E36350 Japan GAAP
前期
56.8億 円
前期比
110.7%
株価
725 (04/23)
発行済株式数
4,095,500
EPS(実績)
62.58 円
PER(実績)
11.58 倍
前期
507.9万 円
前期比
101.1%
平均年齢(勤続年数)
38.8歳(8.5年)
従業員数
205人
当社は、1917年(大正6年)に売薬の製造販売を目的として創立して以降、医薬品をはじめとしたさまざまな事業に取り組んでまいりました。その結果現在は、医薬品・健康食品・化学品の3つの事業を軸に、長年培ってきた化学技術を活かし、製品・サービスを提供しています。
(1) 医薬品事業
原薬(医薬品の有効成分)の販売・製造を主に行っております。
中国、インド、オランダなどの原薬メーカーから国内の製薬会社や医薬品商社の求める原薬を調達するほか、自社での原薬合成、原薬の異物除去や精製などの加工を行い販売しています。自社内で日本薬局方に基づいた試験・分析ができる体制も持っており、原薬の輸入・製造・加工・分析・試験と、原薬のトータルサービスを提供しています。
当社は、原薬商社としての機能と原薬メーカーとしての機能をあわせ持ちます。商社としての経験から原薬製造のための原料や中間体を海外メーカーから直接調達でき、メーカーとしての経験から自社試験による時間短縮・コスト削減、開拓した調達先の品質向上指導などにより付加価値を高めることができます。
① 医薬品合成・精製等
本社工場に医薬品合成工場を有し、原薬の製造を行っております。また、海外から輸入した原薬の精製や異物除去などの加工や医薬品と同等の環境で製造を必要とする化成品(医薬品の添加剤など)の製造も行っております。
② 輸入原薬
中国、インド、オランダなどの原薬メーカーから国内製薬会社の求める原薬を調達し販売しております。
③ その他
医薬品や農薬の研究等に使用されるラジオアイソトープ(注)の輸入販売や保管サービスを行っております。そのほか、産業資材などの輸出入も行っております。
(注)放射性同位元素。放射線を出す性質のある元素であり、化合物の追跡や分析に使用される。
(2) 健康食品事業
事業開始当初より、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画・製造を行っております。健康食品の通信販売を行う会社や健康食品メーカーなどからの受託製造を主に行っており、商品設計から関わるODM(注)が大多数を占めています。当社は、長年の経験から得た高度なマスキング(味や匂いを包み隠す)技術を有しております。健康・美容成分は苦みや匂いのためそのままでは摂取しづらいケースもありますが、味や香り、食感などを調整し、食べやすく美味しい製品として提供しております。
(注)Original Design Manufacturingの略。発注元企業のブランド名で販売される製品の生産のみを行うOEM(Original Equipment Manufacturing)に対し、ODMは企画や設計、製造までを行う。
(3) 化学品事業
液体処理関連製品の販売・加工を主に行っており、主力製品はイオン交換樹脂及び分離膜です。
イオン交換樹脂や分離膜は、純水(不純物を含まない水)の製造をはじめ、液体の精製、濃縮、脱色、金属回収など様々な用途に活用されています。
当社は、国内外のメーカーから様々な性能のイオン交換樹脂や分離膜を仕入販売するほか、用途に合わせて洗浄や加工などを行い、主に国内の化学メーカーや機械メーカー、商社などへ販売しています。
また、イオン交換樹脂や分離膜の再生処理も行っています。
当社は、純水製造以外の用途の液体処理案件への対応を得意としています。自社内の分析・開発部門で、イオン交換樹脂や使用する液体の分析・試験ができ、長年培ってきたノウハウがあります。さらに様々なメーカーからの商品調達に加え、自社で保有する設備を使用して加工をすることで、顧客の求める処理に最適な製品の選定や使用方法の提案を行うことに努めています。
① イオン交換樹脂・分離膜
イオン交換樹脂はイオン交換(物質中のイオンと溶液中のイオンを入れ替える)機能を持つ合成樹脂であり、純水の製造や排水中の重金属除去など様々な分野に使用されています。ランクセス社製のレバチット®やデュポン社製のデュオライト™をはじめとした様々なメーカーのイオン交換樹脂に加え、顧客の要求に合わせ、当社で加工をしたイオン交換樹脂の販売を行っております。国内でも数少ないイオン交換樹脂の再生・乾燥・粉砕等の加工設備を保有しており、顧客のニーズにあった処理を行うことができます。
分離膜は細孔の空いた膜で、用途に合わせた孔径の膜を使用し濾過や濃縮などを行うことができます。各種メーカーの分離膜を販売するほか、分離膜の再生・洗浄も行っております。
② 水処理装置
イオン交換樹脂や分離膜を組み込んだ水処理装置の設計・製造を行っております。
③ 受託加工
当社の製造設備を使用し、顧客から預かった溶液の精製処理のほか、ディーゼル車の排気ガスを浄化するAdBlue®の製造を行っております。また、機能性接着剤(導電性、速乾性、紫外線硬化などの機能を持った接着剤)などの混合及び分散(粉体の粒径が揃い、流体や他の成分中へ均一に混ざること)、使用する分量で小分けするなどのリパック加工も行っております。
④ その他
