売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E05728 Japan GAAP

売上高

1.36億 円

前期

2.02億 円

前期比

67.0%

時価総額

136.6億 円

株価

194 (07/12)

発行済株式数

70,393,158

EPS(実績)

-11.08 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

774.9万 円

前期

708.0万 円

前期比

109.4%

平均年齢(勤続年数)

50.9歳(7.0年)

従業員数

18人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループの主たる事業は、最先端のサイエンスをいち早く治療現場へ届けるため、世界中の製薬企業にIPを提供し、世界の人々の健康に貢献することです。

当社はミセル化ナノ粒子技術を活用し、ナノ粒子内に低分子などの医薬品を封入した抗がん剤を中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりましたが、2023年1月、ビジネスモデルを転換いたしました。創業以来実施してまいりました低分子抗がん剤や核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かし、新たな治療技術として注目されるmRNAに特化し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、臨床開発を実施可能な製薬企業にライセンスアウトいたします。当社は、mRNA医薬の研究開発に国内企業に先駆けて取り組んできた経験と実績及びこれまでに築いた豊富なネットワークを生かして、大手製薬企業の開発体制に匹敵する開発及び事業開発体制を構築しており、多数のパイプラインを同時並行でインキュベートしmRNA治療薬のIPを継続的に創出します。

 

(1)当社設立の経緯

当社は、東京大学の片岡一則名誉教授、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリアとなり得ること及びがん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。

2022年までに、低分子抗がん剤として、複数のパイプラインの後期臨床開発を進めてまいりましたが、実用化には至らず、開発をすべて中止いたしました。その間、DDS技術が不可欠である核酸医薬の研究も並行して実施しており、その経験を活かしたmRNA創薬に特化した事業に転換することを2023年1月に決定し、新たなビジネスモデルを推進しております。

 

(2)当社開発品の特長

当社開発品は、mRAN医薬に特化しております。mRNA医薬とは、人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品です。COVID-19の感染予防ワクチンの開発成功により、急激に市場が拡大したmRNA創薬分野ですが、感染症ワクチン以外の治療薬等の領域はこれから医薬品としての開発競争が始まります。当社は、国内企業に先駆けて、mRNA創薬ビジネスモデルの旗艦プロジェクトとして、既に変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しています。今後、製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。

 

(3)当社の事業展開

当社は、非臨床試験を実施して得られた研究シーズを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを展開しております。当社がmRNA創薬を推進するうえで、mRNA創薬の製造及び非臨床試験実施における包括的な業務提携関係にある株式会社アクセリード、及びIPガイア株式会社の保有するネットワークからの情報をもとに、当社保有パイプラインの導出活動をIPガイアが支援する包括的な業務提携契約を締結しております。当社はIPガイア及びアクセリードとの一体化により、大手製薬企業の創薬体制に匹敵する、研究開発及び事業開発体制を構築しており、製薬企業が求める質の高いmRNA医薬品候補を創出し、医薬品開発に速やかに進むことが可能となるアセットとして導出してまいります。

※画像省略しています。

 

①当社の収益モデル

  当社は、mRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のmRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験まで実施し、mRMA医薬候補のアセットとして、臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出いたしします。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。

 

②当社のパイプラインについて

 本書提出日現在、当社パイプラインは以下のとおりです。

 

(mRNA医薬パイプライン)

mRNA医薬は、2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞した新たなモダリティです。本技術は、さまざまな疾患へ展開されつつあり、COVID-19ワクチン以外の感染症予防ワクチン、がん治療ワクチン、遺伝性疾患治療薬、また組織再生医薬などにおいて臨床POCが得られてきています。当社の変形性膝関節症に対するmRNA組織再生医薬は、感染症予防ワクチン以外では国内初とも言えるものです。本品の医師主導治験は、当期中の開始を目指して規制当局と相談を進めてまいりました。その結果、本医師主導治験の開始を2024年度後半とすることとし、準備を継続しております。花王株式会社との共同研究につきましては、順調に推移しており、新たなプロジェクトの開始についても協議を進めております。今後、企業及びアカデミア等のさまざまなパートナーとの共同研究開発などによりパイプラインを拡充し、創製した開発候補の製薬企業等へのライセンスアウトを進めてまいります。

 

RUNX1 mRNA:

アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAにおいて、変形性膝関節症患者を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験に向け、規制当局との相談を進めております。

RUNX1のmRNAは、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子のmRNA医薬で、変形性膝関節症の進行抑制及び疼痛の軽減を実現する革新的な疾患修飾型治療薬となり得るものです。なお、本プロジェクトは、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されております。

免疫寛容ワクチン:

花王株式会社が独自開発した免疫制御技術を用いて共同で実施した研究成果に基づき、2023年11月、mRNA医薬の創製に向けた包括共同研究契約を締結いたしました。共同研究では、アレルギー疾患をはじめ数多くある免疫疾患を対象に治療ワクチンの研究から、順次、候補品を創出し、開発企業へライセンスアウトすることを目指しております。

感染症予防ワクチン:

名古屋大学発ベンチャーCrafton Biotechnology株式会社が研究代表機関となり、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)事業に採択された感染症mRNAワクチンの研究開発が進められております。本研究開発は、RNA医薬に欠かせないCap化技術に日本発の新しい技術を適応したものです。当社は次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合、神戸)などとともに分担研究機関として参画し、非臨床試験及び臨床試験を担当いたします。

 

(mRNA医薬以外のパイプライン)

mRNA医薬以外のパイプラインの開発も継続して行っております。

TUG1 ASO:

脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫を対象とするTUG1ASOの医師主導第Ⅰ相臨床試験が2024年2月に開始され、順調に進捗しております。

TUG1は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ核酸)のDDS製剤であり、名古屋大学を中心として、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に2期連続で採択されております。当社は、分担研究機関として治療薬の供給及び薬物動態解析などを行ってまいります。

なお、2023年8月に本課題の基盤となる2件の特許について、再実施許諾権(サブライセンス権)付独占ライセンス権を獲得し、導出活動を開始しております。

NC-6100:

公益財団法人がん研究会有明病院において、医師主導第Ⅰ相臨床試験が実施されております。高用量コホートまで試験が進捗しており、薬物動態解析を進めております。NC-6100は、慶應義塾大学等との共同開発プロジェクトであり、転写因子PRDM14に対するsiRNAのDDS製剤です。

上記の他、コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、2023年6月からセオリアファーマ株式会社により販売されております。

 

24/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1)業績

当社は、2023年1月にmRNA医薬候補及びそれに関する知的財産(IP)を創製し、製薬企業に導出することにより収益を得るという事業モデルに転換しました。当連結会計年度においては、事業推進の基盤となるアクセリード株式会社及び傘下企業、並びに株式会社IPガイアとの協業体制をより緊密なものとし、人事交流なども進めております。mRNA医薬については、花王株式会社との包括共同研究契約下に免疫寛容ワクチンの共同研究を開始し、また初期段階のパイプラインの推進、及び新規課題の探索を進め、さらに既存パイプラインの研究開発推進などに取り組んでまいりました。

当社のmRNA医薬パイプライン及びmRNA医薬以外のパイプラインの状況については、第一部「企業情報」第1「企業の概況」3「事業の内容」をご参照ください。

 

(販売事業の状況)

株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシア ブライトニング イマキュレート セラム用の当社技術を応用した原材料を供給しております。

PRP療法を用いた不妊治療サポート事業につきましては、2024年5月に株式会社エイオンインターナショナルとの契約終了に伴い、終了いたしました。

 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、化粧品材料供給収入、ライセンス収入及び共同研究開発契約収入並びにPRP事業に係る売上等により135,508千円(前連結会計年度比32.9%減)、営業損失は864,415千円(前連結会計年度営業損失1,246,000千円)、経常損失は749,847千円(前連結会計年度経常損失1,104,580千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は780,002千円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失1,310,976千円)となりました。

なお、当連結会計年度におきまして、以下の営業外収益及び営業外費用並びに特別利益及び特別損失を計上しております。

・外国為替相場の変動による為替差益54,129千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。

・研究開発等に係る補助金収入45,638千円を営業外収益に計上しております。

・第21回新株予約権の発行に伴う、新株予約権発行費9,950千円を営業外費用に計上しております。

・当社の保有する株式を売却したことにより、投資有価証券売却益42,247千円を特別利益に計上しております。

・本社移転に伴う建物附属設備の減損処理を行ったこと等により、減損損失71,260千円を特別損失に計上しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ265,670千円増加し、1,575,263千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、585,081千円の支出(前連結会計年度は1,087,051千円の支出)となりました。研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税金等調整前当期純損失777,512千円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、793,007千円の収入(前連結会計年度は1,207,913千円の収入)となりました。定期預金の預入による支出1,502,372千円、定期預金の払戻による収入2,502,032千円、有価証券の取得による支出5,800,000千円、有価証券の償還による収入5,738,390千円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,728千円の収入(前連結会計年度は-千円)となりました。新株予約権の発行による収入3,728千円等によるものです。

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1)生産実績

当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

(2)受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

135,508

67.02

(注)1.主要な輸出先並びに輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。

なお、( )内は総販売実績に対する輸出販売高の割合であります。

輸出先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

アジア

48,786

100.0

合計

48,786

(24.1%)

100.0

( - %)

 

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社アルビオン

126,350

62.5

104,799

77.3

Orient Europharma Co., Ltd.

48,786

24.1

セオリアファーマ株式会社

26,222

19.4

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態

当連結会計年度末における資産は、主に現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ713,111千円減少し、5,071,279千円となりました。負債は、主に未払法人税等及び預り金の増加並びに流動負債「その他」に含まれる未払金の増加等により、前連結会計年度末に比べ118,943千円増加し、1,649,891千円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ832,054千円減少し、3,421,388千円となりました。

 

(2)経営成績

当連結会計年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。

 

(3)キャッシュ・フロー

当社グループは現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入で賄っております。当連結会計年度末日現在の資金残高は1,575,263千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと4,277,635千円となります。

一方支出側としましては、当連結会計年度の経常損失は749,847千円、第29期の予想経常損失が1,192百万円でありますので、当面のmRNA創薬ビジネスに係る研究開発資金の確保やM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであます。