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利益

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最終更新:

E35150 Japan GAAP

売上高

67.8億 円

前期

56.5億 円

前期比

120.0%

時価総額

350.4億 円

株価

1,078 (07/23)

発行済株式数

32,500,600

EPS(実績)

15.66 円

PER(実績)

68.85 倍

平均給与

789.7万 円

前期

795.0万 円

前期比

99.3%

平均年齢(勤続年数)

34.9歳(4.6年)

従業員数

278人(連結:283人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社1社(台灣惠頂益股份有限公司)により構成されており、創業以来「テクノロジーの解放 (Liberation of Technology)」という経営理念を掲げ、私たちの技術や時代の先端をいく技術を企業が恩恵を受けやすい形に整え、新しい価値として提供することで世界の発展に貢献するべく事業を展開しております。

 当社グループは、現在、特にパッケージソフトウエア(注1)をクラウド(注2)サービスとして提供する「SaaS (Software as a Service)(注3)」の形態が我々のビジョンの実現のための最も効率的な手段と位置づけております。汎用的な課題を解決するパッケージソフトウエアは、特定の課題を解決する受託開発型サービスと異なり、一度開発すれば複数のお客様に対して同じものを提供することのできる量産効果を有する商品です。日本では、2010年頃から、クラウド技術の普及により、パッケージソフトウェアを期間課金のクラウドサービスの形態で提供することが可能になりました。これにより、追加開発等による付加価値を、これから利用を開始するお客様だけでなく既存のお客様に対しても提供することができます。そのため、サービス利用者の拡大に伴い、お客様に対して常に高品質なサービスを短納期・低価格で提供することが可能となると同時に、当社グループは安定的な収益を確保することができると考えております。

 当社グループの特徴は、20年以上にわたり、銀行のような比較的保守的な企業や、自治体のような予算制約が厳しい団体など、様々な規模や業種の企業・団体の情報システム部門とお取引する中で培ってきた信頼と実績や、幅広い顧客基盤を背景に、お客様共通のニーズ・課題の抽出、それらを解決するための技術開発、お客様への販売、その後のアフターフォローなど、企画から販売・サポートまでの一連の流れを自社で完結させる力を持っていることです。

 当社グループは、1996年に創業され、時代に合わせて事業領域を変化させながら、その時代ごとに企業で発生する様々な課題を「テクノロジーの解放 (Liberation of Technology)」で解決しております。インターネット黎明期の1997年にはGUI機能を搭載したLinuxサーバ管理ツール、インターネット本格導入期の2000年からは大規模メール配信システムやメールセキュリティ製品などのオンプレミスプロダクト(注4)、そして2011年からはSaaSの販売に注力しております。

 昨今クラウドサービスの普及が進んでいる背景には、前述の機能・性能面での利点に加え、場所や端末を選ばずにいつでもどこからでも機動的に必要なデータにアクセスしたり、必要なメンバーと共同作業を行うことができるという性質が、日本経済が直面している課題である労働生産性向上に資するとの期待があると考えております。

 クラウド技術の発達により、クラウドサービスを導入して業務効率化を図る企業はますます増加しています。しかしながら、たとえば意図しない場所や端末からアクセスが可能になってしまうかもしれない、といったセキュリティ上の懸念によって、特にこれまで社内のオンプレミスプロダクトをITシステムの中心に据えて業務を行ってきた中堅規模以上の企業では、クラウドサービスの導入が円滑に進まないことがあります。また、業務の基盤となるメールシステムも含めたグループウェアをクラウドに移行する場合、メールを介した誤送信や標的型攻撃などの様々なセキュリティリスクに対応するクラウドサービスも必要になります。「HENNGE One」は、様々なクラウドサービスに対する横断的なアクセスコントロールを実現するSaaS認証基盤(IDaaS(注5))に加えて、誤送信対策や標的型攻撃対策などのメールセキュリティにも対応した、クラウド型のワークスタイルに移行する企業をサポートするための総合的なサービスです。

 お客様がクラウドサービスの利点を最大限に活かし、スムーズに生産性向上を果たせるよう、これらの困難を解決する手段を提供することは、当社グループの経営理念である「テクノロジーの解放 (Liberation of Technology)」に合致すると考えております。

