E37145
前期
27.2億 円
前期比
140.3%
株価
806 (04/22)
発行済株式数
50,070,184
EPS(実績)
-7.75 円
PER(実績)
--- 倍
前期
652.9万 円
前期比
110.6%
平均年齢(勤続年数)
46.6歳(3.4年)
従業員数
15人(連結:247人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、「金融を'サービス'として再発明する」をミッションに掲げております。このミッションのもと、金融サービス提供者向けの次世代クラウド基幹システムの提供等を通じて、パートナー企業とともに人々にとって遠い存在である金融サービスを暮らしに寄り添ったものにすることを目指しております。
当社グループのビジネスが深く関連する金融業界は、非常に大きく歴史ある産業である一方、技術進歩と技術的負債に伴う課題に直面しており、特に顧客体験の向上が重要な課題となっております。金融サービスの顧客体験を改善し競争力を高めるためには、事業のデジタルトランスフォーメーションとそれに伴って蓄積されるビッグデータの利活用が求められています。他方、既に豊富な顧客接点を持つリテール企業が、その顧客接点を活かしたよりよい顧客体験を強みとして、新たに金融業界へ参入する事例が増えています。
上記のミッションと金融業界の事業環境を背景に、当社グループは、金融サービス提供者向けの次世代クラウド基幹システムの提供を行っております。これまでのパッケージソフトウェア型の基幹システムは、導入にかかる初期費用や運用にかかる固定費、時間、人員が必要となっていたことに加え、外部サービスとの連携に制約がありました。当社が運営する次世代クラウド基幹システムは、クラウドベースでSaaS型にすることにより、導入及び運用の低コスト化、短期間化、少人数化を実現するとともに、 APIにより外部サービスとの連携を容易にしております。
当社グループは、次世代クラウド基幹システムを提供するだけではなく、優れた顧客体験を備えたウェブサイトやモバイルアプリといったフロントエンドサービスの企画・開発を支援する「フィンテックソリューション」や、顧客企業内に蓄積されたデータの利活用を支援する「ビッグデータ解析」サービスも提供しております。これらが一体となって、お客様のデジタルトランスフォーメーションを実現し、お客様のサービス品質の向上、収益の増加、効率性の向上に貢献してまいります。
具体的には、当社グループは、当社及び連結子会社7社で構成しており、以下の3つの事業を展開しております。なお、次の3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。また、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等) セグメント情報」の「1 報告セグメントの概要 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
金融インフラストラクチャ事業は、金融サービスを運営するために必要となる複雑な基幹システムを、クラウド上でSaaS型のシステムとして、顧客に提供するものであります。株式会社Finatext、株式会社スマートプラス、スマートプラス少額短期保険株式会社、及び株式会社スマートプラスクレジットが本事業を行っております。
従来型のパッケージ型のシステムと比較し、当社グループの次世代クラウド基幹システムには4つの特徴があります。
1.安価な初期導入費
2.短い導入期間
3.エンドユーザーのニーズに沿ったサービスをテーラーメイドで開発可能
4.既存サービスとの接続によるシームレスなサービス体験
これらの特徴を活かして、以下のようなお客様に当社グループのサービスを導入いただいております。
1.BtoCサービスを運営しており、その既存ユーザー向けに金融サービスも提供したいと考える新規参入の事業者
2.デジタル特化の新サービスを立ち上げる際に、新しい基幹システムを採用したいと考える既存金融機関
現在は、金融インフラストラクチャを証券ビジネス、保険ビジネス及びクレジットビジネス向けに展開しております。
本ビジネスは、第一種金融商品取引業者、第二種金融商品取引業者及び投資運用業者である株式会社スマートプラスが、証券インフラストラクチャ「BaaS」の運営及びパートナー企業への提供を行っており、初期導入時のシステム開発費、月次の定額利用料、証券売買取引に伴う従量課金収益を基本収益として受領しております。
証券インフラストラクチャ「BaaS」は、証券サービスの構築に必要となる多様な外部連携を全てクラウド上で管理することで、パートナー企業は、独自開発時に比べ、初期投資額を最大80~90%削減することができ、企画からサービス開始までの期間も半分以下に短縮することが可能である点が特徴です(注1)。当社グループはクラウドサーバーや最新の開発言語及び開発手法を活用することで、複雑なシステムを低コストで効率的に開発することが可能な体制となっております。
(注)1.第1種業金融商品取引業者として証券会社を立ち上げる場合における、システム開発(証券業務ミドルバックシステム、証券フロントシステム、ウェブ・モバイルアプリケーション)と体制整備にかかる費用の当社試算値との比較。
本ビジネスは、株式会社Finatextが、保険インフラストラクチャ「Inspire」の開発及び保守を行い、初期導入時のシステム開発費用、月次の定額利用料、保険料収入に伴う従量課金収益を基本収益として受領しております。また、少額短期保険業者であるスマートプラス少額短期保険株式会社が、保険インフラストラクチャ「Inspire」を利用してパートナー企業とともに少額短期保険を提供し、保険料収入を受領しております。
保険インフラストラクチャ「Inspire」は、新規保険商品の導入を短期間で実現できること、そして保険商品を購入から保険金支払いまでの全てのプロセスをオンライン上で行うことができるのが特徴です。
