株式会社エクサウィザーズ

上場日 (2021-12-23) 
ブランドなど:exaBaseCareWiz
情報・通信業ITコンサルグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E37158 

売上高

55.9億 円

前期

48.1億 円

前期比

116.2%

時価総額

382.2億 円

株価

449 (04/25)

発行済株式数

85,121,600

EPS(実績)

-1.66 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

900.6万 円

前期

829.3万 円

前期比

108.6%

平均年齢(勤続年数)

36.6歳(2.3年)

従業員数

287人(連結:373人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社エクサウィザーズ)及び事業開発や研究拠点機能を担う子会社5社(本書提出日現在においては子会社4社)により構成されております。当社グループでは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、独自開発のAIアルゴリズムと、様々な業界や業務に関する知見を組み合わせたAIサービスを顧客及び事業提携先に開発・提供することで、多様な領域における社会課題の解決を図っております。具体的には、(1)個別企業を顧客とし、そのデジタル・AI化を推進し産業・社会革新を図るAIプラットフォーム事業(当社、エクスウェア株式会社等)と、(2)広範な顧客向けに、業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエアを提供するAIプロダクト事業(当社、株式会社エクサホームケア、株式会社VisionWiz等)を展開しております。また、AIプラットフォーム事業及びAIプロダクト事業を通じて、独自開発のAIアルゴリズムと、様々な業界や業務に関する知見やデータを「exaBase」に蓄積することで、サービスの効率化及び高付加価値化を実現しております。

 

※画像省略しています。

 

 なお、これらの事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 

<外部環境について>

 国内においては、1925年頃の日本全体の人口に占める50歳以上の人口の比率は15%程でしたが、1985年以降高齢化が急速に進展しており、その割合は約50%まで上昇しております(注1)。今後、2045年頃には50歳以上の人口の比率が60%程度を占めると予想されており、国内では、こうした高齢化に伴う年金・医療・介護などの社会保障費の増大と、労働人口の急速な減少が懸念されております(注2)。

 

 一方で2000年以降のインターネットの普及によるビッグデータの蓄積と、2012年頃から本格化した深層学習技術に代表されるアルゴリズムの発展、そして2022年からの大規模言語モデルの提供により、AIサービスは着実に幅広い産業で利用され、近年では新規サービスとして実装段階に至るまで発展を遂げてまいりました。

 

 このような背景から、社会保障費の増大に対しては、一人ひとりがより健康に年を重ねられるようにすることで、医療・介護費を効率化し持続可能とすることが求められており、労働人口の急速な減少に対しては、これまで人が担ってきた業務の一部をAI・ソフトウエアで補完することで生産性を向上させることや、業務を高付加価値なものにすることが強く求められております。

 

 斯様な環境下、日本国政府による働き方改革の提言や、企業の労働生産性向上に向けた取り組み、長引くコロナ禍をはじめとする様々な社会課題の増大に伴い、企業の労働生産性の向上に向けたDX(注3)への取組みは喫緊の課題となりつつあります。しかしながら、国内企業におけるAIの導入率は限定的であり、約60%の企業においては、未導入、若しくは導入に向けた基礎的な調査や、概念実証(AIの初期的な導入検証)の段階に留まっております(注4)。その背景として「データ収集・整備が不十分」、「AIの利用により有用な業務成果が得られるか不安」、「AIの導入を先導する組織・人材の不足」といった要因が挙げられております(注5)。この要因として、企業内に直接雇用するエンジニアリソースが限定的であること、さらに総合職採用に伴う定期的な異動を前提とした研修・育成手法などを特徴とする人事慣習等が背景となって、本質的な経営課題に対処できる高度なAI/ITのプロフェッショナル人材を日本企業が抱えられていないという課題が指摘されています。

 

 

(注)

1.総務省 「長期時系列データ・我が国の推計人口(大正9年~平成12年)」(2013年1月)、「長期時系列データ(2000年~2020年)」(2022年7月)、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(2023年4月)を基に当社推計

2.内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」(計画ベース・経済ベースラインケース)(2018年5月)及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(2023年4月)

3.デジタル・トランスフォーメーションの略、デジタル化・AI活用を通じた当該業務・サービスの高付加価値化・効率化を指す

4.総務省が「令和4年通信利用動向調査(企業編)」(2023年5月)におけるIoTやAIなどのシステムやサービスの導入状況を「AIの導入」と定め、導入していない割合を算出

5.総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(平成30年)

 

<当社グループの展開する事業セグメントとその概要>

(1)AIプラットフォーム事業の概要

 当事業は、個別企業を顧客とし、当社グループのAIプラットフォーム「exaBase」に蓄積されたデータ基盤を用いたコンサルティング、アルゴリズム・ソフトウエア開発を通じて、顧客企業のデジタル・AI戦略やDX等の推進体制の立案・実行及び投資効果の最大化を支援しております。

 

 当社グループは多種多様なキャリアを経験してきたスタッフが事業運営しており、①様々な企業の経営コンサルティングを行ってきた人材を中心に組成された専任チームによる顧客のビジネスに関する知見、②機械学習エンジニア・ソフトウエアエンジニアによるAI技術に関する高度な知見、③UI・UX(注6)・デザインの専門家による顧客に関する深い洞察、④より本質的な課題に迫る上で必須となる事業・業界固有のドメイン知識が豊富な専門家・研究者等を始めとした競争力の高い経営資源を有しています。これらの要素を組み合わせることで、顧客の業務・サービスのあるべき姿の検討、どこで・どのようにAIを活用すれば良いかの検討及びその投資対効果の特定、アルゴリズムの開発や、実際の業務・サービスへの実装と投資対効果の最大化までのプロセスを一貫してサポートすることで、顧客企業のデジタル化・AI活用による成長を実現します。当社グループの事業領域に属するグローバルなコンサルティングファーム、デジタルコンサルティングファーム、BPOs(注7)、AIスタートアップ等は、多くの場合それぞれ顧客企業の事業や業務プロセスの一部のみを対象としてデジタル化・AI活用に取り組んでいるため、これらの企業と対比すると、顧客課題により深く接点を持つ当社グループは優位性を保持していると考えております。

 

(注)

6.UIはUser Interface(ユーザーインターフェース)、UXはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)を表し、前者はユーザーの視覚に触れる情報、後者はユーザーが製品やサービスを通して得られる体験や経験を示しております。

7.BPOはBusiness Process Outsourcing(ビジネスプロセスアウトソーシング)を表し、顧客企業の業務プロセスを委託するサービスのことを示しております。

 

※画像省略しています。

 

 当事業の収益モデルを以下にご説明します。

・検討・開発期:顧客企業のコンサルティング・アルゴリズム/ソフトウエア開発・サービス設計などを行うフェーズです。提供するアルゴリズムは未知の企業課題に応じて新たに開発される場合と、類似性のある課題について「exaBase」内のコンポーネントやノウハウを援用して開発を行う場合があります。契約内容に基づいて、FTE型(注8)及びPaaS型(注9)で提供価格を算定し、多くの場合は業務提供期間中に毎月プロジェクト・フィーを計上します。

・導入・運用期:開発したアルゴリズム等を顧客企業の業務オペレーションや提供サービスに組み込みます。以降はPaaS型の課金方法に基づき、継続的に「exaBase」を利用する期間中に毎月一定額のライセンス・フィーを計上します。

 また現在は「exaBase」のユースケースと機能の拡充によるAIプラットフォームとしての価値向上を推進し、PaaS型課金の増大に取り組んでいます。

 

(注)

8.FTEはFull Time Equivalentを表し、フルタイムのスタッフの労働量換算の意味で、その単位時間に比例して価格を算定する方式を示しております

9.PaaSはPlatform as a Serviceを表し、事業者が顧客に提供するプラットフォームサービス(当社の場合は「exaBase」)の使用条件・状況に応じて価格を算定する方式を示しております

 

 

