売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E35308 IFRS

売上高

323.8億 円

前期

278.1億 円

前期比

116.4%

時価総額

2,391.9億 円

株価

3,661 (07/12)

発行済株式数

65,334,408

EPS(実績)

70.82 円

PER(実績)

51.69 倍

平均給与

755.3万 円

前期

727.5万 円

前期比

103.8%

平均年齢(勤続年数)

38.2歳(3.7年)

従業員数

431人(連結:1,773人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、オムロン株式会社を親会社とする企業集団に属し、当社及び子会社38社により構成されております。

 当社グループは、「ヘルスビッグデータ」、「遠隔医療」、「調剤薬局支援」の3つを報告セグメントとしています。各報告セグメントを構成する主な事業及び主な会社は、以下のとおりであります。

 

(1)ヘルスビッグデータ

主な事業

主な会社

インダストリー向け事業

当社、メディカルデータベース株式会社、データインデックス株式会社、エヌエスパートナーズ株式会社、株式会社キャンサースキャン

保険者(※1)・生活者向け事業

医療提供者向け事業

 

(2)遠隔医療

主な事業

主な会社

遠隔医療事業

株式会社ドクターネット

 

(3)調剤薬局支援

主な事業

主な会社

調剤薬局支援事業

ノアメディカルシステム株式会社

 

 各報告セグメントに含まれる主な事業の内容は、以下のとおりであります。

〈ヘルスビッグデータ〉

① インダストリー向け事業

 当事業は、主に製薬企業や保険会社に対し、当社グループが保有する健康保険組合や医療機関などに由来する匿名加工化された疫学データを提供しております。当社グループが保有するヘルスケアデータは疾病ごとの有病率や罹患率の計算や、治療行為の時系列での追跡等に強みを有しております。そのため、製薬企業においては創薬から市販後調査まで幅広く活用可能であり、保険会社においては新商品開発や支払査定業務の効率化などに活用されております。

 個別の要望事項に対して当該データベースから必要なデータを抽出・分析するサービス「アドホック販売」や、当社のデータベース自体の一部又は全部へのアクセス権を付与する「データベース販売」を主たるサービスとして提供するほか、データベースを用いたコンサルティングやアプリケーション開発を提供することで、サービスの付加価値を向上させております。

 

② 保険者・生活者向け事業

 当事業は、健康保険組合を中心とした保険者に対する保健事業の支援と、その加入者(組合員)に対するPHR(※2)サービスの提供、及び自治体に向けた各種サービスを提供しております。

 保健事業の支援では、保険者に対して、紙・画像レセプトを含めたレセプト(※3)データ、健診データ、台帳(※4)データ等をデータベース化すること、及び、そのデータを起点にした保健事業におけるPDCAのための様々な支援サービスを提供しております。これらのサービスにおいて、組合員の個人情報を扱う部門は、当社の中でも物理的・技術的に厳格に隔離され、また、管理された環境で活動を実施しております。

 PHRサービスでは、当社開発の健康情報プラットフォーム「Pep Up」(ペップアップ)を提供しております。「Pep Up」では、保険者データから連携された健診結果、医療費通知、調剤履歴を表示する他、当社開発の健康年齢(※5)算出サービス、名医紹介サービス「clintal」(クリンタル)、独自のポイントプログラム、健康に関するコンテンツ等を提供しております。また、ウェアラブル端末と組み合わせて活用することにより利用者の日々の生活習慣の記録と健康管理を行うことが可能となっております。

 自治体には、当社が健康保険組合との取引にて培った知見を活かしたサービスを提供するほか、2024年1月に子会社となった株式会社キャンサースキャンを通じ、特定健診受診率向上事業等の予防医療・保健事業分野における様々なサービスを提供しております。

 

③ 医療提供者向け事業

 当事業は、薬剤DB事業及びその他の医療提供者向け事業に分解されます。薬剤DB事業では、医薬品添付文書をはじめとした医薬品の情報をもとに、当社グループの薬剤師の薬学的見解を加味したデータベースを開発し、医療系システム会社へのデータベースの提供を行うとともに、当該データベースを用いた大規模病院向け部門システムの開発・販売・保守を行っております。その他の医療提供者向け事業では、データを用いた医療機関の経営やオペレーションの改善のためのコンサルティングや診療報酬債権のファクタリングなどを行っております。

 

〈遠隔医療〉

 遠隔医療事業は、CT/MRIなど医用画像の診断依頼を医療機関から遠隔で受け付け、契約読影医による診断レポートを提供する遠隔読影(※6)マッチングサービスを提供しております。

