E32825 Japan GAAP
前期
21.7億 円
前期比
115.4%
株価
1,429 (04/26)
発行済株式数
7,487,400
EPS(実績)
95.23 円
PER(実績)
15.01 倍
前期
543.4万 円
前期比
101.5%
平均年齢(勤続年数)
33.4歳(3.9年)
従業員数
65人
当社は、「人と人のつながりを創り続ける」を経営理念として掲げ、ワークフロー製品の開発及び販売を主たる事業として行っております。
ワークフロー製品とは、企業の様々な業務にかかる稟議・申請から承認・決裁に至るまでの事務フローを電子化し、業務プロセスの効率化・自動化、内部統制の強化を図る等の製品の総称であります。これらの製品は、個別案件ごとにスクラッチ開発をする形態、グループウェア製品やERP製品の付随機能として提供される形態、独立したパッケージソフトとして提供される形態及びクラウドサービスとして提供される形態等があります。
当社は、Java技術を活用し日本型業務プロセスに適応したワークフロー製品を独自開発し、パッケージソフトとして「X-point」及び「AgileWorks」を販売し、クラウドサービスとして「X-point Cloud」を提供しております。
なお、当社の事業は「ワークフロー事業」の単一セグメントであるため、以下については製品・サービス区分別に記載しております。
(1)製品・サービス
① パッケージソフト
次の2つのパッケージソフトを販売しております。
[X-point]
「X-point」は、当社が独自開発したワークフロー製品であり、Java技術を活用し、利用者がWEBブラウザ上で「まるで紙に書くような」直感的な入力フォームを提供する製品であります。
当該製品は、ワークフローの基本機能(稟議・申請から承認・決裁に至るまで)の提供に加えて、導入企業の社内制度・規則等に応じた承認フローの柔軟な設定が可能であること、検索・データ集計機能等の提供、オプションを利用し主要なグループウェア製品やERP製品とのシステム連携が可能であること、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスにも対応し、利用者が社外等においてセキュアな環境のもとワークフロー処理が可能であること等の特徴があります。また、ワークフローにかかる入力フォーム(申請書様式)は、ユーザー企業においてプログラミングすることなく自由に構築可能であるほか、当社において予め作成した多種多様な業種及び業務に応じた稟議書や勤務表等の申請書テンプレートを提供しており、これらを活用することにより円滑な導入及び運用を可能としております。
なお、2003年4月の販売開始以降、継続的なバージョンアップを実施し、導入企業の要望を製品機能に取り込み・反映することにより、日本型業務プロセスに適応した製品となっております。
当該製品は、小規模から中規模企業(従業員数:300名から1,000名まで)を主たるターゲット層としており、高度な情報システムの知見がなくても容易に導入・運用が可能なシステム設計となっております。
当該製品は、クラウドサービスに経営資源を集中させるため、2022年3月をもって新規ライセンス販売を終了しております。
[AgileWorks]
「AgileWorks」は、「X-point」の機能を踏襲しつつ、より大規模な組織における運用を前提として開発した製品であります。
当該製品は、組織改編や人事異動等への対応強化(変更日を設定した先付メンテナンスが可能)、多言語対応(英語及び中国語)、アドオン型のシステム連携(他システムと連携するために必要な機能をパッケージ外部で追加開発すること)となっております。
当該製品は、中規模から大規模企業(従業員数:500名から10,000名まで)を主たるターゲット層としております。
② クラウドサービス
次のクラウドサービスを提供しております。
[X-point Cloud]
「X-point Cloud」は、パッケージソフト「X-point」をクラウドサービスとして提供しております。導入企業においては、自社サーバー等の設備が不要であること、初期導入が迅速であること、バージョンアップや機器管理の手間が不要であること等のメリットがあります。
当該サービスは、小規模企業(従業員数:300名未満)を主たるターゲット層としておりますが、100名未満のより小規模な企業への導入も推進しております。
[当社製品・サービスの概要]
|
X-point |
AgileWorks |
X-point Cloud |
販売/提供 |
パッケージソフト |
パッケージソフト |
クラウドサービス |
主要なターゲット企業 (ユーザー数) |
小規模・中規模企業 (300名から1,000名まで) |
中規模・大規模企業 (500名から10,000名まで) |
小規模企業 (300名未満) |
対応言語 |
日本語 |
日本語・英語・中国語 |
日本語 |
組織情報(組織変更・人事異動等)の履歴管理 |
組織管理は現行組織のみ |
組織情報の履歴管理可能 (組織変更等における先付けメンテナンスやフロー変更処理に対応) |
組織管理は現行組織のみ |
システム連携 |
連携オプションを利用 ・グループウェア連携 ・外部システムとのシングルサインオン連携等 |
拡張型(他システムとの連携のためのアドオン開発が可能) |
連携オプションを利用 ・グループウェア連携 ・外部システム連携 |
管理権限 |
システム管理者のみ承認フローの設定が可能 |
システム管理者に加えて、部門単位での承認フローの設定が可能 |
システム管理者のみ承認フローの設定が可能 |
販売方法 |
パートナー企業経由販売 |
パートナー企業経由販売 |
直接販売及びパートナー企業経由販売 |
(2)当社事業の特徴等について
① 日本型業務プロセスへの適応
当社製品・サービスは、多種多様な業種及び事業規模の企業に対して累計4,000社以上の導入実績を有しており、パートナー企業を通じてユーザー企業からの要望を随時集約し、継続的なバージョンアップにて顧客ニーズを反映させてきたことにより、事業会社等において必要とされる各種機能(書類作成・承認フロー設定・検索機能等)を有しているとともに、様々な組織形態や決裁ルールを有する企業へ柔軟に対応することが可能であります。また、Java技術を活用して構築された申請書(入力フォーム)は、「まるで紙のような」操作性・利便性を有しており、従来から書面で決裁業務等を行ってきた企業においても直感的かつ容易に利用することが可能であります。
