E30438 Japan GAAP
前期
1,166.7億 円
前期比
124.9%
株価
721 (05/02)
発行済株式数
73,896,400
EPS(実績)
7.01 円
PER(実績)
102.86 倍
前期
515.7万 円
前期比
101.4%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(15.1年)
従業員数
2,840人(連結:5,461人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、国内外に当社、連結子会社14社及び関連会社2社で構成され、自動車樹脂部品の製造、販売を主な事業としております。
当社グループは、商社、メーカーから原材料を仕入れ、インストルメントパネル、バンパー等の自動車部品及びバスユニット部材等の住宅設備機器を製造し、自動車メーカー、住宅機器メーカーに販売しております。
当社グループのセグメントは日本、中国・韓国、アセアン、中米・北米であり、日本は自動車樹脂部品の設計開発、製造販売を行う自動車部品製造部門と住宅設備機器の設計開発、製造販売等を行うその他の部門に分かれております。
1 当社グループの概要
当社グループは、開発から品質保証まで手がける提案型の総合プラスチックメーカー(フルサービスサプライヤー)であります。
当社での材料開発、新工法、新設備開発が可能にする新製品の開発提案と多彩な生産技術を有することが強みであり、長年培ってきた生産管理の仕組みと製造工程の技術力により、得意先からの多品種変量かつ厳しい納期管理についても対応できる体制が整っております。
また、常に新しい発見と可能性を追い求め、軽くて加工自由度が高いというプラスチックの特性をさらに高めつつ、機能性・安全性・強度・耐久性・環境配慮など、より付加価値の高い製品の提供を目指し、開発と提案を行っております。
2 当社グループ企業の位置づけと役割
(注) 1 上記会社は当社及び当社連結子会社であります。
2 上記の他に、持分法適用関連会社2社があります。
3 事業系統図
4 主要な製品と各事業の特徴
(1) 自動車部品製造部門
当社グループの主要な顧客は自動車メーカーでありますが、その中でも、マツダ株式会社(以下、「同社」という。)に対しては、主要な樹脂部品供給サプライヤーとなっており、同社の樹脂部品の多くを当社グループで取り扱い、特にインストルメントパネルにおいては全車種に供給しております。
バンパー、インストルメントパネル等の大物部品については、同社の順序指示(例:生産ライン別の車種の製造順序を指示すること)に従って計画順序搬入する生産形態を採用することで最小のリードタイムで納入対応ができるとともに、当社グループにおいても各工程を効率化することにより生産リードタイムを短縮することができ、コスト削減に寄与しております。
また、自動車メーカーにおいて、環境対策の一環としての車の軽量化による燃費向上や車のコストダウンが求められており、それらに対応して従来の金属部品から樹脂部品が採用されている外部環境に対し、当社グループの持つ技術力で、エンジンカバー、インテークマニホールド、オイルストレーナー等の耐熱性、耐振性能など過酷な条件が求められるエンジンルーム内の部品及びシュラウドパネル、フューエルリッド等の自動車ボディ部品の樹脂化についても成功し、当社の主力製品となっております。
① インストルメントパネル(Instrument Panel)
インストルメントパネルの主な工法として、パウダースラッシュ表皮法と発泡ウレタン注入法を使用してソフトタッチのインストルメントパネルを生産しております。パウダースラッシュ表皮法におきましては、成形工程との同時トリム法を開発し工程削減も行っております。また、ステッチ技術も取入れ、インストルメントパネルの質感向上も行っております。
② バンパー(Bumper)
低温衝撃にも強い樹脂材を使用した軽量バンパーフェースにおいては、トリクロロエタンを使用しない脱脂レス工法をいち早く開発し、環境に優しい塗装方法で生産を行っております。開発領域においては、レインホースメントを含めた衝突エネルギー吸収開発も実施可能であります。また、当社は樹脂材料を内製化するため、タルクマスターバッチ製法も開発し、価格競争力のある効率的な生産を実現しました。このバンパーは、マツダ株式会社及びダイハツ工業株式会社に採用されております。
③ サイドステップモール(Side Step Molding)
車体ドア下部に装着される空力性向上とボディの保護を目的とした樹脂でしか実現できないデザインの自由度を可能にした部品です。当社は生産コスト低減のため、大型部品の塗装ラインを開発し、効率的な生産を行って、主にマツダ株式会社やダイハツ工業株式会社等に採用されております。
④ テールゲート(Lift Gate Module)
