E01630 IFRS
前期
7,033.0億 円
前期比
116.6%
株価
5,656 (03/19)
発行済株式数
745,348,640
EPS(実績)
119.84 円
PER(実績)
47.19 倍
前期
736.5万 円
前期比
103.9%
平均年齢(勤続年数)
40.5歳(16.3年)
従業員数
5,457人(連結:30,207人)
当社の企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下当社という。)と、連結子会社99社、持分法適用会社4社により構成されており、その事業区分を「心臓血管カンパニー」、「メディカルケアソリューションズカンパニー」、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3事業に区分しております。上記事業は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。
当社グループを構成している各会社間の取引の概要と位置づけは以下の図のとおりです。関係会社と事業区分の関係は「第1企業の概況 4関係会社の状況」に、事業区分ごとの主要な製品は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
[業績等の概要]
当社グループでは、2021年12月に5カ年成長戦略「GS26」を策定しました。高齢化社会における慢性疾患との共生や、ゲノム医療とAIの進化による個別化医療の本格普及といった、医療のパラダイムシフトに対応するための中長期ビジョンとして、「デバイスからソリューションへ」を掲げました。製品軸から顧客軸へフォーカスを移し、医療のエコシステム全体とより積極的にかかわることで、顧客の課題に複合的なソリューションを提案できる企業を目指して経営を推進しています。
初年度となった当期の連結業績は以下のとおりです。
≪連結業績≫
セグメントの業績は以下のとおりです。
(注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。
<心臓血管カンパニー>
日本は、COVID-19の再拡大の影響を受け、需要の減少が見られたものの、薬剤溶出型冠動脈ステントや胸部大動脈ステントグラフト等の新製品が売上を伸ばし、増収となりました。
海外は、医療需要の順調な回復と成長軌道への回帰が見られ、米国で相次いで新製品を発売し売上を拡大した血管事業を中心に、全事業が好調でした。
その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比21.0%増の4,806億円となりました。
<メディカルケアソリューションズカンパニー>
主要な市場である日本においては、COVID-19の再拡大の影響を受けましたが、ホスピタルケアソリューション事業の癒着防止材やプレフィルドシリンジ製剤の新製品が売上を伸ばしました。また、製薬企業との提携ビジネスであるファーマシューティカルソリューション事業の売上が、グローバルで好調に推移しました。
その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比3.5%増の1,917億円となりました。
<血液・細胞テクノロジーカンパニー>
日本は、血液センター向け製品において、血液バッグの需要が減少し、減収となりました。
海外は、アジア他における輸血需要の回復や、北米における成分採血装置の好調な需要が牽引し、大幅な増収となりました。
その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比22.4%増の1,476億円となりました。
≪キャッシュ・フロー計算書概要≫
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,175億円となりました。税引前利益1,161億円、減価償却費及び償却費702億円、棚卸資産の増加393億円、法人所得税の支払額277億円が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、591億円となりました。生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出527億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出195億円が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、866億円となりました。自己株式の取得による支出501億円、配当金の支払額279億円が主な要因です。
また、上記に加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により102億円増加した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より179億円減少し1,873億円となりました。
[生産、受注及び販売の状況]
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。
3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、34,858百万円です。
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1.調整額243百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。
2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。
[財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月28日)現在において判断したものです。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。
<連結業績について>
売上収益は、前期比16.6%増の8,202億円となりました。
日本は、COVID-19の影響を受けて医療需要の回復が遅れたものの、製薬企業との提携ビジネスであるファーマシューティカルソリューション事業や、血管事業の新製品売上が好調に推移し、前期比0.6%の増収となりました。
海外は、中国等においてCOVID-19の局地的な影響はあったものの、全体では医療需要の回復が進み、血管事業を中心に全カンパニーが二桁伸長した結果、前期比23.3%の増収となりました。
なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。
② 利益
売上総利益は、マクロ環境の悪化による製造費の増加を、増収効果と販売価格の値上げにより一部相殺し、前期比13.0%増の4,174億円となりました。
調整後営業利益は、販売費及び一般管理費が円安の影響で増加したものの、費用コントロールの厳格化により一部相殺し、前期比2.7%増の1,380億円となりました。
同様に、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、いずれも増益となりました。
なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。
調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要(1) 業績」に記載しております。
<主要財務指標>
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,285億円増の1兆6,022億円となりました。
これは主に、為替相場が円安に推移した影響及び事業規模の拡大等により棚卸資産が511億円増加、同様の為替の影響及び生産設備や新ITシステムへの投資等により、有形固定資産が370億円増加、のれん及び無形資産が234億円増加した一方で、自己株式の取得等により現金及び現金同等物が179億円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ298億円増の4,912億円となりました。
これは主に、上記同様の為替の影響等により社債及び借入金が59億円増加、為替の影響及び原材料仕入等により営業債務及びその他の債務が162億円増加したことによるものです。
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ987億円増の1兆1,111億円となりました。
これは主に、当期利益の計上により893億円増加、上記同様の為替の影響等に伴うその他の包括利益の計上により871億円増加した一方で、自己株式の取得により501億円減少、剰余金の配当により279億円減少したことによるものです。
なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)及び株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。
運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。研究開発費は営業費用の一部として計上されます。また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。
当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントシステムを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。
さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。
また、利益配分につきましては、「安定した増配に加えて、自己株式取得による還元も活用し、総還元性向として50%水準を目指す」を基本方針としており、当期の年間配当金を1株につき40円(うち中間配当金19円)と6円増配します。また、次期の年間配当金につきましては1株につき44円(うち中間配当金22円)と増配を予定します。
なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 15.社債及び借入金」に記載のとおりです。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。
2023年度は、医療需要が成長軌道に回帰しつつあり、欧米に加えて中国、日本においても売上収益の拡大が見込まれます。マクロ環境は一部で好転する兆しが見える一方、依然、原材料価格や電気・ガス等のエネルギー関連費用のさらなる高騰等、厳しさが続くと見られています。このような環境下において、業績予想には、価格政策のさらなる見直し(値上げ)や費用の効率的な運用、コスト削減策の前倒し等の対策を盛り込みました。一方で、成長が見込まれる分野においては、生産能力の拡大を中心とする設備投資を積極的に進めます。また、医療従事者の人員不足や業務効率化の推進等、医療現場の課題やニーズに向き合い、より複合的なソリューションの提供に挑戦していきます。
企業経営としては厳しい環境にありますが、これを機会と捉え、企業価値の向上にも積極的に取り組みます。2023年2月には4つの追加的な施策を打ち出しました。M&Aの積極化、収益性改善の加速、資本政策の強化、そしてサステナビリティ経営の推進です。サステナビリティ経営については、サステナビリティ委員会を2023年4月に発足し、GS26において掲げたESG・CSVの重点テーマにおける具体的な指標の設定と、その実行の後押しを担います。設定した指標は役員の業績報酬にも連動する仕組みを導入し、その実効性をさらに高めていきます。