売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E33235 Japan GAAP

売上高

105.2億 円

前期

75.8億 円

前期比

138.8%

時価総額

64.7億 円

株価

1,231 (04/25)

発行済株式数

5,258,084

EPS(実績)

70.41 円

PER(実績)

17.48 倍

平均給与

455.7万 円

前期

461.9万 円

前期比

98.7%

平均年齢(勤続年数)

37.1歳(6.7年)

従業員数

41人(連結:1,437人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、純粋持株会社である当社、国内連結子会社14社、海外連結子会社2社の計17社で構成されており、システムの開発及びソリューション・サービス(注1)の提供を中核とする総合情報サービス事業を営んでおります。

純粋持株会社である当社は、グループ会社の経営管理、事務受託等を行っております。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

当社グループは、「私達は、グローバルな情報技術で、情報社会に沢山の笑顔を創ります。」というグループミッションを実現するため、社会生活や企業の競争力維持に不可欠な存在となり、新しい技術とサービスにより社会に新たな体験をもたらしてきた情報技術を通じて健全な社会の発展に貢献するため、IT人材の創出・育成から顧客の企業価値を向上させるソフトウェア投資のサイクルを支える提案・コンサルティング、情報インフラ構築・情報システムの開発、保守・運用、製品販売等のサービスを単一のグループ企業内で一貫して提供する「総合情報サービス」を事業領域としております。

企業や官公庁の大規模なソフトウェア投資では、単独の企業が開発、保守等を行うことは少なく、当社グループでもエンドユーザーに直接サービスを提供するものと、ユーザー系情報子会社(注2)、大手SIer(注3)、販売代理店等を通じてサービスを提供するものがあります。

また、技術領域としては、ビジネス・システム、エンベデット・システム、ITインフラ構築(サーバーチューニング、データベース・チューニング、サーバー仮想化、セキュリティ)、クラウド、ビッグデータ処理・解析、AR(拡張現実)、VR(バーチャルリアリティ)等でのソリューション提供実績があります。

 

(1) 事業内容

当社グループは総合情報サービス事業の単一セグメントでありますが、「グローバル製造業ソリューション」、「社会情報インフラ・ソリューション」、「モバイル・ソリューション」の3つのソリューションに区分されます。

① グローバル製造業ソリューション

製造業においては、製品や部品へのソフトウェアの組込みによる機能の追加や性能向上による差別化と生産管理、品質管理、調達管理、物流管理等の効率化のために情報技術が活用されており、安定してソフトウェア投資が行われております。

当社グループでは、海外市場を販路として成長を遂げている製造業企業をターゲットとしており、主に、自動車、重工業、工作機械、鉄鋼、搬送機等の関連企業を主要顧客として総合情報サービスを提供しております。

自動車関連顧客については、燃費・環境保全への対応のため、需要が高まっている車載ECU(電子制御ユニット)関連の開発や検証等を行っております。

また、当社グループが中国や東南アジア等で日系企業や現地企業等と取引を行う中で得たノウハウや海外重要提携先(中国現地法人2社)を活かした提案を行っており、当社連結子会社のPT.SYS INDONESIAでは、オートマチック・トランスミッションの検証業務を行っております。

 

 

② 社会情報インフラ・ソリューション

電力、金融等の社会を支えるインフラによるサービスや近年発展したインターネットやデータセンター等の情報インフラを利用したサービスを当社グループでは「社会情報インフラ」と呼んでおり、それらのサービスを提供する企業は、情報技術を提供するサービスの基盤としていることから、競争力維持のために継続的にソフトウェア投資が行われております。

当社グループでは、電力・ガス等のエネルギー、生命保険・クレジットカード、リース・証券等の金融、印刷帳票、鉄道、不動産関連の企業や官公庁・自治体等を主要顧客として、基幹システムの開発やITインフラの構築、運用等の総合情報サービスの提供を行っております。
 ビッグデータ処理・解析等のサービスもこのソリューションで提供しており、当社グループが中国や東南アジア等で日系企業や現地企業等と取引を行う中で得たノウハウや海外重要提携先(中国現地法人2社)を活かした海外への定量発注によるコストダウン提案等も行っております。

 

③ モバイル・ソリューション

スマートフォンやモバイル端末の普及により、モバイル・アプリケーションでのサービスは、個人の生活に不可欠な存在となっておりますが、当社グループでは、今後の成長が期待される法人向けのモバイル・アプリケーション等によるサービスを提供しており、流通グループ、訪問介護、鉄道、医療、ロードサービス等の業種をエンドユーザーにしております。