鋼板から樹脂製に変更することで、内装トリム、スポイラー、ガーニッシュ等の一体化で軽量化、部品点数の削減による製造工程の簡略化を実現しました。軽量化による燃費の向上や、開閉のしやすさの利点に加え樹脂化による設計の自由度が向上し、斬新なデザインも可能となり、空力性能の向上にもつながっております。この樹脂製テールゲートは初めてマツダ株式会社に採用され、現在ではダイハツ工業株式会社、本田技研工業株式会社に採用されております。
⑤ 給電・給油口(Charger Receives Electric Power,Fuel Lid)
ボックスを高強度樹脂と開閉構造の検討により、従来の鉄製構造と比較して、軽量で高外観な樹脂構造を国内でいち早く確立しました。この給電・給油口はダイハツ工業株式会社、株式会社SUBARU、マツダ株式会社、三菱自動車工業株式会社等のメーカーに採用されております。
⑥ インテークマニホールド(Intake Manifold)
樹脂の持つ特長を生かし、軽量で各配管の流路抵抗等を低減した低価格な吸気多岐管の生産を実現しました。当社独自のDRI工法の開発によって三次元に湾曲した等長の樹脂管を安価に作ることが可能となり、初代トヨタヴィッツに採用されました。これを足がかりに国内の多くの自動車メーカーへの拡販に繋がっております。このインテークマニホールドは、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、その他多くの顧客に採用されております。
⑦ バッテリーカバー(Battery Cover)
電気自動車のバッテリーにおいて水・異物の侵入を防止し、ショートを防ぐことと、車両火災時のバッテリーへの燃焼を防ぐための大型のカバー。難燃性を有した熱可塑もしくは熱硬化材料を使用することで、耐熱焼性、シール性を確保しております。また、樹脂の形状自由度を活かし、電気自動車の限られたスペースにレイアウトも可能になり、車体の軽量化にも貢献しております。このバッテリーカバーは、マツダ株式会社、トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社に採用されております。
⑧ オイルストレーナー(Oil Strainer)
当社独自の樹脂技術と溶着技術の開発による極小の樹脂メッシュを含む樹脂製オイルストレーナーは、従来の金属製オイルストレーナーに対し、軽量、安価、高性能に加えて、設計の自由度が大幅に向上しております。現在、樹脂製オイルストレーナーでは世界一のシェアを誇っており、あらゆる形状にも対応しております。このオイルストレーナーはマツダ株式会社、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、本田技研工業株式会社、日産自動車株式会社、スズキ株式会社及び株式会社SUBARUに採用され、現在は日本、中国、タイ、インドネシア、メキシコにて生産し、顧客に供給しております。
(2) その他の部門(住宅設備機器)
住宅設備機器部門では、自動車部品製造で培った設計・開発・成形・塗装技術、そして品質管理力を活かし、SMC浴槽、塗装浴槽、塗装エプロン、樹脂便座を主にTOTOグループ向けに生産しております。
① 人造大理石
当社独自のBMC材料開発により、大理石調の色・柄の配合調整を行い、従来の注型工法でしか表現出来なかった「マーブル模様」を可能にし、洗面カウンターのコスト低減と抗菌性能の付加も実現しました。
② 塗装浴槽
当社は、自動車の大型部品の塗装技術を活かして浴槽の質感を向上させております。塗装技術開発により従来のSMC浴槽に比べ、深み感と色彩感を大幅に向上させ、TOTOグループの主力浴槽に採用されております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は、世界的な半導体不足の影響等はありましたが、顧客生産台数が回復傾向になったことと、原材料・エネルギー費高騰分の価格への転嫁等により、売上高は前連結会計年度と比べ29,075百万円(24.9%)増加の145,744百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、顧客の2直化のタイミング遅れによる米国新工場の費用負担と、全拠点における原材料及びエネルギー価格高騰の影響等はありますが、増収影響と投資の抑制や見直し等あらゆる経費の削減とコスト改善活動実施により、3,453百万円(前連結会計年度は2,632百万円の営業損失)となりました。
