E34090 Japan GAAP
前期
22.5億 円
前期比
125.9%
株価
1,234 (05/10)
発行済株式数
5,932,500
EPS(実績)
105.60 円
PER(実績)
11.69 倍
前期
709.7万 円
前期比
101.0%
平均年齢(勤続年数)
41.5歳(7.1年)
従業員数
58人(連結:80人)
当社グループは、プロパティデータバンク株式会社(当社)並びに、プロパティデータテクノス株式会社およびプロパティデータサイエンス株式会社の連結子会社2社により構成されており、事業は主に不動産・施設の運用管理に関するクラウドサービス事業、不動産・施設の運用管理に関する情報管理・分析業務、クラウドサービスに関するシステムインテグレータ業務、不動産文書管理・デジタル化業務・電子配信業務・印刷業務、商業店舗売上予測クラウドサービス・データサイエンス業務等を行っております。
当社は、「知識の集約により顧客の業務に革命を、顧客の資産に価値向上を」をビジョンに掲げ、顧客の保有する不動産・施設の運用管理を支援することを目的として、不動産・施設管理のためのソフトウェアを提供しており、そのITツールとして、不動産クラウド「@プロパティ」を提供しております。
当社の顧客が管理対象とする不動産・施設は、全国各所に分散立地しております。また、これらの運営管理の巧拙は、現地の管理委託先や支店等の出先機関、そして、それを統括する本部機関の間の緊密な業務連携に負うところが少なくありません。業務情報の適時な集約と共有は、近代的な不動産・施設等の運営管理に欠かせないものとなっております。「@プロパティ」は、このような不動産・施設等の運用管理における業務効率の改善に資するためのサービスです。
従来のITツールは、パッケージソフトと呼ばれる形式でサービス提供され、利用者はサービスを利用するためにハードウェアを購入し、そこにソフトウェアをインストールする必要がありました。一方、クラウドサービスは、インターネット経由でサービスを提供するため、利用者によるサーバーの購入やソフトウェアのインストールは不要です。インターネットを利用できる環境を用意すれば社内・社外、国内・国外問わず、どこからでもサービスを利用することが可能です。
総務省発表の「通信利用動向調査」によると、企業の業務のIT化におけるクラウドサービスの利用は、2021年には70.4%と前年に比べ1.7ポイント上昇しており、当社は、不動産を活用する企業においても同様の傾向があると考えております。当社は当分野において、クラウド黎明期よりサービスを提供し続けるなかで培った技術・サービス・顧客業務に対する知見を競争力の源泉としております。
また、プロパティデータテクノスでは、REITや不動産ファンドなど不動産関連企業を中心に、不動産文書の管理やデジタル化サービスを提供しております。また、機器メーカー向けに常駐による電子配信サービスを提供すると共に、既存業務として、印刷業務を行っております。
プロパティデータサイエンスでは、募集賃料算定支援サービスや商業店舗売上予測クラウドサービスを、クラウドサービスとして提供しており、同社の分析によって構築した顧客の予測モデルはクラウド上で管理され、顧客は必要な時、必要な分だけ分析を依頼し、予測結果はクラウド上で確認することができます。
当社グループは、2000年10月の創業以来、不動産・施設の運用管理を支援する不動産クラウド「@プロパティ」の提供を主力事業と位置付け、市場を開拓・拡大してまいりました。当社グループの報告セグメントは「@プロパティ」の提供にかかる単一セグメントでしたが、2022年度よりプロパティデータテクノスとプロパティデータサイエンスを連結子会社としており、提供するサービスの内容に応じて、下記のとおり(1)クラウドサービス、(2)ソリューションサービス、(3)その他に区分しております。
(1) クラウドサービス
クラウドサービスは「@プロパティ」の提供・保守メンテナンス及びユーザーサポートを主に行っております。顧客からは登録建物データ数に応じた従量課金による月額利用料及び保守サービス料を受領しており、ストック型売上計上のビジネスモデルです。
従来、不動産管理分野のIT化は、顧客自身がシステムを開発、購入することで、業務改善の実現を目指すものでした。
それに対して、当社のサービスは、システム基盤(ソフトウェア及びハードウェア)を、当社が開発・所有し、これをインターネット経由でご利用いただくことで、顧客の業務改善を実現するものです。これにより、顧客は多大なシステム投資や開発リスクを負担することなく、IT化を実施することが可能となります。また、「@プロパティ」は、所謂マルチテナント(※1)方式のクラウドサービスとなっており、「@プロパティ」の全ての機能が同一のプラットフォームに実装されております。そのため、当社にてメンテナンスや機能改善等を実施いたしますので、顧客はサービス利用開始後の保守業務の負荷を軽減する事ができます。当社は、顧客の要望を掴みながら、サービスの向上を目的とした設備投資を実施できるため、利用者の増加、サービスの向上、顧客の満足度を、相乗的に向上させるスパイラルアップ型の事業構造を構築していると考えております。
※1 クラウドサービスにおいて、一つのシステムを複数のユーザーで共有する方式を意味しております。
①「@プロパティ」の主な機能
※画像省略しています。
主な機能の名称 |
主な内容 |
資産基本情報 |
・資産名称、所在地、所有者等の基本的な情報を管理 ・物件取得価額、評価額、修繕工事履歴といったデータを蓄積 ・契約書等の重要書類や竣工図面、工事見積書などの技術情報を電子書庫として保管 |
プロパティマネジメント (※1) |
業績管理 ・物件収支の予算、実績の管理 ・物件収支の見通しの管理 ・物件概要、賃貸借契約一覧、入金一覧、出金一覧、工事一覧等により構成されているレポートを出力 |
債権債務管理 ・テナントへの請求及び入金情報の管理 ・業者への支払情報の管理 |
|
賃貸・賃借管理 ・賃貸契約情報の管理 ・賃借契約情報の管理 |
|
工事管理 ・工事の実施状況の管理 ・中長期工事の実施時期の管理 |
|
受託・委託契約 ・業務受託契約の管理 ・業務委託契約の管理 |
|
ビルマネジメント |
進捗管理 ・スケジュールを年間・月間・日次で作成し、その実施状況を管理 ・ビルマネジメント業務に関する収益の予算、実績の管理 ・スケジュール、修繕履歴一覧、クレーム一覧等により構成されているレポートを出力 |
作業手配 ・テナントからの依頼・クレームや機器の修繕などの手配及びその状況の管理 |
|
修繕履歴管理 ・空調やエレベーターなどの機器台帳の管理 ・機器の修繕履歴の管理 |
|
エネルギー管理 ・CO2などのエネルギー情報の管理 |
|
クレーム管理 ・テナントからの依頼・クレーム情報の管理 |
ポートフォリオ総合分析 |
・「@プロパティ」に登録されている情報をポートフォリオとして集計 ・リスト集計、ランキング、グラフ化、クロス集計、履歴などさまざまな集計方法を用いて的確な情報を提供 ・ドリルダウン機能により、ポートフォリオ表示から詳細データに直接リンク |
アセットマネジメント (※2) |
ファンド運営 ・ファンド名称、投資スタイル、組入物件情報などを管理 |
経営分析 ・ファンド収益の予算、実績の管理 ・ファンド収益の見通しの管理 |
|
シミュレーション ・物件取得や売却などのイベントを含むシナリオを作成し、シミュレーションを実施 |
|
開示資料作成 ・不動産証券化協会私募ファンドガイドラインに準拠した主要報告書を出力 ・ファンド会計に関する貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、XBRLファイル等を出力 |
※1 プロパティマネジメントは、不動産の管理を代行する業務を意味し、主な業務は、リーシング業務、契約管理業務、入居テナントの賃料請求・回収業務、テナントからのクレーム対応や営繕対応業務といったものがあります。
※2 アセットマネジメントは、投資家に代わって資産の管理を行い、資産価値を向上させることを意味します。
②「@プロパティ」の顧客の利用目的や業務範囲等に応じた機能の組み合わせによる提供
当社の主な顧客は、不動産投資ファンド等のアセットマネジメント事業者、資産の管理を担う不動産管理会社等のプロパティマネジメント事業者、ビルメンテナンス会社等のファシリティマネジメント事業者、不動産オーナー企業や事業を営むにあたり不動産を利用する鉄道会社等のメーカー、インフラ企業等の一般事業会社及び国や地方自治体等の公共事業者であります。当社は「@プロパティ」の機能を顧客の利用目的や業務範囲等に応じて組み合わせることで、不動産・施設等の運営・管理に関わる様々な分野・企業のニーズに対応しております。
業務範囲(主な顧客) |
主な使用目的 |
業務範囲に応じた機能の主な組み合わせ(エディション(※1)) |
アセットマネジメント事業者 |
「@プロパティ」に蓄積している情報を確認・分析し、投資家への開示資料を作成するため、また不動産の価値向上のために使用いたします。 不動産に関わる情報は、一般にプロパティマネジメント事業者が作成いたしますが、物件毎に業者が異なることにより、収集する情報の項目や粒度が異なるケースが多々あります。「@プロパティ」を使用することによりそれらの問題が解決し、より正確な情報及び分析結果を投資家に提供することが可能です。 |
AMエディション 不動産ファンド(SPC)組成から、物件の取得/売却、運用実績・収支・出資・分配などファンド運用管理まで、アセットマネジメント業務を支援します。 ・資産基本情報 ・プロパティマネジメント ・ポートフォリオ総合分析 ・アセットマネジメント |
プロパティマネジメント事業者 |
アセットマネジメント会社に物件の収支情報等を報告するためのレポートを出力するために利用いたします。 賃貸借契約、請求入金、予算・実績管理といった日々の業務で入力した情報を基に、自動で作成されるため、業務が効率的になります。 |
PMエディション オフィス/住宅、自社所有/管理受託など物件に対応した機能を提供し、マンスリーレポートを始め、プロパティマネジメント業務を支援します。 ・資産基本情報 ・プロパティマネジメント ・ポートフォリオ総合分析 |
ファシリティマネジメント(※2)事業者 |
施設情報の一元管理及びコストの適正化のために利用いたします。 管理施設の法定点検・日次点検情報、テナント等からの依頼・クレーム情報、施設の機器情報を「@プロパティ」に登録することで、過去の類似情報を閲覧、又は他施設の類似情報を閲覧することができます。それにより、作業漏れやコストの妥当性等を確認することができます。 |
FMエディション 土地・建物・設備など業務用の施設を、経営面・管理面・実務面からプロパティマネジメント業務を支援します。 ・資産基本情報 ・ビルマネジメント ・ポートフォリオ総合分析 |
一般事業会社 |
自社で保有する事業用不動産管理や投資用不動産管理に使用いたします。 国内外に散在する不動産・資産のサマリー情報・価値・リスク・収支・活用状況などの実態を可視化することにより、資産情報の共有化と資産管理の適正化を図ることができます。 |
CREエディション 企業価値向上の観点から、オフィス・工場・店舗などの事業用不動産やテナントビルなどの投資用不動産、厚生施設など施設の有効活用を支援します。 ・資産基本情報 ・プロパティマネジメント ・ビルマネジメント ・ポートフォリオ総合分析 |
公共事業者 |
使用目的・効果は、ファシリティマネジメントと同様ですが、公共施設の場合は、より中長期の観点で施設の維持・保全のために使用いたします。 |
PREエディション 国・地方自治体やPFI(※3)事業等、長期におよぶ公共資産の管理・運営を支援します。 ・資産基本情報 ・ビルマネジメント ・ポートフォリオ総合分析 |
※1 エディションは、主な利用者ごとに顧客の利便性の観点から当社が推奨する機能の組合せたものの名称です。
※2 ファシリティマネジメントは、業務用不動産の資源(建物・設備・環境)を最大限に有効活用するために、経営戦略的視点から管理を行う業務を意味します。
※3 PFIは、公共施設等を民間の経営能力・技術力を活用し、維持管理・運営を行う公共事業の手法です。
③「@プロパティ」の導入効果、メリット
当社は、顧客に対し、主に以下の導入効果及びメリットを提供するため、クラウドサービス「@プロパティ」を提供しております。
a. 不動産マネジメントに関する業務の省力化及び効率化
不動産管理業務で一般的に課題となる、複数のシステムを利用していることによる入力業務の重複感やシステム間の連携の難しさ等は、「@プロパティ」を利用することにより解消が可能となります。
「@プロパティ」が不動産管理業務の機能を網羅しているため、一つの機能で入力した情報がその後に続く業務に関連する機能に自動的に連携することができます(例:賃貸契約管理業務→請求書発行業務→入金管理業務→予実管理業務)。これにより、入力の重複感やシステム連携の煩わしさを軽減することが可能となり業務の省力化及び効率化に繋がります。
b. 国内外全ての不動産情報の一元化
「@プロパティ」で管理している情報は、インターネットさえ利用できる環境があれば国内外で確認することができます。また、ポートフォリオ総合分析機能を利用することにより単一の不動産情報に限らず、複数の不動産情報をまとめて確認・比較・分析することができます。
c. オーナーと管理会社等の関係者の情報共有化
顧客の本社間の業務連携や、オーナーと管理会社等の外部委託者との業務連携にあたり、「@プロパティ」導入前は一般的にExcelファイル、PDFファイル、あるいは紙に印刷した情報をメール、郵送、手渡し等で共有する必要がありますが、「@プロパティ」を利用することで、同じ情報をリアルタイムに共有することができます。
d. 内部統制の強化支援
「@プロパティ」は、参照権限、登録権限、承認権限を設定することができます。それにより管理する情報に対し、登録者、承認者を明確にすることができるため、権限を与えられていないユーザーによる登録・承認を防止することができます。また、いつ、誰が登録・承認したかを確認することができるため、内部統制機能を強化することが可能です。
