売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E34052 Japan GAAP

売上高

7.35億 円

前期

6.34億 円

前期比

115.9%

時価総額

40.6億 円

株価

785 (07/16)

発行済株式数

5,168,000

EPS(実績)

21.23 円

PER(実績)

36.97 倍

平均給与

493.6万 円

前期

434.3万 円

前期比

113.7%

平均年齢(勤続年数)

35.8歳(6.6年)

従業員数

56人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社は、「エーアイは音声技術で社会に新しい価値をつくり続けます」を企業理念に掲げ、事業活動を行っています。

「音声技術」には、主に音声をテキスト情報に変換する技術(音声認識)、テキスト情報を音声に変換する技術(音声合成)、音声の声色を別の声色に変える技術(声質変換)、音声から話者を特定する技術(話者照合・話者同定)などがあります。これらの「音声技術」のうち、当社は設立以来、「音声合成」に特化して事業展開を続けています。当社では、日本語音声合成エンジンに関する研究開発から製品開発、販売、サポートを全て社内で行っており、「法人向け製品」「法人向けサービス」「コンシューマー向け製品」の提供を行っています。(詳細は、後述「(4)ビジネスモデル」をご参照ください。)

「音声合成」の研究開発の歴史は古く、18世紀末頃まで遡ります。以前から音声合成を知っている方にとっては、機械音、いわゆる「ロボットボイス」の印象を強く持っている方が多いかと思います。当社が提供している音声合成エンジンは、機械音ではなく、人の声で合成する「波形接続型(コーパスベース)音声合成方式」をベースに、独自に研究開発を行った音声合成エンジン「AITalk®」となります。また、2020年5月より提供を開始しました「AITalk®5」では、従来の「波形接続型音声合成方式」に加えて、現在の人工知能研究の中核をなす「深層学習」をベースにした「DNN * パラメトリック音声合成方式」の音声合成エンジンの提供を開始しました。( * DNN:Deep Neural Networkの略。人の神経回路網を数理モデル化したもの(ニューラルネットワーク)を多層化し、多様で複雑な辞書を表現することができる。近年の計算機資源の向上やビッグデータの登場により、その性能は飛躍的に向上した。)2023年10月には、さらに検証や新たな学習を積み重ね、品質改善を行った結果、より自然性の向上した音声合成「AITalk®6」を発表し、製品展開を進めております。

このような音声合成技術の向上に伴い、この十数年で音声合成エンジンの利用が拡がってきており、当社の音声合成エンジンを利用する顧客企業は、通信、防災、金融、鉄道・交通、車載、ゲーム、観光、自治体、図書館、放送局等、多岐に渡っております。(詳細は、後述「(3)主な活用シーン」をご参照ください。)近年では、IoT、ロボットの普及、また訪日外国人観光客の増加に伴い、音声認識と意図解釈を組み合わせた音声対話ソリューションや機械翻訳と多言語音声合成を組み合わせた音声翻訳ソリューションのような人工知能を用いた情報提供システムでの利用が拡がりを見せています。また、教育現場においては遠隔授業のための動画作成や、コンシューマーにおいてはユーザー生成コンテンツに音声合成が利用される機会が非常に増えており、音声合成技術がより身近なものとして浸透してきています。このように、音声合成技術の需要は今後もますます増加していくと考えております。

 

(1)当社の音声合成エンジン「AITalk®6」について

音声合成とはテキスト情報からその内容に即した音声波形を作り出す技術のことを言います。この技術は、テキスト情報を言語辞書に基づいて解析し、読み方やアクセント情報などを抽出・付与する「言語処理部」と、言語処理部で得られた解析結果から、音声辞書に基づいて音声波形を生成する「音声処理部」に分かれます。

当社の音声合成エンジン「AITalk®6」では、最新の言語辞書の利用に加えて言語処理部の解析アルゴリズムを改善することで、従来製品よりも高い解析精度を実現しています。また、音声処理部においては従来の「波形接続型音声合成方式」とともに「新DNN音声合成方式」を提供しています。それぞれ次のような特徴があります。