連結子会社の株式会社エス・ケイでは、「価値ある便利をもっと身近に。成功へと導く、新しいビジネスソリューション。」をコーポレート・ステートメントとして、下記の製品を通信キャリア等の販売代理店や当社グループを通じて、販売しております。

イ.FieldPlus®

FieldPlus®は、専用の管理画面で登録された報告シートへの入力や撮影した写真、勤怠情報をスマートデバイスから送信できる、ユーザーカスタマイズ型業務報告システムです。

スマートデバイスから入力・送信した内容は専用の管理画面でリアルタイムに一元的に管理できるため、外勤スタッフと、内勤スタッフのスマートな情報連携を実現します。

訪問介護業界向けのカスタマイズも行っており訪問介護員と内勤スタッフとの情報連携に活用されております。

 

ロ.iContact Office

iContact Officeは、企業・グループ内で同じ電話帳データを共有できるマルチデバイス対応のクラウド型のWeb電話帳共有サービスで、個人のモバイル端末に個人情報を保存しないため、セキュリティ対策を行うことができます。

 

ハ.マップP+Powerd by NAVITIME®(注4)

マップP+Powerd by NAVITIME®は、従業員が持つモバイル端末の現在地や作業ステータスがわかる企業向けGPS位置情報管理システムで、管理画面からモバイル端末の通知した位置情報を地図上にマッピングしたり、作業ステータスやコメントの確認ができます。通知用のアプリケーションは他の操作中でもバックグラウンドで位置情報の通知ができるため、報告ユーザーのメイン業務を妨げない位置情報の報告・収集が可能です。

 

ニ.Quick Safety®

Quick Safety®は、専用の管理画面で登録した複数のユーザーに対して、メール・SMS(ショート・メッセージ・サービス)を一斉配信できるサービスです。

通常の配信はもちろんのこと、地震情報の自動配信機能やデータ集計機能、配信到達チェックなど多くのサポート機能を実装し、BCP(事業継続計画)の緊急連絡手段から日常の連絡ツールまで幅広い用途で活用できます。

 

(2) 事業の特徴

① IT人材創出

社会に不可欠になったソフトウェア投資、保守・運用の需要に対して、わが国における少子高齢化等によりIT人材は慢性的に不足しており、企業が必要な時期に必要なソフトウェア投資を行う需要に応え、社会と顧客と当社グループが継続的に発展するために、当社グループでは、IT人材創出を事業の基幹部分ととらえており主要な特徴としては、下記3点があります。

 

イ.業界未経験者からのIT人材の創出

当社グループでは、IT業界未経験者の採用に力を入れており、連結子会社である株式会社エスワイシステムでは、技術職については未経験者採用のみを行っております。

小学校、中学校及び高校の職場体験や、大学、専門学校からのインターンシップにより毎年多数の学生を受け入れることで若年層への情報サービス産業への関心を高めていただいており、インターンシップを通じてできた学校と学生との関係から、就活ナビサイトに頼ることのない新卒採用を行っております。

未経験者採用・教育については、2005年6月以降、自治体からの職業訓練の受託(エスワイ・ITカレッジ等)により未経験者から多くのIT人材を創出しており、その訓練生や社会人インターンシップ等で当社グループに関心を持った人材や職業訓練後の就職先で当社グループを希望した人材の中から当社グループの事業の源泉となるIT人材を、正社員を前提として採用しております。また、当社グループの長年の採用ノウハウにより、当社グループで活躍する可能性が高い未経験者を採用しております。

また、未経験者採用であることから、社員研修には非常に力を入れています。業界で最高位の研修を目指し、OffJTとOJTを組み合わせた階層別研修(注5)を行っています。さらに、同じく未経験から成長したIT人材である先輩従業員が当社グループのカリキュラムによる教育と業務登用後のフォローを行っております。
 当社グループでは、上記の方法により、人材難といわれる情報サービス産業において、多くの未経験者採用を行い、早期に実践登用できる教育で投資コストを早期に回収しております。

また、情報サービス業は、事業の構造上、IT人材ごとに作業現場が異なることが多いため、当社グループの企業文化である従業員主導で運営する全体会議や、委員会活動、勉強会、部活・同好会活動、社員旅行等の活動や、当社グループのノウハウを活かして構築した360度の評価システム(注6)を通じて、未経験者のサポートと従業員満足度の向上を行い、退職によるIT人材の流出を防止しております。

