E05168 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当第3四半期連結累計期間(2023年2月1日~2023年10月31日)における世界経済は、インフレによる物価高や金融引き締めに伴う海外景気の下振れ等、先行き不透明な状況が継続しております。他方、コロナ禍によるビジネス環境の変化とDXに対する意欲の高まりにより、企業によるIT投資の増加傾向は進んでおり、生成AI技術の著しい発展等の技術革新も相俟ってITサービスやソフトウェアに対する期待が高まっています。
このような環境下において、当社グループはネットワーク事業を注力分野に据え、ホワイトボックス市場における更なる事業規模の拡大やIoT事業・Webプラットフォーム事業の安定化に取り組んでおります。当第3四半期連結累計期間においては、ネットワーク事業において着実な売上拡大が進んでおり、前年同四半期と比較して増収及び赤字幅が縮小となっております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における連結業績は、売上高107億71百万円(前年同四半期比12.8%増)、営業損失15億68百万円(前年同四半期は営業損失16億90百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
○ IoT事業
通信技術、クラウド技術、アプリ開発力、センシング技術等をワンストップで提供できる強みを活かし、企業のいかなるDX(デジタルトランスフォーメーション)需要にも対応できるIoTプロフェッショナルサービスや、自社開発の各種IoTソリューションを提供するIoT分野を主軸に事業展開しております。また、アジア地域に進出する日本の通販事業者向けに、オムニチャネルでの販路拡大機能と物流等のバックオフィス機能を統合した業務支援クラウドサービス「CROS®」の提供を行っております。
当第3四半期連結累計期間につきましては、IoT分野では引き続き通信業、建設業、及び各種インフラ業等における旺盛な各種DX投資需要を背景に位置情報の利活用やエネルギーマネジメント等に関連するプロフェッショナルサービス案件や生成AI関連の引き合いが大きく増加し、売上高も順調に拡大したものの、電子出版分野における大型開発案件の完了に伴う減収により、売上高は前年同四半期比で概ね横ばい、一方セグメント損益は原価低減もあり前年同四半期比で改善となりました。
○ Webプラットフォーム事業
ドイツ・中国・韓国に設置している現地法人と連携し、国内外の市場においてスマートデバイス、情報家電や各種デバイス向けに豊富な搭載実績を持つ高性能・高機能ウェブブラウザ「NetFront® Browser」シリーズをはじめとした組み込みソフトウェア製品を提供しており、グローバルでのシェア拡大を推進しております。また、中長期的な成長施策としてTV・放送及び車載インフォテインメント用途向けにコンテンツや動画の配信システム・サービスプラットフォームの事業育成を図っております。
当第3四半期連結累計期間につきましては、前年同四半期比で売上高は概ね横ばいながら、セグメント損益は一部開発案件の原価増加の影響もあり減益となりました。
○ ネットワーク事業
米国子会社IP Infusion Inc.を中核としてインドやカナダ等に開発拠点を設置しており、ネットワーク機器向け基盤ソフトウェア・プラットフォームの開発・提供から事業をスタートして現在はホワイトボックス向け統合Network OS「OcNOS®」のグローバル展開・事業拡大に注力しております。ホワイトボックスは、5G時代を迎え更なる通信トラフィックの増加が見込まれる中、データセンター事業者、通信キャリア、IXP(インターネット相互接続ポイント)事業者等においてネットワークインフラ設備投資・運用コストを大幅に低減しつつ運用の自由度を高める有力な手段と目されており、世界的に市場が拡大しつつあります。この様な環境の中、IP Infusion Inc.では通信事業者向けのWAN/LAN向け共通プラットフォーム内のCSR(Cell Site Router)やuCPE(Universal Customer Premise Equipment、汎用顧客構内設備)、データセンター向けの商用版の「SONiC distribution」といった多岐にわたるホワイトボックスソリューションを展開しております。また、KGPCoやTechDataといった大手ディストリビューターやWipro LimitedといったグローバルSIerとの提携を通じ、通信事業者へのホワイトボックスソリューションやサポート等の安定的な提供に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間につきましては、「OcNOS®」における新規顧客獲得やリピート受注が概ね想定に沿って推移した影響により、前年同四半期比で増収及び赤字幅が縮小となりました。
なお、主として海外子会社における外貨建て金銭債務の評価替えにより、営業外収益として為替差益1億円を計上しております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間における連結業績は、売上高107億71百万円(前年同四半期比12.8%増)、営業損失15億68百万円(前年同四半期は営業損失16億90百万円)、経常損失14億7百万円(前年同四半期は経常損失12億71百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失14億93百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失13億46百万円)となりました。
② 財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金が減少した一方、受取手形、売掛金及び契約資産やソフトウエアの増加等により、前連結会計年度末に比べ5億86百万円増加して258億26百万円となりました。
負債は、買掛金やその他流動負債の増加等により、前連結会計年度末に比べ7億62百万円増加して39億39百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定の増加11億47百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失14億93百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ1億75百万円減少して218億87百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・中長期的な成長戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は7億74百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社グループの資金需要として、事業活動の遂行に係る運転資金需要に加え、製品開発投資やM&A等の外部成長施策の遂行に係る投資資金需要を想定しておりますが、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は107億6百万円であることから、十分な流動性を確保しており、資金需要については手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによって対応可能な状況であると認識しております。