①波形接続型音声合成方式

波形接続型音声合成方式は、収録した音声波形をある音声単位に分解し、入力されたテキスト情報に合うように波形を繋げて任意の音声を合成する方式のことを言います。当社では、母音、子音の音素片に分解した素片辞書と、収録音声から抽出した韻律情報を機械学習によりモデル化した韻律辞書を使って実現しています。

合成時には、言語処理部の解析結果から韻律辞書に基づいて韻律情報を予測し、予測した韻律情報と言語処理部の解析結果から最適な素片を選択・変形・接続し合成音声を生成しています。この方式では、収録音声波形をそのまま利用するため、肉声感の高く、収録した人の特徴が表れた合成音声を作ることができます。

 

②新DNN音声合成方式

新DNN音声合成方式は、収録音声から抽出した音声の特徴を表した音響モデルを音声辞書化し、入力されたテキスト情報から音声辞書を用いて予測した音響特徴量を「ニューラルボコーダ」に与えることで音声を生成する方式のことを言います。従来の音声生成法である「ボコーダ」から「ニューラルボコーダ」に変更するをことで、より自然で肉声感のある音声を合成できるようになりました。また、新DNN音声合成方式では、ニューラルネットワークに韻律モデルと音響モデルを統合し、音素や時間フレームの情報を短期や長期で考慮する構造を採用することで、従来よりも自然な音声に近い音声特徴量を生成できるようになりました。

※画像省略しています。

図 「AITalk®6」の概要

 

(2)「AITalk®」の特徴と当社の強み

当社の強みは、以下の4点になります。

①少ない収録音声

合成品質を向上するための一般的なアプローチは、音声収録数を増やすことです。一方で、音声収録数が増加することにより、収録時間が長時間に及び、また、音声辞書のサイズが大きくなりますので、音声辞書作成コストも増加します。当社では、少ない収録音声で高品質な音声合成を目指し、研究開発を進めており、一般的には、数10時間(数千~1万文章程度の収録)の収録時間を要するところ2時間~6時間程度(200~600文章程度の収録)の収録時間で音声辞書を作成することを実現しています。

 

②豊富な話者の提供

少ない収録音声で音声辞書を作成することを実現した結果、様々な音声辞書を提供する事が可能となり、本書提出日現在、日本語標準語の女性8話者、男性4話者、男の子2名、女の子2名、関西弁風の女性1話者、男性1話者の合計18話者を提供しております。

 

③Custom Voice(カスタムヴォイス)

従来は音声辞書の作成に数千万円の費用がかかっていたところ、少ない収録での作成を実現した結果、55万~500万円程度で作成することが可能となりました。その結果、特定の声優、ナレーター、キャラクター等、ご希望の音声辞書を安価に作成することにより、音声合成エンジンの利用範囲が大幅に拡がり、当社はこれまで400以上のCustom Voiceの作成を行っております。

 

④一気通貫での提供

音声合成エンジンを提供している競合他社は大手メーカーとなり、研究開発と製品開発あるいは販売が分離され

ています。当社においては、研究開発から製品開発、販売、サポートまでを全て自社内で対応しており、柔軟かつ迅速な対応を行える体制となっております。なお、外国語の音声合成エンジンについては、海外メーカーと提携し、展開しています。

 

(3)主な活用シーン

音声合成の品質向上に伴い、以前は、声優、ナレーターでの録音音声が利用されていた身近な様々なシーンにお

いて、音声合成エンジンの活用が拡がってきました。その様な状況の中、当社の音声合成エンジン「AITalk®」は、以下の様な様々なシーンにて活用頂いています。

①防災行政無線

防災行政無線、あるいは、全国瞬時警報システム(J-ALERT)にて、住民への放送用音声として、多くの自治体に活用頂いております。

 

②スマートフォン音声対話

スマートフォンにおける音声対話アプリの利用が拡大しておりますが、(株)NTTドコモが提供する「my daiz(マイデイズ)」、ヤフー(株)が提供する「Yahoo!音声アシスト」にて活用頂いております。

*「my daiz」は、(株)NTTドコモの登録商標です。

 

③ロボット

各社より様々なコミュニケーションロボットや業務用ロボットが提供されている状況の中、ソフトバンクロボティクス社が提供する「Pepper」や「Servi」、マツコロイド製作委員会が提供する「マツコロイド」等、多くのロボットにおいて活用頂いております。

 

④道路交通情報、カーナビゲーション

リアルタイムでの情報提供が必要となる道路交通情報、あるいは、全国の膨大な地点名を案内するカーナビゲーションにおいて活用頂いております。

 

⑤館内放送、駅構内放送

インバウンド向けの多言語を含め、駅、空港、商業施設におけるアナウンスとしてご利用頂いております。

 

⑥電話自動応答システム

図書館における電話による休館案内、銀行における電話自動応答システム、あるいはコールセンターにおける電話による自動案内等、電話自動応答システムとして幅広く活用頂いております。

 

⑦ホームページ読上げ

全国自治体、各企業のホームページの情報を音声で提供するツールとして活用頂いております。

 

⑧音声ファイル作成

eラーニング教材のナレーション、発券機等の機器におけるガイダンス、オーディオブック等で利用する音声ファイルを作成するツールとして活用頂いております。

 

⑨ゲーム

(株)セガ・インタラクティブが提供する競馬のアーケードゲーム「StarHorse」シリーズ、(株)タイトーが提供するアーケード用リズムアクションゲーム「テトテコネクト」を始め、ゲームのナレーション音声等で活用頂いております。

 

⑩コンシューマー向けパッケージ製品

当社オリジナルブランド「A.I.VOICE®」、(株)AHSから販売しております、「VOICEROID®」シリーズ等、コンシューマー向けパッケージ製品にて音声ファイル作成用途で活用頂いております。

 

⑪ニュース読み上げ

(一社)共同通信社が開発する「放送原稿読み上げシステム」のほか、各放送局においてニュースの読み上げ用途で活用頂いております。

 

⑫生成系AIとの連携

当社が提供するAIPal Chatをはじめとした生成系AIを用いた製品・サービスの発話機能として活用頂いております。

 

⑬オーディオブック

新エンジンによるより滑らかな音声の実現により、人の収録音声に代わる品質でオーディオブックに活用が進んでいて、作成のコスト低減とスピードアップが図れることから、オーディオブックの音声として活用頂いております。

(4)ビジネスモデル

当社は、音声合成事業の単一セグメントではありますが、「法人向け製品」「法人向けサービス」「コンシューマー向け製品」の3つの区分に分類しており、法人向けについては、顧客の特性に応じて、最適な製品またはクラウドサービスを提供しております。

①法人向け製品

<パッケージ販売:AITalk® 声の職人®・AITalk® 声プラス®・AITalk International®>

パソコンにテキストを入力するだけで、手軽に音声ファイルが作成できるパッケージソフトを販売しており、このソフトを使えば、誰でも簡単に直感的な操作で、高品質なナレーション音声を作成することができます。

 

※画像省略しています。

 

図 「AITalk®5 声の職人S」の画面

 

<ライセンスの提供:AITalk® SDK・AITalk® Server・AITalk® micro>

当社の主たるビジネスモデルは、ライセンスビジネスとなります。具体的にはお客様と使用許諾契約書を締結し、音声合成エンジンをご利用頂く対価として許諾料を頂くことになります。なお、許諾料については、初期に基本ライセンス料として一時金を頂いた上で、ご利用用途に応じて、月額使用料、販売実績に応じたロイヤリティ等を個別に設定しております。顧客の用途に応じて、最適な音声合成エンジンをご提供しております。

 

<受託開発:AITalk® Custom Voice®>

顧客独自のオリジナル音声辞書を作成する場合には、受託開発として請け負っております。

 

<受託開発:音声ファイル作成サービス>

お客様がご用意する収録文章をもとに、当社の高品質音声合成でナレーション・ガイダンスを作成し、音声データを納品します。お客様の業務効率の向上の実現と、社会における音声活用機会の更なる拡大を目指します。

 