日本の病院及び一般診療所は約11万施設(出所:厚生労働省「医療施設動態調査」2022年10月1日現在概数)存在するのに比して、放射線診断専門医は約6,000名(出所:公益社団法人日本医学放射線学会ホームページの専門医一覧、2020年12月時点)となっており、放射線診断専門医の過重労働や専門医の診断がつかず誤診につながる症例が問題となっております。そのような中、当社グループは遠隔読影のリーディングカンパニーとして国内最大規模の放射線診断専門医プラットフォームを形成しており、サブスペシャリティごとに最適なマッチングを行うことで、高品質な読影レポートをスピーディに提供しております。

 その他に、医療機関と放射線診断専門医をクラウドでつなぎ、遠隔での画像診断を可能とするASPサービスも提供しております。

 

〈調剤薬局支援〉

 調剤薬局支援事業では、調剤薬局向けの業務システム(レセコン(※7)、電子薬歴(※8)など)を提供しております。

 

 

 

《用語説明》

※1 保険者

公的医療保険制度の運営主体のことをいう。健康保険の保険者には、健康保険組合のほかに、全国健康保険協会(協会けんぽ)、市町村や都道府県が運営する国民健康保険及び後期高齢者医療制度などが存在する。

※2 PHR

Personal Health Recordの略。生涯型電子カルテとも言われ、複数の医療機関や薬局などに散らばる健康関連の情報を一元的に集約・管理する仕組みをいう。

※3 レセプト

患者が受けた保険診療について、医療機関が保険者に請求する医療報酬の明細書をいう。

※4 台帳

健康保険組合において組合加入者の情報を登録したものをいい、加入者台帳ともいわれる。

※5 健康年齢

健診結果をもとに算出された医療費予測からみた健康状態を年齢に置き換えて示す指標。

※6 遠隔読影

医用画像について、ICTを活用することで検査が行われた施設とは異なる場所から実施する診断をいう。

※7 レセコン

レセプトコンピュータの略。レセプトを作成するコンピュータ若しくはソフトウエアを指す。本書において、特段の記載がない限りは、調剤薬局で使用する医師の処方箋に基づくレセプト処理システムを指す。

※8 電子薬歴

医師から発行された処方箋に基づき、調剤・指導歴を電子化したものをいう。本書において、特段の記載がない限りは、調剤薬局で使用する電子薬歴システムを指す。

 

以上を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

 

24/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当社は、「データとICTの力で、持続可能なヘルスケアシステムを実現する」ことを目指して、日本のヘルスケア業界の多様なデータを結集し、社会に還元することを通じて、生活者の健康増進や医療プロバイダーの価値向上・業務最適化を支援しております。

 ヘルスビッグデータセグメントは、健康保険組合を中心とした保険者の保健事業を推進するため、保険者が保有するデータの分析サービスの他、当社開発のPHRサービスを提供しております。また、医療機関に対しても医療データ分析サービス、診療報酬ファクタリングサービスの他、薬剤DBの提供等を行っております。さらに、こうした業務の付帯として受領した匿名加工情報をデータベース化し、学術・産業利用を進めております。

 遠隔医療セグメントは、放射線診断専門医が不足している医療機関と契約読影医を遠隔読影システムでつなぐマッチングサービスの他、医療機関と放射線診断専門医をクラウドでつなぎ、遠隔での画像診断を可能としたASPサービスを提供しております。

 調剤薬局支援セグメントは、保険薬局に対してレセコン及び電子薬歴システムなどのシステム開発・販売事業を行っております。

 当連結会計年度の業績は、以下のとおりであります。

 

(当期の業績)                                    (単位:百万円)

区  分

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

売上収益

27,809

 

32,381

 

+4,571

+16.4%

営業利益

5,926

 

7,006

 

+1,079

+18.2%

EBITDA(マージン)

7,716

(27.7%)

9,471

(29.3%)

+1,755

+22.7%

 

(セグメントの業績)                                 (単位:百万円)

区  分

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

ヘルスビッグデータ

セグメント売上収益

19,221

 

25,058

 

+5,836

+30.4%

セグメント利益(率)

6,137

(31.9%)

7,886

(31.5%)

+1,748

+28.5%

遠隔医療

セグメント売上収益

5,038

 

5,579

 

+540

+10.7%

セグメント利益(率)

1,768

(35.1%)

2,075

(37.2%)

+306

+17.4%

調剤薬局支援

セグメント売上収益

3,826

 

1,859

 

△1,967

△51.4%

セグメント利益(率)