e. コストの削減
クラウドの特徴として、自社システム開発、パッケージソフト導入に比べてインフラコスト・開発コスト等の初期費用の削減及び運用開始後の保守・監視等のシステム維持費を削減することができます。
f. バージョンアップ対応
法改正・税制改正、ブラウザのバージョンアップ等、環境等の変化に合わせて、「@プロパティ」もバージョンアップしますので、顧客はその都度カスタマイズする必要がなくなり、常に最新の状態で利用することができます。
g. セキュリティ対策と危機管理
当社は、「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」(※1)の認定を取得しており、また、「@プロパティ」に関するサーバーを設置しているデータセンターは国内3拠点で同時稼動させております。このことにより、顧客は止まらないシステムとして安定的に「@プロパティ」を利用することができます。
※1「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」は、特定非営利活動法人ASP・SaaS・IoT クラウド コンソーシアムが、クラウドサービスの利用を考えている企業や地方公共団体などが、事業者やサービスを比較、評価、選択する際に必要な「安全・信頼性に係る情報を適切に開示し、かつ一定の要件を満たすASP・SaaSサービス」を認定するものです。
④「@ナレッジ」の特徴
「@ナレッジ」は、ファイルサーバーとナレッジマネジメントを統合してクラウドで提供するまったく新しいサービスです。社内に散在するさまざまなドキュメントを単一のプラットフォームに保管した上で付加価値の高いファイルを可視化し、ナレッジの蓄積と共有を促進することで、従業員の能力向上や組織の高度な情報活用を実現します。主な特徴は以下のとおりです。
a. 知識の分析・活用が簡単
コンテンツを多彩な切り口でランキングできます。高評価なコンテンツ、頻繁に参照されているコンテンツ、評価の高いユーザーなどの情報が簡単に把握でき、情報の参照や活用を促します。
コンテンツの利用状況の把握も容易で、これらを活用することで作業の効率化、業務の改善や業容の拡大に役立ちます。
b. 直感的なファイル登録と検索
ファイルサーバーなどではナレッジを蓄積しても探すのが大変で活用が進みません。しかし「@ナレッジ」ではファイルの登録や検索を直感的に行えるのが特長です。
「カテゴリ」「タグ」をキーにした検索と全文検索に対応し、ファイルを簡単に見つけられます。
c. 良質な文書がすぐにわかる
一般的なファイルサーバーでは、開くまで中身がわからず、このデメリットが既存の資料を活用する妨げとなっています。「@ナレッジ」では、概要情報やユーザーからの評価を表示させることで、良質な文書をすぐに見つけられます。
d. バージョン管理が簡単
ファイルサーバーでは似たようなファイルを複数人が持つことで容量圧迫や内容の混乱が起きがちです。「@ナレッジ」では、1つのファイルにカテゴリを追加するだけだから実ファイルは1つ。バージョン管理もできます。
1つのファイルを更新していくことは、コンテンツのブラッシュアップによる改善にもつながります。
(2) ソリューションサービス
既に「@プロパティ」を導入している顧客、又は導入を予定している顧客に対して、クラウドサービスを基盤にした業務効率化支援を実施しながらも、個々の顧客特有のニーズに応じて、顧客の業務上の課題解決を実現するため、「@プロパティ」に関する以下のソリューションサービスを提供しています。
① 初期コンサルティングサービス、データ登録代行、教育・講習会
当社では、サービス導入前に、顧客の業務を把握し、よりスムーズに利用いただくために、初期コンサルティングサービスを提供しております。
また、クラウドサービスを利用する際には、顧客が保有している建物情報・賃貸借契約情報など、各種データを「@プロパティ」に登録する必要があるため、初期データ登録作業を代行し、スムーズな運用の移行ができるよう導入支援サービスを提供しております。
② オプション販売
オプション販売は、業務の効率や精度を高めるために、例えば、銀行から取得した入金データファイルを「@プロパティ」に取り込む機能や顧客の会計システムに連携するためのデータを出力する機能など標準機能にはない機能を追加して提供するサービスです。
③ カスタマイズ
カスタマイズは標準機能、オプション機能でも十分対応できない、顧客固有のニーズに対応するサービスのため、システム開発受託の形で提供する新規の機能追加や既存社内システムとのデータ連携等を可能にするサービスです。
(3) その他
① プロパティデータテクノス
