売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E31580 Japan GAAP

売上高

275.1億 円

前期

173.0億 円

前期比

159.1%

時価総額

228.2億 円

株価

2,911 (07/26)

発行済株式数

7,840,161

EPS(実績)

81.42 円

PER(実績)

35.75 倍

平均給与

694.9万 円

前期

686.5万 円

前期比

101.2%

平均年齢(勤続年数)

37.0歳(3.3年)

従業員数

261人(連結:370人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、連結子会社3社及び持分法適用関連会社1社で構成され、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「AWS」のソリューション販売を主軸とし、2021年からはGoogleが提供するGoogle Cloudにも事業領域を広げてクラウドコンピューティング事業を展開しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.の日本法人が設立される以前のクラウド黎明期より、他社に先駆けてAWS導入支援サービスの提供を開始し、AWSへの移行にかかるコンサルティング、クラウド基盤構築、アプリケーション開発、クラウド移行後の運用支援サービス及び運用自動化のためのサービス提供等を一貫して行うことにより、ソリューションを提供しながら、AWSの利用にかかる再販売を行っております。また、今後クラウドファーストの潮流が一層鮮明化するに伴い、より一層多様化・複雑化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客ニーズを満たす適切な商品・サービスを提供し続けていくことやマルチクラウドへ対応するため、2021年8月には、Google Cloud事業を展開する株式会社G-genを連結子会社として設立し、2022年6月にはアプリケーション開発に強みを持つ株式会社トップゲートをM&Aにより連結子会社化いたしました。また、当社グループの企業価値向上に寄与する技術・サービスを保有する事業企業への投資事業を開始する目的で、2022年11月には株式会社SXイノベーション・パートナーズを設立いたしました。

クラウドコンピューティング(※1)は、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資、また運用にあたって多大な運用コストを要する従来型のオンプレミス(※2)と比較し、初期投資を必要とせず、必要に応じてコンピューティング・リソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能であります。その利便性の高さから、Web・ゲーム・スタートアップ企業のみならず、近年では障害や中断が許されない基幹業務系システム構築の領域においても主要な選択肢となりつつあります。従来の基幹業務系システムに限らず、今後の企業のイノベーションを後押しするビッグデータ(※3)、IoT(※4)、AI(※5)など、柔軟性と変化対応のスピードが要求される新しいビジネス領域はクラウド基盤に支えられた新たなデジタル技術を大前提としたものであり、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据える考え方はもはや常識化しつつあると認識しております。

その中で中核となる当社は、国内外のIaaS/PaaS(※1)の市場で高いシェアを誇るAWSを、顧客企業毎に最適な状態で利用するためのコンサルティング業務、設計・構築業務、および運用支援サービスの開発・提供を行っております。

 

※画像省略しています。

(1) 当社グループサービスの特徴

当社グループの事業は、サーバーワークスによるAWS事業、連結子会社G-gen及びトップゲートによるGoogle Cloud事業ともに「クラウド事業」単一セグメントであるため、以下については製品・サービス区分別に記載しております。

 

① クラウドインテグレーション

当社グループは、従来のオンプレミス環境で運用されてきた主に企業の基幹業務系システムをクラウド環境へ移行する際のクラウド基盤のデザイン、構築サービス及びアプリケーション開発を提供しています。従来のシステムをクラウド上に移行し(リフト)、コスト効果や生産性を向上するためにクラウドに最適化したシステムの再構築を図る(シフト)、リフト&シフト戦略を顧客企業に提案することにより、クラウドを活用することにより享受できる効用の最大化を図ります。

また、クラウド基盤の構築サービスの提供にとどまらず、顧客企業がクラウドを通じて実現するビジネス目標の設定、クラウドへの移行計画の策定やクラウド導入後の運用計画の策定支援まで、クラウドを導入することによって実現するIT基盤全体の最適化を見据えた上流のコンサルティングサービスも提供しております。

また、数多くのクラウド導入に携わってきた実績から得られたナレッジ・ノウハウをデータベース化して社内での技術トレーニングを行うことにより、Amazon Web Services, Inc.等が提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニア(※6)を育成しております。公表実績AWS導入取引社数およびプロジェクト数のうち、クラウドインテグレーションの実績は以下のとおりであります。

 

(単位:社/件)

