E24187 Japan GAAP
前期
434.6億 円
前期比
103.8%
株価
2,333 (03/28)
発行済株式数
15,698,440
EPS(実績)
229.32 円
PER(実績)
10.17 倍
前期
491.3万 円
前期比
101.5%
平均年齢(勤続年数)
38.1歳(10.1年)
従業員数
821人(連結:1,011人)
(1)当社グループの事業の内容について
当社グループは、当社、連結子会社である大和薬品工業株式会社、Daito Pharmaceuticals America, Inc.及び大桐製薬(中国)有限責任公司によって構成されており、原薬及び製剤(医療用医薬品・一般用医薬品)の製造販売及び仕入販売、原薬及び製剤に係る製造受託、並びに健康食品他の販売を主な事業としております。
なお、当社グループは医薬品事業のみの単一セグメントであるため、販売品目毎の内容を記載しております。
<当社の主な販売品目>
① 原薬…原薬とは医薬品(注1)を製造するための原材料(医薬品原料)であり、当社グループはその製造販売、仕入販売及び製造業務受託を行っております。
② 製剤…当社グループは、医療用医薬品(注2)や一般用医薬品(注3)の製剤の製造販売、仕入販売及び製造業務受託を行っております。
(注1) 医薬品(薬)とは、化学物質が生体に作用する性質を、人間や動物の病気を治すための道具として利用したものであり、原薬とは、このような性質を持っている化学物質自体のこと。原薬は少量で高い薬理効果を示す場合が多いものの、この少量の原薬だけを正確に服用することはまず不可能なため、これらに乳糖やでん粉などの添加剤を加えて溶け易く、または吸収しやすく、あるいは使いやすい量・嵩にすることによって、その化学物質が最も有効に働きやすい形に加工されます。この加工されたものは製剤(錠剤や顆粒剤等)と呼ばれ、これらに必要な包装や表示がなされると、医薬品(薬)となります。
なお、医薬品の一般的な製造工程の概要は以下のとおりであります。
※画像省略しています。
(注2) 医療用医薬品とは、病院や診療所が発行する処方箋に基づいて処方される医薬品のこと。
医療用医薬品は、大別して新薬(先発品)とジェネリック医薬品(後発品)に分けられます。
先発品は、化合物の特定・薬理活性(薬理効果)の特定動物による毒性の確認などの基礎データから、人による有効性・安全性のデータ、さらには有用性のデータを揃えて申請し、承認・許可・発売に至るまでに多額の費用と十数年の歳月を要します。
一方、後発品(ジェネリック医薬品)は、先発品の特許が切れた後に他の製薬会社が承認・許可を得て製品化でき、同じ有効成分、同等の効き目、安全性をもち、研究開発費が少額ですむため、薬価が先発品より低く設定されております。
(注3) 一般用医薬品とは、薬局や薬店で販売され、医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品のこと。大衆薬やOTC(Over The Counter)医薬品などとも呼ばれております。
③ 健康食品他…健康食品や、医薬部外品等の医薬関連商品。
(2)当社グループの事業の特徴
① 医薬品業界における当社グループの位置づけ
当社グループは、設立から今日に至るまでに培った豊富な経験と技術を活かし、医薬品原料である原薬の製造・販売に加え、製剤の製造・販売も行っており、原薬から製剤までの一貫した製造が可能な体制のもと、国内外の医薬品メーカーと幅広く取引を行っております。また、自社開発品や他の医薬品メーカーとの共同開発品の製造・販売並びに国内大手メーカー等からの製造受託を積極的に行っており、先発品からジェネリック医薬品までの医薬品業界における多様なニーズに対応できる事業展開を行っております。
② 原薬
自社開発品や共同開発品の製造・販売並びに他社商品の取り扱いを行っており、国内外の医薬品メーカー・医薬品原料メーカー・商社と幅広く取引しております。
医薬品(新薬)の開発において、医薬品原料となる原薬の製造工程等については、当該医薬品の特許等とも密接に係わるため、大手新薬メーカーにおいて、特に、特許期間中は、当該医薬品の原薬の生産について、基本的に大手新薬メーカー及びグループ会社等において、生産を行うのが一般的である一方、ジェネリック医薬品については、特許が切れていること、ジェネリックメーカー(ジェネリック医薬品の製造販売業者)として、幅広いジェネリック医薬品を効率的に取り揃える必要性等から、原薬を自社で製造せず、他社から購入することが一般的であると当社グループでは考えております。
このような医薬品業界の原薬に対する方針により、当社グループはジェネリックメーカーを中心として、主に自社開発の原薬を供給しております。
また、近年、わが国においては、高齢化社会の進展に伴い、国民医療費は長期にわたり増加傾向にあり、医療費を抑制するための政府の重点施策としてジェネリック医薬品(後発品)の使用促進が行われております。2017年6月閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2017」において「2020年9月までに、後発医薬品の使用割合を80%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する」と明記され、国のジェネリック医薬品使用促進政策が実施されております。2022年4月~2023年3月期には数量シェアが80.7%(日本ジェネリック製薬協会調べ)となり、ジェネリック医薬品の普及は拡大して参りました。
このようなジェネリック医薬品の市場動向から、当社グループでは、大量生産から少量多品種生産に対応できる生産設備を保有し、国内大手から中小のジェネリックメーカーに至る幅広いニーズに対応しております。
③ 製剤
国内大手メーカー等からの先発品の製造受託を積極的に行っており、またジェネリック医薬品市場に対応するため、ジェネリック医薬品の開発・製造も行っております。
また、2005年の改正薬事法施行により、新薬メーカーは、生産設備を自社で持たなくても新薬の承認を受けることが可能となりました。これにより、多額の研究開発費を投じて新薬開発に取り組んでいる新薬メーカーは、効率的な事業展開を図るため、研究開発と販売に財源と人材を集中させ、製造をグループ外の中堅メーカーに全面的に委託するニーズが高まってきているものと当社グループでは考えております。