当社では、REITや不動産ファンドなど不動産関連企業を中心に、不動産文書の管理やデジタル化サービスを提供しております。
また、機器メーカー向けに常駐による電子配信サービスを提供しております。
加え、既存業務として、印刷業務を行っております。
② プロパティデータサイエンス
「データサイエンスサービス」の特徴として、「@プロパティ」に蓄積されたビッグデータを最新のAI技術等によって解析し、最適な募集賃料の算出や、改修工事投資効果の予測等をお客様に提供いたします。
また、この技術を応用し、不動産・地理情報等の外部情報を併せて活用することで、商業店舗売上予測サービスに展開しています。
これらの「データサイエンスサービス」は、クラウドサービスとして提供しており、当社の分析によって構築した顧客の予測モデルはクラウド上で管理され、顧客は必要な時、必要な分だけ分析を依頼し、予測結果はクラウド上で確認することができます。
a. 募集賃料算定支援サービス
個別に許可をいただいた顧客を対象に、蓄積している「@プロパティ」の運用・管理のデータを分析し、募集賃料算出、退去確率予測、空室期間予測、改修効果予測等の新たな価値を提供いたします。これにより、顧客は、「解約が決まって募集をかけたいが賃料をいくらで設定すべきかわからない」、「募集賃料を下げて稼動を急ぎたいが、いくらに設定すべきかわからない」といった課題を解決することができます。
b. 商業店舗売上予測クラウドサービス「スピードアンサー」
飲食・小売業など多店舗展開する顧客向けに、店舗の新規出店時の売上を予測するサービスです。「a. 募集賃料算定支援サービス」は、「@プロパティ」に蓄積しているデータを分析いたしますが、本サービスは、顧客から受領した既存店データ及び店舗周辺の商圏データなどを基に予測モデルを構築し、新規出店候補地の売上を予測したレポートをお客様にご提供いたします。
「a. 募集賃料算定支援サービス」と同様、最新の実績データを追加することにより、構築した売上予測モデルの精度を向上させることができます。
[事業系統図]
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。従いまして、前連結会計年度の連結財務諸表を作成しておりませんので、これらとの比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、不動産・施設の運用管理を支援するクラウドサービス「@プロパティ」を不動産に関わる様々な業種や業態の企業に提供しており、不動産投資運用会社(REIT、ファンド)、多数の不動産を所有する一般事業会社等、厚い顧客基盤を背景に当社クラウドサービスは着実にその事業規模を拡大させております。
当連結会計年度は、新たに策定いたしました2022年度~2026年度中期経営計画達成に向けた準備期間と位置付け、次世代戦略プロジェクト(※1)、フロンティア事業推進(※2)、サービスデザイン戦略(※3)の3領域を重点分野として推進するための組織変更を実施し、ガバナンス強化、R&D機能の拡充および次世代プロジェクト等を推進しております。
<2022年度~2026年度中期経営計画 ハイライト>
・PDBグループの形成を通じた提供機能の更なる拡充に加え、新たな領域に進出し不動産WHOLE LIFE(※4)をフルカバー
・5年後売上高75億円、営業利益17億円を目指す
・顧客の業務を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム」へ
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの、経済活動の正常化が進む中で、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支えるITへの投資意欲が一層回復傾向にあることを受け、プロジェクトの受注活動、推進活動ともに活発化いたしました。費用面においては、タクシー広告等の広告宣伝費、人員拡充のための採用費や不動産DXプラットフォーム構築のための研究開発費等を計上いたしました。また、新規連結子会社の取得に伴う負ののれん発生益を特別利益に計上いたしました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は3,969,406千円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は909,776千円となりました。
当連結会計年度末における純資産合計は3,059,630千円となりました。
b.経営成績
売上高は2,832,885千円、営業利益は822,883千円、経常利益は823,255千円、親会社株主に帰属する当期純利益は626,490千円となりました。