459

(12.0%)

229

(12.3%)

△230

△50.1%

調整額

セグメント売上収益

△277

 

△115

 

+162

セグメント利益

△649

 

△719

 

△70

合計

売上収益

27,809

 

32,381

 

+4,571

+16.4%

EBITDA(マージン)

7,716

(27.7%)

9,471

(29.3%)

+1,755

+22.7%

(注)当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAがあります。当社グループは、EBITDAを用いて各セグメントの業績を測定しており、当社グループの業績評価をより効果的に行うために有用かつ必要な指標であると考えております。EBITDA及びEBITDAマージンの計算式は以下のとおりです。

・EBITDA    :営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用

・EBITDAマージン:EBITDA/売上収益×100

 

[ヘルスビッグデータ]

当社グループは健康保険組合より寄せられたレセプト(入院、外来、調剤)、健診データ及び加入者台帳を匿名加工することで、民間利用可能な国内最大規模のヘルスビッグデータを有しております。当連結会計年度においても取引先健康保険組合数、利活用先である製薬企業及び保険会社の1顧客あたりの年間取引額はそれぞれ前年同期比ベースで継続して増加しており、事業は拡大を続けております。

また、当社開発の健康情報プラットフォーム「Pep Up」(ペップアップ)により、上記のヘルスビッグデータに基づいて、一人ひとりのユーザーに合わせた個別アドバイスや疾病リスク表示を行っております。Pep Upの発行ID数は当連結会計年度においても拡大を続けております。

上記の事業拡大に加え、2023年6月には、業界団体を超えた健康経営の実践に取り組む148社・団体が集結し、「健康経営アライアンス」が本格始動し、3月31日時点で373社・団体に拡大、初年度の目標としていた300社に到達しております。同アライアンスは、社員の健康をつうじた日本企業の活性化と健保の持続可能性の実現をミッションに活動しており、現在、勉強会・セミナー、アンケート・データ分析に基づく健康経営アセスメント、健康経営ソリューションの情報プラットフォーム構築の3つの取り組みを進めております。今後、活動の更なる拡大と健康経営の実践を通じた成果及び事業の創出を加速してまいります。

また、当連結会計年度において、株式会社キャンサースキャンを子会社化いたしました。株式会社キャンサースキャンが有する自治体における強固な顧客基盤を通じ、当社が健康保険組合との取引にて培ったサービス・ソリューションを展開すること、また、株式会社キャンサースキャンの強みである行動変容ノウハウを応用し開発した生活習慣病治療プログラム等のソリューションを、当社顧客の健康保険組合・企業等に提供することで、当社グループの保険者・生活者領域における一層の事業規模拡大を加速させてまいります。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、25,058百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は7,886百万円となりました。

 

[遠隔医療]

当社グループは国内最大の放射線診断専門医プラットフォームを有しております。当連結会計年度においては、遠隔読影サービスを利用する医療機関数が拡大した結果、売上収益は前年同期比ベースで増収となりました。

なお、画像診断をアシストする人工知能エンジンプラットフォーム「AI―RAD」の機能追加やアジアでの事業展開を本格化するための準備等、事業拡大のための施策は引き続き進めております。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、5,579百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は2,075百万円となりました。

 

[調剤薬局支援]

当連結会計年度においては、既存顧客の買換え(リプレース)需要を確保しつつ、新規顧客の開拓に努めてまいりました。調剤薬局を取り巻く環境はデジタル化を進めながら競争が激しさを増しております。

上記の状況の中、当社の調剤薬局支援セグメントの構成要素である株式会社ユニケソフトウェアリサーチ及びその管理目的会社について、2023年6月にその全株式を当社の業務提携先である株式会社EMシステムズに譲渡いたしました。本譲渡により、これまで行ってきた両社の取り組みを更に加速させることでより一層質の高いサービスの提供と、薬局市場において新たな旋風を巻き起こし占有率を高めてまいります。

この結果、当連結会計年度のセグメント売上収益は、1,859百万円となり、セグメント利益(セグメントEBITDA)は229百万円となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上収益は32,381百万円、営業利益は7,006百万円、EBITDAは9,471百万円の増収増益となりました。なお、EBITDAから営業利益への調整は以下のとおりであります。

 

(EBITDAから営業利益への調整表)                           (単位:百万円)

 

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

EBITDA

7,716

9,471

減価償却費及び償却費

△2,016

△2,237

その他の収益

275

1,555

その他の費用

△49

△1,783

営業利益

5,926

7,006

 

