売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E36190 IFRS

売上高

1,768.6億 円

前期

2,003.4億 円

前期比

88.3%

時価総額

2,945.8億 円

株価

6,725 (07/12)

発行済株式数

43,803,339

EPS(実績)

209.03 円

PER(実績)

32.17 倍

平均給与

825.4万 円

前期

831.0万 円

前期比

99.3%

平均年齢(勤続年数)

43.7歳(9.8年)

従業員数

77人(連結:3,482人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

当社は、医薬品の製造・販売を行う国内外の子会社の株式若しくは持分を保有することにより、当該会社の事業活動を管理し、その経営の支援や指導を行うことを事業としております。

当社及び当社の子会社(以下、「当社グループ」という。)は、当社及び連結子会社8社で構成され、主な事業内容は、医療用医薬品及び一般用医薬品の製造及び販売であります。当連結会計年度より米国事業を非継続事業に分類したことに伴い、報告セグメントを「医薬品等の製造及び販売」の単一セグメントに変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント」をご参照ください。

各社の事業内容及び位置づけは、次のとおりであります。

 

沢井製薬株式会社(以下、「沢井製薬」という。)は、製造した医薬品を国内の販売会社、卸売店及び他の医薬品メーカーに販売するほか、医療機関にも直接販売しております。

メディサ新薬株式会社は、医療用医薬品の販売を行っており、沢井製薬株式会社及び他の医薬品メーカーとの間で、製品等の売買を行っております。また、沢井製薬株式会社は同社より研究開発の一部及び製造を受託しております。

化研生薬株式会社は、医療用医薬品の製造及び販売を行っており、同社はメディサ新薬株式会社から製品等を購入しております。また、沢井製薬株式会社は同社より主原料(原薬)を購入しております。

トラストファーマテック株式会社(以下、「トラストファーマテック」という。)は、医療用医薬品の製造及び販売を行っております。沢井製薬株式会社は同社に研究開発の一部及び製造を委託しております。

 

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断されます。

 

 

概要図

※画像省略しています。

 

24/06/25

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 29.非継続事業」に記載のとおり、当連結会計年度より米国事業を非継続事業に分類しています。これにより、売上収益、営業利益、税引前当期利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業を合算した金額を表示しております。また、「米国」を非継続事業に分類したため、当連結会計年度より「医薬品等の製造及び販売」の単一セグメントに変更しております。

IFRSに基づいた当連結会計年度の業績につきましては、売上収益176,862百万円(前期比8.0%増)、営業利益18,620百万円前期比16.0%増)、税引前当期利益18,262百万円前期比15.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益13,695百万円前期比8.1%増)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しております。同基準に基づいた当連結会計年度の「コア営業利益」は、23,931百万円(前期比11.7%増)となりました。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

増減額

増減率(%)

売上収益

163,702

176,862

13,160

8.0

営業利益

16,054

18,620

2,566

16.0

税引前当期利益

15,850

18,262

2,413

15.2

親会社の所有者に帰属する当期利益

12,667

13,695

1,028

8.1

コア営業利益

21,428

23,931

2,503

11.7

 

(注) 売上収益、営業利益、税引前当期利益、コア営業利益は継続事業の業績を、親会社の所有者に帰属する当期利益は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ表示しています。

 

当社グループは、持株会社体制の下、2021年5月に発表した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」と2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「START 2024(以下「中計」という。)」において、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」「米国事業における将来の成長に向けた事業投資」「新たな成長分野の開拓」を3つの柱としております。また、中計においては、ジェネリック医薬品事業では新製品の売上増加、安定供給力の強化、新規事業への進出に向けては、デジタル・医療機器事業、オーファン医薬品事業(ALS等)、健康食品事業の3領域に重点的にリソースを投入することとしております。

経営成績の状況は、次のとおりであります。

 

2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされたのをはじめ、2022年4月の診療報酬改定では、ジェネリック医薬品のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。その結果、2023年9月の政府の薬価調査による最新のジェネリック医薬品の数量シェアは80.2%となっています。さらに2024年3月の社会保障審議会医療保険部会では、「医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上」を主目標とすることに加え、副次目標として、「後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」とすることが掲げられております。更に、2024年10月からは後発品(ジェネリック医薬品)のある長期収載品の一部について追加で患者負担を求めることが予定されており、これによりジェネリック医薬の使用はさらに進むことが想定されます。

その一方、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業をはじめとした複数のジェネリック医薬品企業の薬機法違反を起因として、医薬品全体で供給不安が生じています。このような状況の下、2022年8月から始まった厚労省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」では医薬品の流通、薬価制度、ジェネリック医薬品産業の構造上の問題などについて幅広い議論が行われ、2023年6月に報告書が取りまとめられ、現在は各分野についてそれぞれの会議体で対応策が議論されております。

このような環境におきまして、中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、業界全体への信頼回復に努めつつ、当社グループとして「国内ジェネリック医薬品市場におけるシェア拡大」に向け「品質管理の一層の強化」を図るとともに、「新製品の売上増加」と「安定供給力の強化」に取り組んでおります。

品質管理面においては、ジェネリック医薬品業界において重大な不祥事が発生していることから、中核会社の沢井製薬を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取組を行ってまいりました。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取組を行ってまいりました。しかしながら、沢井製薬の九州工場で製造するテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切な試験が継続的に行われていたことが判明し、2023年12月に厚生労働省、大阪府及び福岡県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする行政処分を受けました。当該不適切試験が継続して実施されてきた原因について、人的要因に起因する問題として、①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMPに対する理解の欠如が、物的要因に起因する問題として、①品質管理・品質保証の観点からの実効的な監督体制の不備、②試験記録管理の不十分さ、③試験を担当する品質管理部の業務過多及び人員不足が挙げられます。信頼の回復に向けた再発防止策として、①沢井製薬社長直轄の企業風土改革プロジェクトの立ち上げ、②既存上市品の製造面及び品質面での再評価とその対策実施、③全従業員に対するGMP教育の再実施や、管理職・監督職の責任の明確化、工場の品質管理部門、品質保証部門への社内外からの人材確保推進などの沢井製薬生産本部における再発防止策の実施、に一丸となって取り組んでおります。

生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大や供給不安、エネルギー価格や原材料価格が高騰する中、さらなる高効率・低コストを追求しており、既存の沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年9月に、九州工場注射剤棟の竣工、並びに第二九州工場の敷地内に最終的に30億錠の生産能力となる新たな固形剤棟の建設に着手しました。また、小林化工株式会社から生産活動に係る資産を譲受し、関連部門人員を受け入れたトラストファーマテックにおいては、沢井製薬の製品の受託製造を開始しており、今後、当社グループ生産能力年間200億錠以上の早期確立へ向け、引き続き体制の構築に取り組んでまいります。それらと合わせ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。

販売面においては、原価高騰への対応策として、生産効率のさらなる改善と並行し、低薬価品を中心に原価高騰に伴う影響分を価格に反映しております。また、沢井製薬にて2023年6月に『アジルサルタン錠』を含む2成分8品目、12月には『レナリドミドカプセル』1成分2品目が薬価収載されました。

製品開発においては、沢井製薬にて、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、3つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。