当連結会計年度の経常利益は、2,864百万円(前連結会計年度は985百万円の経常損失)となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、518百万円(前連結会計年度は2,085百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ6,736百万円(4.3%)増加し、162,899百万円となりました。主な要因は、売掛金及び投資その他の資産のその他並びに原材料及び貯蔵品が増加したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度に比べ5,233百万円(6.6%)増加し、84,477百万円となりました。主な要因は、長期借入金が減少した一方で、支払手形及び買掛金並びに流動負債のその他並びに未払金が増加したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度に比べ1,503百万円(2.0%)増加し、78,422百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が増加した一方で、利益剰余金が減少したことによるものであります。
この結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度に比べ18円50銭増加の1,063円76銭に、自己資本比率は、前連結会計年度の47.5%から1.1ポイント低下の46.4%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して1,923百万円(9.2%)減少し、18,944百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、14,048百万円の収入(前連結会計年度は3,705百万円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費11,895百万円の計上によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8,991百万円の支出(前連結会計年度は20,107百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出7,432百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、7,618百万円の支出(前連結会計年度は3,579百万円の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出5,254百万円であります。
当社は取引先の生産順序どおりに生産納入する方式を採用しており、確定受注は主に納期直前であることから、生産実績及び受注実績は、販売実績と重要な相違はないため記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の自動車業界を取り巻く環境は、カーボンニュートラルやSDGsをはじめとする持続可能な社会の実現に向けた取り組みや次世代の自動車開発がより一層加速するなか、世界で長期化していた新型コロナウイルス感染症の影響や半導体供給不足等による生産数の下振れは回復傾向にあるものの、ロシア・ウクライナ情勢等により、原材料及びエネルギー価格が高い水準で推移しており、これらは当社の事業活動にも大きな影響を及ぼすこととなりました。
このような環境の中、当社はCSR経営の強化を前面に、事業活動を通じた社会貢献活動を利益創出と双璧をなすものとして推進し、2023年度を最終年度とする中期経営計画に掲げる経営指標達成に向けた諸施策を実施してまいりました。
具体的な取り組みとしまして、研究開発領域においては、内装・外装部品でのリサイクル技術の開発や内装部品における自動車内の快適性向上、熱マネージメント技術の開発、樹脂と電装の融合による先進的な操作デバイスの開発等を推進してまいりました。
ものづくり領域においては、2019年に稼働を開始した本社工場の機能を活用した全自働化ラインのノウハウを水平展開するべく活動を推進してまいりました。より一段と進化した生産プロセスの拡充による省資源、省エネルギー化を目指し活動を進めてまいります。
商品領域としましては、インストルメントパネルの新しい価値の追求、次世代光透過表皮の技術開発や電動車にも対応可能なバスバーの量産等を推進してまいりました。
経営基盤領域においては、新型コロナウイルス感染防止策の一環として、テレワーク勤務やWEB会議等の活用や、女性活躍推進制度拡充プロジェクトによる、制度の見直し等の働き方改革を実施してまいりました。今後も多様性を意識した活動を推進してまいります。