②法人向けサービス

<クラウドサービス:AICloud®シリーズ>

クラウド環境を活用した音声合成サービスの展開を進めており、インターネットを経由して以下のサービスをご提供しております。

・AITalk® WebAPI

WEBサービス等から音声合成エンジンを利用できるサービスで、手軽に音声合成を利用したサービスを開始する事ができます。

・AITalk® 声の職人® クラウド版

Webブラウザ上で、簡単に音声ファイルを作成できるサービスです。

・AITalk® Web読み職人®

ホームページにタグを埋め込むことにより、ホームページを読み上げるサービスです。

 

<A.I.VOICE® Biz>

簡単な操作で入力したテキストをキャラクターの自然な音声合成で読み上げ、音声ファイルとして作成することが可能です。また、WEB APIを利用する事でリアルタイムな音声合成が可能となり、アプリやWEBサービス、機器への組み込みにも利用できます。豊富なキャラクターラインナップのマテリアル(動画などに活用できる公式イラスト)を活用することができます。

 

<AIPal Chat powered by ChatGPT API>

簡音声対応AIチャットアシスタントです。会話データは学習に使用されないため企業の安全性が確保され、業務に合わせたテンプレートから対話を開始できます。

 

<コエステーションサービス>

コエステ株式会社の合併により加わった、多言語音声合成対応のクラウドサービスです。ビジネス形態に応じてWeb APIとエディターが選択でき、一般人から有名人まで多種多様な「コエ」を利用することができます。

 

<サポートサービス>

法人向け製品をライセンス提供しているお客様に対して、継続的に技術的なサポートサービスを提供しております。

 

③コンシューマー向け製品

<A.I.VOICE®シリーズ>

音声ファイルを簡単に作成することができるパッケージを販売しております。Shopify Japan 株式会社が提供するサービスを活用した当社の「A.I.VOICE®」公式サイト及び、BASE株式会社が提供するサービスを活用し当社が運営するネットショップ「A.I.VOICE」Official shopでの直販と、量販店、Amazon等の販売店を介した流通販売があります。直販においては、Shopify Japan 株式会社及びBASE株式会社に決済等の販売手数料をお支払し、流通販売においては、卸価格で提供しております。「AITalk®5」を活用した個人向けオリジナルブランド「A.I.VOICE®」及びその後継製品である「AITalk®6」を活用した「A.I.VOICE®2」として、主に以下を販売しております。

・A.I.VOICE®シリーズ 琴葉 茜®・葵®(日本語、英語、中国語)

声優「榊原ゆい」さんの声をベースにした、関西弁“風”の「琴葉 茜®」と、標準語のイントネーションで読み上げる「琴葉 葵®」の声で喋らせる事ができます。

・A.I.VOICE®シリーズ各キャラクター製品

当社が運営するキャラクターや既に各方面で活躍しているサードパーティ運営のキャラクター、コラボ企画により実現した製品等の各種キャラクターによるラインナップです。

・A.I.VOICE® for Games(Unity向けエディタ拡張)

ゲーム開発環境上で簡単に音声が作れるエディター拡張です。音声の一括作成/変更/修正などを手軽に行う事ができ、ゲーム開発時の音声管理が改善されます。

 

※画像省略しています。

 

図 「A.I.VOICE®2 琴葉 茜・葵」の画面

 

<その他のコンシューマー向け製品>

音声ファイルを簡単に作成することができる以下のパッケージを販売しております。

・かんたん!AITalk®

誰でも文字を入力するだけで、簡単に高品質なナレーションが作成できる個人ユーザー向けパッケージソフトです。

・かんたん!アフレコ®

文字入力だけで、動画にナレーションと字幕を追加できる個人ユーザー向けパッケージソフトです。

・AITalk® あなたの声®

ご自身や大切な方の声を、音声合成技術で再現します。パソコンさえあれば、いつでも、どこでも、様々な言葉を喋らせる事ができるパッケージソフトで、Custom Voice®をセットにした製品となります。

