E31948 Japan GAAP
前期
115.8億 円
前期比
118.6%
株価
837 (05/15)
発行済株式数
17,967,900
EPS(実績)
68.62 円
PER(実績)
12.20 倍
前期
531.4万 円
前期比
102.5%
平均年齢(勤続年数)
39.9歳(10.7年)
従業員数
506人(連結:550人)
当社グループは、企業経営とICT(※1)が融合し、その重要性と技術革新のスピードが増し続ける情報サービス産業において、「システムインテグレーション・サービス」、「インフラソリューション・サービス」及び「パッケージベースSI・サービス」の3つのサービスを通じて、顧客の経営に直結するシステム課題を解決する「システムソリューションサービス」を行うシステムインテグレータ(※2)であります。
当社グループの事業はシステムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントでありますが、事業領域をサービスライン別に区分した概要及び当社の特徴は、下記のとおりであります。
(1)サービスラインの概況
① システムインテグレーション・サービス
システムインテグレーション・サービスは当社事業の中核となるサービスであり、金融業(銀行・保険・証券・クレジットカード)、産業・流通業、公共分野、医療分野等の幅広い分野において、顧客であるエンドユーザや国内メーカー、大手システムインテグレータからの受託開発を中心に行っております。当社グループは企画立案、システム構築、システム運用の工程を全て手掛けており、トータルでサービスを顧客へ提供できることが特徴です。
まず企画立案においては、経営及び情報技術の視点から顧客の基幹業務システムに関するコンサルティング、顧客の業務の効率化や顧客に提供するサービスの向上につながる課題解決の提案、そしてシステム構築に向けて実装すべき機能や満たすべき性能などを明確にするための要件定義を行います。その後、システム構築においては、システム機能の確定やユーザインターフェースを決定する基本設計、システム機能の各内部処理を詳細化する詳細設計を行い、プログラム等の製造に取り掛かります。製造後は各プログラムの連携を確認する結合テスト、システム全体機能や性能を確認するシステムテストを行います。最後にシステム運用テスト(受入テスト)において、製造された製品が顧客要求を満たしているかを確認し納品に至ります。その後も製品が正常に稼働する為に継続的に保守、システム運用を行っております。
② インフラソリューション・サービス
インフラソリューション・サービスは、顧客のITシステム基盤となるサーバ等ハードウェアの導入やネットワークの構築、データベース、アプリケーション基盤等のシステムインフラを構築するとともに、その後の運用や保守までの一連のサービスを提供し、また、システム基盤の有効活用の観点から仮想化(※3)技術にも対応したサービスを提供しております。
一般企業、大学等の教育機関、病院、官公庁等さまざまな顧客のそれぞれのITシステムインフラ環境を調査、分析した上で顧客のニーズに適したインフラソリューション・サービスを提供しております。
当社グループではネットワーク構築等のインフラソリューション・サービスに加えて、システムインテグレーション・サービスを組み合わせたトータルサービスをエンドユーザや国内メーカー、大手システムインテグレータのニーズに応じて提供するワン・ストップ・ソリューションも展開しております。
③ パッケージベースSI・サービス
当社グループは、成長分野の柱としてシステム・パッケージベンダ(※4)とアライアンスを組み、場合によってはパッケージの提供を受け、顧客へソフトウェアパッケージ製品(Salesforce、SuperStream、SAP、COMPANY等)の導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守、運用までを行い、トータルサービスを提供していくパッケージベースSI・サービスを展開しております。
特に2010年4月よりスタートした、株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドコンピューティング(※5)の営業支援・顧客管理システムの導入支援、カスタマイズ、アドオン開発を行うサービスを中心に拡大しております。
(2)協力会社との連携
システムソリューションサービスにおいて、特に金融業や公共分野の顧客においては、概して大規模な基幹業務システムとなるため、大手ハードウェア機器の製造から販売、システム導入まで一貫して手掛ける国内メーカーや大手システムインテグレータ各社と連携して顧客へサービスを展開しております。その中で、大規模システムの構築にかかる顧客ニーズに柔軟に応えるよう当社の社員のみならず、当社と協力会社が連携して、一体となって大型プロジェクトに参入しております。当社グループでは、協力会社のシステムエンジニアが当社と一体になるようコアパートナー制度を導入し、認定された協力会社とは安定的・継続的発注、教育研修機会の提供、定例会の開催等を実施し、長期的な協力関係の構築を推進しており、大型プロジェクトに参入しやすい環境を整えております。
(3)クオリティ確保のための取り組み
① 業務関連資格の習得について
当社グループは、50年以上にわたり顧客と一体となって基幹業務システムを中心に受託開発を行ってきましたが、当社グループではシステム開発技術の習得に加え、顧客のそれぞれの業種、業務に関する知識と経験を基にして、基幹業務システムに関するコンサルティング、課題解決に向けた提案、システム化企画、設計、開発、保守、運用までをトータルに提供してきております。顧客の事業フィールドに立ち、顧客と同じ目線でシステムソリューションサービスを提供するために、例えば銀行業界・証券業界においては銀行業務検定や証券外務員資格を取得するなど、顧客の各業務関連資格の取得に取り組んでおります。
顧客の業種に応じた当社のシステムエンジニアの特徴(取り組みの例)は以下のとおりであります。
業種別 |
システムエンジニアの特徴(取り組みの例) |
金融/銀行・証券・保険 |
各種銀行業務検定試験の合格、証券外務員の資格を取得し、顧客である預金業務、融資業務等銀行の視点でサービスを提供 |
金融/クレジットカード |
クレジットカード業界の社員向けの業務研修を受講し、顧客の視点でサービスを提供 |
産業・流通 |
・販売士の資格を取得し、百貨店の顧客の視点でサービスを提供 ・ネットワーク関連技術に関する各種資格を取得し、顧客の業種に応じた視点でサービスを提供 |
医療 |
診療情報管理士及び医療情報技師の資格を取得し、顧客である病院の医師、看護師等の視点でサービスを提供 |
その他業種 |
プロジェクトマネジメントに関する国際資格であるプロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(PMP)等の資格を取得し、顧客の業種に応じた視点でサービスを提供 |
② システム品質確保について
システム開発においては開発規模の大型化と顧客の要求の高度化、オープン化の進展によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます増大しており、納期厳守と高い品質の確保が要求されております。
当社グループでは高いシステム品質を確保するために、企画立案の工程からの設計品質の作り込み、製造工程での製造品質の作り込み、テスト工程での品質確認の充実などを図って、顧客の品質期待に応えるシステム開発を推進しております。また、品質改善推進部を設置し、品質確保プロセスの標準化やプロジェクト品質監視を図り、顧客から要求された納期厳守と品質改善/品質確保に努めております。
(※1)ICT(Information and Communication Technology)とは「情報通信技術」の略であり、IT(Information Technology)とほぼ同義の意味を持ちますが、従来のITの意味するコンピュータ技術に加えて、それを使ったコミュニケーションを強調した表現であります。
(※2)システムインテグレータとは、企業情報システム構築において、顧客企業の業務内容を分析し、情報システムの企画・立案、基本設計、プログラムの製造、ハードウェア・ソフトウェアの選定・導入、完成したシステムの保守・運用までの一連の業務を請け負う事業者のことを言います。
(※3)仮想化とは、プロセッサやメモリ、ディスク、通信回線など、コンピュータシステムを構成する資源及び、それらの組み合わせを、物理的構成に拠らず柔軟に分割したり統合したりすることであります。
1台のサーバコンピュータをあたかも複数台のコンピュータであるかのように論理的に分割し、それぞれに別のOSやアプリケーションソフトを動作させる「サーバ仮想化」や、複数のディスクをあたかも1台のディスクであるかのように扱い、大容量のデータを一括して保存したり耐障害性を高めたりする「ストレージ仮想化」などの技術があります。
(※4)システム・パッケージベンダとは、特定の業種や業務で汎用的に使用可能なソフトウェアパッケージ製品を開発、販売する事業者のことを言います。
(※5)クラウドコンピューティングとは、従来のように独自のサーバやパソコン内に保存するデータやアプリケーションソフトウェアを使用するのではなく、インターネットを介して「サービス」として利用するものであります。
[事業系統図]
当社グループの主要なサービスライン別に、当社と顧客等との関連を系統図で示すと以下のとおりです。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を図るウィズコロナへの移行が進められ、各種政策効果もあり、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方で原材料・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念、物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが属する情報サービス業界においては、引き続きデジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドサービスの利活用等の投資需要が依然として強く、堅調な状況が続いております。また、「標的型攻撃」に代表されるサイバー攻撃への防衛策等、情報セキュリティ対策の重要性も一層高まっております。
このような環境のもと当社グループでは、2022年4月より新たに子会社1社が加わり、2021年4月から2024年3月における中期経営計画「VISION2023」実現に向け、M&Aの推進、業務提携先との連携強化、DXビジネス推進、直ユーザ取引の拡大、得意分野の更なる強化に取り組み、企業価値の向上を目指してまいりました。特に事業構造の選択と集中により、高収益プロジェクトへのシフトについて、昨年度末より取り組みを強化してまいりました。さらに既存顧客とのパートナーシップの強化による領域の拡大及び顧客満足度の向上に努め、引き続きDX推進本部を中心とする、ローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル分野に対応した人材育成の強化、クラウドシフトへの取り組みに注力し、開発要員の採用強化及びパートナー企業との更なる連携強化に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は11,578,940千円(前年同期比20.7%増)となりました。利益面につきましては、関西事業所の移転、新たな子会社の取得による取得費用、のれん及び顧客関連資産の償却額等、経費が増額したものの、事業構造の選択と集中による高収益プロジェクトへのシフトが順調に進められた結果、営業利益は1,222,409千円(前年同期比40.2%増)、経常利益1,238,200千円(前年同期比40.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は772,096千円(前年同期比23.1%増)となりました。当連結会計年度においては、売上高・利益ともに二桁増加率を達成しております。
当社事業のサービスライン別の業績を示すと次のとおりであります。
事業のサービスライン |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
システムインテグレーション・サービス |
6,345,058 |
113.0 |
インフラソリューション・サービス |
1,354,193 |
103.2 |
パッケージベースSI・サービス |
3,879,687 |
145.3 |
合計 |
11,578,940 |
120.7 |
(システムインテグレーション・サービス)
金融分野については、ネットバンク向け受託開発案件が順調に推移し、またクレジットカード分野における統合案件等による売上が大幅に増加したことにより前年を上回りました。また、産業・流通分野については引き続き、エネルギー関連分野向け受託開発案件、流通分野向け基幹システム構築案件等の売上が増加、公共分野については昨年度から続いている大型プロジェクト案件及び行政機関向けシステム開発案件の受注による売上が増加したこと等により大きく伸長しております。この結果、システムインテグレーション・サービス全体の売上高は6,345,058千円(前年同期比13.0%増)となりました。
内訳を業種別に示すと、次のとおりであります。
業種別 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
売上高(千円) |
売上高(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
|
金融 |
2,619,968 |
2,725,234 |
43.0 |
104.0 |
(うち銀行) |
1,460,600 |
1,501,072 |
23.7 |
102.8 |
(うち保険・証券) |
275,307 |
221,084 |
3.5 |
80.3 |
(うちクレジットカード) |
884,059 |
1,003,077 |
15.8 |
113.5 |
産業・流通 |
2,154,070 |
2,668,145 |
42.1 |
123.9 |
公共 |
262,698 |
402,023 |
6.3 |
153.0 |
医療 |
576,614 |
549,655 |
8.7 |
95.3 |
計 |
5,613,352 |
6,345,058 |
100.0 |
113.0 |
(インフラソリューション・サービス)
当社におけるDX推進の中心であるクラウド開発案件の受注が大きく増加し、また半導体不足の影響も緩和されてきており、産業・流通向け基盤構築・導入案件の受注が増加したことにより、売上高は1,354,193千円(前年同期比3.2%増)となりました。
(パッケージベースSI・サービス)
当社におけるDX推進の中心であるクラウド分野のSalesforce関連の導入支援及びアドオン開発の全社展開における大型案件獲得、金融業向け開発案件の受注拡大等により売上が大きく伸長致しました。また、子会社インフリー社での中心ビジネスであるSAP関連の導入支援及びアドオン開発の売上も大規模プロジェクトの受注により大きく増加しております。さらに子会社テクニゲート社(旧社名:株式会社NESCO SUPER SOLUTION)が展開する会計パッケージの導入支援、保守及びアドオン開発等の売上が今年度より新たに加わった結果、パッケージベースSI・サービス全体の売上高は3,879,687千円(前年同期比45.3%増)と売上が大きく増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,934,265千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は981,624千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額1,238,200千円、減価償却費の計上額112,146千円、のれん償却費の計上額71,814千円、仕入債務の増加額58,355千円、棚卸資産の減少額27,089千円、退職給付に係る負債の増加額13,639千円、賞与引当金及び役員賞与引当金の増加額109,195千円、その他流動負債の増加額29,194千円等の資金の増加と、売上債権の増加額141,794千円、契約負債の減少額21,729千円、受注損失引当金の減少額59,000千円、その他流動資産の増加額10,251千円、法人税等の支払額443,891千円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は644,367千円となりました。これは主に、短期貸付金の回収による増加額330,016千円の資金の増加と、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出790,825千円、有形及び無形固定資産の取得による支出149,956千円、保証金の差入による支出24,971千円等の資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は286,553千円となりました。これは株式の発行による収入3,128千円の資金の増加と、配当金の支払額287,263千円、自己株式の取得による支出2,418千円の資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループの事業は、システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、サービスライン別に示しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