 当事業は主に大企業に対してサービスを提供しており、銀行、証券、保険、製薬、製造、電力、通信・インフラ、小売消費財、人材、物流、不動産など多様な業界において、当連結会計年度においては142の企業に対しサービスを提供しております。それぞれの企業が抱える業界固有の課題や、人の手や従来のIT技術では解決し得なかった問題の解決に向けて、コンサルティングやAIアルゴリズム開発、サービス設計、顧客業務プロセスへの実装までの一連のソリューションを提供しております。これらのプロジェクトを通じ、様々な業界における構造化及び非構造化データが蓄積され、またそれらに基づき発展させた機械学習、自然言語処理、深層学習技術を中心とした高機能なアルゴリズムを保有していることが、当社グループの強みとなります。

 

 当社グループでは、これらの実装経験から開発・改良されたAIアルゴリズム及びその導入にあたってのノウハウを「exaBase」としてデータベース化しており、この事業資産をコンサルタント・エンジニアが共有して利活用することで、顧客に対してスピーディに質の高いサービスを提供することが可能な体制を構築しております。

 

(2)AIプロダクト事業の概要

 当事業では、多くの企業に共通した業務課題に向けて、顧客の業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエア群を提供しております。当社グループの顧客は自社で新規にAIアルゴリズムを設計・開発することなく、完成度の高いAIを業務において活用することが可能です。

 

 当社グループでは、AIプラットフォーム事業における顧客企業へのAI導入を通じて、業務・業界ごとのAIの導入余地や導入による影響、開発したAIアルゴリズムの汎用化可能性などを判断する経験と知見を蓄積してきました。この中で、汎用化の可能性が高いと判断したAIアルゴリズムについては、周辺機能を付加したAIプロダクトとして継続課金方式等により広範な顧客へ提供しております。

 

 このように、AIプラットフォーム事業における顧客企業の課題解決を通じ、汎用的な課題を抽出すると同時にプロダクトとしての成長可能性を探索する事業構造を備えることから、当社グループは研究開発コストを抑えながらも、企業のニーズに即した、新たなAIプロダクトを継続的に創出することが可能な体制を構築しています。

 更にAIプロダクトを提供する過程で、当該プロダクトの周辺業務を含むより広範な事業単位へと価値提供を拡張することが可能と判断した場合には、自社のみならず他社との協業により子会社を設立し、新規事業として展開しております。

 

 このような体制の下でAIプロダクト事業はサービス提供範囲を拡大しており、汎用的な課題解決のためのサービスについては、日本企業の大きな課題であるDX人材発掘・育成を目的とした「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を中心に売上は堅調に推移しています。今後は生成・対話型AIサービスの提供等を通じ、業種や職種を問わず、幅広い顧客企業の生産性向上に取り組んでいきます。

 また、介護業界に特化し、介護事業所における人材不足等の課題解決に取り組んできたCareWizシリーズについて、株式会社ケアコネクトジャパンに対し「CareWiz ハナスト」の事業譲渡を行いました。これにより、介護記録入力分野において、同社は「CareWiz ハナスト」をサービスラインナップに取り込み、自社主導での柔軟な開発・販売体制を実現することで、同社の提供サービスの一層の強化と事業競争力の向上に繋げるとともに、一方で当社グループにおいては、介護事業所経営に係る課題解決に寄与する新領域でのAIプロダクトの開発及びサービス展開に注力してまいります。

 

<当社グループの特徴と優位性>

① 在籍エンジニア・専門アドバイザーの高い技術力

 機械学習・深層学習領域のアルゴリズム構築技術を有するエンジニアや、顧客が真に使いやすいサービスを提供できるエンジニアは、国内では希少だと考えております。その中で当社グループでは、独自のネットワークから国内外の優秀なエンジニアへアクセスをすることで、過去に他企業でCTO(最高技術責任者)を務めていたような人材が複数在籍しております。また、Facebook AIのディレクターとしてAIの世界的権威であるアロン・ハレヴィ氏、AI研究の第一人者として知られるオックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授をはじめ、AIに関する各領域における国内外の第一線のアカデミアの方々をアドバイザーやサポーターに迎え、当社グループの技術力の基盤を強化しております。

 

② エンジニアの採用体制

 優秀な機械学習エンジニアが国内で希少である中、当社グループでは、幅広い採用者候補層を開拓しながら厳選した採用を行う体制が整っております。当社グループは、これまでも「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」とのミッションに共感するエンジニアを多数獲得してまいりましたが、引き続きエンジニアの働きやすい、また働きがいのある環境を整えることを通じて、優秀な人材の獲得を目指します。