 

ロ.女性IT人材の創出

当社グループでは、女性採用にも積極的に取り組んでいます。女性採用比率40%を目標とし、従業員が子供との時間を大切にできるようにするため、中学校入学始期に達するまでの子を養育する従業員を対象とした「短時間勤務制度」、「子の看護休暇制度」、子供の学校行事に参加するための「ファミリーサポート休暇制度」、従業員が子供と一緒に出勤することができる「お子様同伴出勤制度」、社員研修や現場業務への出勤に際し、ベビーシッターの利用料金の一部を補助する「ベビーシッター補助金支給制度」を導入する等、産休・育休後に職場復帰を行いやすい環境作りに努めてまいりました。

また、当社は、2015年3月に連結子会社である株式会社エスワイシステム及び当社グループとして愛知県「女性の活躍促進宣言」(注7)に登録し、連結子会社である株式会社エスワイシステムでは、2015年1月に「名古屋市女性の活躍推進企業」(注8)に認定・表彰に続き、2015年5月に大阪府「男女いきいき・元気宣言」(注9)事業者登録、2016年7月に「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」(注10)登録、2016年8月に「あいち女性輝きカンパニー」(注11)認証を受け、2019年7月に同制度に基づく「あいち女性の活躍プロモーションリーダー」に就任、2022年2月に、「えるぼし認定(3段階目)」(注12)に認証される等、女性が活躍し働きやすい環境作りに努め、女性のIT人材の創出を行っております。

 

ハ.海外からのIT人材の創出

当社グループは、1998年3月の中国人技術者受け入れ以来、海外現地での事業活動や国内連結子会社へのIT人材の受け入れを通じて、海外のIT人材を活用してまいりました。

海外現地採用も行っており、日本語が話せない人材や、日本語は話せるもののIT業界が未経験の人材をターゲットとして採用活動を行い、中国、韓国、インドネシア、バングラデシュ、ネパール等で多数の採用実績があります。また、その全てを従業員として就労ビザで受け入れております。

長年の海外IT人材受け入れのノウハウを活かした教育モデルにより、中国では、現地で日本語、IT技術、日本の商習慣を学ぶ研修を行った後、日本で研修を受けながらOJTでIT技術と日本語を学ぶモデルを採用しております。

これらの手法により、グローバル化と多様な価値観に対応し、日本と海外の両方で活躍できるIT人材を創出しております。また、留学生等の日本で既に在住している外国人については、日本人と同様の選考基準で採用していることから、日本人と同様の待遇で採用・評価を行っております。

 

② チームサポート・モデル

当社グループでは、IT人材のチームによるソフトウェア投資の工程やサービスの請負の提案をしておりますが、IT人材の派遣のみを希望される企業においても、同一顧客内(別部署・別作業場所含む)で派遣されている当社グループのIT人材間で相互に情報を共有し、教育・フォローしあうことで、従来の技術者派遣より付加価値の高いサービスを提供しております。

また、大手企業での経験が豊富なPMO(注13)担当による顧客現場の巡回や、管理職、営業、役員との情報の共有により、トラブルの事前防止や顧客の現状に即した提案を行っております。

 

③ 双方向持ち帰りモデル

企業のソフトウェア投資を担う情報システム部門は、派遣でIT人材を受け入れることで、ソフトウェア投資のための体制を拡充させることができますが、派遣で受け入れたIT人材の指揮命令は、情報システム部門が直接行わなければならないため、管理負担が重くなるデメリットがあります。
 このため、企業の情報システム部門は、競争力強化のためのコアな新規開発に集中したり、情報システム部門だけで管理しきれない大規模なソフトウェア投資を行うために、ソフトウェア投資の工程やサービスを請負契約による発注で行う場合があります。

当社グループでは、顧客と初めて取引を開始する際、当社グループのIT人材が派遣で顧客の現場に赴き、顧客の指示を受けながら顧客業界特有の商習慣やシステム投資・開発等に対する考え方を学びます。その後、当社グループのIT人材をさらに顧客現場に受け入れていただき、教育しながらチームとしての体制を整えます。チームとしての体制ができたら、工程や作業単位で請負の発注を受けます。その後、体制の一部が当社グループ事業所へ請負案件を持ち帰り、作業を行います。最後に、当社グループ事業所内で開発を行ったIT技術者が顧客現場で持ち帰ったシステム案件の導入を行い、運用・サポートを担当します。