クレジットインフラストラクチャビジネスでは、当社グループ会社が提供開始予定である中小企業向けファイナンスサービス「BizGrowth(ビズグロース)」のベータ版として、商品の仕入れや製造委託などに関する支払いを分割後払いできるサービスを一部の顧客向けに提供するとともに、クレジットインフラストラクチャの基盤開発を行っております。
フィンテックソリューション事業は、金融機関向けにデジタルトランスフォーメーション及びデジタルマーケティングの支援を行っております。「① ソリューションビジネス」と「② マーケティングビジネス」で構成されております。
金融機関に対して、デジタルトランスフォーメーションの支援を行うことで、主に開発委託費やサービス維持運営費を受領しております。モジュール化されたソリューションを用いてお客様の要件に迅速に対応するだけでなく、お客様のニーズに合わせて、ビジネス企画から開発、マーケティングまでEnd-to-Endのソリューションを提供しております。
例えば、案件事例として、株式会社三菱UFJ銀行による新しい金融デジタルサービスである「Money Canvas」のシステム開発支援を行っております。当該サービスでは、当社グループが保有するデジタル金融の統合基盤技術が採用されております。同技術を用いると、資産運用サービスや保険商品といった様々な金融サービスをラインナップに揃えたプラットフォーム上でアカウントを一元化でき、1つのアカウントで複数の金融機関のサービスを利用することが可能になります。
PCやスマートフォンを通じて、潜在層ユーザーにアクセスしたい金融機関の販促活動を支援することで、送客ユーザー数等に応じて広告掲載料を受領しております。様々な金融関連サービスに関心を有する潜在層ユーザー向けに、当社のウェブサイトやスマートフォンアプリを通じて、金融に関する学習、デモトレーディング等のゲーミフィケーションや金融商品サービスの比較を行うことができるサービスを提供し、潜在層ユーザーを集客しております。
ビッグデータ解析事業は、ビッグデータを保有する企業のデータ利活用の促進を支援しており、「① データライセンスビジネス」と「② データ解析支援ビジネス」で構成されております。
ビッグデータを保有する企業のデータを解析し、解析結果をライセンスとして外部に販売することでデータライセンス料を受領しております。現在はPOSデータやクレジットカードデータ等のデータを中心に、データホルダーとレベニューシェア契約を結び、解析されたデータを官公庁や国内外の機関投資家に提供しております。
金融機関や事業会社に対して、保有するビッグデータを活用したマーケティングやサービス改善、業務効率向上の支援を行い、開発委託費等を受領しております。
当社グループは、3つのセグメントの事業提供を行う子会社が存在することで、金融インフラストラクチャの開発・運用のみならず、ウェブ・モバイルサービスの企画・開発及びデータ解析も組み合わせて提供することが可能な体制となっております。
当社グループの事業系統図は、次の通りです。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、「金融を'サービス'として再発明する」をミッションに掲げております。このミッションのもと、金融サービス事業者向けの次世代クラウド基幹システムの提供等を通じて、パートナー企業とともに人々にとって遠い存在である金融サービスを暮らしに寄り添ったものにすることを目指しております。
今般、日本の経済は新型コロナウイルス感染症の影響が薄まり、政府や日銀による各種経済政策の効果も相まって社会活動の正常化に向けた動きが見られ、経済が持ち直し始めているものの、世界的な金融引き締めによる物価高騰や急激な円安などの影響もあり、景気の先行きについては不透明な状況が続いています。しかしながら、金融サービスにおけるデジタルトランスフォーメーションの流れは衰えることなく、当社グループが提供するサービスのニーズもより一層高まっていると認識しております。
このような事業環境のもと、当連結会計年度においては、継続的な事業成長を実現するため、引き続き人材採用や機能拡充に積極的に取り組んでまいりました。
この結果、前連結会計年度末以降、金融インフラストラクチャ事業のパートナー数が増加、ビッグデータ解析事業のデータライセンス契約件数が増加したことにより、フロー収益及びストック収益が拡大し、当連結会計年度における売上高は3,820,972千円(前年同期比40.3%増)、営業損失は328,718千円(前年同期は542,605千円の営業損失)、経常損失は324,657千円(前年同期は588,919千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は388,016千円(前年同期は669,944千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の業績は以下の通りです。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。以下の前連結会計年度との比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組替えた数値で比較しております。
報告セグメントの変更については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等) セグメント情報」の「1 報告セグメントの概要 報告セグメントの変更等に関する事項」に詳細を記載しております。
金融インフラストラクチャ事業は、金融サービスを運営するために必要となる複雑な基幹システムを、クラウド上でSaaS型のシステムとして顧客に提供しております。
