売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS




E36190 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当社グループでは、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性を向上させることを目的として、IFRSを適用しております。2024年3月期第3四半期連結累計期間より、米国事業を非継続事業に分類しており、2024年4月2日に当社の米国事業の持株会社であるSawai America Holdings Inc.(以下、「SAH」という。)の全株式、並びにその傘下にあるSawai America LLC(以下、「SAL」という。)の当社持分とUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下、「USL」という。)の持分をSALへの共同出資者であるSumitomo Corporation of Americas(以下、「SCOA」という。)とともに、Bora Pharmaceutical Holdings, Inc.(以下、「Bora」という。)に譲渡(以下、「本株式等譲渡」という。)しております。このため、売上収益、営業利益、税引前中間利益、継続事業からの中間利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を、中間利益及び親会社の所有者に帰属する中間利益については、継続事業及び非継続事業を合算した数値を表示しております。

IFRSに基づいた当中間連結会計期間の業績につきましては、売上収益98,843百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益8,534百万円(前年同期比27.4%減)、税引前中間利益7,962百万円(前年同期比30.2%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益5,846百万円(前年同期比69.1%減)となりました。なお、当社は、IFRSの適用に当たり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を導入し、経営成績を判断する際の参考指標と位置づけることとしております。「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益を除外しています。同基準に基づいた当中間連結会計期間の「コア営業利益」は、13,764百万円(前年同期比9.5%増)となりました。

(単位:百万円)

 

前中間

連結会計期間

当中間

連結会計期間

増減額

増減率(%)

売上収益

87,870

98,843

10,973

12.5

営業利益

11,755

8,534

△3,221

△27.4

税引前中間利益

11,409

7,962

△3,447

△30.2

親会社の所有者に帰属する中間利益

18,901

5,846

△13,055

△69.1

コア営業利益

12,575

13,764

1,190

9.5

 

(注)売上収益、営業利益、税引前中間利益、コア営業利益は継続事業の業績を、親会社の所有者に帰属する中間利益は継続事業と非継続事業の合計の業績をそれぞれ表示しております。

 

当社グループは、持株会社体制の下、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「Beyond 2027(以下、「中計」という。)」を発表し、同時に定量目標を修正した長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」では、2030年度に目標とする企業イメージを(創りたい世界像)「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」、(ありたい姿)「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社」と掲げると共に、「信頼される企業基盤の確立」を土台とし、さらに成長するために、「事業戦略」および「経営基盤」に重点テーマを設定しました。「事業戦略」は「GE市場における着実な成長」「GEビジネスの持続性確立」「成長分野への継続的投資」を重点テーマとして設定し、「経営基盤」では「持続的成長を支える人財の創出」「サステナビリティへの取り組み」「資本効率改善」を重点テーマとして設定しております。

 

2021年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針)において、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性の確保を柱とし、官民一体で、製造管理体制強化や製造所への監督の厳格化、市場流通品の品質確認検査などの取組を進めるとともに、後発医薬品の数量シェアを、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上とする」とされたのをはじめ、2022年4月の診療報酬改定では、後発医薬品(ジェネリック医薬品)のさらなる使用促進を図る観点から、ジェネリック医薬品の調剤割合が高い薬局や使用割合が高い医療機関に重点を置いた評価の見直し等が行われました。その結果、2024年9月の政府の薬価調査(速報値)による最新のジェネリック医薬品の数量シェアは85.0%となっています。さらに2024年9月の社会保障審議会医療保険部会では、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を改訂し、数値目標として、「主目標:医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品の数量シェアを2029年度末までに全ての都道府県で80%以上(旧ロードマップから継続)」、「副次目標①:2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数が全体の成分数の60%以上」、「副次目標②:後発医薬品の金額シェアを2029年度末までに65%以上」が掲げられております(2024年9月の政府の薬価調査による後発医薬品の金額シェア62.1%)。また、2024年10月からは、ジェネリック医薬品のある長期収載品を患者さんが希望される場合は追加で患者負担を求める「選定療養」制度が導入され、これによりジェネリック医薬品の使用はさらに進むことが想定されます。

