売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05728 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当社は、2023年1月より事業モデルを転換し、mRNA医薬候補及びそれに関する知的財産(IP)を創製し、製薬企業にライセンスアウトすることを事業の柱として事業を進めております。当第3四半期連結会計期間においては、アクセリード株式会社及び傘下企業、並びに株式会社IPガイアとの協業のもと、効率的にmRNA医薬のIPを創出する当該事業の実施体制を確立するとともに、当社研究開発の執行体制を充実させております。その中で、複数のパイプラインのインキュベート、既存パイプラインの研究開発推進、及びその他の事業活動に取り組んでまいりました。

 

(mRNA医薬パイプライン)

mRNA医薬は、2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞した技術であり、新たなモダリティとして感染症予防ワクチン、がん治療ワクチン、遺伝性疾患治療薬、また組織再生医薬などのCOVID-19ワクチン以外の領域においても臨床POCが得られてきています。当社は、感染症予防ワクチン以外では国内初とも言える、変形性膝関節症に対するmRNAによる組織再生医薬の開発にいち早く着手し、医師主導治験の開始に向けた準備を進めております。また、花王株式会社との包括共同研究契約を締結し、免疫寛容ワクチンの共同研究を開始いたしました。今後、さまざまなパートナーとの共同研究開発などにより、パイプラインの拡充を図り、企業及びアカデミア等との共同研究開発を推進し、パイプラインの拡充を図り、製薬企業等へ創製したIPのライセンスアウトを進めてまいります。

 

RUNX1 mRNA:

アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAにおいて、変形性膝関節症患者を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験に向け、規制当局との相談を進めております。

RUNX1のmRNAは、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子のmRNA医薬品で、変形性膝関節症の進行抑制及び疼痛の軽減を実現する革新的な疾患修飾型治療薬となり得るものです。なお、本プロジェクトは、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されております。

免疫寛容ワクチン:

花王株式会社が独自開発した免疫制御技術を用いて共同で実施した研究成果に基づき、2023年11月、mRNA医薬品の創薬に向けた包括共同研究契約を締結いたしました。共同研究では、アレルギー疾患をはじめ数多くある免疫疾患を対象に治療ワクチンの研究から、順次、候補品を創出し、グローバル企業へライセンスアウトすることを目指しております。

感染症予防ワクチン:

 

名古屋大学発ベンチャーCrafton Biotechnology株式会社が研究代表機関となり、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)事業に採択された感染症mRNAワクチンの研究開発が進められております。本研究開発は、RNA創薬に欠かせないcap化技術に日本発の新しい技術を適応したものです。当社は次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合、神戸)などとともに分担研究機関として参画し、非臨床試験及び臨床試験を担当いたします。

 

 

(mRNA医薬以外のパイプライン)

mRNA医薬以外のパイプラインの開発も継続して行っております。

 

TUG1 ASO:

脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫を対象とするTUG1ASOの医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始され、2024年2月に第1例目の投与が行われました。

TUG1は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ核酸)のDDS製剤であり、名古屋大学を中心として、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に2期連続で採択されております。当社は、分担研究機関として治療薬の供給及び薬物動態解析などを行ってまいります。

なお、2023年8月に本課題の基盤となる2件の特許について、再実施許諾権(サブライセンス権)付独占ライセンス権を獲得し、導出活動を開始しております。

NC-6100:

公益財団法人がん研究会有明病院において、医師主導第Ⅰ相臨床試験が実施されております。高用量コホートまで試験が進捗しており、薬物動態解析を進めております。NC-6100は、慶應義塾大学等との共同開発プロジェクトであり、転写因子PRDM14に対するsiRNAのDDS製剤です。

上記の他、コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、2023年6月からセオリアファーマにより販売されております。

 

(販売事業の状況)

株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシア ブライトニング イマキュレート セラム用の当社技術を応用した原材料を供給しております。

また、株式会社エイオンインターナショナルとの契約に基づき、PRP療法を用いた不妊治療をサポートしております。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、化粧品材料供給収入、ライセンス収入及び共同研究開発契約収入等により104,308千円(前年同期比26.6%減)、営業損失は687,380千円(前年同期営業損失1,092,726千円)、経常損失は663,948千円(前年同期経常損失1,019,717千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は737,456千円(前年同期親会社株主に帰属する四半期純損失999,292千円)となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間におきまして、以下の営業外収益、営業外費用及び特別損失を計上しております。

・外国為替相場の変動による為替差益22,112千円を営業外収益に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。

・第21回新株予約権の発行に伴う、新株予約権発行費9,950千円を営業外費用に計上しております。

・本店移転に伴う建物附属設備の減損処理を行ったこと等により、減損損失70,704千円を特別損失に計上しております。

 

財政状態につきましては、以下のとおりとなりました。

当第3四半期連結会計期間末における資産は、投資有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ615,346千円減少し、5,169,044千円となりました。負債は、主に流動負債の「その他」に含まれる前受金や預り金の増加等により、前連結会計年度末に比べ161,364千円増加し、1,692,311千円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上による利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ776,710千円減少し、3,476,732千円となりました。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は520,172千円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。また当社は、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。なお、当第3四半期連結累計期間における当社グループの販売実績は、104,308千円であります。

 

(5)主要な設備

新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があったものはありません。