水処理に使用される消耗品や試験用の部材の販売を行っております。また、工業用アロンアルフア®をはじめとした機能性接着剤の販売、主に電子産業向けに帯電防止フィルム(静電気の蓄積を防ぐフィルム)やクリーンルームで使用する消耗品などの販売も行っております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限が緩和され、経済社会活動の正常化が進むに従い、緩やかに持ち直す傾向にありました。一方、世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化や燃料価格及び原材料価格の高騰を受け、インフレの進行や金融引き締めが景気減速のリスクとして顕在化してきました。このような世界情勢を背景とした不安定な為替相場及び円安傾向は、わが国におけるエネルギー・原料価格の高騰に拍車をかけ、わが国経済の先行きは不透明さを増しつつあります。
このような状況の下、当社は「健康」と「環境」をテーマに社会に貢献するべく、「中期経営計画2025」の実現に向け、開発強化や収益性改善に取り組んでまいりました。
その結果、当事業年度における経営成績は、売上高6,291,379千円と前年同期と比べ610,279千円(10.7%増)の増収、営業利益369,413千円と前年同期と比べ67,928千円(15.5%減)の減益、経常利益350,890千円と前年同期と比べ72,151千円(17.1%減)の減益、当期純利益は256,302千円と前年同期に比べ199,970千円(43.8%減)の減益となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
輸入原薬においては、主力商品である抗てんかん用原薬を中心として、売上数量が増加しました。また、原料価格高騰分に伴う販売価格の見直しが進んだことにより、売上額も大きく増加しました。新規の加工案件や受託合成案件の獲得も順調に推移しました。
その結果、医薬品事業における売上高は3,525,313千円と前年同期と比べ612,102千円(21.0%増)の増収、営業利益は539,182千円と前年同期と比べ87,276千円(19.3%増)の増益となりました。
OEMゼリーにおいて、主力製品を含む複数の既存製品において委託元の販売が振るわず、受注が落ち込みました。新規OEM案件の立ち上げを進め、テレビ通販での自社製品の販売も好調に推移しましたが、前述の売上減少を補うには至りませんでした。また、売上減少に伴い工場稼働率が低下した結果、利益が減少しました。
その結果、健康食品事業における売上高は657,713千円と前年同期と比べ166,285千円(20.2%減)の減収、営業損失は120,257千円と前年同期と比べ121,496千円(前年同期は1,238千円の営業利益)の減益となりました。
イオン交換樹脂については、半導体製造や医薬品製造向けの自社加工品の売上が順調に推移しました。当事業年度は装置案件の大型案件の受注が乏しい状況でしたが、来期以降の受注増に向けた営業活動に積極的に投資しました。また、将来の売上に繋げるべく、事業部として開発への積極的な投資も継続しております。
その結果、化学品事業における売上高は2,108,351千円と前年同期と比べ164,462千円(8.5%増)の増収、営業損失は49,511千円(前年同期は15,803千円の営業損失)となりました。
当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて150,240千円増加し、4,948,311千円となりました。
① 流動資産
商品及び製品が115,835千円増加、電子記録債権が66,687千円増加、受取手形が92,902千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて87,316千円増加し、3,581,996千円となりました。
② 固定資産
投資有価証券が56,836千円増加、建物が36,741千円増加、無形固定資産が29,805千円増加、繰延税金資産が48,979千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて62,924千円増加し、1,366,315千円となりました。
③ 流動負債
短期借入金が200,000千円減少、買掛金が44,817千円減少、電子記録債務が44,157千円増加、未払金が35,000千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて169,818千円減少し、2,055,535千円となりました。
④ 固定負債
長期借入金が89,120千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて85,910千円増加し、977,546千円となりました。
なお、2022年8月26日開催の第76回定時株主総会におきまして、役員退職慰労金制度の廃止に伴う打切り支給が承認可決されたため、固定負債の役員退職慰労引当金の未払い分を長期未払金に振替えております。
⑤ 純資産
繰越利益剰余金が185,524千円増加、自己株式が59,832千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて234,148千円増加し、1,915,229千円となりました。