 また、当社グループは主にSaaSの形態でお客様にサービス提供を行っておりますが、当社グループの主要サービスである「HENNGE One」の収益はサービス料を年額で定額課金するサブスクリプション型のリカーリング・レベニューモデル(注6)となっております。サービスの提供が開始された後は契約更新時に解約されない限り継続的に売上高が積み上がる性質を持っております。このため「HENNGE One」は、新規や追加受注の契約金額が解約金額を下回らない限りは前年度の収益を上回るという安定性を有し、その収益基盤をもって新たな課題にチャレンジし、持続的な成長を目指すことが可能となるサービスであると考えております。

 

 なお、当社グループの事業は単一セグメントでありますが、売上区分につきましては、「HENNGE One事業」と「プロフェッショナル・サービス及びその他事業」の2つに区分しております。各売上区分の詳細は以下のとおりです。

 

 

 

(1) HENNGE One事業(当社、台灣惠頂益股份有限公司)

 HENNGE One事業では、クラウドサービスを導入して業務効率化を図る企業に対し、クラウドサービスの利便性を損なうことなく、セキュリティリスクを軽減させる「HENNGE One」を展開しております。

 

 「HENNGE One」

 「HENNGE One」は、特定の場所や端末以外からのログインを制限するアクセス制御機能のほか、企業が様々なクラウドサービスを利用する際に、単一のIDとパスワードでユーザによる横断的なログインを可能とするシングルサインオン機能、クラウドメールの誤送信対策・内部監査・証跡調査といった情報漏洩対策機能や、大容量ファイルの送受信、脱PPAP対策や標的型攻撃対策等の機能を備える企業向けSaaSです。

 業種・業態を問わず、また、部署・勤務形態を問わず、様々な企業で、全社一括導入にてご利用いただく性質のサービスであるため、契約企業数及び契約ユーザ数の増加に伴いARR(注7)は年々積み上がっております。また、一度ご契約いただくとその安全性や利便性から継続的に利用されることが多く、解約率(注8)は低水準を維持しております。

 「HENNGE One」はIdP FeaturesとE-Mail Security Featuresの2つで構成されており、それぞれの詳細は以下のとおりです。

 

 i. HENNGE One IdP Features

 各種クラウドサービスへのシングルサインオンとセキュアなアクセスを実現する機能です。具体的には、クラウドサービスへのアクセス制御とSAML(注9)認証によるシングルサインオンを行うことができる「HENNGE Access Control」、デバイス証明書(注10)の発行によりクラウドサービスにアクセス可能な端末の制御を行う「HENNGE Device Certificate」、アプリを通じて多要素認証(注11)を行う「HENNGE Lock Plus」、企業のオンプレミスシステムに対してもシングルサインオンを実現する「HENNGE Connect」などを組み合わせることで、利便性と安全性のバランスが取れたクラウド利用をサポートします。

 

※画像省略しています。

 

 ii. HENNGE One E-Mail Security Features

 クラウドメールの送受信双方に対応する統合メールセキュリティ機能です。具体的には、メールの一時保留やフィルタリングを行う「HENNGE E-Mail DLP」、送受信メールのアーカイブをする「HENNGE E-Mail Archive」、大容量ファイルの送受信に特化したクラウドストレージサービスである「HENNGE Secure Transfer」、添付ファイルの自動URL化を行う「HENNGE Secure Download」、送受信メールへのマルウエア対策機能である「HENNGE Clound Protection」などにより、セキュアなクラウドメール環境を実現します。

 

※画像省略しています。

 

 

(2) プロフェッショナル・サービス及びその他事業(当社)

 プロフェッショナル・サービス及びその他事業では、メールをセキュアに大量かつ高速に配信するメール配信パッケージソフトウエア等を展開しております。主な取り扱い商材は以下のとおりです。

 

 「Customers Mail Cloud」

 「Customers Mail Cloud」は、メールを携帯・PC・スマートフォンに大量かつ高速に配信するクラウドベースのメール配信サービスです。

 企業が開発するシステムには、電子メールをユーザ向けに通知する機能がありますが、ユーザ数が増加し、通知頻度が高くなってくると遅延や不達が発生しないメール配信を実現するために、メール配信専用の仕組みを構築する必要があります。企業が開発する独自のシステムから「Customers Mail Cloud」をネットワーク経由で利用することで、専用のシステムを構築することなく、大量かつ高速なメール配信を実現することができます。

 

※画像省略しています。

 

 

 

 

(注)

1.パッケージソフトウエア : 多くの企業において共通する汎用的な課題を解決するために利用できるソフトウエアです。特定の課題を解決する受託開発ソフトウエアやコンサルティングサービスと異なり、一度開発すれば複数のお客様に対して個別の開発作業無しに同じものを提供することのできる、量産効果を有する商品です。

2.クラウド : クラウドコンピューティングの略語であり、インターネットなどのコンピュータネットワークを経由してITシステムを利用する仕組みの総称です。ソフトウエア、ハードウエアを所有することでITシステムを利用するのに比べ、ITシステムに係る開発や保守・運用の負担が軽減するだけでなく、提供者側が行うバージョンアップなどの機能改善を手間なく受けることができるため、現在普及が進んでいます。

3.SaaS (Software as a Service) : パッケージソフトウエアをクラウドサービスとしてネットワーク経由でお客様に提供する形態で販売するサービスです。

4.オンプレミスプロダクト : パッケージソフトウエアをお客様や第三者が用意するハードウエアやネットワークと組み合わせて利用する売り切り型のソフトウエア製品です。

5.IDaaS (Identity as a Service) : IDなどログイン情報の管理をクラウドで行えるようにしたSaaSです。

6.サブスクリプション型のリカーリング・レベニューモデル : サービス利用期間に応じたサービス利用料金を、利用アカウント単位でサブスクリプション(定期購読)の形態で受領するビジネスモデルです。一度契約いただくと、解約されない限り継続的に繰り返し収益が獲得できるという意味から、サブスクリプション型のリカーリング・レベニューモデルと呼びます。なお、このビジネスモデルにおいては、前期までに獲得した契約は当期収益の基礎となり、当期の売上高はこの前期までに獲得した契約と当期新しく獲得した契約で構成されることとなります。

7.ARR (Annual Recurring Revenue):対象月の月末時点における契約ユーザから獲得する、翌期以降も経常的に売上高に積み上げられる可能性の高い年間契約金額の総額です。当社グループでは、以下の計算式で算出しております。

 期末ARR = 期末月のMRR(注12) × 12(12倍することで年額に換算)

8.解約率:既存の契約金額に占める、サービス解約等に伴い減少した契約金額の割合(グロスレベニューチャーンレート)です。当社グループの「HENNGE One」は原則年間契約でありますが、ここでは月次ベースで記載しております。

9.SAML : Security Assertion Markup Languageの略であり、ユーザ認証を行うIDプロバイダと、認証を必要とする各種クラウドサービスの間で、認証要求/認証許可/ユーザ認証情報などを送受信するための標準規格です。SAML認証でID/パスワードを利用しないことにより、安全でないパスワードの使いまわしが抑制され、セキュリティ向上につながります。

10.デバイス証明書 : あらかじめクライアントの端末にインストールしておき、サービス側でログインする際に検査を行うことで、サービスに対する接続元を限定するために使う電子証明書です。会社が許可したPC又はスマートデバイスにデバイス証明書をインストールして利用することにより、会社が管理していないPC又はスマートデバイスからのアクセスを防ぐことにより情報漏洩、不正アクセスを防ぐ機能です。

11.多要素認証 : サービスへのログイン時に、ユーザに30秒毎に更新されるワンタイムパスワードなど、パスワード以外の要素の入力を求めることで、パスワードが流出した場合の悪意のログインを困難にするための機能です。

12.MRR (Monthly Recurring Revenue):対象月の契約ユーザから獲得した月額利用料金の合計です。ここには一時的な売上高は含みません。

 

[系統図]

 

※画像省略しています。
23/12/22

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の業績、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日時点において当社グループが判断したものであります。

 ① 経営成績の分析

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する各種規制が緩和され、徐々に経済活動の正常化は進んだものの、世界的な経済環境の変化により、今後も景気は依然として不安定な状況が続くと見込まれております。

 このような状況下においても、当社グループの属するソフトウエア業界を含む情報通信サービス業界では、少子高齢化により日本の労働力人口が減少しているという課題に対処するための労働生産性向上の観点だけではなく、BCP(事業継続計画)対策、あるいはデジタルトランスフォーメーションの観点からもクラウドサービスに対する需要は一層拡大傾向となっております。

 こうした経営環境の中で、当社グループは、クラウドサービスを導入して業務効率化を図る企業に対し、クラウドサービスの利便性を損なうことなく、セキュリティリスクを軽減させる「HENNGE One」を成長のドライバーと位置付け、事業を推進しております。

 場所や端末を選ばずにいつでもどこからでも機動的にサービスを利用できるというクラウドサービスの特性は、業務に幅広い柔軟性をもたらします。しかしながらこの特性は、たとえば意図しない場所からアクセスが可能になってしまうかもしれないといったセキュリティ上の懸念にもつながります。また、業務の基盤となるメールシステムも含めたグループウエアをクラウドに移行する場合、クラウドメール誤送信による情報漏洩対策や、年々リスクが高まっている標的型攻撃などへの対策もあわせて検討する必要があります。

