E00806 Japan GAAP
前期
293.7億 円
前期比
121.7%
株価
939 (04/17)
発行済株式数
24,400,000
EPS(実績)
164.75 円
PER(実績)
5.70 倍
前期
704.4万 円
前期比
100,056.8%
平均年齢(勤続年数)
38.7歳(14.2年)
従業員数
435人(連結:569人)
当社グループは、当社と子会社5社及び関連会社3社で構成されており、酸化ジルコニウムを中心としたジルコニウム化合物を製造・販売しております。ジルコニウム化合物の精製には乾式製法(電融法など)と湿式製法の2種類があり、当社グループは両製法の設備を有し、目的に応じて製造方法を選択することができます。また、湿式製法にて鉱石から最終製品までの一貫生産システムを有するメーカーでもあります。
当社グループは当社を中心に、高純度酸化ジルコニウム及びジルコニウム化合物を湿式製法にて製造し、関連会社から乾式製法(電融法)により精製した酸化ジルコニウムを購入することで、顧客からの多種多様な要望に対応できる販売体制を整えております。また、その生産技術・複合化技術を生かして、希土類化合物やセシウム化合物等その他元素の化合物についても製造・販売を行っております。
ジルコニウム化合物は、この半世紀の間にその優れた物理化学特性が次々と解明され、現在では日常的に使用される多種多様な製品の原料として幅広く利用されております。具体的には撥水性(防水剤)に始まり、高屈折率(光学材料)、高耐熱性(耐火物)、圧電性(着火素子・ブザー・アクチュエーター)、イオン伝導性(酸素センサー)、誘電性(セラミックコンデンサ・電波フィルター)、高強度・高靭性(ファインセラミックス)、強酸性・耐薬品性(工業用触媒)など、ジルコニウム化合物は数多くの特性を持っております。
当社グループの事業セグメントは、化学工業製品の製造販売事業の単一セグメントであり、事業部門に分類することが困難なため、特段の注記なき場合は当社グループ総計にて記載しております。なお、必要な場合は、事業部門別に代えて、当社製品の用途別に、「触媒」「電子材料・酸素センサー」「ファインセラミックス」「耐火物・ブレーキ材」「その他」の5区分により記載しております。
当社製品の主要な用途別の特徴
当社グループの当該事業における位置付けは次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の業績は、売上高は、販売数量が前期比で6.1%減少したものの、原材料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響等により35,748百万円(前期比21.7%増、業績予想36,200百万円に対して達成率98.8%)となりました。営業利益は、前期に戦略的に積み増しを行った原料市況や円安の影響を受けていない在庫の販売による効果、為替影響等により5,391百万円(前期比43.1%増、業績予想5,100百万円に対して達成率105.7%)となり、経常利益は、外貨建資産における為替差益の計上等により5,969百万円(前期比0.5%減、業績予想5,500百万円に対して達成率108.5%)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は4,020百万円(前期比117.4%増、業績予想3,550百万円に対して達成率113.3%)となりました。
当連結会計年度の用途別の販売概要及びその分析等は、次のとおりであります。
(触媒用途)
自動車排ガス浄化触媒材料は、欧米の自動車販売低迷と、中国の減税政策に伴う電動化シフトの影響により、販売数量が前期を下回りました。一方、売上高は、原料価格の高騰に伴う販売価格上昇や円安による為替影響を受け、増収となりました。
その結果、触媒用途の当連結会計年度の売上高は、22,370百万円(前期比26.6%増、業績予想22,400百万円に対して達成率99.9%)となりました。
(電子材料・酸素センサー用途)
電子材料は、圧電素子や積層セラミックコンデンサ(MLCC)等の電子部品用途、及び光学材料は世界的にコロナ禍での巣ごもり需要が一巡したことに加え、中国をはじめとする通信デバイス市場の低迷を反映し、販売数量が前期を下回りました。
二次電池材料は、中国市場を中心に正極タイプの二極化とロックダウンによる在庫調整の影響を受けたものの、米国におけるインフレ抑制法の成立を追い風に販売数量を伸ばし、前期比で増収となりました。
酸素センサー材料は、自動車排ガス浄化触媒材料と併用される部材であり、共通する市場環境の影響を受け、自動車販売台数に対し弱含みとなりました。
これらの結果、電子材料・酸素センサー用途の当連結会計年度の売上高は、3,193百万円(前期比10.9%増、業績予想3,400百万円に対して達成率93.9%)となりました。
(ファインセラミックス用途)
産業用構造部材は、成長分野における需要増を取り込み、堅調に推移しました。歯科材料は、先進国の経済正常化と新興国への市場拡大に伴い、コロナ禍以前を上回る水準で推移しました。キッチンセラミックス材料は、最終製品の販路拡大に加え、インバウンド需要の回復により、販売数量の増加が続いております。
燃料電池材料は、北米市場が需要増をけん引し、販売数量は前期を上回りました。
これらの結果、ファインセラミックス用途の当連結会計年度の売上高は、3,965百万円(前期比14.9%増、業績予想3,900百万円に対して達成率101.7%)となりました。
(耐火物・ブレーキ用途)
耐火物材料は、世界粗鋼生産量が需要を上回り過剰在庫となった2021年の影響を受け、サプライチェーン内の在庫調整が行われた結果、販売数量は前期を下回りました。
ブレーキ材料は、自動車減産の影響に加え、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約の影響を色濃く受け、販売数量は前期を下回ったものの、原料価格の高騰に伴う販売価格の上昇により、増収となりました。
これらの結果、耐火物・ブレーキ用途の当連結会計年度の売上高は、3,842百万円(前期比14.1%増、業績予想3,930百万円に対して達成率97.8%)となりました。
(その他用途)
アルミ配管ろう付け用セシウムフラックスを含むセシウム化合物は、自動車向け、家電向けともに復調傾向にあり、販売数量は前期を上回りました。
セシウム関連以外の販売数量は前期を下回ったものの原料価格の高騰に伴う販売価格上昇の影響を受け、増収となりました。
これらの結果、その他用途の当連結会計年度の売上高は、2,376百万円(前期比18.9%増、業績予想2,570百万円に対して達成率92.5%)となりました。
なお、2022年5月13日公表の中期経営計画「DK-One Next」では、2026年3月期の売上高構成で、「戦略分野」22.5%、「自動車排ガス浄化触媒」55.0%、「基盤分野」22.5%、売上高40,000百万円を目指しており、当連結会計年度は、「戦略分野」14.6%、「自動車排ガス浄化触媒」66.6%、「基盤分野」18.8%、売上高35,748百万円となりました。