その一方で、2020年末の準大手ジェネリック医薬品企業の製造する医薬品での健康被害の発生や、その後の大手ジェネリック医薬品企業を含む複数のジェネリック医薬品企業による薬機法違反を契機として、医薬品全体において供給不安が生じております。このような状況の下、2022年8月から始まった厚生労働省の「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」では、医薬品の流通、薬価制度、ジェネリック医薬品産業の構造上の問題などについて幅広い議論が行われました。その成果として、2024年5月には「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」報告書がまとめられ、6月には政府方針である「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針)において「足下の医薬品の供給不安解消に取り組むとともに、医薬品の安定的な供給を基本としつつ、後発医薬品業界の理想的な姿を見据え、業界再編も視野に入れた構造改革を促進し、安定供給に係る法的枠組みを整備する」と明記されました。これを受け、令和7年度薬価改定においては、国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの特性に応じた改定対象範囲が設定されての改定や最低薬価の引き上げが行われました。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針)においても、少量多品目構造の解消に向けた後発医薬品業界の再編推進が記載されるなど、後発医薬品の安定供給に向けた具体的な取り組みが示されています。こうした中、非効率な生産体制からの脱却を目指し、生産性向上に取り組む企業への支援事業や、安定供給体制を確保するための法的枠組みの整備も進められています。

このような環境におきまして、当社グループは中計の下、ジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、信頼される企業基盤の確立に努めつつ、社会インフラとして持続的に社会に貢献することを目指し、「着実な成長」と「ビジネス持続性の確立」に取り組んでおります。

品質管理面においては、中核会社の沢井製薬株式会社(以下、「沢井製薬」という。)を中心に、製造管理・品質管理基準(GMP)を遵守した原薬の品質の確保、製造工場でのGMP遵守の恒常的確認による品質管理体制、国際基準であるPIC/S-GMPに基づく製造管理・品質管理を行う等の取り組みを行ってまいりました。また、2022年3月期には医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう、沢井製薬では製品の製剤製造企業に関する情報と原薬製造所の監査に関する情報を公開し、「沢井製薬の品質に対する取組紹介動画」を公開する等の取り組みを行ってまいりました。しかしながら、沢井製薬の九州工場で製造するテプレノンカプセル50mg「サワイ」の安定性モニタリングの溶出試験において、不適切な試験が継続的に行われていたことが判明し、2023年12月に厚生労働省、大阪府及び福岡県から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」違反を理由とする行政処分を受けました。当該不適切試験が継続して実施されてきた原因について、人的要因に起因する問題として、①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMPに対する理解の欠如が、物的要因に起因する問題として、①品質管理・品質保証の観点からの実効的な監督体制の不備、②試験記録管理の不十分さ、③試験を担当する品質管理部の業務過多及び人員不足が挙げられます。信頼の回復に向けた再発防止策として、①沢井製薬社長直轄の企業風土改革プロジェクトの立ち上げ、②既存上市品の製造面及び品質面での再評価とその対策実施、③全従業員に対するGMP教育の再実施や、管理職・監督職の責任の明確化、工場の品質管理部門、品質保証部門への社内外からの人材確保推進などの沢井製薬生産本部における再発防止策の実施に一丸となって取り組んでおります。また、2024年12月には発がん性物質「ニトロソアミン類」の分析研究に特化した「神戸分析研究センター」を開設し、製剤中にごく微量に含まれる可能性のある「ニトロソアミン類」を対象として、試験法開発難易度の高い品目や分析優先度の高い品目の試験法開発及び実測を行うとともに、社外分析受託会社や社内分析部門に試験法の技術移転を進めていく予定です。

生産・供給体制面においては、ジェネリック医薬品の需要拡大や供給不安、エネルギー価格や原材料価格が高騰する中、さらなる高効率・低コストを追求しており、既存の沢井製薬の全国6工場それぞれの特徴を活かした生産効率のアップに取り組んでおります。それに加えて、2022年9月に、九州工場注射剤棟の竣工、並びに2024年7月に、第二九州工場の敷地内に最終的に35億錠の生産能力となる新たな固形剤棟が竣工しました。また、小林化工株式会社から生産活動に係る資産を譲受し、関連部門人員を受け入れたトラストファーマテック株式会社(以下、「トラストファーマテック」という。)においては、沢井製薬の製品の受託製造を行っており、稼働率向上に向けて取り組んでおります。今後、25億錠の増産実現に向け清間第二工場と第三工場に設備投資を行う予定としており、当社グループ生産能力年間250億錠体制に向け、引き続き体制の構築に取り組んでまいります。それらと合わせ、2022年3月期に開設・稼働した東日本第2物流センター、西日本第2物流センターを活用し、物流面での供給体制も強化しております。また、2024年6月には「後発品の安定供給に関連する情報の公表等に関するガイドライン」に従い、安定供給に関する情報開示を行うこととしました。さらに、2025年9月には日医工株式会社と後発医薬品の品目統合等に向けた協業に合意し、後発医薬品業界全体の安定供給体制構築に努めております。