 

2022年2月

2023年2月

2024年2月

取引社数

173

226

297

プロジェクト数

482

642

854

 

主として検収時まで一定の期間にわたり売上が計上される一過性の売上が中心となっており、当社ではフロー売上と位置づけております。

 

② リセール
(AWSリセール/Google Cloudリセール)

当社は2011年7月に Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)とVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとしてAWSの再販売を行っております。顧客企業は、当社が提供する付加価値としての課金代行サービス経由でAWSを利用することにより、従来ハードウェアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。また、当社がAWS利用料に手数料を加算した日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な銀行振込による支払いが可能となります。

当社では、2016年6月より、既存の課金代行サービスに新たな付加価値サービスをパッケージとして組み合わせた「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」の提供を開始しております。「pieCe(現「AWS請求代行アドバンスド」)」では、AWS利用料の決済機能だけでなく、「CloudAutomator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しており、また、万が一AWSに障害が発生した場合の顧客企業が被った損害を補償する損害保険を東京海上日動火災保険株式会社との業務提携により付帯させております。当社が取扱う稼働するAWSアカウント数の実績は以下のとおりであります。

 

AWSアカウント数

(単位:個)

2022年2月

2023年2月

2024年2月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

1,542

1,728

1,856

2,012

2,160

2,292

2,510

2,686

2,824

2,935

3,037

3,149

 

AWSは、基本的には初期費用が不要であり、顧客企業のAWS利用時間に応じたオンデマンドかつ従量型課金制となっておりますが、利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReservedInstance(リザーブド・インスタンス)およびSavings Plansと呼ばれる取引形態が存在します。

また、連結子会社である株式会社G-gen及び株式会社トップゲートでは、日本におけるGoogle CloudのリセラーとしてGoogle Cloudの再販売を行っております。

 

(AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」)

「Cloud Automator」は、AWSのAPI(※7)を、当社が提供するWebアプリケーションの画面上からプログラムレスで直感的・視覚的に操作することにより、クラウド運用の自動化・最適化による運用品質の向上を実現するための当社独自のSaaS(※1)であります。AWSの運用に欠かせないバックアップ、EC2(仮想サーバー)やRDS(リレーショナル・データベース)の起動・停止といった「ジョブ自動化機能」と、顧客企業が利用するAWS環境が安全に運用されていることを自動的にレビューする「構成レビュー自動化機能」の2つの機能を実装しており、ヒューマンエラーを極小化しながら運用・保守管理コスト削減と安定運用を実現します。

 

(ソフトウェアライセンス販売)

情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウェア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社グループは、顧客企業のAWS及びGoogle Cloud環境を運用する上で有効な各種ソフトウェア・サービスの仕入れ販売を行っております。

 

リセール、AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」、ソフトウェアライセンス販売ともに、主に利用時間・期間に応じサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。なお、AWSリセール及びGoogle Cloudリセールは取引の性格上、利用料金の総額を売上高に計上しております。

 

③ MSP(マネージドサービスプロバイダー)・SRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)

顧客企業がAWS及びGoogle Cloud上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスを提供しております。

当社グループは、24時間365日体制でインフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを提供できる体制を整えております。サービス設計にあたっては、安定的なサービス提供と継続的な改善を管理するためにITIL(※8)に準拠した運用設計、運用フローとサービスレベルを規定しております。当社グループは、顧客エンゲージメントライフサイクル(計画、設計、移行または構築、実行および最適化)全体を通して、顧客企業をサポートするために持ち合わせておくべき能力を保有するとしてAmazon Web Services, Inc.に認定された最新の「MSPプログラム」を取得しております。主に利用期間に応じてサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。

また、近年においては大規模にクラウドへのシフトを進めている特定・大型の顧客が増加しており、従来の標準的なMSPサービス対応ではなく個別の対応が必要となってきております。このようなニーズに対しては専任チームを編成して対応にあたるSRE(サイト・リライアビリティ・エンジニアリング)(※9)を実施しております。

 

④ その他

主に、AWS及びGoogle Cloud上で稼働する特定顧客企業のサービスにおけるシステム運用等を行っております。

 

(2) 当社グループのビジネスモデルについて

当社グループでは、クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤デザイン及び基盤構築等クラウドインテグレーションサービス提供時における役務提供による売上であって、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することにより、前述の「ストック売上」(主に、顧客企業がAWS及びGoogle Cloudを継続的に利用するにあたり発生するAWS及びGoogle Cloudの月額利用料及び「Cloud Automator」をはじめとする自社サービスの月額利用料及びサードパーティーソフトウェア・サービスの継続利用に伴うライセンス料(前述(1)② リセール)並びにAWS及びGoogle Cloud上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行利用料及び保守料等(前述(1)③ MSP)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。

 

※画像省略しています。

〔用語解説〕

※1 クラウドコンピューティング: ソフトウェア、データベース、サーバー及びストレージ等をインターネットなどのネットワークを通じてサービスの形式で必要に応じて利用する方式のことを意味し、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の大きく3つの種別に分類されます。

 

クラウドの種別

代表例

説明

IaaS (Infrastructure-as-a-Service)

AWS

インターネットを経由して、CPUやメモリなどのハードウェア、サーバーやネットワークなどのITインフラを提供するサービス

PaaS (Platform-as-a-Service)

AWS、Microsoft Azure

インターネットを経由して、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを提供するサービス

SaaS (Software-as-a-Service)

Salesforce.com、Office365

インターネットを経由して、従来パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを提供・利用する形態

 

※2 オンプレミス:顧客企業が情報システムを自社で保有し、自社の設備において自社運用する形態を意味します。

※3 ビッグデータ:従来のツールやアプリケーションで処理することが困難な巨大・膨大で複雑なデータ集合のことを意味します。

※4 IoT: Internet of Things の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

※5 AI:Artificial Intelligenceの略称であり、日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、ロボティクス同様、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めています。

 

※6 2024年2月末日現在、AWS認定資格取得者数は以下のとおりであります。

(単位:名)

AWS認定資格種別

資格取得者数(重複有り)

AWS認定ソリューションアーキテクト・プロフェッショナル

97

AWS認定DevOpsエンジニア・プロフェッショナル

70

AWS認定ソリューションアーキテクト・アソシエイト

139

AWS認定デベロッパー・アソシエイト

94

AWS認定システムオペレーションアドミニストレーター・アソシエイト

92

AWS認定セキュリティ-専門知識

71

AWS認定SAP on AWS-専門知識

33

AWS認定高度なネットワーキング-専門知識

49

AWS認定機械学習-専門知識

36

AWS認定Alexaスキルビルダー-専門知識

7

AWS認定データベース-専門知識

56

AWS認定データアナリティクス-専門知識

44

 

※7 API:Application Program Interfaceの略称であります。あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータを、外部の他のプログラムから呼び出して利用できるようにする仕組みを意味します。

※8 ITIL: Information Technology Infrastructure Libraryの略称であります。ITサービスマネジメントの成功事例(ベストプラクティス)を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインであります。

※9 SRE:Site Reliability Engineeringの略称であります。米Google社が2003年に提唱した、利用が拡大する大規模ITシステムを運用していくための概念で、ITシステムの信頼性を担保するための性能、可用性、拡張性、セキュリティなどを向上させることがミッションであり、様々なツールの導入や、顧客とのコラボレーションを強化することで継続して改善していける仕組みを構築する手法のことであります。

 

24/05/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度末における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は13,527,799千円となり、前連結会計年度末に比べて2,694,472千円増加しました。これは主に、売掛金及び契約資産が1,279,207千円増加、現金及び預金が1,238,228千円増加したことによるものであります。また、固定資産は4,529,055千円となり、前連結会計年度末に比べて618,451千円増加しました。これは主に、投資有価証券が775,934千円増加した一方で、のれんが138,964千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は7,389,518千円となり、前連結会計年度末に比べて2,329,181千円増加しました。これは主に、買掛金が1,301,756千円増加、契約負債が549,625千円増加、賞与引当金が207,493千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は10,667,336千円となり、前連結会計年度末に比べて983,743千円増加しました。これは主に、利益剰余金が611,215千円増加、その他有価証券評価差額金が346,386千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果により緩やかに回復することが期待されています。一方で、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、金融資本市場の変動等が与える影響により依然として先行き不透明な状態が続くと想定されます。

当社グループを取り巻く日本国内のクラウド市場は、クラウド事業者が様々なサービスを提供し続けており、また、セキュリティやコンプライアンスなどの面でもクラウドサービスの信頼性が向上していることで、企業が自社のニーズに合わせたクラウドソリューションを豊富に選択できるようになり急速に成長をしております。その背景には、業務効率化や顧客サービス・顧客サポートの向上、顧客接点の多様化などを目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)やオムニチャネル(注2)化の推進、また、IoT(注3)やAI(注4)、特に大規模言語モデル(注5)に代表される生成AI(注6)などの最新技術が急激に進化したことによるデータ収集や処理・分析など、様々な分野でクラウド技術やクラウドサービスを活用することが急速に増加していることが要因として挙げられます。

世界的には、パブリッククラウド市場をけん引するAmazon Web Services(以下「AWS(注7)」)が、技術の進化とイノベーションを繰り返しながら、依然高い成長率と圧倒的シェアを維持して順調に市場を拡大していますが、追随するGoogleやMicrosoftとの競争は、それぞれが独自の強みを活かしてクラウドサービスの拡充や改善に力を入れることで多様な選択・オプションが利用可能になり、顧客にとって多くの利益をもたらすとともにクラウドサービスの性能向上やクラウド市場の拡大に大きく寄与しております。

このような状況の中、当社グループは、クラウド専業インテグレーターとして、AWSを中心としたクラウド基盤に関するコンサルティング、基盤構築・運用、クラウドサービスの機能強化、並びにシェア獲得によるビジネスの拡大に尽力してまいりました。また、2024年1月にAWSより発表された「2027年までに2兆円を超える日本国内へのクラウドインフラ投資計画」と歩調を合わせるように、2023年4月にAWSと締結した4年におよぶ戦略的協業契約の取り組みも、当初想定以上の成果を生み出し順調に滑り出しております。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は27,510,746千円(前期比59.1%増)、営業利益は897,485千円(前期比62.6%増)、経常利益は1,032,687千円(前期比65.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益638,359千円(前期比40.7%増)となりました。

なお、当社グループの事業はクラウド事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、製品・サービス別の業績の概要は以下のとおりであります。

 

(クラウドインテグレーション)

クラウドインテグレーションは、AWSとの戦略的協業契約による営業活動推進のほか、更なるクラウド需要の加速に伴い、顧客獲得と受注が堅調に推移しました。以上の結果、売上高は1,836,963千円(前期比61.3%増)となりました。

 

(リセール)

リセールは、恒常的な円安に加え、既存顧客からの継続的な受注及び大口顧客のAWS利用料の増加によりARPU(注8)が堅調に推移するとともに、新規顧客の獲得もあってアカウント数も増加、また、セキュリティを中心とするサービス・ソフトウェアのライセンス販売、自社サービスの販売も堅調に推移しました。以上の結果、売上高は24,171,027千円(前期比62.5%増)となりました。

 

(MSP(注9))

MSPは、既存顧客からの継続的な受注により堅調に増加しました。また、大型顧客や案件に対しては専任チームを編成して対応にあたるなど、標準対応以上のサービス提供をMSPの役割として担うことが増えております。以上の結果、売上高は1,495,554千円(前期比17.5%増)となりました。

 

(その他)

その他は、特定顧客向けサービスの縮小により、売上高は7,201千円(前期比20.2%減)となりました。

 

〔用語解説〕

(注1)  デジタルトランスフォーメーション(DX): 企業がデジタルテクノロジーを活用して、ビジネスプロセスやカスタマーエクスペリエンス、組織文化などの様々な領域において革新的な変革を実現する取り組みのことを指します。

(注2)  オムニチャネル: 企業が複数の販売チャネル(店舗、ウェブサイト、モバイルアプリなど)を統合して、顧客にとってシームレスな購買体験を提供する戦略のことを指します。

(注3) IoT:「Internet of Things」の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

(注4) AI:「Artificial Intelligence」の略称であります。日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めています。

(注5) 大規模言語モデル:自然言語処理の分野で使用される深層学習モデルの一種であり、大量のテキストから言語パターンを学習するAIモデルで、テキスト生成や質問応答など多様なタスクに使用されます。

(注6) 生成AI:コンピュータが学習したデータを元に、新しいデータや情報をアウトプットする技術で、データからパターンを学び新しい情報やアイディアを生成するAIの一分野です。これには、テキスト、画像、音楽などの生成が含まれます。