5,146,487 |
112.8 |
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,078,384 |
94.5 |
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
2,959,420 |
147.1 |
合計 |
(千円) |
9,184,290 |
119.1 |
(注)1.金額は製造費用によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||||
受注高 |
前年同期比(%) |
受注残高 |
前年同期比(%) |
||
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
6,487,946 |
110.6 |
1,377,095 |
112.1 |
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,339,864 |
101.0 |
280,471 |
95.1 |
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
4,211,598 |
155.8 |
778,139 |
214.6 |
合計 |
(千円) |
12,039,408 |
121.7 |
2,435,705 |
129.1 |
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業のサービスライン別に示すと、次のとおりであります。
事業のサービスライン |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
システムインテグレーション・サービス |
(千円) |
6,345,058 |
113.0 |
インフラソリューション・サービス |
(千円) |
1,354,193 |
103.2 |
パッケージベースSI・サービス |
(千円) |
3,879,687 |
145.3 |
合計 |
(千円) |
11,578,940 |
120.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
富士通株式会社 |
2,582,658 |
26.9 |
3,130,928 |
27.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は7,502,777千円となり、前連結会計年度末と比較して1,002,696千円の増加となりました。これは主に、現金及び預金が156,106千円増加、売掛金及び契約資産が221,365千円増加、前払費用が37,864千円増加、その他の流動資産が17,801千円増加、有形固定資産が48,494千円増加、無形固定資産におけるソフトウェア及びソフトウェア仮勘定が66,843千円、のれんが230,875千円、顧客関連資産が305,100千円増加、差入保証金が15,178千円増加、繰延税金資産が18,360千円増加した一方、システム開発の進捗により仕掛品が16,406千円減少、有価証券が100,000千円減少したことによるものであります。また、負債合計は2,637,048千円となり、前連結会計年度末と比較して503,618千円の増加となりました。これは主に、買掛金が101,453千円増加、未払金が15,442千円増加、未払費用が24,643千円増加、未払法人税等及び未払消費税等が55,129千円増加、契約負債が135,997千円増加、賞与引当金及び役員賞与引当金が109,195千円増加、退職給付に係る負債が28,836千円増加、繰延税金負債が86,637千円増加した一方、受注損失引当金が59,000千円減少したことによるものであります。
純資産合計は4,865,729千円となり、前連結会計年度末と比較して499,077千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が484,833千円増加、非支配株主持分が15,031千円増加したことによるものであります。
以上により、自己資本比率は64.65%となりました。
b.経営成績
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当連結会計年度の売上高は11,578,940千円(前年比120.7%)と大きく伸長しました。主な要因としては、1点目は2022年4月より新たな子会社1社が加わったことによる売上増加であります。2点目は前年度後半から事業構造の選択と集中による高収益プロジェクトへのシフトが順調に推移したことです。このことによって全てのサービスラインが前年を超えることができました。
サービスライン別の状況は、まず当社事業の中核であるシステムインテグレーション・サービスは、ネットバンクを中心とした金融分野の売上について、大型プロジェクトの収束等により減収となりましたが、産業・流通分野においては通信業向けシステム開発案件の売上が増加、流通分野のシステム開発案件の売上が増加、エネルギー関連のシステム開発案件の増加、公共分野の新規大型案件の受注獲得による売上が増加した結果、売上高は6,345,058千円(前期比113.0%)となりました。
次に、インフラソリューション・サービスにおいては、クラウドビジネス人材の育成を中心に事業を展開しましたが、半導体不足によりプロジェクトの延伸や中断が発生し、文教分野の基盤構築案件の縮小の結果、売上高は1,354,193千円(前期比103.2%)となりました。
最後に当社のDX推進の中心であるパッケージベースSI・サービスにおいて、当社におけるクラウドビジネスの中心であるSalesforceビジネス関連においては、昨年度からの複数事業部での展開による開発案件の受注が大きく増加しました。また子会社インフリーが展開するSAP案件について、当社の相乗効果による開発案件の受注が増加しました。これらの結果により売上高は3,879,687千円(前期比145.3%)と、大きく成長することができました。