さらに新たな取組として、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、沢井製薬ブランドのPHR管理アプリ「SaluDi(サルディ)」及び株式会社インテグリティ・ヘルスケアのPHR管理システム「Smart One Health」と東京大学COI個別化保健医療講座(岸暁子特任助教)開発の行動変容促進システム「MIRAMED®」を活用した特定保健指導を連携させ、「健康~未病~特定保健指導~受診勧奨のワンストップサービス」の実現可能性や効果の検証を行っております。また、2022年9月には、参加者同士の双方向のコミュニケーションを通して、健康寿命やヘルスケアへの意識向上や、PHRについての理解促進を図ることを目的とし、クオン株式会社と共同で「健康サポートコミュニティsupported by SaluDi」をオープンしました。さらに、2023年1月には兵庫県養父市の「養父市デジタルヘルシーエイジング事業」、2023年5月には長崎県の地域医療連携ネットワーク「あじさいネット」の「オフィシャルパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)アプリ」として、SaluDiが採用され、2023年7月には凸版印刷株式会社(現 TOPPANホールディングス株式会社)とPHRの利活用事業での協業を検討していくことで合意しました。今後もデジタル技術を活用して人々の生活・健康をより良い方向に変化させてまいります。また、NASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)領域においては、2022年8月にNASH領域におけるDTxの開発及び販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結し、アプリを通じて、デジタルヘルスケア領域での技術や知見の強化とともに、IT技術を活用したソリューションを直接、患者さん・医療従事者の皆様にお届けすることを目指してまいります。医療機器事業においては、2022年12月に片頭痛の急性期治療に用いる医療機器として、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認申請を行った非侵襲型ニューロモデュレーション機器「SWD001」を中心として取り組んでまいります。

この結果、当社グループにおける継続事業の売上収益は176,862百万円(前期比8.0%増)、営業利益は18,620百万円(前期比16.0%増)、コア営業利益(参考値)は23,931百万円(前期比11.7%増)となりました。

 

 当連結会計年度末における財政状態は、次のとおりであります。

 

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は239,985百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,638百万円増加いたしました。これは主に、米国事業を非継続事業に分類したことにより売却目的で保有する資産が53,691百万円増加した一方で、後述のキャッシュ・フローの状況に記載のとおり現金及び現金同等物が6,708百万円減少したためです。また、売上債権及びその他の債権についても米国事業を非継続事業に分類したこと等により9,802百万円減少いたしました。非流動資産は142,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,779百万円減少いたしました。これは主に、米国事業を非継続事業に分類した影響等により繰延税金資産が8,847百万円増加した一方で、有形固定資産が17,930百万円減少したためです。

この結果、資産合計は382,024百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,859百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は93,618百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,464百万円増加いたしました。これは主に、仕入債務及びその他の債務が7,193百万円減少した一方で、米国事業を非継続事業に分類したことにより売却目的で保有する資産に直接関連する負債が16,268百万円増加したためです。非流動負債は70,375百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,103百万円増加いたしました。これは主に、社債の発行により社債及び借入金が6,743百万円増加したためです。

この結果、負債合計は163,993百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,567百万円増加いたしました。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本合計は218,030百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,292百万円増加いたしました。これは主に、当期利益の計上、剰余金の配当及び為替レートの変動によるものであります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は55.7%(前連結会計年度末は55.4%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は26,368百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,708百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益18,262百万円、非継続事業からの税引前当期損失22,514百万円、減価償却費及び償却費18,055百万円、非継続事業を構成する処分グループを売却コスト控除後の公正価値で測定したことにより認識した損失20,918百万円、棚卸資産の増加9,168百万円、法人所得税等の支払額5,828百万円、売上債権及びその他の債権の増加3,930百万円、仕入債務及びその他の債務の減少2,927百万円を主因として23,149百万円の収入(前期比10,122百万円の収入増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出17,915百万円、無形資産の取得による支出6,734百万円を主因として23,112百万円の支出(前期比4,022百万円の支出減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増2,848百万円、長期借入金の返済による支出3,034百万円、社債の発行による収入9,943百万円、配当金の支払額5,694百万円を主因として2,363百万円の収入(前期は1,267百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

医薬品等の製造及び販売

175,387

5.3

 

(注) 上記金額は、売価換算額で表示しております。

 

b. 受注実績

当社グループは見込み生産が主で受注生産は僅少であるため記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当社グループは「医薬品等の製造及び販売」の単一セグメントであるため、

