E05168 Japan GAAP
前期
130.6億 円
前期比
126.9%
株価
1,377 (04/25)
発行済株式数
39,806,000
EPS(実績)
-7.04 円
PER(実績)
--- 倍
前期
719.3万 円
前期比
106.5%
平均年齢(勤続年数)
40.2歳(9.3年)
従業員数
299人(連結:809人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社11社及び持分法適用関連会社3社より構成されており、国内外の携帯電話及び情報家電等のメーカー、通信ネットワーク等のインフラ事業者、電子書籍及び広告事業等を手掛けるサービス事業者、並びに一般企業を顧客とし、先進のITソリューションを提供しております。
報告セグメントごとの事業内容、当社と主要な関係会社の当該事業に係る位置づけは、次のとおりであります。
(事業系統図)
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2023年2月1日~2024年1月31日)における世界経済は、インフレと金融引き締めによる影響や中国経済の先行き懸念が増し、国内では円安に伴う物価上昇が消費に影響を及ぼす等、国内外の景気の先行きは不透明な状況が続いております。他方、生成AIをはじめとしたDX化への対応や、通信ネットワークの高速化・大容量化への対応による戦略的なシステム投資需要は拡大基調が続いております。
このような環境下において、当社グループはとりわけネットワーク事業を注力分野に据え、ホワイトボックス(従来のソフトウェアとハードウェアが一体で提供されるネットワーク機器に対し、ソフトウェアとハードウェアが分離されたネットワーク機器)市場における更なる事業規模の拡大を図るとともに、IoT事業・Webプラットフォーム事業の安定化に取り組んでまいりました。
その結果、注力分野であるネットワーク事業の売上高は、為替相場の変動に伴う影響もあったものの過去最高を実現する等、事業面においては順調に推移し、ネットワーク事業の売上高は大幅増収となり、またセグメント利益は黒字化を達成することとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高165億73百万円(前年同期比26.9%増加)、営業損失1億5百万円(前連結会計年度は営業損失17億7百万円)となり、前連結会計年度との比較においては増収増益となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
○ IoT事業
通信技術、クラウド技術、アプリ開発力、センシング技術等をワンストップで提供できる強みを活かし、企業のいかなるDX(デジタルトランスフォーメーション)需要にも対応できるIoTプロフェッショナルサービスや、自社開発の各種IoTソリューションを提供するIoT分野を主軸に事業展開しております。また、アジア地域に進出する日本の通販事業者向けに、オムニチャネルでの販路拡大機能と物流等のバックオフィス機能を統合した業務支援クラウドサービス「CROS®」の提供を行っております。
当連結会計年度につきましては、主軸であるIoT分野におけるIoTプロフェッショナルサービスにおいて、旺盛なDX投資需要を背景に位置情報の利活用やエネルギーマネジメント、生成AIに関連する引き合い等が大きく増加し、売上高も順調に拡大しました。他方電子出版分野では大型開発案件の完了に伴う減収もあり、前期比で大きく減収減益となりました。
以上の結果、売上高及びセグメント損益において前期比で減収減益となりました。
なお、電子出版事業の一部について2023年11月29日付「会社分割(簡易新設分割)及び新設会社の株式譲渡に伴う特別利益計上に関するお知らせ」のとおり、2024年1月31日付にて会社分割及び株式譲渡を実施いたしました。
○ Webプラットフォーム事業
ドイツ・中国・韓国に設置している現地法人と連携し、国内外の市場においてスマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供しており、グローバルでのシェア拡大を推進しております。また、中長期的な成長施策としてTV・放送及び車載インフォテインメント用途向けにコンテンツや動画の配信システム・サービスプラットフォームの事業育成を図っております。
当連結会計年度につきましては、日本を含むアジア地域においては総じて当社ブラウザを搭載した最終製品の出荷台数にかかるロイヤリティ収入が堅調に推移したほか、車載インフォテインメント分野での受注も徐々に上向きになり始めました。他方、国内において一部開発案件の中止及び原価増加があり、売上高及びセグメント損益に影響を与えました。また、欧州においては市場及び事業状況を踏まえ、組織構造の最適化や事業拠点の統廃合を実施いたしました。
以上の結果、売上高及びセグメント損益において前期比で減収減益となりました。
○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に開発拠点を設置しており、ネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォームの開発・提供から事業をスタートして現在はホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」の事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、世界的に市場が拡大しつつあります。このような環境の中、IP Infusion Inc.では通信事業者向けのCSR(Cell Site Router)やデータセンター、光転送システム(Routed Optical Networking)、ブロードバンドアグリゲーション等の多用途に対応可能なホワイトボックスソリューションを展開しております。また世界各地域において有力な事業基盤を有する大手ディストリビューターやグローバルSIerとの提携を通じ、通信事業者へのホワイトボックスソリューションやサポート等の安定的な提供に取り組んでおります。
当連結会計年度につきましては、引き続き「OcNOS®」の事業拡大にあたりTier2/3通信事業者からの案件獲得に傾注し、販売・技術パートナー網の更なる拡充に取り組み、ハードウェアも含めたバンドル調達を求める顧客需要にも対応しながら様々な顧客ニーズに対応してきました。これらの諸施策が奏功し、当連結会計年度においては約90社超の新規顧客を獲得し、前連結会計年度までに獲得した顧客からのリピート受注の件数も順調に増加いたしました。また、「OcNOS®」は柔軟性、信頼性、設備投資コストの低減を実現するキャリアグレードの製品として高い評価を受けており、前期に引き続き大型案件のリピート受注が実現する等の事業成果も現れております。これらの結果、前期比で売上高及びセグメント損益について増収増益となり、前年に引き続き過去最高の売上高を更新し、セグメント損益についても黒字化を達成いたしました。
なお、営業外収益として持分法による投資利益53百万円、営業外費用として商品評価損12百万円及び解約違約金11百万円、特別利益として関係会社株式売却益1億45百万円、特別損失として特別退職金1億3百万円、法人税等調整額として税金費用1億83百万円を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高165億73百万円(前年同期比26.9%増加)、営業損失1億5百万円(前連結会計年度は営業損失17億7百万円)、経常損失12百万円(前連結会計年度は経常損失13億37百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2億80百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失26億84百万円)となり、前連結会計年度比では増収増益となりました。
当社グループの当連結会計年度末の資産は、現金及び預金が減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産並びにソフトウエアが増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ20億41百万円増加して272億81百万円となりました。
負債は、その他固定負債が減少したものの、買掛金やその他流動負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ14億88百万円増加し46億66百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失2億80百万円、為替換算調整勘定の変動額6億67百万円等により、5億52百万円増加し226億15百万円となりました。その結果、自己資本比率は82.8%(前連結会計年度末は87.2%)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて12億73百万円減少し、103億10百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金は22億42百万円の増加(前連結会計年度は9億53百万円の増加)となりました。その主な要因は、減価償却費30億55百万円の計上、契約負債が6億65百万円増加した一方で、売上債権及び契約資産が23億7百万円増加したことによるものであります。前連結会計年度との比較では、売上債権及び契約資産の増加額が増加した一方で、税金等調整前当期純損失の金額が減少いたしました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金は37億17百万円の減少(前連結会計年度は29億20百万円の減少)となりました。その主な要因は、無形固定資産の取得による支出が31億42百万円であったことであります。前連結会計年度との比較では、無形固定資産の取得による支出額が増加いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金は27百万円の減少(前連結会計年度は13億22百万円の減少)となりました。前連結会計年度との比較では、自己株式の取得による支出額が減少いたしました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっており、ソフトウェアのうち自社開発分(資産計上分)を含んでおります。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.IoT事業における受注残高の増加は、案件数の増加によるものです。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.ネットワーク事業における販売実績の増加は、顧客数の増加によるものです。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当社グループは、自社製品・サービス提供によるストック収益を中心とし、かつグローバルにスケール可能な事業構造への変革を推進しており、特にホワイトボックスソリューションを主としたネットワーク事業での事業成長に注力しております。その実現にあたっては、通常の事業活動に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策を遂行することを想定しております。なお、2025年1月期における製品開発投資は「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり、43億25百万円を計画しております。当社グループの当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は103億10百万円であることから、これらの資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって充当することを想定しており、また、十分な流動性を確保可能と認識しております。