このサイクルを行い、顧客現場と当社グループ事業所の両方に請負の体制を持つことで、顧客情報システム担当者は柔軟な発注ができるようになり、企業の競争力強化のためのコアな新規開発に集中することができます。

 

④ 定量発注モデル

企業のソフトウェア投資を担う情報システム部門は、企業の競争力維持のための新規情報システム開発投資に自社の人員を配置したいニーズがあり、既存情報システムの改良や運用・保守は慢性的に人手が不足しているといわれております。

当社グループでは、企業の情報システム部門の代わりに既存情報システムの改良や運用・保守を顧客予算に応じて毎月定量的に発注いただくモデルを、海外発注によるコスト削減も含めて提案し、採用されております。

 

 

(注) 1.ソリューション・サービスとは、顧客が抱える問題点を分析し、それを改善するために必要なソフトウェア開発やITインフラの構築、運用をセットにしたソフトウェア投資を提案することで問題点を解決するサービスを指し、当社グループでは継続的なソフトウェア投資・運用のための体制も含めて提案するサービス。

2.ユーザー系情報子会社とは、大手企業の情報システム部門を分社化・移転して設立した会社。

3.SIerとは、情報システムの企画から構築、運用までに必要なサービスを請け負うシステム・インテグレーションを行う企業。

4.「NAVITIME®」は、株式会社ナビタイムジャパンの登録商標です。

5.階層別研修とは、勤続年数や役職に応じて全ての従業員が対象となる技術能力向上とヒューマンスキル向
上を目的とした当社グループの研修制度。

6.360度の評価システムとは、自己査定、上司評価、現場評価等、様々な角度の評価とその結果を、コーチング等でフィードバックし被評価者の成長につなげる当社グループの評価制度。

7.愛知県「女性の活躍促進宣言」とは、「あいち女性の活躍促進会議」で採択した「あいち女性の活躍促進行動宣言」の趣旨を踏まえ、女性の活躍促進に向けて取り組んでいく企業等が宣言を公開する制度。

8.「名古屋市女性の活躍推進企業」とは、女性がいきいきと活躍できるような取組みをしている企業を認定し、その中で特に優れた取組みをしている企業を表彰する制度。

9.「男女いきいき・元気宣言」とは、大阪府が「女性の能力活用」や「仕事と家庭の両立支援」など、男性も女性もいきいきと働くことのできる取組みを進める意欲のある事業を登録する制度。

10.「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」とは、従業員が仕事と育児・介護・地域活動等と両立できるよう積極的に取り組む企業を登録する愛知県の制度。

11.「あいち女性輝きカンパニー」とは、女性の活躍促進に向け、トップの意識表明や採用拡大、職域拡大、育成、管理職登用のほか、ワーク・ライフ・バランスの推進や働きながら育児・介護ができる環境づくりなどの取組みを行っている企業等を愛知県が認証する制度。

12.「えるぼし認定」とは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度。

13.PMOとは、Project Management Officeの略で、個々のプロジェクト・マネジメントの支援を横断的に行
う構造・システム。

 

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

注)株式会社アシックは2023年8月1日付で、同社を消滅会社、株式会社エスワイシステムを存続会社とする吸収合併をしております。

24/02/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

  イ.財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は4,941,129千円となり、前連結会計年度末に比べ1,201,797千円増加いたしました。

これは主に、現金及び預金が648,801千円売掛金339,781千円増加したこと等によるものであります。

固定資産は1,353,921千円となり、前連結会計年度末に比べ794,629千円増加いたしました。

これは主に、のれんが501,257千円、投資有価証券が195,014千円増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は2,078,682千円となり、前連結会計年度末に比べ627,239千円増加いたしました。

これは主に、1年内返済予定の長期借入金247,140千円未払金154,997千円増加したこと等によるものであります。

固定負債は1,309,510千円となり、前連結会計年度末に比べ1,013,663千円増加いたしました。

これは主に、長期借入金が858,370千円退職給付に係る負債102,687千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は2,906,858千円となり、前連結会計年度末に比べ355,523千円増加いたしました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が331,382千円増加したこと等によるものであります。

 

 

  ロ.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス流行に伴う行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進んだことにより国内経済に回復の動きが見られました。しかしながら、ウクライナをめぐる国際的緊張の高まりが長期化し、世界的な物価の上昇等に伴う経済成長の減速が懸念されており、日本経済の先行きは不透明な見通しとなっています。