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

医薬品等の製造及び販売

176,862

8.0

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

    至 2023年3月31日

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

    至 2024年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社メディセオ

32,325

19.7

34,737

19.6

アルフレッサ株式会社

28,508

17.4

32,280

18.3

株式会社スズケン

17,844

10.9

19,247

10.9

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.概要

当社グループは、主としてジェネリック医薬品の研究開発、製造及び販売を日本で行っております。「なによりも健やかな暮らしのために」の企業理念の下で、ジェネリック医薬品事業では、いち早く新しいジェネリック医薬品を開発・上市するとともに、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し続けることにより、ブランド価値を高め競争に打ち勝つことに努め、持続的な成長を通じて企業価値向上を図りました。

当社グループは、循環器官用薬、中枢神経系用薬、消化器官用薬など、さまざまな薬効の約800品目を提供しております。当社グループは、当連結会計年度末現在で11の製造拠点を有し、そのうち9つは日本に所在しております。当社グループにおいて、生産能力及び生産数量(外注含む)は当連結会計年度末で約185億錠及び約160億錠(ともに錠換算)となっております。

b.経営成績の分析

当連結会計年度の業績を前連結会計年度と比較した表は、次のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

 

増減額

継続事業

 

 

 

 

 

 

売上収益

 

163,702

 

176,862

 

13,160

売上原価

 

△113,450

 

△122,543

 

△9,093

売上総利益

 

50,252

 

54,319

 

4,067

販売費及び一般管理費

 

△22,245

 

△23,244

 

△998

研究開発費

 

△12,509

 

△12,189

 

321

その他の収益

 

730

 

189

 

△542

その他の費用

 

△174

 

△456

 

△282

営業利益

 

16,054

 

18,620

 

2,566

金融収益

 

195

 

201

 

6

金融費用

 

△398

 

△558

 

△160

税引前当期利益

 

15,850

 

18,262

 

2,413

法人所得税

 

△3,954

 

△5,583

 

△1,630

継続事業からの当期利益

 

11,896

 

12,679

 

783

非継続事業

 

 

 

 

 

 

非継続事業からの当期利益(△損失)

 

940

 

△3,523

 

△4,463

当期利益

 

12,836

 

9,156

 

△3,680

 

 

 

 

 

 

 

当期利益(△損失)の帰属

 

 

 

 

 

 

親会社の所有者

 

12,667

 

13,695

 

1,028

非支配持分

 

169

 

△4,539

 

△4,708

合計

 

12,836

 

9,156

 

△3,680

 

 

 

売上収益は前連結会計年度より13,160百万円(8.0%)増加し、176,862百万円となりました。当社グループの薬効別売上収益は、次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

薬効別分類

 

前連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

 

当連結会計年度
(自 2023年4月1日
  至 2024年3月31日)

 

循環器官用薬

 

38,983

 

42,136

中枢神経系用薬

 

23,019

 

24,570

消化器官用薬

 

18,198

 

19,089

その他の代謝性医薬品

 

15,827

 

18,145

血液・体液用薬

 

16,448

 

16,010

抗生物質製剤

 

7,710

 

9,269

ビタミン剤

 

7,426

 

7,363

アレルギー用薬

 

6,522

 

6,951

腫瘍用薬

 

5,125

 

6,097

呼吸器官用薬

 

5,236

 

6,022

化学療法剤

 

3,301

 

5,705

泌尿生殖器官及び肛門用薬

 

5,363

 

5,227

その他

 

10,545

 

10,279

合計

 

163,702

 

176,862

 

 

前連結会計年度に上市したアザシチジン(腫瘍用薬)、エソメプラゾール(消化器官用薬)、テリパラチド(ホルモン剤)の売上収益が伸長した一方、薬価改定による販売単価下落の影響を大きく受けました。