なお、当社においては、製品・サービスの提供を通じて蓄積されたノウハウ等をベースに、上記事項を含むユーザー企業における実務及び管理上の利便性向上並びに内部統制強化等を追求した機能設計を志向しており、日本型業務プロセスに適応した製品として他社製品との差別化を図っております。
② 製品等のカスタマイズは行わない方針であること
当社のワークフロー製品及びサービスについては、導入企業の業務において必要となる機能は、顧客からの要望等を考慮・検討した上で、随時バージョンアップ等において機能追加・機能改善等を実施しており、導入企業ごとのカスタマイズによる開発は実施しておりません。
カスタマイズを行った場合、開発ソースの個別管理、サポートやバージョンアップ等にかかる運用コスト増加が生じることとなります。当社においては、当該要因を排除し、当社が必要と考える製品開発(バージョンアップ:機能強化)に必要な開発リソースを集中させることにより、製品力強化を図っていくことを基本方針としております。
③ パートナー企業(販売代理店)の活用
当社は、パートナー企業(販売代理店)を活用した営業体制を構築しております。パートナー企業は、当社兄弟会社である株式会社ソフトクリエイトを含むSIer等で構成され、2次代理店を含めて全国に販売網を構築しております。
なお、当社は、当社製品・サービスの取扱体制・取扱品目等によりパートナー企業を区分しており、その概要は以下のとおりであります。
パートナー企業の区分 |
概 要 |
プラチナパートナー(※) |
当社製品の導入実績が大変豊富で、検討に際しての相談や導入時・導入後の技術サポート体制が充実しているパートナー |
ゴールドパートナー |
当社製品の導入実績が豊富で、検討に際しての相談や導入時・導入後の技術サポート体制が充実しているパートナー |
シルバーパートナー |
当社製品に関する確かな知見を有し、お客様へ販売・提案・導入を行うことが出来るパートナー |
アライアンスパートナー |
X-pointのシステム構築及びシステムサポートに必要なスキルを保有した認定SEが在籍するパートナー |
(※)兄弟会社である株式会社ソフトクリエイトが含まれておりますが、他のプラチナパートナーと同等の取引条件であります。
[事業系統図]
以上の内容を事業系統図に示すと、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国の経済は、ウィズコロナの下で各種政策の効果等により景気の持ち直しが期待されるものの、地政学的リスクの高まりや物価の高騰、世界的な金融引締め等を背景とした海外景気の下振れ等の懸念により、先行きは依然として不透明な状況が継続しております。
当社が属するIT業界は、政府によるペーパーレス化や脱ハンコ等のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルス感染の世界的な広がりを背景として、テレワークや在宅勤務等への働き方の変化により、当社が展開するワークフロークラウドサービスの利用拡大が顕著となっていることや、ワークフローソフトウエアについても需要が拡大し堅調に推移いたしました。
このような状況の中で、当社はワークフローソフトウェアメーカーとして、当社初のメタバースでのWebセミナーの開催、全国主要都市でのパートナー企業との共同セミナーの開催及び市場優位性を確保するためのワークフローソフトウエアの機能強化、並びに急速に拡大するクラウドサービス市場のシェア獲得に向けたクラウドビジネスの拡大に注力してまいりました。
これらの結果、当事業年度の売上高は21億67百万円(前期比2.5%増)、営業利益は9億99百万円(同10.1%増)、経常利益は9億99百万円(同10.0%増)、当期純利益は6億70百万円(同10.9%増)となりました。なお、当社の事業はワークフロー事業の単一セグメントのため、製品・サービス別の業績の概要を記載しております。
(パッケージソフト)
X-pointは、新規ライセンス販売の終了に伴い売上高が減少いたしました。AgileWorksは、主に半導体不足の影響により顧客への導入が大幅に遅れたことにより新規導入企業数が減少し売上高が減少いたしました。その結果、当事業年度のX-point売上高は3億26百万円(同15.9%減)、AgileWorks売上高は9億69百万円(同1.7%減)となり、パッケージソフト全体の売上高は、12億95百万円(同5.7%減)となりました。
(クラウドサービス)
クラウドサービスは、クラウドサービス市場の成長及び新型コロナウイルスの感染拡大に伴うワークフロー需要の拡大を背景として、Webを活用したセミナー、無料トライアルの実施等により、新規導入企業数が順調に推移しました。また、パッケージソフトのX-pointからのシフトも徐々に増加いたしました。その結果、当事業年度のクラウドサービス売上高は、8億71百万円(同17.8%増)となりました。
財政状態は、以下のとおりとなりました。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ4億36百万円増加し、50億26百万円となりました。当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ81百万円減少し、9億66百万円となりました。当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ5億17百万円増加し、40億59百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して3億2百万円増加し、40億69百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、8億29百万円(前期は9億85百万円の獲得)となりました。これは、主に税引前当期純利益が9億99百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3億56百万円(前期は2億18百万円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が3億35百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1億71百万円(前期は1億55百万円の使用)となりました。これは、主に配当金の支払が1億72百万円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
ロ.受注実績
当社は受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。
ハ.販売実績
当社は「ワークフロー事業」の単一セグメントとしておりますが、当事業年度の販売実績を製品・サービス区分ごとに示すと次のとおりであります。
製品・サービス区分の名称 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
パッケージソフト(千円) |
1,295,600 |
94.3 |
クラウドサービス(千円) |
871,610 |
117.8 |
合計(千円) |
2,167,211 |
102.5 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
ディーアイエスサービス&ソリューション株式会社 |
374,324 |
17.7 |
336,309 |
15.5 |
株式会社リコー |
287,736 |
13.6 |
334,572 |
15.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(資産)
流動資産は、前事業年度末に比べ3億30百万円増加し、43億82百万円となりました。これは、主に現金及び預金が3億2百万円、売掛金が30百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末に比べ1億5百万円増加し、6億43百万円となりました。これは、主にソフトウエアが1億24百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、前事業年度末に比べて4億36百万円増加し、50億26百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前事業年度末に比べ74百万円減少し、8億24百万円となりました。これは、主に未払金が56百万円、未払法人税等が21百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前事業年度末に比べ6百万円減少し、1億41百万円となりました。これは、主に退職給付引当金が9百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて81百万円減少し、9億66百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べ5億17百万円増加し、40億59百万円となりました。これは、主に当期純利益の計上等により利益剰余金が4億98百万円増加したこと等によるものであります。
ロ.経営成績の分析
(売上高、売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上高は、前事業年度より53百万円増加し、21億67百万円(前期比2.5%増)となりました。これは、主にパッケージソフト売上高が78百万円減少したものの、クラウドサービス売上高が1億31百万円増加したことによるものであります。
また、売上原価は前事業年度より5百万円減少し、4億95百万円(同1.0%減)となりました。
この結果、売上総利益は58百万円増加し、16億71百万円(同3.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度より32百万円減少し、6億72百万円(前期比4.6%減)となりました。これは、主に前期に発生した研究開発費が減少したためであります。
この結果、営業利益は91百万円増加し、9億99百万円(同10.1%増)、経常利益は91百万円増加し、9億99百万円(同10.0%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度において、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は3億29百万円となりました。
この結果、当期純利益は65百万円増加し、6億70百万円(前期比10.9%増)となりました。
ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載してあるとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、クラウドサービスに関するインフラ費用、情報セキュリティ対策費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、ソフトウエア製品投資等によるものであります。また、次期以降の重要な資本的支出の見通しにつきましては、ソフトウエアの製品機能の強化及び新サービスの充実に注力し、2025年3月期までに6億円投資する予定であります。
当社は、事業運用上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することとともに、株主に対する利益還元を重要事項と認識し、各期の業績に応じた継続的な配当を実施することを基本方針としております。
資金調達については、運転資金、設備資金及び業務・資本提携に伴う所要資金等で、手元資金を上回る資金ニーズが生じた場合、用途、金額、期間、コスト等を総合的に勘案して調達方法(銀行借入(短期・長期)、社債発行、公募増資)を決定する方針であります。
なお、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な運転資金等については当面の間は自己資金を充当してまいります。また、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債はなく、現金及び現金同等物の残高は40億69百万円となっております。
ニ.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業体制等様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し、市場ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を低減し、適切に対応を行ってまいります。