当社グループが属する情報サービス産業においては、経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査2023年6月分 確報」の情報サービス業の売上高合計は、前年同月比9.7%増と15か月連続の増加、「受注ソフトウェア」は、同9.8%増と15か月連続の増加となりました。

このような経済状況のなか当社グループは、新規受注の獲得や、顧客からの信頼を獲得し、リスクが低く安定した収益が期待できるリピートオーダーの提案・受注に努めました。

それらの結果、前連結会計年度及び当連結会計年度のM&Aによる新規連結子会社の増加や、社会情報インフラ・ソリューションの顧客からの受注が堅調に推移したこと、技術者の稼働人数が増加したこと等が売上高増加の要因になりました。

売上高の増加等により売上総利益は前年同期比40.8%増加したものの、当連結会計年度に成約したM&Aのコンサルティング報酬等のM&A関連費用が80,182千円計上されたこと等により、販売費及び一般管理費が増加し営業利益は売上総利益の増加に比べ小幅な増加になりました。また、営業外収益として、保険解約返戻金や為替差益等を計上したこと等により、経常利益が増加しました。M&A取得関連費用、のれん償却費等は、税効果がなく増加した費用がそのまま親会社株主に帰属する当期純利益に反映されることから、親会社株主に帰属する当期純利益は小幅な増加となりました。

以上の要因により、当連結会計年度における連結業績は、売上高10,518,537千円(前期比38.8%増)、営業利益520,248千円(前期比19.4%増)、経常利益592,709千円(前期比29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益370,241千円(前期比21.0%増)となりました。

 

当社グループは、総合情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりませんがソリューション別の概況は、次のとおりであります。

 
 グローバル製造業ソリューションにおいては、車載ECU(電子制御ユニット)関連顧客や電機関連顧客等からの受注が堅調に推移したこと等により、売上高は3,814,118千円(前期比34.8%増)となりました。

社会情報インフラ・ソリューションにおいては、電力関連顧客等からの受注は堅調に推移したこと等により、売上高は6,387,597千円(前期比40.4%増)となりました。

モバイル・ソリューションにおいては、受託開発の受注の増加等により、売上高は316,822千円(前期比59.3%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて632,744千円増加し、3,361,230千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により取得した資金は、436,521千円(前連結会計年度は303,613千円の取得)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益589,335千円を計上したことのほか、資金の増加として、のれん償却額90,890千円等があった一方、資金の減少として、法人税等の支払額188,359千円、売上債権の増加額162,703千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、401,581千円(前連結会計年度は33,315千円の取得)となりました。

これは主に、資金の増加として、保険積立金の解約による収入218,404千円等があった一方、資金の減少として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出320,479千円投資有価証券の取得による支出191,583千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により取得した資金は、593,330千円(前連結会計年度は52,152千円の使用)となりました。

これは主に、資金の減少として、長期借入金の返済による支出504,297千円等があった一方、資金の増加として、長期借入れによる収入1,200,000千円等があったことによるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当連結会計年度の生産、受注及び販売の状況は以下のとおりであります。

  イ.生産実績

当社グループは、総合情報サービスの提供を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

  ロ.受注状況

当連結会計年度の受注状況をソリューション区分別に示すと、次のとおりであります。

 

ソリューション区分

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

グローバル製造業ソリューション

4,038,483

38.8

852,461

35.7

社会情報インフラ・ソリューション

6,451,162

42.6

685,846

10.2

モバイル・ソリューション

335,446

80.1

23,043

421.4

合計

10,825,091

42.1

1,561,350

24.4

 

(注) 当社グループは、総合情報サービス事業の単一セグメントであるため、ソリューション区分別の実績を記載しております。

 

  ハ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をソリューション区分別に示すと、次のとおりであります。

 

ソリューション区分

販売高(千円)

前期比(%)

グローバル製造業ソリューション

3,814,118

34.8

社会情報インフラ・ソリューション

6,387,597

40.4

モバイル・ソリューション

316,822

59.3

合計

10,518,537

38.8

 

(注) 当社グループは、総合情報サービス事業の単一セグメントであるため、ソリューション区分別の実績を記載しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載したとおりであります。

なお、この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の数値に影響を与える見積りは、主に資産の評価や引当金の計上であり、これらの見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