証券インフラストラクチャビジネスでは、サービス提供しているパートナーへの保守運用サービス、導入合意済みのパートナーへの初期導入支援に注力いたしました。当連結会計年度においては、前連結会計年度にサービス提供を開始したパートナーからの保守運用業務によるストック収益が、売上高の拡大に寄与しました。サービスの初期開発については、株式会社GCIアセット・マネジメントにより米国株運用に特化した投資一任サービス「米国ETFラップ」、株式会社セブン銀行により「Myセブン銀行」アプリを通じて、買い物ついでに投資ができるサービス「お買い物投資コレカブ」およびファイナンシャルスタンダード株式会社により米国株の投資一任サービス「Smart Manager(スマートマネージャー)」をそれぞれローンチしました。この結果、「BaaS」上での稼働サービス数は8サービス(前連結会計年度末時点:5サービス)となっております。
保険インフラストラクチャビジネスでは、新規パートナーの獲得に向け、当社グループの保険基幹システムである「Inspire」の機能の拡充と、合意済みのパートナーへの「Inspire」の初期導入支援に注力いたしました。当連結会計年度においては、初期導入支援として、三井住友海上火災保険株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、東京海上日動火災保険株式会社、エムエスティ保険サービス株式会社および共栄火災海上保険株式会社へ「Inspire」を導入いたしました。その結果、「Inspire」の導入企業数は9社(前連結会計年度末時点:4社)となっております。
クレジットインフラストラクチャビジネスでは、当社グループ会社が提供開始予定である中小企業向けファイナンスサービス「BizGrowth(ビズグロース)」のベータ版として、商品の仕入れや製造委託などに関する支払いを分割後払いできるサービスを一部の顧客向けに提供するとともに、クレジットインフラストラクチャの基盤開発に注力しました。
コスト面については、証券インフラストラクチャビジネス、保険インフラストラクチャビジネス及びクレジットインフラストラクチャビジネスともに、将来のビジネス拡大を見据え、引き続き人材採用、機能拡充の先行投資を行いました。
以上の結果、当連結会計年度の金融インフラストラクチャ事業の売上高は1,766,288千円(前年同期比46.9%増)、セグメント損失は691,852千円(前年同期は774,267千円のセグメント損失)を計上しました。
フィンテックソリューション事業では、金融機関向けにデジタルトランスフォーメーション及びデジタルマーケティングの支援を行っております。
ソリューションビジネスでは、主に前連結会計年度にシステム導入支援した、株式会社三菱UFJ銀行「Money Canvas」の追加機能拡充の支援等を進めました。
以上の結果、新プロジェクトからのフロー収益が拡大し、当連結会計年度のフィンテックソリューション事業の売上高は1,026,936千円(前年同期比35.5%増)、セグメント利益は136,813千円(前年同期比33.2%増)となりました。
ビッグデータ解析事業は、ビッグデータを保有する企業のデータ利活用の促進を支援しており、企業の持つビッグデータを機関投資家や官公庁に提供するデータライセンスビジネスや、企業のデータ利活用を支援するデータ解析支援ビジネスを行っております。
データライセンスビジネスでは、機関投資家向けにオルタナティブデータを提供する「Alterna Data」において物価分析、スクリーニング機能及び、企業間比較機能を拡充いたしました。
以上の結果、「Alterna Data」の契約件数が伸長し、当連結会計年度のビッグデータ解析事業の売上高は1,027,747千円(前年同期比34.5%増)、セグメント利益は221,645千円(前年同期比53.1%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における総資産合計は17,709,825千円となり、前連結会計年度末に比べて1,855,538千円増加いたしました。
流動資産は17,311,255千円となり、前連結会計年度末と比較して1,691,208千円増加いたしました。これは主に証券業における預託金、信用取引資産、並びに短期差入保証金が1,698,520千円増加したこと等によるものであります。
固定資産は398,570千円となり、前連結会計年度末と比較して164,330千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が88,698千円、ソフトウェアが42,783千円、ソフトウェア仮勘定が28,381千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は8,907,914千円となり、前連結会計年度末と比較して2,242,754千円増加いたしました。
流動負債は8,825,701千円となり、前連結会計年度末に比べて2,246,964千円増加いたしました。これは主に、証券業における預り金、信用取引負債、受入保証金が1,834,367千円、契約負債が135,690千円増加したこと等によるものであります。
固定負債及び特別法上の準備金は82,212千円となり、前連結会計年度末に比べて4,209千円減少いたしました。これは主に、金融商品取引責任準備金が15,371千円、繰延税金負債が9,157千円増加した一方で、長期借入金が37,500千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は8,801,911千円となり、前連結会計年度末に比べて387,215千円減少いたしました。これは主に、資本剰余金が1,806,766千円増加した一方で、資本金が1,769,754千円、親会社株主に帰属する当期純損失により利益剰余金が388,016千円、非支配株主持分が82,896千円減少したこと等によるものであります。
当連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローが179,509千円の資金減、投資活動によるキャッシュ・フローが233,634千円の資金減、財務活動によるキャッシュ・フローが32,083千円の資金減となりました。