・VOICEROID®シリーズ

好みの文章や言葉をテキストで入力するだけで、読み上げ・保存することができる入力文字読み上げソフトです。

なお、「かんたん!AITalk®」「かんたん!アフレコ®」は、販売店に販売を委託しており、「VOICEROID®」シリーズは、株式会社AHSから販売しております。

・からもるくじ

スマートフォンやPCから、いつでもどこでも手軽で簡単に、ハズレなしのオンラインくじが購入できるサービスです。人気キャラクターやアーティスト等のオリジナル商品があたるコラボくじが登場予定です。

 

 

[事業系統図]

事業系統図は以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

24/06/20

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが5類に移行したことを受けて各種制限撤廃が進み、アフターコロナと言われる新たな局面を迎えました。観光分野を中心とした社会経済活動の回復がみられる一方で、ウクライナ情勢、中東情勢をはじめとした世界情勢の不安定化、急激な為替変動を背景に、諸物価全般の上昇や円安が進展し、さらには出生率の急激な進行や人手不足、政治の混乱等、先行きの不透明な状況が続いております。

当社を取り巻く環境においては、新しい市場として、オーディオブック分野が拡大している状況にあります。また、当社は、引き続き、音声合成エンジンの品質向上に努めており、自然で豊かな表現が可能となった新エンジンAITalk6をリリースしました。
法人向け製品においては、防災分野及びロイヤリティ収入が堅調に推移したことに加え、オーディオブック向け音声コンテンツの受託案件が寄与し、対前年同期比で売上が増加、法人向けサービスにおいては、コエステ株式会社の吸収合併によるシナジー効果が寄与し、対前年同期比で売上が増加しました。また、コンシューマー向け製品においては、AITalk6を用いたA.I.VOICE2をリリースしたことが寄与し、対前年同期比で売上が増加、その結果、売上高全体としては前事業年度を上回る結果となりました。

利益面においては、利益率の高い法人向け製品と法人向けサービスの売上が大きく増加したことに加え、一般管理費を抑制したこと等により、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて、前事業年度を大幅に上回る結果となりました。

そのほか、当事業年度においては、Cerence社との協業において日本車メーカーでの採用に向けた取り組みや、生成AIを用いた法人向けチャットアシスタントサービスのリリースと拡販に向けた取り組みを行っております。また、当事業年度において行った株式会社フュートレック(以下、フュートレック)の株式取得により、当社の音声合成事業とフュートレックの音声認識事業とのシナジーを生むべく新サービスの開発に取り組んでおります。フュートレックとは、2024年1月16日付で経営統合に向けた基本合意を行い、2024年5月14日付で、2024年10月1日(予定)を効力発生日として当社を存続会社とする吸収合併契約を締結しております。

今後は、外国語製品の販売を強化するとともに、経営統合により音声合成周辺技術を含めたトータルな音声ソリューションの提供を目指してまいります。

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

ⅰ.財政状態

(資産)

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して316,533千円増加し、1,710,046千円となりました。

(負債)

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して206,807千円増加し、409,261千円となりました。

(純資産)

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比較して109,725千円増加し、1,300,784千円となりました。

 

ⅱ.経営成績

当事業年度の売上高は734,975千円(前年同期比15.9%増)、営業利益は81,596千円(同310.3%増)、経常利益は81,960千円(同265.7%増)、当期純利益は109,725千円(同570.4%増)となりました。当社は音声合成事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、特性に応じた3つの区分別の売上高につきましては、法人向け製品337,107千円(同20.2%増)、法人向けサービス226,195千円(同19.0%増)、コンシューマー向け製品171,672千円(同5.1%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して661,597千円減少し、575,198千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、169,608千円(前事業年度は18,158千円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により支出した資金は、1,036,598千円(前事業年度は5,214千円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果得られた資金は、90,835千円(前事業年度は44,375千円の収入)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

ⅰ.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

ⅱ.受注実績

当社は、提供する主要なサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

ⅲ.販売実績

当社は音声合成事業の単一セグメントのため、当事業年度の販売実績をサービス区分別に示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

前事業年度比(%)

 

法人向け製品          (千円)

337,107

120.2

法人向けサービス        (千円)

226,195

119.0

コンシューマー向け製品     (千円)

