E01630 IFRS
前期
9,218.6億 円
前期比
112.4%
株価
2,495.5 (11/07)
発行済株式数
1,480,559,680
EPS(実績)
79.01 円
PER(実績)
31.58 倍
前期
755.5万 円
前期比
103.0%
平均年齢(勤続年数)
40.3歳(15.7年)
従業員数
5,633人(連結:30,689人)
当社の企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」)と、連結子会社99社、持分法適用会社4社により構成されており、その事業区分を「心臓血管カンパニー」、「メディカルケアソリューションズカンパニー」、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3事業に区分しております。上記事業は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。
当社グループを構成している各会社間の取引の概要と位置づけは以下の図のとおりです。関係会社と事業区分の関係は「第1企業の概況 4関係会社の状況」に、事業区分ごとの主要な製品は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
[業績等の概要]
当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定しました。高齢化社会における慢性疾患との共生や患者さんのQOL向上、ゲノム医療とAIの進化による個別化医療の進展といった、医療のパラダイムシフトに対応するための中長期ビジョンとして「デバイスからソリューションへ」を掲げました。製品軸から顧客軸へフォーカスを移し、医療のエコシステム全体とより積極的にかかわることで、顧客の課題に複合的なソリューションを提案できる企業を目指して経営を推進しています。
5カ年成長戦略の3年目となる当期の連結業績は以下のとおりです。
セグメントの業績は以下のとおりです。
(注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。
2025年4月1日付で、心臓血管カンパニーの一部事業名称の変更ならびに血液・細胞テクノロジーカンパニーの開示セグメントの変更を行いました。事業名称の変更は、各事業がグローバルで展開するビジネスブランドと事業名称の統一を目的としたものであり、各事業で取り扱う製品やサービスに変更はありません。また、開示セグメントの変更は、2024年に実施した組織変更の反映に伴うものです。
<心臓血管カンパニー>
海外は、インターベンショナルシステムズ事業(旧TIS事業)やニューロ事業(旧ニューロバスキュラー事業)を中心に全事業で伸長、為替も寄与し、前期比13.6%の増収となりました。日本は、ニューロ事業やアオルティック事業(旧血管事業)の売上が好調に推移しましたが、公定価格下落の影響もありインターベンショナルシステムズ事業の売上が減少し、前期比0.6%の微増に留まりました。
その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比12.4%増の6,244億円となりました。
<メディカルケアソリューションズカンパニー>
日本は、価格政策及び堅調な需要継続を背景に、ホスピタルケアソリューション事業が伸長し、前期比3.8%の増収となりました。海外は、米州を中心に売上収益が増加し、前期比15.5%の増収となりました。
その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比6.9%増の2,112億円となりました。
<血液・細胞テクノロジーカンパニー>
海外は、北米における血漿イノベーションビジネスの展開加速や、欧米での採血関連ビジネスの売上が増加するなど、グローバルブラッドソリューション(旧血液センター向けビジネス)が好調に推移し、前期比20.3%の増収となりました。日本でも、採血関連製品の売上収益が増加し、前期比2.0%の増収となりました。
その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比19.0%増の2,003億円となりました。
≪キャッシュ・フロー計算書概要≫
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,108億円となりました。税引前利益1,546億円、減価償却費及び償却費854億円、減損損失225億円、法人所得税の支払額513億円が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、825億円となりました。生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出686億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出137億円が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,088億円となりました。長期借入れによる収入300億円、社債の発行による収入698億円、デリバティブの決済による収入254億円、長期借入金の返済による支出1,603億円、配当金の支払額356億円、自己株式の取得による支出301億円が主な要因です。
また、上記に加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により26億円減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より170億円増加して2,219億円となりました。
[生産、受注及び販売の状況]
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。
3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、35,217百万円です。
当社グループは主として見込み生産を行っているため、受注実績の記載をしておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.調整額298百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。
2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。
[財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において判断したものです。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。
<連結業績について>
売上収益は、前期比12.4%増の1兆362億円となりました。グローバルで医療需要の拡大が継続し、米州を中心に海外で主要ビジネスが成長、為替も寄与し、当社グループの販売は好調に推移しました。
海外は、アクセス製品を中心としたインターベンショナルシステムズ事業や、血漿イノベーションビジネスの展開加速を受けてグローバルブラッドソリューションが拡大、為替も寄与し、前期比15.2%の増収となりました。
日本は、ホスピタルケアソリューション事業の売上が好調に推移し、前期比2.9%の増収となりました。
なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。
② 利益
売上総利益は、売上収益の増加を中心に、前期比17.0%増の5,607億円となりました。
調整後営業利益は、売上総利益の増加等により、前期比29.8%増の2,034億円となりました。
営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、売上総利益の増加により、いずれも増益となりました。
なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。
調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。
<主要財務指標>
(注) 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり親会社所有者帰属持分」を算定しております。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億円減の1兆8,284億円となりました。
これは主に、為替相場が円高方向に推移した影響及び減損損失等によりのれん及び無形資産が430億円減少した一方、事業規模の拡大等により現金及び現金同等物、棚卸資産がそれぞれ170億円、78億円増加、生産設備への投資等により有形固定資産が152億円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ445億円減の4,599億円となりました。
これは主に、長期借入金の返済等により社債及び借入金が570億円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ414億円増の1兆3,685億円となりました。
これは主に、当期利益の計上により1,170億円増加した一方で、為替相場が円高方向に推移した影響等に伴うその他の包括利益の計上により102億円減少、自己株式の取得により300億円減少、剰余金の配当により356億円減少したことによるものです。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)及び株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。
運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。研究開発費は営業費用の一部として計上されます。また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。
当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントシステムを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。
さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。
また、利益配分につきましては、「安定した増配に加えて、自己株式取得による還元も活用し、総還元性向として50%水準を目標」を基本方針としております。2025年6月24日開催予定の定時株主総会における期末配当の議案により、当期の年間配当金は1株につき26円(うち中間配当金13円)となり、当社は2024年4月1日を効力発生日として普通株式1株を2株に分割しておりますため、実質4円増配を予定しております。次期の年間配当金につきましては、1株につき30円(うち中間配当金15円)を予定しております。
なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 15.社債及び借入金」に記載のとおりです。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。
2025年度においても、医療需要の増加傾向が継続し、欧米を中心に売上収益の拡大が見込まれます。マクロ環境は、サプライチェーン混乱のリスクが緩和する一方で、原材料価格の高止まりは継続するものと考えます。また、米国における関税政策の動向が流動的であり、先行きは不透明な状況になっています。このような環境下において、業績予想については、売上収益、調整後営業利益において増収増益を見込んでいます。製造現場における生産性の向上、コスト削減策等、市場環境に応じた適切な対策については、今後も継続していきます。高成長が見込まれる分野では、引き続き生産能力の拡大を中心とする設備投資を進める予定です。また、5カ年成長戦略「GS26」の達成に向けて、医療従事者の不足や院内業務効率化の推進等、医療現場の課題に向き合い、新たな価値・ソリューションを提供する事業の拡大・創出に取り組んでいきます。
なお、米国における関税政策の影響については、一定の想定に基づき影響額を推定しているものの、現時点では流動的であることから本業績見通しには織り込んでおりません。