売上原価は前連結会計年度より9,093百万円(8.0%)増加し、122,543百万円となりました。売上総利益率は前年並みの30.7%となりました。売上原価は、主に原材料費、人件費、減価償却費で構成されております。売上総利益率が前年並みとなった主な要因は、薬価改定による影響及びエネルギー価格の上昇並びにトラストファーマテック株式会社の先行コストによる上昇と、価格政策による単価上昇に伴う下落が同程度の影響となったことであります。

 

販売費及び一般管理費は前連結会計年度より998百万円(4.5%)増加し、23,244百万円となりました。主な増加要因は、コスト削減に努めているものの、販売数量の増加に伴う運賃諸掛の増加等となっております。

 

研究開発費は前連結会計年度より321百万円(2.6%)減少し、12,189百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度に減損損失3,463百万円を認識した反動であります。

 

その他の収益は前連結会計年度より542百万円(74.2%)減少し、189百万円となりました。主な減少要因は、前連結会計年度までは当社グループ賃借料収入があったことによる反動と保険料収入であります。

 

その他の費用は前連結会計年度より282百万円(162.1%)増加し、456百万円となりました。主な減少要因は、製品の販売中止による製造委託先に対する補償費用となっております。

 

以上より、営業利益は2,566百万円(16.0%)増加し、18,620百万円となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

Ⅰ キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、23,149百万円の収入となりました(前連結会計年度比10,122百万円の収入増)。当連結会計年度は安定供給力の強化に向け棚卸資産の購入・製造に係るキャッシュアウトが大きかったものの、前連結会計年度よりは増加幅は縮小しており、さらに税引前当期利益が18,262百万円となったこともあり、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度比で収入増となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、23,112百万円の支出となりました(前連結会計年度比4,022百万円の支出減)。当連結会計年度は、沢井製薬第二九州工場における新固形剤棟に係る支払いが発生したものの、前連結会計年度よりは有形固定資産の取得による支出が減少したため、前連結会計年度比では支出減となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,363百万円百万円の収入となりました(前連結会計年度は1,267百万円の支出)。沢井製薬での運転資金需要に応じて短期借入金が増加したことに加え、普通社債の発行による収入により、配当金や長期借入金の返済を上回る収入となりました。

Ⅱ 資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、市場の環境変化に対応した安定供給及び生産効率の最適化を目的とした設備投資並びにニーズを捉えた高付加価値ジェネリック医薬品の実現を目的とした研究開発投資によるものであります。

Ⅲ 財務政策

当社グループでは、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された、最適な資本構成を維持することを基本方針としております。設備投資及び研究開発投資による資金需要につきましても、営業活動によるキャッシュ・フローを継続的に確保していくとともに、市場の環境変化に対応した柔軟な財務政策を実現していくことで基本方針を実現していきます。

当連結会計年度においては、営業活動によるキャッシュ・フローが23,149百万円の収入となり、当該資金をもとにUSL買収時の借入金の一部を返済しております。また、2024年6月に発表した新中計でも示しているとおり、成長に向けた投資を積極的かつ効果的に実施する予定であり、その内訳は中期経営計画期間の3年間合計で、研究開発投資約350億円、GE事業約785億円、新規事業35億円+α、機動的アロケーション約210億円+α、自己株取得約330億円+α、配当190億円以上となっております。このうち、GE事業投資については、将来の需要増に応じて生産キャパシティを拡大するべく、沢井製薬の第二九州工場新固形剤棟新設(ステップ1の一部、ステップ2の一部)等を見込んでおります。設備投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 重要性がある会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠しております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産及び負債の金額、財務諸表の末日時点の偶発資産及び偶発負債の開示、並びに報告期間における収益及び費用の金額に重要な影響を及ぼす見積り及び仮定の設定を行うことが求められております。見積り及び仮定は継続的に見直されます。経営者は過去の経験及び見積り及び仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき、当該見積り及び仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積り及び仮定とは異なる場合があります。

経営者の見積り及び仮定に影響を受ける重要性がある会計方針は次のとおりです。また、見積り及び仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(収益認識)