当連結会計年度の売上原価につきましては9,073,132千円(前年比116.8%)となりました。これは不採算プロジェクトの収束対応に伴う人件費が増加、DX推進本部における将来の新デジタル分野の人材育成に伴う教育研修費及び人件費が増加いたしましたが、コロナ禍の活動自粛に伴う会議費・交際費の減少、リモートワークによる旅費交通費の減少等による経費減少、低利益率プロジェクトの構造改革に伴う事業構造の集中と選択を行った結果、原価率は78.4%(前年比2.6ポイント減)となり、当連結会計年度の売上総利益は2,505,808千円(前年比137.1%)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,283,398千円(前年比134.4%)となりました。その主な要因は、企業結合により取得費用61,349千円、のれん償却額及び顧客関連資産償却額121,714千円計上したことによるものであります。
その結果、営業利益は1,222,409千円(前年比140.2%)となりました。
(営業外損益及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は21,097千円(前年比193.7%)となりました。これは業務受託料8,637千円、助成金収入9,526千円、受取配当金1,886千円等によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は5,305千円(前期比156.2%)となりました。これは関西事業所移転に伴う固定資産除却損4,392千円、支払利息824千円によるものであります。
その結果、経常利益は1,238,200千円(前期比140.8%)となりました。
(当期純利益)
以上の結果より、親会社株主に帰属する当期純利益は772,096千円(前期比123.1%)となりました。
c.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を図るウィズコロナへの移行が進められ、各種政策効果もあり、景気に持ち直しの動きが見受けられます。しかしながら原材料・エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、欧米各国の金融引き締めによる世界的な景気後退懸念、物価上昇等、景気の先行きは不透明な状況が続くものと思われます。
情報サービス業界におきましては、先端技術の普及や業務効率化ニーズの高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、サイバーセキュリティ対策の需要増加、クラウド化の進展、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)等のITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足への対応等、中長期的にはIT投資は引き続き拡大すると想定しております。
その一方で、当業界では業者間の受注競争の激化に加え、パートナー企業を含む開発要員獲得の面で非常に厳しい経営環境が続いており、依然として人材確保と育成が経営課題の最重要課題となっております。
このような状況の中で当社は、2021年4月から2024年3月における中期経営計画「VISION2023」実現に向け、M&Aの推進、業務提携先との連携強化、DXビジネス推進、直ユーザ取引の拡大、得意分野の更なる強化に取り組み、企業価値の向上を目指しております。2023年3月期においては、事業構造の集中と選択、Salesforceビジネス推進室を中心したパッケージ導入支援、アドオン開発の全社展開の推進に注力し、事業拡大いたしました。今後も、技術革新が急速に進む情報サービス業界において常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくため、既存技術の強化とともにクラウドビジネスやパッケージベースSIサービスを中心とする成長力の高い事業ドメインの開拓、事業構造の集中と選択、直ユーザ取引の拡大に積極的に取り組み、長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に引き続き注力してまいります。
また、これらの成長を実現するため、DX推進本部を中心としたローコード開発やアジャイル開発等の新デジタル技術人材の育成強化、クラウドシフトの取り組み強化等、引き続き戦略投資を進めていく方針であります。
一方、継続的に発生している不採算プロジェクトに鑑み、不採算プロジェクト発生を防ぐべく、開発プロジェクトのマネジメント意識を高めるとともに、PMO要員によるプロジェクト監視をさらに強化し、生産性の向上、経営効率化による基盤強化に向けた取り組みを一層加速し、利益率の向上を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、営業活動に伴い売掛金回収までの運転資金を主たる資金の需要としておりますが、金融機関からの借入金により、必要とする十分な資金を調達しております。なお当連結会計年度においては、引き続き慎重かつ保守的な財務活動にあたる方針としたことから当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は2,934,265千円となり、比較的厚めの資金ポジションをとっております。当連結会計年度末における資金は資産合計の39.1%を占めており、また流動比率は304.9%であることから十分な流動性を確保しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載されているとおりであります。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。