このような中、当社グループでは、日本国内のGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)はもとより、FDA(米国食品医薬品局)及びEMA(欧州医薬品庁)の要求する基準をも充足しております。医薬品の製造において最も重要視される品質管理能力を高めることで、大手新薬メーカーからの信頼を獲得するとともに、多様な剤形に対応しうる生産設備を保有することで、大手新薬メーカーからの製造受託を行うことが可能になっております。
④ 研究開発、生産及び営業体制
当社グループでは、原薬及び製剤を幅広く生産可能な体制を構築しております。これにより、原薬から製剤に至る多くの情報収集が可能となっており、研究開発活動に役立てております。
また、当社グループでは、研究開発及び製造に経営資源を集中させるため、MR(医薬情報担当者)を有さず、医療機関への営業行為を行っておりません。そのため、当社が開発したジェネリック医薬品については、当該医薬品の薬効領域で強い販売力を持っている医薬品メーカーと製品毎に連携し、販売・販促活動を依頼しております。
当社グループの事業系統図は次のとおりであります。
[事業系統図]
※画像省略しています。
* Daito Pharmaceuticals America, Inc. は当社製品の米国への輸出業務の支援を目的として、2008年6月に設立され、現在は市場調査等を行っております。
**大桐製薬(中国)有限責任公司は、中国市場での医薬品製剤の販売と、当社の医薬品製剤の製造受託を目的として、2012年9月に当社の子会社とした会社です。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症への対策の進展及び行動制限の緩和等により徐々に経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調となりました。一方、ウクライナ情勢の長期化や、円安の進行によるエネルギー資源や原材料価格の上昇等の影響により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
医薬品業界におきましては、国のジェネリック医薬品使用促進策が進められ、「経済財政運営と改革の基本方針2021」においてジェネリック医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、並びに使用促進を行う方針が示されております。一方で、2021年度から2年に1度の薬価改定に加え、中間年においても改定を行う毎年薬価改定が実施され、医薬品業界の事業環境は厳しいものとなっており、当社としても一層の経営効率化への努力が求められております。
昨今の医薬品における品質に係る問題により、医薬品業界の置かれる環境は厳しい状況が続いておりますが、当社では日々の生産における製造管理・品質管理を徹底するとともに、見直すべき点があれば積極的に改善を進め、より一層の製造管理及び品質管理の強化に取り組んでおります。
このような状況のもと、当社グループは生産基盤の充実を図りながら積極的な営業活動を展開しており、当社は新たな製剤工場である第十製剤棟を2022年9月に着工し、2023年12月に竣工を予定しております。また研究開発活動の強化を図るため、2022年11月に総合研究センターを着工し、2024年2月に竣工を予定しております。
売上高の販売品目ごとの業績は次のとおりであります。
原薬では、一部既存品目の販売減少及び市場における競争激化等により厳しい状況で推移し、降圧剤原薬、抗血小板剤原薬等の一部ジェネリック医薬品向け原薬の販売は堅調に推移したものの、売上高は18,783百万円(前期比3.6%減)となりました。
製剤では、自社開発ジェネリック医薬品の販売増加、一般用医薬品の販売増加があり順調に推移し、売上高は26,097百万円(前期比10.1%増)となりました。
健康食品他につきましては、市場における競争激化等により、厳しい状況で推移し、売上高は220百万円(前期比20.9%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症の流行による当連結会計年度への影響は軽微でありました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は45,101百万円(前期比3.8%増)となりました。売上高の増加に伴う利益の増加があったものの、主に円安及びエネルギー資源価格の上昇による原材料費及び電気料金等の増加、並びに減価償却費及び研究開発費の増加等により営業利益は5,207百万円(前期比20.5%減)、経常利益5,169百万円(前期比23.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,600百万円(前期比22.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ774百万円の減少となり、3,607百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4,155百万円(前期比214百万円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,076百万円、減価償却費3,870百万円等があった一方で、売上債権の増加額1,502百万円、棚卸資産の増加額1,413百万円、法人税等の支払額2,411百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5,566百万円(前期比1,166百万円の増加)となりました。これは主に、生産設備の拡充に伴う有形固定資産の取得による支出5,505百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は616百万円(前期比373百万円の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入3,000百万円等があった一方で、長期借入金の返済による支出1,638百万円、配当金の支払額931百万円等があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
前年同期比(%) |
原 薬(百万円) |
17,689 |
97.0 |
製 剤(百万円) |
24,262 |
109.3 |
健康食品他(百万円) |
- |
- |
合計(百万円) |
41,951 |
103.7 |
(注)1.セグメント情報を記載していないため、販売品目ごとの生産実績を記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
前年同期比(%) |
原 薬(百万円) |
953 |
109.1 |
製 剤(百万円) |
1,795 |
108.2 |
健康食品他(百万円) |
146 |
69.4 |
合計(百万円) |
2,895 |
105.5 |
(注)1.セグメント情報を記載していないため、販売品目ごとの商品仕入実績を記載しております。
2.金額は実際仕入額によっております。
c.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
|||
受注高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比 (%) |
|
製 剤 |
21,900 |
94.7 |
5,223 |
68.9 |
(注)1.セグメント情報を記載していないため、販売品目ごとの受注実績を記載しております。
また、当社は製剤の一部について受注生産を行っているため、その分の金額を記載しております。
2.金額は販売価格によっております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
前年同期比(%) |
原 薬(百万円) |
18,783 |
96.4 |
製 剤(百万円) |
26,097 |
110.1 |
健康食品他(百万円) |
220 |
79.1 |
合計(百万円) |
45,101 |
103.8 |
(注)1.セグメント情報を記載していないため、販売品目ごとの販売実績を記載しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、前連結会計年度において特定の顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の10%に満たないため、相手先別の情報の記載を省略しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年6月1日 至 2022年5月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年6月1日 至 2023年5月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
東和薬品株式会社 |
- |
- |
4,517 |
10.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、並びに資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進む中、経済活動が緩やかに正常化してまいりました。当社グループにおいては、従来より生産活動、事業活動については計画どおり活動を継続しており、現時点において新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループの事業活動に及ぼす影響については限定的であることから、重要な会計上の見積りに織り込んでおりません。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
医薬品業界におきましては、2021年6月閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」において「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、新目標についての検証、保険者の適正化の取組にも資する医療機関等の別の使用割合を含む実施状況の見える化を早期に実施し、バイオシミラーの医療費適正化効果を踏まえた目標設定の検討、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討、フォーミュラリの活用等、更なる使用促進を図る。」と示され、後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、並びに使用促進を行う方針が示されております。
国のジェネリック医薬品使用促進策が進められ、ジェネリック医薬品の普及が拡大する一方、2021年度から2年に1度の薬価改定に加え、中間年においても改定を行う毎年薬価改定が実施されております。今後、医薬品業界の事業環境は厳しいものとなることが予想され、当社としても一層の経営効率化への努力が求められております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は自社開発のジェネリック医薬品、一般用医薬品の販売増加があり堅調に推移し、45,101百万円となりました。
(売上原価)
当連結会計年度の売上原価は、円安及びエネルギー資源価格の上昇による原材料費の増加、人件費の増加などもあり、34,770百万円となりました。
この結果、差引売上総利益は10,331百万円となり、前連結会計年度に比べ1,127百万円減少しました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,123百万円となり、前連結会計年度に比べ218百万円増加しました。これは主に、研究開発費の増加、人件費の増加などがあったことによるものであります。
この結果、当連結会計年度の営業利益は5,207百万円となり、前連結会計年度に比べ1,345百万円減少しました。
(営業外損益)
当連結会計年度の営業外収益は、前期計上のあった受取保険金の計上がなかったことなどにより86百万円となり、前連結会計年度に比べ118百万円減少しました。営業外費用は為替差損の発生などにより124百万円となり、前連結会計年度に比べ95百万円増加しました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は5,169百万円となり、前連結会計年度に比べ1,559百万円減少しました。
(特別損益)
当連結会計年度の特別利益は12百万円となり、前連結会計年度に比べ256百万円減少しました。これは主に、前期計上のあった投資有価証券売却益の計上がなかったことなどによるものであります。特別損失は105百万円となり、前連結会計年度に比べ172百万円減少しました。これは投資有価証券評価損の減少があったことによるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,600百万円となり、前連結会計年度に比べ1,068百万円の減少となりました。
b.財政状態の分析
<資産、負債及び純資産の状況>
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,612百万円増加し、70,552百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少774百万円、機械装置及び運搬具の減少1,362百万円等があった一方で、電子記録債権の増加1,449百万円、商品及び製品の増加751百万円、原材料及び貯蔵品の増加548百万円、その他の流動資産の増加602百万円、建設仮勘定の増加4,194百万円等があったことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末より2,315百万円増加し、19,580百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少842百万円等があった一方で、未払金の増加1,812百万円、長期借入金の増加1,120百万円等があったことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末より3,297百万円増加し、50,971百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加2,667百万円、その他有価証券評価差額金の増加281百万円、退職給付に係る調整累計額の増加208百万円等があったことによるものであります。
これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度より1.0ポイント減少し、71.8%となったほか、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度より3.2ポイント減少し、7.3%となっております。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
医薬品業界におきましては、2021年6月閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」において「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、新目標についての検証、保険者の適正化の取組にも資する医療機関等の別の使用割合を含む実施状況の見える化を早期に実施し、バイオシミラーの医療費適正化効果を踏まえた目標設定の検討、新目標との関係を踏まえた後発医薬品調剤体制加算等の見直しの検討、フォーミュラリの活用等、更なる使用促進を図る。」と示され、後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保、並びに使用促進を行う方針が示されております。
国のジェネリック医薬品使用促進策が進められ、ジェネリック医薬品の普及が拡大する一方、2021年度から2年に1度の薬価改定に加え、中間年においても改定を行う毎年薬価改定が実施されており、今後、医薬品業界の事業環境は厳しいものとなることが予想されます。
当社グループにおいて、医薬品の製造設備に関する設備投資を実施した際には、原薬及び製剤の本格的な製造に至るまでに試作期間等を含めたバリデーションのための期間が必要となります。バリデーションとは、医薬品の製造、設備及び工程において、品質特性に適合する製品が生産されることを保証し、文章化することを言います。当社グループの場合は本格的な製造を開始するまでには設備の竣工後、半年から1年程度のバリデーション期間を要することが一般的になっております。
なお、減価償却費の計上はバリデーションの開始時期から行うため、売上高の計上よりも減価償却費の計上が先行することとなります。そのため、バリデーションは連結損益計算書において損益の悪化要因として影響することが見込まれます。
d.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための原材料購入費用及び製造費用、商品仕入費用、研究開発費、生産能力強化のための設備投資費用等であります。
これら資金需要への対応は、主に自己資金及び金融機関からの借入による資金調達を基本としております。なお当連結会計年度においては新株予約権の行使による株式の発行による資金調達も行っております。
新型コロナウイルス感染症による財政状態への影響は、現在のところ軽微でありますが、今後の動きについては引き続き注視しつつ、財政状態へ重大な影響を与える可能性のある事象が生じた場合などにおいては、適時に対応の検討を行ってまいります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
|
第77期 2019年5月期 |
第78期 2020年5月期 |
第79期 2021年5月期 |
第80期 2022年5月期 |
第81期 2023年5月期 |
自己資本比率(%) |
66.2 |
67.3 |
72.1 |
72.8 |
71.8 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.7 |
0.7 |
0.7 |
0.8 |
1.2 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
336.5 |
374.8 |
684.0 |
456.0 |
316.2 |
自己資本比率:自己資本/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。