当社グループの収益は主に医薬品販売に関連したものであり、製品に対する支配が顧客に移転した時点で認識されております。収益の認識額は、当社グループが製品と交換に受け取ると見込まれる対価に基づいております。収益からは、主要顧客である卸売業者及び販売会社に対するリベート等の様々な項目が控除されております。これらの控除額は関連する義務に対し見積られますが、報告期間における当該収益に係る控除額の見積りには判断が伴います。総売上高からこれらの控除額を調整して、純売上高が算定されます。

 

収益に係る調整のうち最も重要なものは、次のとおりであります。

・顧客に対するリベート: 当社グループは、マーケットシェアの維持と拡大を確実にするために、卸売業者、販売会社等の顧客に対してリベートを付与しております。リベートは契約上取決めがなされているため、係る負債は各取決めの内容、過去の実績に基づく予想割戻率及び予想される流通チャネル内の在庫量を基に算定しております。

・返品に関する負債: 返品権付き製品を顧客に販売する際は、当社グループの返品ポリシーや過去の返品実績に基づいた予想返品率を考慮して返品見込み額を測定し、負債として計上しております。

引当額は見積りに基づくため、実際の発生額を完全に反映していない場合があり、特に予想される流通チャネル内の在庫数量及び当社グループの製品が最終的にどの卸売業者の顧客に販売されるのかの見積りにより変動する可能性があります。

これまで実績又は見積りの見直しの反映による当初の見積りに対する調整額が、当社グループの業績に重要な影響を与えたことはありません。しかしながら、当社グループが見積りに際して使用した比率、要因、評価、経験もしくは判断が将来の事象の見積りにおける適切な予測値ではなかった場合、当社グループの業績に重要な影響を与える場合があります。見積りの感応度は、制度及び顧客の種類により左右される可能性があります。

 

(無形資産の減損)

当社グループは、償却を開始している無形資産について、その資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象又は状況の変化がある場合、減損テストを行っております。また未償却の無形資産については、少なくとも年次で減損テストを実施しております。

資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に減損していると判断されます。回収可能価額は個別資産、又はその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。製品に係る無形資産及び仕掛中の研究開発は、個別に回収可能価額を見積ります。

回収可能価額の見積りには、以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。

・割引率

・将来キャッシュ・フローの金額及び時期

・競合他社の動向

キャッシュ・フローが変動する可能性のある事象としては、研究開発プロジェクトの失敗又は上市後製品の価値の下落があげられます。研究開発プロジェクトの失敗には、開発の中止、オーソライズドジェネリックの販売見込みや競合他社の参入等による収益性の悪化が含まれます。

当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、無形資産の減損損失は適切であると判断しております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産及び負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて一時差異が解消される時に適用されると予測される税率を用いて測定しております。

繰延税金資産は、未使用の税務上の繰越欠損金、税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産の回収可能性の判断に用いられる課税所得金額の発生見込みは事業計画を基礎としておりますが、当該事業計画には開発中の製品の上市及び市場シェアの拡大による販売数量の増加等並びに将来の薬価改定による影響等を主要な仮定として織り込んでおります。繰延税金資産は期末日毎に見直し、一部又は全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を獲得する可能性が高くなくなった部分について減額しております。

当社グループは、これらの仮定を慎重に検討し、繰延資産の回収可能性は適切であると判断しております。

 

(売却目的保有に分類された処分グループの測定)

継続的な使用ではなく売却により回収が見込まれ、現状で直ちに売却することが可能で、当社グループの経営者が売却計画の実行を確約しており、1年以内に売却が完了する予定である非流動資産又は処分グループは、売却目的保有に分類されます。売却目的保有に分類された資産は、帳簿価額と処分費用控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定され、分類時に発生する減損損失については純損益として認識しております。売却目的で保有する資産に分類された有形固定資産又は無形資産は減価償却又は償却を行いません。