なお、新型コロナウイルスの今後の感染拡大や収束時期等については統一的な見解がない状況ですが、当社では「当連結会計年度以降も一定期間にわたり、感染拡大の影響があるものの、当社グループの事業活動に与える影響は限定的である」との仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りを行っております。結果として、当連結会計年度末及び翌連結会計年度以降の連結財務諸表に及ぼす重要な影響はないものと判断しております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載したとおりであります。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

 (売上高)

当連結会計年度の売上高は10,518,537千円(前期比38.8%増)となり、前連結会計年度に比べ2,942,390千円増加いたしました。

これは主に、M&Aによる新規連結子会社の増加や社会情報インフラ・ソリューション関連顧客等からの受注等が堅調に推移したこと等によるものであります。

 

   (営業利益)

当連結会計年度の売上原価は8,137,486千円となり、前連結会計年度に比べ2,252,113千円増加いたしました。

これは主に、従業員の採用や待遇改善やM&Aによる新規連結子会社の増加により、人件費が増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,860,803千円となり、前連結会計年度に比べ605,726千円増加いたしました。

これは主に、M&A関連費用の計上や従業員の待遇改善による人件費の増加に加え、M&Aによる新規連結子会社の増加等により人件費や費用が増加したこと等によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は520,248千円(前期比19.4%増)となりました。

 

 

   (経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は81,668千円となり、前連結会計年度に比べ53,997千円増加いたしました。

これは主に、保険解約返戻金の計上や為替差益が増加したこと等によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は9,207千円となり、前連結会計年度に比べ3,208千円増加いたしました。

これは主に、支払利息が増加したこと等によるものであります。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は592,709千円(前期比29.6%増)となりました。

 

   (親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は756千円となり、前連結会計年度に比べ756千円増加いたしました。

これは投資有価証券売却益を計上したことによるものであります。

 

当連結会計年度の特別損失は4,130千円となり、前連結会計年度に比べ3,130千円増加いたしました。

これは主に減損損失を計上したことによるものであります。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は589,335千円(前期比29.1%増)となりました。

これに法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は370,241千円(前期比21.0%増)となりました。

 

当社グループは、売上高前期比率及び売上高営業利益率を重要な経営指標として目標を設定しておりますが、2022年9月13日に2023年7月期の連結業績予想として売上高前期比率12.2%(前期比8.1ポイント減)、売上高営業利益率を6.0%(前期比0.2ポイント増)と公表しております。2023年7月期の実績における売上高前期比率については、38.8%増(前期比18.0ポイント増)とM&Aによる新規連結子会社の増加や社会情報インフラ・ソリューション顧客からの受注の増加等により、公表した目標を上回りました。また、売上高営業利益率については、4.9%(前期比0.9ポイント減)と売上総利益は増加したものの、当M&A関連費用が計上されたこと等によりにより、公表した目標を下回りました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(4) 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、中期経営計画「SYSTarget2025」(2023年7月期~2025年7月期)を策定し、成長戦略として、「基幹システムの総合サポート」、「独自の採用試験×独自の教育システム」、「付加価値のあるM&A」を推進しており、現状では、当社グループとして、提案から保守まで一貫したトータル・ソリューションの提供を行い、旺盛なIT需要に対応するためのIT人材の採用と教育に努め、M&Aの検討も積極的に行っております。

今後の見通しについては、当社グループが属する情報サービス産業においては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)市場の拡大が見込まれており、ソフトウェア投資は引き続き一定の需要があるものと考えており、旺盛な需要に対して、IT技術者の人材不足は引き続き継続する見通しであり、M&Aについても一定の需要があると見込んでいることから、上記戦略を引き続き推進してまいります。

 

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローの安定的な確保と金融機関からの資金調達を基本方針としております。

また、M&A等による計画外の支出につきましては、手元資金の状況や金融機関からの調達等を検討したうえで、適宜判断してまいります。

株主還元につきましては、景気後退期に備えた手元資金の確保、M&Aや社内システムへの投資を含む成長投資のための資金の確保により企業価値を向上させることを優先としておりますが、安定的な株主還元を行うことを方針としております。

なお、営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に人件費等の事業運転資金の支払等がありましたが、借入金及び手元資金で充当しております。

投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に社内システム開発のための人件費や外注加工費の支払、M&Aによる子会社株式取得関連費用の支払等がありましたが、借入金及び手元資金で充当しております。

財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、長期借入金の返済や配当金の支払等がありましたが、借入金及び手元資金で充当しております。

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は3,361,230千円であり、資金の流動性は十分に確保できております。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識及び今後の方針については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。