 「HENNGE One」は、様々なクラウドサービスに対する横断的なアクセスコントロールを実現するSaaS認証基盤(IDaaS)に加えて、誤送信対策や標的型攻撃対策などのメールセキュリティにも対応した、クラウド型のワークスタイルに移行する企業をサポートするための総合的なサービスです。

 当社グループは、より多くの企業がクラウドサービスを導入することで労働生産性向上を実現し、それによって日本経済がさらに活性化するよう貢献したいと考えております。

 当社グループは、中長期的な株主価値及び企業価値の向上を目指すべく、主要サービスである「HENNGE One」のLTV(注1)及びARR(注2)を重要な経営指標としております。

 当連結会計年度においても、このLTV及びARRの最大化を目指すため、契約企業数とユーザあたり単価を向上させるとともに、低解約率・低原価率の維持を図ってまいりました。また、継続的な売上高の成長実現に向け、積極的なマーケティング活動や人材採用をはじめとした営業体制の強化や新機能追加によるサービスラインアップの充実に取り組んでまいりました。

 この結果、新たなサービス開発やサービス内容の向上も継続的に実施しており、2022年11月には、「tadrill」(年々リスクが高まっている標的型攻撃への実践的な訓練と報告制度を兼ね備えた新サービス)をリリースいたしました。また、2023年6月には、「HENNGE Secure Download for Box」(「PPAP」と呼ばれる従来のメール経由のファイル送信方法の代替ソリューション)と、「HENNGE Access Control API」(働き方の多様化や企業が利用するクラウドサービスの増加に伴い複雑化する各サービスのID管理業務を効率化するソリューション)を、「HENNGE One」の新機能としてリリースいたしました。

 そのほか、2023年8月、事業シナジーの創出、中期的な収益基盤の強化及び当社グループとしてのARRの向上を一層図るべく、株式会社kickflowとの資本業務提携にかかる基本合意を締結しております。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高6,776百万円(前連結会計年度比20.0%増)、営業利益708百万円(同53.1%増)、経常利益713百万円(同57.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益509百万円(同58.4%増)となりました。なお、売上高のうち6,689百万円(売上高全体のうち98.7%)は解約がされない限り翌期も継続的に売上高となる性質の売上で構成されており、当社グループの安定的な収益基盤を構築しております。また、開発人員の増加や為替変動等によるHENNGE Oneのインフラコスト増の影響等により、売上総利益率は前連結会計年度比0.7ポイント減の83.8%となりました。
 当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますが、売上区分別の事業概況は、次のとおりであります。

1.HENNGE One事業

 不正ログイン対策、スマートフォン紛失対策、メールの情報漏洩対策などを一元的にクラウドサービス上で提供する「HENNGE One」については、営業面では、大手企業、販売パートナー、新規顧客、既存顧客など様々なアプローチ先に焦点を当てた各種イベントの開催など、多層的な顧客アプローチを実施しました。また営業職とカスタマー・サクセス職の採用・教育、販売パートナーとの連携強化を進めることで、首都圏及びその他の地域での販売拡大のための体制作りにも引き続き注力いたしました。運営面では、2021年10月以降提供を開始している「HENNGE Secure Download」など新機能を加えた新たなライセンス体系を基に、新規顧客獲得体制の充実を図るとともに、既存顧客にも新ライセンス体系への移行を促しながら、ユーザ当たり単価の向上に繋げつつ低い解約率を維持するための施策を進めてまいりました。さらに開発面においては、今年度にも新機能を順次リリースいたしましたが、今後の既存機能の改善や新機能の追加開発のため、引き続き日々研究開発を重ねております。

 これら活動の結果として、首都圏・名阪地域を中心とした新規受注の獲得、ユーザ当たり単価の上昇、低解約率の維持を達成いたしました。

 この結果、HENNGE One事業の売上高は、6,250百万円(前連結会計年度比21.0%増)となりました。また、翌連結会計年度の収益見込みのベースとなるARRは6,929百万円(前連結会計年度末比23.7%増)、当連結会計年度末時点の契約企業数は2,610社(同17.9%増)、契約ユーザ数は2,380,770人(同2.4%増)、直近12ヶ月の平均月次解約率は0.27%(同0.06ポイント増)となりました。

 