② 財産状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ23,885百万円増加し122,452百万円となりました。これは主に、事業拡大に伴う営業債権及びその他の債権が10,932百万円増加したことに加え、株式会社キャンサースキャンの株式の取得(子会社化)等に伴い、のれんが16,150百万円増加したことによります。現金及び現金同等物は8,308百万円減少しておりますが、現金及び現金同等物の増減については、「③ キャッシュ・フローの状況」を参照ください。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比べ17,723百万円増加し51,765百万円となりました。これは主に、流動負債の借入金が21,358百万円増加したことによります。

(資本)

 当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末と比べ6,162百万円増加し70,686百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益4,607百万円の計上により利益剰余金が増加したことに加え、新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,105百万円増加したことによります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8,308百万円減少し、14,473百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、17百万円(前連結会計年度は4,062百万円の収入)となりました。これは主に、税引前利益を6,907百万円、減価償却費及び償却費を2,237百万円計上した一方で、事業拡大に伴う営業債権及びその他の債権の増加額6,675百万円、法人所得税の支払額2,317百万円を計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、24,864百万円(前連結会計年度は22,769百万円の支出)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出20,176百万円、投資の取得による支出2,572百万円、有形固定資産の取得による支出893百万円、無形資産の取得による支出1,365百万円をそれぞれ計上したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、16,581百万円(前連結会計年度は28,296百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入れによる収入16,402百万円を計上したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、ヘルスビッグデータ、遠隔医療、調剤薬局支援の3つのセグメントから構成されております。いずれも、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 当連結会計年度の販売の状況については下記のとおりであります。

セグメントの名称

第11期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比

ヘルスビッグデータ

24,993

+30.6%

遠隔医療

5,579

+10.7%

調剤薬局支援

1,808

△50.2%

合計

32,381

+16.4%

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針、及び重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績の状況

 当連結会計年度のセグメントごとの状況は以下となります。なお、各報告セグメントを構成する主な事業及び主な会社については「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

 

[ヘルスビッグデータ]

 当セグメントは、a. インダストリー向け事業、b. 保険者・生活者向け事業、c. 医療提供者向け事業の3つの事業から構成されます。当セグメントの事業別売上(管理会計ベース)は以下となります。

(単位:百万円)

事業

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

インダストリー向け事業

9,578

11,557

+1,979

+20.7%

保険者・生活者向け事業

3,032

4,606

+1,574

+51.9%

医療提供者向け事業

6,689

9,095

+2,405

+36.0%

上記の合計

19,300

25,260

+5,959

+30.9%

報告セグメントへの調整額

△78

△202

△123

報告セグメントの売上収益

19,221

25,058

+5,836

+30.4%

 

a. インダストリー向け事業

 当事業では、製薬企業及び保険会社に対し、付加価値向上(アップセル)とデータ種類の拡充(クロスセル)による施策を講じることを通じて、取引先1企業あたりの取引額の増加に注力しております。当連結会計年度においては主要取引先である製薬企業との関係では、既存顧客との1社あたり取引額及び顧客数はそれぞれ前年同期比ベースで継続して増加しており、事業は拡大を続けております。以上の結果、当連結会計年度の事業売上は、前連結会計年度9,578百万円から20.7%増の11,557百万円となりました。

 

b. 保険者・生活者向け事業

 当事業では、取引先保険者の拡大及び「Pep Up」IDの発行数の増加に注力しております。

 2024年4月1日時点で全国の健康保険組合は1,379組合、加入者数が約2,825万人(出所:健康保険組合連合会ホームページ)、2020年3月31日時点で全国の共済組合は85組合、加入者数が約854万人(出所:『共済のしおり(2020(令和2)年度版)』)とされている中、当連結会計年度においては、継続契約している取引先保険者数が326組合から395組合へと増加し、その加入者数は1,257万人から1,893万人へと増加いたしました。

 また、上記の取引健保の組合員に対して「Pep Up」及びウェアラブル端末の導入を進めております。2024年3月末時点において取引健康保険組合の加入者等の607万人に対してIDを付与しており、急速にユーザー数が拡大しております。加えて、当連結会計年度においてはウェアラブル端末の販売が前連結会計年度よりも増加しました。以上の結果、当連結会計年度の事業売上は、前連結会計年度3,032百万円から51.9%増の4,606百万円となりました。

 

(取引保険者数と加入者数の推移)

 

2020年4月末

2021年4月末

2022年4月末

2023年4月末

2024年4月末

取引保険者数     (組合)

252

274

299

326

395

取引保険者の加入者数 (万人)

854

930

1,044

1,257

1,893

(注)前事業年度の営業活動の結果として4月1日に開始する契約が多数存在すること、及び、当社として加入者数を集計できるのが月末であることから、4月末を集計基準月としております。取引保険者の加入者数は、各基準月において当社と継続契約を締結している(単発取引を除く)取引保険者の組合員数を推計して算出しております。

 

(「Pep Up」ID発行数の推移)                         (単位:万人)

 

2020年3月末

2021年3月末

2022年3月末

2023年3月末

2024年3月末

ID発行数実績

164

218

343

541

607

 

c. 医療提供者向け事業

 当事業では、医療機関向けサービスの拡大・強化に注力しております。薬剤DB事業に加えデータを用いた医療機関の経営やオペレーションの改善のためのコンサルティング、診療報酬債権のファクタリングなど事業拡大を続けており、当連結会計年度における事業売上は前連結会計年度6,689百万円から36.0%増の9,095百万円となりました。

 

 上記の結果、当連結会計年度におけるヘルスビッグデータセグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度の19,221百万円から30.4%増の25,058百万円となりました。

 

[遠隔医療]

 当セグメントは、遠隔医療事業から構成されます。当セグメントの事業別売上は以下となります。

(単位:百万円)

事業

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

遠隔医療事業

5,038

5,579

+540

+10.7%

報告セグメントの売上収益

5,038

5,579

+540

+10.7%

 

a. 遠隔医療事業

 当事業では、遠隔画像診断の提供先となる医療機関数と遠隔画像診断を委託する契約読影医数の双方を伸ばすことでシェアを拡大することに注力しております。当連結会計年度においては、契約読影医数及び契約医療機関数が順調に増加した結果、2024年3月末時点で、契約読影医が1,119名、契約医療機関が1,419施設の規模にまで成長しております。

 今後も、遠隔読影のリーディングカンパニーとして、オペレーション改善によるコスト競争力強化、24時間365日対応、専門性の高い読影医のマッチング等のサービス品質向上といった規模を活かした差別化要因を強化してまいります。

 

 上記の結果、当連結会計年度における遠隔医療事業売上及び報告セグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度の5,038百万円から10.7%増の5,579百万円となりました。

 

[調剤薬局支援]

 当セグメントは調剤薬局支援事業から構成されます。当セグメントの事業別売上は以下となります。

(単位:百万円)

 

事業

第10期

(自 2022年4月1日

 至 2023年3月31日)

第11期

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

比較増減

調剤薬局支援事業

3,826

1,859

△1,967

△51.4%

報告セグメントの売上収益

3,826

1,859

△1,967

△51.4%

 

a. 調剤薬局支援事業

 当事業では、調剤薬局に対する業務システム(レセコン、電子薬歴など)の提供を含めたデジタルソリューションの提供を行っており、自社開発ソリューションを提供する調剤薬局数を拡大することに注力しております。

一方、保険薬局市場は既に成熟市場に至っており、保険薬局数の伸び率はこの数年1%程度(出所:厚生労働省「衛生行政報告例」、2021年度末現在)に留まっております。このため、同事業のシステム販売は、全体の約8割が既存顧客の買換え(リプレース)、約1割が既存顧客の新店開局、残る約1割が他社メーカーからのリプレース及び既存顧客以外の新店開局という構成比となっております。

そのような状況の中、当社の調剤薬局支援セグメントの構成要素である株式会社ユニケソフトウェアリサーチ及びその管理目的会社について、2023年6月にその全株式を当社の業務提携先である株式会社EMシステムズに譲渡いたしました。本譲渡により、これまで行ってきた両社の取り組みを更に加速させることでより一層質の高いサービスの提供と、薬局市場において新たな旋風を巻き起こし占有率を高めてまいります。

 

 上記の結果、当連結会計年度における調剤薬局支援事業売上及び報告セグメントのセグメント売上収益は、前連結会計年度3,826百万円から51.4%減の1,859百万円となりました。

 

 その他の経営成績の状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。

 

(b) 財政状態の状況

 財政状態の状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載したとおりであります。

 

(c) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a. キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b. 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部留保により調達することを基本としております。しかしながら、企業買収を目的とした投資有価証券の取得による資金需要が発生した場合には、必要に応じて外部からの資金調達を行うことがあります。当連結会計年度末において、流動負債の借入金は22,352百万円、非流動負債の借入金は6,574百万円であります。

 なお、子会社につきましては、当社を通じての資金調達を原則としております。

 

(d) 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、EBITDAがあります。達成・進捗状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

(e) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(f) 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。