 

③ ビジネス・ドメインの深い理解に基づいたソリューション設計

 顧客企業でのAI活用と事業成果の創出を支援するにあたっては、高度なアルゴリズムの技術力と同時に、広範かつ的確なビジネス理解と提案力が必要となります。当社グループでは、多くの大企業に対し経営コンサルティングを行ってきた人材や、特定の業界・業務に精通したエキスパートを採用し、これらの人材が企業の課題について事業構造を踏まえて的確に認識し、実際に業務にAIを導入し成果に結びつけるところまで顧客と並走することで、高いレベルでの顧客企業のデジタル化・AI化を促進しております。

 

④ 多様な企業への豊富なAI実装経験

 当社グループでは、高度なビジネス理解及び提案力と、蓄積されたAIモデルに基づき、様々な業界内における主要企業とともに、当該産業における重要な課題に対峙するAIプラットフォームを実装しております。

 日本企業におけるAIの活用は概念実証の段階に留まる事例が多い中、当社グループは顧客の事業活動の現場業務への実装経験を豊富に有しており、これらのノウハウの蓄積から様々な派生的な事業展開が可能な体制を構築しております。

 

⑤ 顧客企業との実証を通じた継続的な新規プロダクト創出の仕組み

 当社グループでは、AIプラットフォーム事業において、多数の業界・分野でのAIアルゴリズムの開発・実装を行っております。顧客企業との協働による実装と運用の検証を通じて、業界・業務ごとのAI活用の方法や、それにより得られる効果、具体的なアルゴリズム等の数多くの知的財産を有しております。これらの知的財産や知見を活かすことで、AIプロダクト事業において、ゼロから新規にサービスを開発する場合と比較し、小さいコストで、十分な市場ニーズがありかつ付加価値の高いソフトウエアサービスを開発できる蓋然性を高めることができていると考えております。この仕組を活用することで、AIプロダクト事業においては今後も継続的に新規サービスを創出することができると考えております。

 

⑥ 戦略的な知財ライブラリーの拡張と活用

 当社グループでは、様々な事業領域において培ったノウハウを集積し、権利化すべきものについては戦略的に出願、登録しております。日本特許については、出願数196件、保有特許95件(2023年3月末時点)を様々な領域において有しており、2022年には、特許取得件数が国内AIベンチャーにおいてNO.1となりました(注10)。一方、外国特許についても、国際特許を出願しポートフォリオを強化しつつ、年々保有件数を増加させています。技術的卓越性の可視化と権利化を通じて競争優位性を高めるため、盤石な知財体制の構築を目指しております。

 

(注)

10.2023年2月20日時点当社調査 日経業界地図2023年版「AIベンチャー」に記載されている企業について、J-PlatPatより「国内文献>特許(特開・特表(A)、再公表(A1)、特公・特許(B)、特許発明明細書(C)、登録日ありで絞り込む」での検索時の件数

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

(注)

11.2023年5月11日開催の取締役会において、当社の非連結子会社であるEXAWIZARDS INDIA LLPを解散することを決議しております。

 

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」とのミッションの下、AIプラットフォーム事業においては、顧客課題解決を通じて、様々な業界の産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることをめざして事業を推進しています。またAIプロダクト事業においては、広範な顧客向けに、最小限の追加調整で即座に業務で活用可能なAIソフトウエアを提供し、社会課題を解決することをめざして事業を推進しています。

 

(経営成績)

 

売上高

 当連結会計年度における売上高は5,591百万円(前期比+16.2%)となりました。これは主に、AIプラットフォーム事業において顧客数が増加したことによるものです。

 

売上原価、売上総利益

 当連結会計年度における売上原価は2,455百万円(前期比+39.4%)となりました。これは主に、人件費等及びソフトウエアの減価償却費が増加したことによるものです。

 以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は3,135百万円(前期比+2.8%)、売上総利益率は56.1%となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業損益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,513百万円(前期比+8.1%)となりました。これは主に人件費等が増加したことによるものです。

