E00819 IFRS
前期
2,849.4億 円
前期比
100.8%
株価
4,544 (07/12)
発行済株式数
93,757,956
EPS(実績)
234.01 円
PER(実績)
19.42 倍
前期
801.0万 円
前期比
99.6%
平均年齢(勤続年数)
47.3歳(23.3年)
従業員数
1,633人(連結:7,953人)
当社グループ(当社および関係会社)は当社、子会社53社、関連会社7社およびその他の関係会社1社(2024年3月31日現在)で構成され、半導体関連材料、高機能プラスチック、クオリティオブライフ関連製品の製造および販売等の事業活動を行っております。
当社グループの事業における各社の位置付けおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。
2024年3月31日現在
事業の系統図(2024年3月31日現在)
(注) 1 矢印は製品および材料等の支給または販売を示しております。
2 会社名の無印は連結子会社を、※はその他の関係会社を示しております。
当期の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の収束により経済活動は回復に向かいましたが、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の悪化による物価上昇や、主要国の金利引き上げにより回復は鈍化しました。米国では個人消費が堅調に推移しましたが、金融の引き締めの継続により企業の生産活動は回復には至りませんでした。欧州では、インフレによる個人消費の冷え込みにより、景気の回復が停滞しました。中国では輸出入に回復の兆しが見えるものの、不動産不況を背景とする景気悪化が継続し、内需の回復には至りませんでした。為替相場は第3四半期末に一時的に円高・ドル安方向に変動しましたが足元では反転し、近年にない円安・ドル高の水準になっております。
このような情勢のもと、当社グループの売上収益は、円安為替評価による海外売上の増加に加え、原料価格上昇に対応して製品価格改定を行った結果、前期と比べ0.8%増(以下の比率はこれに同じ)の2,872億67百万円となりました。事業利益は、販売品種の高付加価値品へのシフトや価格改定などの収益構造の改善により、7.9%増の274億58百万円、営業利益は、9.6%増の272億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、受取利息の増加、為替差益等により7.6%増の218億31百万円となり、いずれも過去最高益となりました。
ROEにつきましては、分子である親会社の所有者に帰属する当期利益が前期と比べ増加したものの、為替変動の影響により分母である親会社の所有者に帰属する持分の増加額が上回った結果、0.6%減の7.8%となりました。
(セグメント別販売状況)
① 半導体関連材料
[売上収益 82,917百万円(前期比 4.2%増)、事業利益 16,139百万円(同 5.3%増)]
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、パソコン、スマートフォンなどの需要が世界的に低迷していることから、情報通信機器向けの販売の苦戦が続いておりますが、モビリティ用途ではEV向けの需要が鈍化したものの、HV向けの販売増により販売数量・売上収益は前期を上回りました。
感光性ウェハーコート用液状樹脂は、DRAM向けに回復の兆しが見えてきた一方、昨年の秋から在庫調整の局面に入り、売上収益は前期を下回りました。
半導体用ダイボンディングペーストは、LED向けの販売増加等、中国での拡販活動の成果が出始めたものの、台湾などの情報通信機器向けの販売不調により売上収益は前期を下回りました。
半導体パッケージ基板材料「LαZ®」シリーズは、中国製スマートフォン向けの販売が順調に伸び、売上収益は前期を上回りました。
② 高機能プラスチック
[売上収益 101,401百万円(前期比 0.9%減)、事業利益 5,302百万円(同 14.3%増)]
工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料は、国内および中国、アジア地区では自動車や電機部品向けの需要が堅調に推移しましたが、北米の自動車タイヤ用や欧州の建築断熱材用は十分な水準まで回復しておらず、売上収益は前期比では減少しました。
銅張積層板はエアコンを含む家電の需要が低迷しており、売上収益は大幅に減少しました。
航空機内装部品は、新型コロナウイルス感染症の収束による旅客輸送の増加にともない、航空機の生産機数の増加による旺盛な需要が期初から継続し、売上収益は大幅に増加しました。
フェノール樹脂成形品は、中国での自動車用部品の拡販が好調なことから販売が増加しました。
③ クオリティオブライフ関連製品
[売上収益 102,186百万円(前期比 0.1%減)、事業利益 9,723百万円(同 5.6%増)]
医療機器製品は、国内・アジア・米国向けの血液関連製品の販売が大幅に増加し、透析用ろ過装置も堅調に推移したことで売上収益は前期を上回りました。
バイオ関連製品は、新型コロナウイルス感染症の流行による需要が落ち着き、売上収益は減少しました。
ビニル樹脂シートおよび複合シートは、医薬品包装用途はジェネリック医薬品の在庫拡充を背景に好調を継続しておりますが、食品包装用途はカット野菜での需要が落ち込み、産業用途は中国を中心とした需要が足元は回復基調にあるものの、十分な水準まで回復しておらず売上収益は前期比で減少しました。
ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、サングラス用偏光板や車載用ヘッドアップディスプレイなどの高付加価値製品で販売数量を伸ばした一方、タブレットPC、電源アダプター向けの絶縁材や主力の国内建材用途、成型用産業用途の販売数量減により、売上収益は前期比で減少しました。
防水関連製品は、集合住宅向けが好調に推移し、売上収益は増加しました。
①資産の部