(注7) AWS:「Amazon Web Services」の略称であります。Amazon.comの関連会社であるAmazon Web Services, Inc.が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称であります。

(注8) ARPU:「 Average Revenue Per User 」の略称であります。1社あたりの平均売上金額を表す数値であります。

(注9) MSP:「Managed Service Provider」の略称であります。顧客がAWS上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ10,215,028千円増加し、27,510,746千円(前期比59.1%増)となりました。これは主に、リセールが9,295,994千円増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ8,978,954千円増加し、23,975,390千円(前期比59.9%増)となりました。これは主に、リセール売上にかかる仕入高の増加によるものであります。

以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ1,236,074千円増加し、3,535,355千円(前期比53.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ890,597千円増加し、2,637,870千円(前期比51.0%増)となりました。これは主に、人件費の増加によるものであります。

以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ345,476千円増加し、897,485千円(前期比62.6%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ87,462千円増加し、191,870千円(前期比83.8%増)となりました。これは主に、受取利息が49,732千円、為替差益が33,761千円増加したことによるものであります。

また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ24,405千円増加し、56,668千円(前期比75.6%増)となりました。これは主に、投資事業組合運用損が25,320千円増加したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ408,533千円増加し、1,032,687千円(前期比65.5%増)となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度における特別損失は、前連結会計年度に比べ132,290千円増加し、162,274千円(前期比441.2%増)となりました。これは、主に特別功労金が49,100千円、投資有価証券評価損が42,615千円、役員退職特別功労引当金繰入額が34,000千円、減損損失が6,575千円増加したことによるものであります。また、特別利益の発生はありません。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等合計は、前連結会計年度に比べ10,850千円増加し、245,430千円(前期比4.6%増)となり、非支配株主に帰属する当期純損失は80,612千円減少し、13,377千円(前期比85.8%減)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ184,779千円増加し、638,359千円(前期比40.7%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,880,619千円となり、前連結会計年度末に比べて1,238,228千円増加しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は1,725,470千円(前連結会計年度は81,520千円の収入)となりました。これは主に仕入債務の増加額1,344,452千円税金等調整前当期純利益870,412千円、契約負債の増加額576,816千円、賞与引当金の増加額196,373千円のれん償却額113,476千円等があった一方で、売上債権及び契約資産の増加額1,259,261千円、法人税等の支払額256,988千円、前渡金の増加額189,750千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は439,401千円(前連結会計年度は799,590千円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出385,100千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は121,436千円(前連結会計年度は437,334千円の支出)となりました。これは主に短期借入れによる収入100,000千円等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループは受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社グループは「クラウド事業」の単一セグメントとしておりますが、当連結会計年度の販売実績を製品・サービス区分ごとに示すと次のとおりであります。

 

製品・サービス区分の名称

当連結会計年度

(自 2023年3月1日

  至 2024年2月29日)

前年同期比(%)

クラウドインテグレーション(千円)

1,836,963

161.3

リセール(千円)

24,171,027

162.5

MSP(千円)

1,495,554

117.5

その他(千円)

7,201

79.8

合計(千円)

27,510,746

159.1

 

(注) 1.製品・サービス区分間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「② 経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、リセールにおける仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、継続的なソフトウエアの開発及び投資有価証券の取得等によるものであります。なお、当社グループの資金の源泉は主に新株の発行及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。

a.受注損失引当金

 受注損失引当金は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約のうち、将来の損失発生が見込まれ、かつ、当該損失を合理的に見積ることが可能なものについては、翌連結会計年度以降の損失見込額を計上しております。当該損失見込額は将来の工数等の見積りに依存するため、見積りの前提となる条件や仮定に変更が生じた場合には引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

b.投資有価証券

 投資有価証券のうち時価のあるものについては、期末時点で市場価格が取得価額に対して著しく下落している場合、時価のないものについては、投資先の純資産価額の当社持分が当社の帳簿価額に対して著しく下落している場合につき、将来の回復の可能性を検討し、評価損を計上することとしております。将来、時価又は実質価額が下落し、回復可能性がないと判断した場合には、減損処理する可能性があります。

 

c.株式会社トップゲート株式ののれんの評価

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。