また、現金及び現金同等物に係る換算差額6,608千円の資金増を含めた結果、当期連結累計期間の資金残高は、前連結会計年度末に比べ438,618千円減少し、5,354,377千円となりました。当連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は179,509千円となりました。この主な増加要因として、証券業における預り金及び受入保証金の増減額1,038,822千円の増加があった一方で、減少要因として、証券業における預託金の増減額1,100,000千円、税金等調整前当期純損失373,760千円の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は233,634千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出129,838千円、有形固定資産の取得による支出93,057千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は32,083千円となりました。この主な増加要因として、ストックオプション行使に伴う新株発行による収入53,740千円があった一方で、減少要因として、長期借入金の返済による支出100,500千円によるものであります。
当社グループが営む事業は、金融サービスの構築・運営を可能にする次世代クラウド基幹システムを提供する金融インフラストラクチャ事業、金融機関のデジタルトランスフォーメーションのニーズに対応したソリューションの提供を行うフィンテックソリューション事業、及びオルタナティブデータを提供するビッグデータ解析事業であり、提供するサービスの性質上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
当社グループでは、受注販売を行っておりますが、受注から売上高計上までの期間が短期であるため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内に合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、判断時には予期し得なかった事象等の発生により、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
1.経営成績の分析・評価
(売上高)
当連結会計年度において、売上高は3,820,972千円(前年同期比40.3%増)となりました。
金融インフラストラクチャ事業は、サービス提供しているパートナーへの保守運用サービス、導入合意済みのパートナーへの初期導入支援に注力しました。
フィンテックソリューション事業は、前連結会計年度にシステム導入した、株式会社三菱UFJ銀行「Money Canvas」の追加機能拡充等を進めました。
ビッグデータ解析事業は、機関投資家向けにオルタナティブデータを提供する「Alterna Data」において物価分析、スクリーニング機能及び、企業間比較機能を拡充いたしました。
(営業損失)
当連結会計年度において、売上原価は1,721,879千円(前年同期比62.8%増)、販売費及び一般管理費は2,427,811千円(前年同期比9.9%増)となりました。将来のビジネス拡大を見据え、引き続き人材採用、金融インフラストラクチャの機能拡充にかかる先行投資を行ってまいりました。
この結果、営業損失は328,718千円(前年同期は542,605千円の営業損失)となりました。
(経常損失)
当連結会計年度において、営業外収益が9,053千円(前年同期比433.3%増)、営業外費用が4,992千円(前年同期比89.6%減)が発生し、経常損失は324,657千円(前年同期は588,919千円の経常損失)となりました。
(当期純損失)
当連結会計年度において、特別利益が158千円(前年同期比99.4%減)、特別損失が49,261千円(前年同期比71.1%減)発生し、法人税等合計は118,633千円(前年同期比69.1%増)となりました。
この結果、当期純損失は492,393千円(前年同期は802,749千円の当期純損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は388,016千円(前年同期は669,944千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
2.財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載の通りであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
当社グループにおける主な資金需要は、人件費等の運転資金及び設備投資資金であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、運転資金は自己資金を基本としつつ、投資資金は自己資金並びに金融機関からの長期借入及びエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。
当社グループは、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、金融インフラストラクチャ事業のパートナー数を、目標とする経営指標として位置づけています。第9期連結会計年度末時点のパートナー数は17件で、第8期連結会計年度末比+8件となっております。デジタルトランスフォーメーションの必要性が高まる中で、投資運用会社からの投資一任サービスのプラットフォーム導入や、少額短期保険会社及び損害保険会社からのオンライン販売用の基幹システムの導入に関する需要が旺盛となったことで、パートナー数が増加したものと分析しております。
金融インフラストラクチャ事業におけるパートナー数
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループは、これまでインフラストラクチャの安定稼働と業務プロセスの確立を優先し安定的な成長を続けておりました。今後は、様々なニーズに応えられるよう金融インフラストラクチャの機能拡充を図るとともに、大企業向けの事業開発チームを確立し、パートナー数の拡大に取り組んでまいります。