当連結会計年度の連結業績は、世界的な半導体不足の影響等はありましたが、顧客生産台数が回復傾向になったことと、原材料・エネルギー費高騰分の価格への転嫁等により、売上高は前連結会計年度と比べ29,075百万円(24.9%)増加の145,744百万円となりました。営業利益は、顧客の2直化のタイミング遅れによる米国新工場の費用負担と、全拠点における原材料及びエネルギー価格高騰の影響等はありますが、増収影響と投資の抑制や見直し等あらゆる経費の削減とコスト改善活動実施により、3,453百万円(前連結会計年度は2,632百万円の営業損失)となりました。経常利益は、2,864百万円(前連結会計年度は985百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、518百万円(前連結会計年度は2,085百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(日本)
日本では、世界的な半導体不足の影響等はありましたが、主要顧客の生産台数増加と車種構成の変化に加え、販路拡大に向けた戦略OEMへの売上増加と、原材料・エネルギー費高騰分の価格への転嫁等により、売上高は前連結会計年度と比べ14,808百万円(16.2%)増加の105,956百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、原材料及びエネルギー価格高騰の影響等はありますが、増収影響と投資の抑制や見直し等あらゆる経費の削減とコスト改善活動実施により、前連結会計年度と比べ3,292百万円(408.4%)増加の4,098百万円となりました。
(中国・韓国)
中国・韓国では、邦貨換算影響による増収要因もありましたが、中国でのロックダウンによる自動車部品調達支障の影響により、売上高は前連結会計年度と比べ1,282百万円(16.7%)減少の6,384百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、生産工程の見直しによるコスト改善等はありましたが、減産影響と原材料及びエネルギー価格高騰の影響等により、81百万円の損失(前連結会計年度は283百万円のセグメント利益)となりました。
(アセアン)
アセアンでは、顧客生産台数の回復と邦貨換算影響により、売上高は前連結会計年度と比べ3,300百万円(35.5%)増加の12,585百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は、原材料及びエネルギー価格高騰の影響等はありましたが、増収影響と生産工程の見直しによるコスト改善等により、前連結会計年度と比べ857百万円(482.6%)増加の1,034百万円となりました。
(中米・北米)
中米・北米では、米国新工場の本格的な稼働開始と金型売上の増加に加え、邦貨換算影響により、売上高は前連結会計年度と比べ11,522百万円(78.8%)増加の26,145百万円となりました。セグメント損益(営業損益)は、顧客の2直化のタイミング遅れに対する米国新工場の生産体制の見直し等による改善を行いましたが、開発費の一括計上と邦貨換算影響により、2,750百万円の損失(前連結会計年度は2,871百万円のセグメント損失)となりました。
当社グループの資金需要につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄っておりますが、一部の設備投資についてはリースにより調達しております。今後の重要な資本的支出の予定及びその調達源については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度と比較して1,923百万円(9.2%)減少し、18,944百万円となりました。これは当社グループの支払債務及び投資活動を勘案しつつ、適正な流動性を確保するために資金の調達・運用を行ったものであります。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(4) 経営者の問題意識と今後の方針
当社グループは、対処すべき課題に記載する経営課題に対処すべく、「中期経営計画」において、顧客戦略、商品戦略、ものづくり戦略、拠点戦略、経営基盤戦略の5つを柱とする経営戦略を掲げ諸施策を推進しております。
ものづくり戦略においては、カーボンニュートラル実現に向け省エネ、再エネ、リサイクル等の活動を強化し、推進しております。
なお、今後の事業環境の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復はありますが、ロシア・ウクライナ情勢等により、原材料及びエネルギー価格が高い水準で推移しており、当社においても、先行きの見通しは不透明な状況であります。
このような状況の中、当社では世界4地域に展開した事業拠点での安定した事業の展開による成長、市場ニーズを先取りした独創的、革新的な樹脂製品や技術開発への積極的なチャレンジ、ものづくりのあるべき姿の追求、働き方改革の実現等、企業の継続的発展のための取り組みを推進してまいります。