2.プロフェッショナル・サービス及びその他事業
 プロフェッショナル・サービス及びその他事業については、既にサポート終了を予定していた既存製品のサポートの売上減少の影響があったものの、業績は期初策定の計画通りに推移いたしました。クラウド型のメール配信システム「Customers Mail Cloud」につきましては、新規顧客獲得、既存顧客のアカウント追加等の受注、メール配信料の増加などにより堅調に推移いたしました。営業面では販路拡大に向けた取り組みを継続し、開発面ではさらなる機能の向上施策を行いました。

 この結果、プロフェッショナル・サービス及びその他事業の売上高の合計は、526百万円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。

 

(注1)LTV (Life Time Value)

  顧客が顧客ライフサイクルの最初から最後までの間に当社の商品やサービスを購入した(する)金額の合計です。

(注2)ARR (Annual Recurring Revenue)
  対象月の月末時点における契約ユーザから獲得する、翌期以降も経常的に売上高に積み上げられる可能性の高い年間契約金額の総額です。当社グループでは、以下の計算式で算出しております。
 対象月末のARR = 対象月のMRR(注3) × 12(12倍することで年額に換算)
(注3)MRR (Monthly Recurring Revenue)
  対象月の契約ユーザから獲得した月額利用料金の合計です。ここには一時的な売上高は含みません。

 

② 財政状態の状況

 (資産)
 当連結会計年度末における総資産は、6,295百万円(前連結会計年度末比1,089百万円の増加)となりました。主な要因としては、現金及び預金532百万円の増加、投資その他の資産459百万円の増加によるものであります。
 (負債)
 当連結会計年度末における負債合計は、3,880百万円(前連結会計年度末比766百万円の増加)となりました。主な要因としては、契約負債484百万円の増加、未払法人税等118百万円の増加、未払金59百万円の増加によるものであります。
 (純資産)
 当連結会計年度末における純資産は、2,415百万円(前連結会計年度末比323百万円の増加)となりました。主な要因としては、利益剰余金508百万円の増加、自己株式251百万円の増加、その他有価証券評価差額金45百万円の増加によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物等(以下「資金」という)は、4,585百万円と前連結会計年度末に比べ532百万円(13.1%)の増加となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。


 (営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は1,228百万円(前連結会計年度は777百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益の計上713百万円、契約負債の増加484百万円、未払金の増加60百万円、売上債権の増加55百万円が主な要因となっております。
 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果支出した資金は425百万円(前連結会計年度は120百万円の支出)となりました。これは、投資有価証券取得による支出241百万円、敷金及び保証金の差入による支出98百万円、無形固定資産の取得による支出45百万円、有形固定資産の取得による支出44百万円が主な要因となっております。
 (財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果支出した資金は270百万円(前連結会計年度は0百万円の支出)となりました。これは、自己株式の取得による支出270百万円が主な要因となっております。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

当社グループは新規案件について受注残が発生するものの、受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を売上区分ごとに示すと、次のとおりであります。

 

売上区分の名称

当連結会計年度
(自 2022年10月1日
 至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

HENNGE One事業

(百万円)

6,250

21.0

プロフェッショナル・サービス

及びその他事業 (百万円)

526

9.5

合計(百万円)

6,776

20.0

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

SB C&S株式会社

686

12.18

884

13.10

株式会社大塚商会

576

10.22

763

11.30

 

2.当社グループの事業セグメントは単一セグメントでありますので、セグメント別の記載は省略しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 
① 重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者による会計上の見積りは、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、会計上の見積りには不確実性があるため、実際の結果と見積りとは異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

③ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは「テクノロジーの解放 (Liberation of Technology)」という経営理念のもと、独自の開発サービスの提供により業績を拡大してまいりました。今後、クラウドサービスに対する需要が一層拡大し、企業規模によらず積極的なIT投資が進み、ビジネスにおいてクラウドサービスを利用する場面は多くなると考えております。このような経営環境において、当社サービスは、より積極的な機能充実と販売活動を実行することで、事業の拡大が可能であると判断しております。

 また、既存サービスの概念に捉われることなく、当社グループの強みである新技術への挑戦を継続することで、新サービスの開発をあわせて実行してまいります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

今後、当社グループが更なる事業拡大を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は最新のIT技術を探求し、あわせて事業環境も把握し、当社グループの強みであるスピード感あふれる実行力を発揮し、世界に新しい価値を創造し続ける方針であります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費、業務委託費等であります。資金の源泉と流動性を安定的に確保することを目的とし、資金需要の額や使途に合わせて自己資金を投下する他、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,585百万円であり、流動性を確保しております。