その結果、自己資本比率は38.7%となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物は852,606千円となり、前事業年度末に比べ12,754千円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、317,189千円の収入(前年同期は524,905千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益350,900千円、減価償却費122,264千円などによるキャッシュの増加、棚卸資産の増加額97,033千円、仕入債務の減少額48,263千円などによるキャッシュの減少によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、162,408千円の支出(前年同期は176,280千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出59,774千円、無形固定資産の取得による支出50,502千円、投資有価証券の取得による支出44,147千円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、172,390千円の支出(前年同期は483,635千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入300,000千円、長期借入金の返済による支出217,480千円、短期借入金の減少による支出200,000千円、配当金の支払いによる支出70,615千円などによるものです。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、製造原価によっております。
当社は一部受注実績の記載になじまない商材があるため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
当事業年度における経営成績の状況の概要は「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります。
・売上高
当事業年度における売上高は、6,291,379千円と前年同期と比べ610,279千円の増収(10.7%増)となりました。医薬品事業での輸入原薬の取引量の増加に加え、化学品事業でのイオン交換樹脂の販売等が好調に推移しました。
・売上総利益
当事業年度における売上総利益は、1,752,057千円と前年同期と比べ19,251千円の増益(1.1%増)となりました。健康食品事業での工場稼働率の低下や、医薬品事業や化学品事業での販売商品構成の変化により、利益率が低下しました。
・営業利益
当事業年度における営業利益は、369,413千円と前年同期と比べ67,928千円の減益(15.5%減)となりました。売上増に伴う荷造運賃の増加及びコロナ禍による活動制限の緩和に伴う営業活動の活発化により、販売費及び一般管理費合計は1,382,643千円と前年同期と比べ87,179千円の増加(6.7%増)となりました。
・経常利益
当事業年度における経常利益は、350,890千円と前年同期と比べ72,151千円の減益(17.1%減)となりました。
・当期純利益
当事業年度における当期純利益は、256,302千円と前年同期と比べ199,970千円の減益(43.8%減)となりました。税務上の繰越欠損金の使用のため、法人税等調整額が増加しました。
経営成績等の状況を踏まえた、経営方針及び課題への取り組みについては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② 財政状態の分析
財政状態の分析・検討内容については、「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。これらの短期及び長期的な必要資金は自己資金や金融機関からの借入金を中心とし、金融商品等での運用や投機的な取引を行わないことを基本としています。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠1,650,000千円のコミットメントライン契約(シンジケート方式)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。
資金の流動性については、事業計画、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じて外部資金の調達を行うことにより維持していきます。なお、通常時は、月商の1.5倍を目安に現預金の残高を確保することとしております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 経営者の問題意識と今後の課題について
経営者の問題意識と今後の課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等」に記載しております。
⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期経営計画」に記載しております。