりました。

 

②財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して880百万円減少し(前年度末比20.1%減)、3,505百万円となりました。

 これは、貸倒損失の発生に伴い、長期貸付金が505百万円減少したことなど、投資その他の資産が714百万円減少したことを主要因とするものであります。

 

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して77百万円減少し(前年度末比4.1%減)、1,799百万円となりました。

 これは、短期借入金が113百万円、固定負債のその他が49百万円、未払費用が33百万円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が266百万円減少したことを主要因とするものであります。

 

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比較して803百万円減少し(前年度末比32.0%減)、1,705百万円となりました。

 これは、親会社株主に帰属する四半期純損失に起因し、利益剰余金が858百万円減少したことを主要因とするものであります。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当第3四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 該当事項はありません。