当連結会計年度の財政状態の概要及びその分析等は次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は66,004百万円で、前連結会計年度末に比べ7,961百万円増加しました。これは主に、有形固定資産の増加(2,738百万円)、現金及び預金の増加(1,909百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(1,416百万円)によるものです。
当連結会計年度末における負債は29,853百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,626百万円増加しました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の増加(3,788百万円)によるものです。
当連結会計年度末における純資産は36,151百万円で、前連結会計年度末に比べ4,334百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(3,339百万円)によるものです。
この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末53.7%からほぼ横ばいの53.8%となり、当連結会計年度末における1株当たり純資産額は、前連結会計年度末1,284円24銭から176円57銭増加し1,460円81銭となりました。
また、当連結会計年度の減価償却前営業利益(EBITDA)は、前連結会計年度6,397百万円から1,712百万円増加し8,109百万円となり、当連結会計年度末における投下資本利益率(ROIC)は、前連結会計年度末5.6%から1.5ポイント増加し7.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前連結会計年度末に比べ1,713百万円増加し、10,047百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果、得られた資金は3,893百万円(前期比661百万円増)となりました。これは、税金等調整前当期純利益5,809百万円、減価償却費2,717百万円などにより資金が増加した一方、棚卸資産の増加2,278百万円、法人税等の支払額2,080百万円、売上債権・仕入債務の増減934百万円などで資金が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果、使用した資金は4,423百万円(前期比204百万円増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出4,274百万円、持分法適用会社に対する長期貸付けによる支出261百万円などで資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果、得られた資金は2,454百万円(前期は8百万円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入7,120百万円などにより資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出3,448百万円、配当金の支払額679百万円などで資金が減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況
生産実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.生産金額は実際原価に基づいて算出しております。
2.同一品目であっても複数の用途に用いられることがありますので、生産実績については用途別に示すことが困難なため、表示しておりません。
当社グループは主に見込生産を行っているため、記載を省略しています。
販売実績を単一セグメント内の区分に示すと、次のとおりであります。
当社グループは単一セグメントであるため、用途別に表示しております。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売割合で10%以上の相手先はありません。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症がもたらした経済並びに社会の混乱が十分に解消しない中、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う経済制裁、中国の「ゼロコロナ」政策下における活動制約などがサプライチェーンの混乱に拍車をかけました。また、高まるインフレ率を抑制するため、金融引き締め政策が主流となり、世界的な景気減速への懸念が高まりました。当社グループの主要顧客である自動車産業におきましては、長引くサプライチェーンの混乱を受けて自動車メーカー各社では計画比で減産を余儀なくされましたが、中国における車両購置税などの減税政策を支えに改善が見られ、2022年の世界ライトビークルの累計販売台数は、前年並み(前年比0.6%減)となりました。
当社グループにおきましては、自動車排ガス浄化触媒、二次電池、酸素センサー、ブレーキなどの車載用途に復調がみられたことに加え、ファインセラミックスが成長分野の需要増を取り込み、堅調を維持しました。
2022年5月に公表しました中期経営計画「DK-One Next」のもと、チャレンジする組織の強化、収益改革、顧客のニーズを的確にとらえた新たな材料開発と用途開拓に取り組んでおります。多様な機能を発現するジルコニウムの可能性を引き出し、必要とされる素材の安定した提供を通じて世の中に貢献してまいります。
経営成績及び財政状態の状況並びに用途別の販売概要に関する認識及び分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社グループの源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入であります。
一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売製品に係る原材料費であり、主な投資需要は、工場設備、研究開発拠点の整備及びICTシステム構築の投資に係る投資資金であります。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金は、金融機関からの長期借入を基本として、それぞれ調達しております。
当連結会計年度末においては、原材料価格の高騰や円安の影響により販売単価及び在庫単価が上昇したため、売掛債権、棚卸資産の残高が増加しました。また、資金の流動性を確保するため現金及び預金の残高も増加しました。
当社グループの製販及び資金の一元管理を行うことで資産効率の向上を図っております。また、2023年3月期から4カ年累計の投資キャッシュ・フローと配当金の合計を営業キャッシュ・フロー以内とし投資キャッシュ・フローをコントロールしてまいります。併せて、業績と戦略分野への投資推進等を総合的に勘案しながら積極的に利益還元することを基本とし、配当性向30%を目指します。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。