資産合計は、前連結会計年度末に比べ627億5百万円増加し、4,411億62百万円となりました。
主な増減は、現金及び現金同等物、有形固定資産およびその他の金融資産の増加であります。
②負債の部
負債合計は、前連結会計年度末に比べ166億69百万円増加し、1,374億35百万円となりました。
主な増減は、コマーシャル・ペーパーの発行による増加であります。
③資本の部
資本合計は、前連結会計年度末に比べ460億35百万円増加し、3,037億27百万円となりました。
主な増減は、当期利益の計上および為替変動影響による増加と、配当金の支払および自己株式の取得による減少であります。
当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ220億16百万円増加し、1,216億35百万円となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により得られた資金は402億17百万円となりました。
これは主に、税引前利益および減価償却費による収入と、法人所得税の支払による支出の結果であります。前期と比べると165億99百万円の収入の増加となりました。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動に用いた資金は211億18百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出の結果であります。前期と比べると54億70百万円の支出の増加となりました。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動に用いた資金は62億76百万円となりました。
これは主に、コマーシャル・ペーパーの発行による収入と、配当金の支払および自己株式の取得による支出の結果であります。前期と比べると166億78百万円の支出の減少となりました。
①財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、健全かつ安定した財務基盤の維持を前提に、資本効率の向上を図り、事業活動の成長と拡大のための投資を継続的に行い、安定かつ継続的に株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としております。
財務基盤に関しては、親会社所有者帰属持分比率は65%を超え、ネットキャッシュは650億円超のプラスという状況で、安定した水準を維持しております。引き続き財務体質の改善、信用力向上のための取組みに努めてまいります。また、資産効率に関しては、以下の施策をこれまで以上に強力に推進してまいります。
・収益性向上による営業キャッシュ・フロー確保のため、低採算・不採算事業の撲滅改善、製造原価の低減に加え、開発効率の向上や間接業務の効率化等の費用削減。
・資産のスリム化のため、売掛債権の回収促進、棚卸資産の適正水準や滞留の管理強化、政策保有株式の適宜見直し、不要・遊休資産の処分・売却の徹底、グローバルおよびリージョナルファイナンスによるグループ内資金の効率的な活用。
②資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、生産効率および品質の維持向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期の資金需要と、製品製造のための原材料および部品の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要のほか、M&A、DX等の戦略的投資のための需要があります。
③資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金および外部資金を有効に活用しております。
資金調達にあたっては、様々な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで、当社グループにとって最適かつ有利な手段を機動的に選択しております。
当社グループは、主要な取引先金融機関との間で長年にわたり良好な関係を維持しており、長期借入金、短期借入金、シンジケートローン等による資金調達のほか、緊急時の手元流動性と資金調達枠の確保を目的として、取引先金融機関との間に短期借入金枠およびコミットメントラインを設定しております。さらに金融市場からの安定的な資金調達能力の維持向上に努め、国内2社の格付機関から格付けを取得し、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達も行っております。
これらにより運転資金および設備資金に加え、戦略的な投資に対しても十分な流動性が確保でき、機動的かつ円滑な資金調達が可能となっております。
(5) 生産、受注および販売の実績
①生産実績および受注実績
当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産を行わないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産の実績については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (セグメント別販売状況)」に関連付けて示しております。
②販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当社グループは、売上収益、事業利益およびROEを業績目標の指標に設定しております。
中期経営計画で掲げた最終年度(2026年度)の数値目標は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題」および「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に、各指標の当連結会計年度における達成状況については「(1) 当期の経営成績の状況」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。