171,672

105.1

合  計     (千円)

734,975

115.9

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

108,046

17.0

95,267

13.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。

ⅰ.財政状態

(資産)

当事業年度末における流動資産は701,842千円となり、前事業年度末に比べ657,389千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が661,597千円減少したことによるものであります。固定資産は1,005,162千円となり、前事業年度末に比べ970,882千円増加いたしました。これは主に関係会社株式が926,328千円増加したことによるものであります。繰延資産は3,041千円となり、前事業年度末に比べ3,041千円増加いたしました。これは社債発行費が3,041千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は、1,710,046千円となり、前事業年度末に比べ316,533千円増加いたしました。

(負債)

当事業年度末における流動負債は303,616千円となり、前事業年度末に比べ102,554千円増加いたしました。これは主に契約負債が54,375千円増加、未払金が31,898千円増加、1年内償還予定の社債が30,000千円増加、未払費用が19,159千円増加したことによるものであります。一方で短期借入金は40,000千円減少いたしました。固定負債は105,645千円となり、前事業年度末に比べ104,253千円増加いたしました。これは主に社債が105,000千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は、409,261千円となり、前事業年度末に比べ206,807千円増加いたしました。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は1,300,784千円となり、前事業年度末に比べ109,725千円増加いたしました。これは、利益剰余金が109,725千円増加したことによるものです。なお、減資により資本金が51,481千円減少し、資本剰余金が51,481千円増加しております。

この結果、自己資本比率は76.1%(前事業年度末は85.5%)となりました。

ⅱ.経営成績

(売上高)

当事業年度の売上高は734,975千円(前年同期比15.9%増)となりました。法人向け製品においては、防災分野及びロイヤリティ収入が堅調に推移したことに加え、オーディオブック向け音声コンテンツの受託案件が寄与しました。法人向けサービスにおいては、コエステ株式会社の吸収合併によるシナジー効果が寄与しました。コンシューマー向け製品においては、AITalk6を用いたA.I.VOICE2をリリースしたことが寄与しました。以上のことから、売上高は対前年同期比で増加する結果となりました。

(営業利益)

当事業年度の営業利益は81,596千円(同310.3%増)となりました。売上高が対前年同期比で増加したことによる影響が大きく、さらに販売費及び一般管理費の抑制を行ったことから、営業利益は対前年同期比で増加する結果となりました。

(経常利益)

当事業年度の経常利益は81,960千円(同265.7%増)となりました。営業利益が対前年同期比で増加したことによる影響が大きく、支払利息が1,379千円あったものの、補助金収入1,267千円や業務受託料695千円等があったことから、経常利益は対前年同期比で増加する結果となりました。

(当期純利益)

当事業年度の当期純利益は109,725千円(同570.4%増)となりました。経常利益が対前年同期比で増加したことによる影響が大きく、さらにコエステ株式会社の吸収合併による繰越欠損金の増加により法人税等の計上額が減少したことから、当期純利益は対前年同期比で増加する結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、169,608千円(前事業年度は18,158千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益が106,385千円、減価償却費が11,587千円、契約負債の増加額49,512千円、未払金の増加額23,740千円、投資有価証券売却益39,845千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,036,598千円(前事業年度は5,214千円の支出)となりました。これは主に、関係会社株式の取得による支出1,069,428千円、投資有価証券の売却による収入39,952千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は90,835千円(前事業年度は44,375千円の収入)となりました。これは主に、社債の発行による収入146,607千円、短期借入金の純減少額40,000千円、社債の償還による支出15,000千円等によるものであります。

(資金需要)

当社の運転資金需要の主なものは、多言語のライセンス使用によるロイヤリティ支払や翻訳等のカスタマイズ開発の仕入、スタジオ収録費用の支払のほか、販売費及び一般管理費等に含まれる営業費用、研究活動における機能拡充・強化等に係る費用であります。

(財務政策)

当社の運転資金につきましては、手持資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。自己資金で手当できない場合、借入による調達となりますが、借入先・借入金額・条件等は、所定の手続きにより承認後、資金調達を行うことになります。