なお、当社グループは「@プロパティ」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。「@プロパティ」事業のサービス別の売上高は以下のとおりです。
(クラウドサービス)
ストック型売上であるクラウドサービスは、既存顧客のストック部分に加え大口を含む新規顧客の獲得により、売上高は1,514,176千円となりました。
(ソリューションサービス)
フロー型売上であるソリューションサービスは、鉄道会社グループを中心とする一般事業法人へのカスタマイズ開発、オプション販売等により、売上高は1,150,904千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、営業活動により790,741千円の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)が増加しました。また、投資活動により195,728千円の資金が減少し、財務活動により108,741千円の資金が減少しました。
この結果、当連結会計年度末における資金の残高は、1,910,939千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益887,498千円、減価償却費284,943千円などにより790,741千円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得による支出142,858千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出80,660千円などにより195,728千円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額92,695千円などにより108,741千円減少しました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、サービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは「@プロパティ」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。サービス別の売上高は以下のとおりです。
サービス別 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
クラウドサービス |
1,514,176 |
- |
ソリューションサービス |
1,150,904 |
- |
その他 |
167,804 |
- |
合計 |
2,832,885 |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は2,733,866千円となりました。主な内訳は、現金及び預金1,910,939千円、売掛金636,803千円、契約資産129,862千円であります。
当連結会計年度末における固定資産は1,235,539千円となりました。主な内訳は、ソフトウエア386,336千円、保険積立金332,149千円、繰延税金資産193,692千円であります。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は3,969,406千円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は619,870千円となりました。主な内訳は、未払法人税等191,061千円、買掛金110,323千円、前受金105,920千円であります。
当連結会計年度末における固定負債は289,905千円となりました。主な内訳は、退職給付に係る負債153,615千円、長期未払金91,957千円であります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は909,776千円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は3,059,630千円となりました。主な内訳は、利益剰余金2,524,421千円であります。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、2,832,885千円となりました。@プロパティ事業においては、ストック型売上であるクラウドサービスは、既存顧客のストック部分に加え大口を含む新規顧客の獲得により、売上高は1,514,176千円となりました。フロー型売上であるソリューションサービスは、鉄道会社グループを中心とする一般事業法人へのカスタマイズ開発、オプション販売等により、売上高は1,150,904千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、1,135,062千円となりました。