 以上の結果、当連結会計年度の営業損失は378百万円(前年度は201百万円の営業損失)となりました。

 

営業外損益、経常損益

 当連結会計年度の営業外収益は4百万円(前期比△97.4%)、営業外費用は1百万円(前期比△96.8%)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常損失は375百万円(前年度は97百万円の経常損失)となりました。

 

特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は88百万円(前年度は194百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。特別利益として、第1四半期にAIプロダクト事業に属する一部事業の譲渡により13百万円、第4四半期に介護事業者向けサービス「CareWiz ハナスト」に関する事業の譲渡により280百万円を計上しました。

 また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、繰延税金資産の取り崩し(注)等に伴い法人税等合計で67百万円を計上したことにより、141百万円(前年度は137百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

(注)当社は、今後の業績の見通し等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産の一部を取り崩し、2023年3月期第4四半期決算において、37百万円を法人税等調整額に計上することといたしました。本会計処理は実質的な支出を伴わず、当社のキャッシュ・フローに影響を及ぼすものではありません。

 

(セグメント業績)

 

AIプラットフォーム事業

 当連結会計年度においては、引き続きAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組んでいます。AI・DX支援に関する企業の強いニーズも後押しとなり、取引社数が増加しました。

 この結果、売上高は4,703百万円(前期比+12.5%)、売上総利益は2,757百万円(前期比△1.1%)、売上総利益率は58.6%(前期比△8.1pt)、営業利益は314百万円(前期比△55.9%)、売上高に占める長期継続顧客売上(注)の比率は73.9%となりました。

 

(注)AIプラットフォーム事業において、当社が4四半期以上連続で契約している顧客に係る売上高

 

AIプロダクト事業

 当連結会計年度においては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、新たなサービス開発にも取り組んでまいりました。

 DX AIプロダクト群では、企業のDX人材の発掘・育成のための「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を中心に導入企業数が増加しました。

 ソーシャルAIプロダクト群では、「CareWiz トルト」がパートナー企業との協業により販売拡大が進みました。また、当社と株式会社ケアコネクトジャパン(以下「CCJ」という。)との事業協力を一層強化するため、「CareWiz ハナスト」に関する事業をCCJへ譲渡し、また2023年4月28日に同社に対してマイノリティ出資を行いました。

 その中で、これらの需要に応えていくためのソフトウエア開発活動等により、ソフトウエア等の減価償却費や人件費等が増加しました。

 この結果、売上高は888百万円(前期比+40.8%)、売上総利益は377百万円(前期比+45.4%)、売上総利益率は42.5%(前期比+1.4pt)、営業損失は692百万円(前年度は914百万円の営業損失)となりました。

 

(財政状態)

 

資産

 当連結会計年度末における資産合計は7,939百万円となり、前連結会計年度末に比べ73百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が306百万円減少した一方で、ソフトウエアの増加等により無形固定資産が307百万円増加、また、工具、器具及び備品が45百万円増加したことによるものです。

 

負債

 当連結会計年度末における負債合計は1,321百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。これは主に、未払費用が人員増加に伴う給与関連費用等により50百万円増加したことによるものです。

 

純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は6,618百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円減少いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金の合計で126百万円を計上した一方で、親会社株主に帰属する当期純損失141百万円を計上したことによるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ306百万円減少し、5,231百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは71百万円の収入(前連結会計年度は24百万円の収入)となりました。これは主に、事業譲渡益の発生293百万円や売上債権の増加119百万円等の減少要因があった一方で、減価償却費394百万円や助成金の受取95百万円等の増加要因があったことによるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは483百万円の支出(前連結会計年度は701百万円の支出)となりました。これは主に、事業譲渡による収入456百万円等の増加要因があった一方で、無形固定資産の取得にかかる支出845百万円等の減少要因があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは105百万円の収入(前連結会計年度は3,878百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入125百万円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

AIプラットフォーム事業

4,703

112.5

AIプロダクト事業

888

140.8

合計

5,591

116.2

(注)

1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度においては、総販売実績に対する割合が10/100以上の相手先はありません。

相手先

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社ビッグモーター

584

10.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを新規開発、拡大していくための開発人員の人件費及び顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。