主な勘定科目は、人件費、外注加工費、減価償却費です。この結果、売上総利益は、1,697,823千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、874,939千円となりました。主な勘定科目は、人件費、支払手数料、地代家賃です。この結果、営業利益は、822,883千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益が2,832千円、営業外費用が2,460千円となりました。営業外収益の主な勘定科目は保険配当金と受取配当金、営業外費用の主な勘定科目は保険解約損です。この結果、経常利益は823,255千円となりました。
(特別利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において特別利益64,242千円を計上しております。これは新規連結子会社の取得に伴う負ののれん発生益によるものです。なお、特別損失は発生しておりません。法人税等合計が261,540千円となり、この結果、当期純利益は625,957千円、親会社株主に帰属する当期純利益は626,490千円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、取引先の信用状況は良好であり、新型コロナウイルス感染症拡大による売掛債権の回収懸念等の資金繰り悪化要因は生じておりません。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、ストック型売上であるクラウドサービスとフロー型売上であるソリューションサービスを両輪に盤石な収益基盤を確立しております。
クラウドサービスは、登録されたデータ量に応じた月額課金により、創業以来売上高を増加させております。当連結会計年度におけるクラウドサービスの売上高は、全社売上高の53.4%を占めております。
ソリューションサービスは、顧客ニーズにきめ細かく対応するための初期コンサルティングやカスタマイズ開発により、売上が発生いたします。また、新規顧客を獲得する上で重要な役割を果たしており、クラウドサービスの売上高を増加させるために必要不可欠なものです。当連結会計年度におけるソリューションサービスの売上高は、全社売上高の40.6%を占めております。
加えて、当連結会計年度よりプロパティデータテクノスとプロパティデータサイエンスの2社を連結子会社とし、顧客の事業を根幹から支える「不動産DXプラットフォーム」の一層の推進に貢献する体制を構築しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は、運転資金(人件費及び外注加工費等)及び主要サービスである「@プロパティ」の開発のための資金です。
資本の財源及び流動性については、事業活動に必要な現金を安定的に確保することを基本としております。
資金調達につきましては、自己資金を基本としております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「@プロパティ」を国内中心に事業展開する事業セグメントを主要な事業としており、「@プロパティ」の利用料等によるストック型売上(クラウドサービス売上)と「@プロパティ」の利用にあたっての導入コンサル・カスタマイズ等によるフロー型売上(ソリューションサービス売上)の両輪で構成されています。
顧客の利用状況に応じて料金を徴収する当社グループのクラウドサービスは、売上高の伸張速度は緩やかとなるものの、売上・収益基盤の安定的かつ永続的な拡大を可能とします。
一方、システム開発及び販売を中心とする事業(フロー型売上)では、顧客毎の個別案件に依拠する比重が高く、収益化が早いものの収益基盤が比較的不安定になりがちです。
当社グループの事業は、ストック型売上、フロー型売上のデメリットといわれる部分をクラウドサービス、ソリューションサービスの双方で補い合い、盤石な収益基盤を確立しております。
このことから当社グループでは、安定した収益の確保はステークホルダーの利益にも合致すると考え「営業利益率」を重要な指標として位置付けております。
当連結会計年度の営業利益率は29.0%となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、引続き、当社グループのミッションである「新しい知識社会の創造」に基づき、単なるデータの処理・管理といったビジネスの領域を超え、当社サービスを知識社会における最も優れたサービスとして進化させるべく取り組む方針です。