販売面においては、原価高騰への対応策として、生産効率のさらなる改善と並行し、低薬価品を中心に原価高騰に伴う影響分を卸売販売業者への価格に反映しております。また、沢井製薬にて2025年3月に日本市場における経口抗凝固剤「ワーファリン」の権利をエーザイ株式会社から承継する契約を締結しており、循環器領域の製品ラインアップを拡充することで、当社の循環器領域における事業基盤の強化を図っております。

製品開発においては、沢井製薬にて、「お薬を服用する時により飲み心地がいいと感じられるような技術、お薬をより効率的に製造できる技術など、お薬に付加価値をプラスし、製剤上のハーモニーを生み出す技術」の中から6つを選択し、5つの技術カテゴリに分け、それらのオリジナル製剤化技術を総称して「SAWAI HARMOTECH®」と名付け、公開しております。

さらに新たな取り組みとして、PHR(パーソナルヘルスレコード)事業に関しまして、2022年より大学、自治体、企業、医療機関等様々な団体との間で連携、利活用を進めており、2025年6月に住友ファーマ株式会社から全株式を取得して子会社となったFrontActの専門人材やノウハウを活用しながら、デジタルヘルスケア事業での製品ラインアップの拡大と事業基盤の強化と成長を図り、デジタル技術を活用して人々の生活・健康をより良い方向に変化させてまいります。また、治療アプリ(DTx)に関しまして、2022年8月にNASH(非アルコール性脂肪肝炎:Non-Alcoholic Steatohepatitis)領域におけるDTxの開発及び販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結しました。アルコール依存症を適応としたDTxについては2024年8月に販売ライセンス契約を株式会社CureAppとの間で締結し、2025年9月に販売を開始しました。アプリを通じて、デジタルヘルスケア領域での技術や知見の強化とともに、IT技術を活用したソリューションを直接、患者さん・医療従事者の皆様にお届けすることを目指してまいります。医療機器事業においては、2023年12月に片頭痛の急性期治療に用いる医療機器として、厚生労働大臣から製造販売承認を取得した非侵襲型ニューロモデュレーション機器「レリビオン」を中心として取り組んでまいります。

この結果、当社グループにおける売上収益は98,843百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益は8,534百万円(前年同期比27.4%減)、コア営業利益(参考値)は13,764百万円(前年同期比9.5%増)となりました。

 

当中間連結会計期間末における財政状態は、以下のとおりであります。

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は198,756百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,067百万円減少しました。これは主に、棚卸資産が安定供給力の強化に向けた生産の影響等により5,490百万円増加した一方、後述のキャッシュ・フローの状況に記載のとおり、現金及び現金同等物が5,418百万円減少したためです。非流動資産は157,020百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,220百万円増加しました。これは主に、沢井製薬第二九州工場における新固形剤棟建設により有形固定資産が918百万円増加、及び無形資産がワーファリンの製造販売承認権の取得や償却等により1,910百万円増加したためです。

この結果、資産合計は355,776百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,153百万円増加しました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は102,706百万円となり、前連結会計年度末に比べ109百万円減少しました。これは主に、資金繰り計画に基づき借入金が16,325百万円増加した一方、仕入債務及びその他の債務が6,926百万円減少、及び引当金が12,799百万円減少したためです。非流動負債は76,213百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,741百万円減少しました。これは主に、借入の返済により社債及び借入金が2,162百万円減少したためです。

この結果、負債合計は178,919百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,850百万円減少しました。

 

(資本)

当中間連結会計期間末における資本合計は176,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,002百万円増加しました。これは主に、中間利益の計上及び剰余金の配当等によるものであります。

この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.7%(前連結会計年度末は49.0%)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は33,367百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,418百万円減少しました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益7,962百万円、減価償却費及び償却費7,768百万円、棚卸資産の増加5,311百万円、引当金の減少12,799百万円を主因として1,828百万円の支出(前年同期は7,000百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出7,734百万円、無形資産の取得による支出7,244百万円を主因として13,771百万円の支出(前年同期は14,910百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増16,325百万円、配当金の支払額3,117百万円、長期借入金の返済による支出2,173百万円を主因として10,155百万円の収入(前年同期は9,305百万円の支出)となりました。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間の当社グループにおける研究開発費の総額は5,244百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(4) 主要な設備

当中間連結会計期間において新たに確定した重要な設備の新設の計画は次のとおりであります。

会社名
事業所名

所在地

設備の内容

投資予定額

資金
調達方法

着手及び完了予定

総額
(百万円)

既支払額
(百万円)

着手

完了

トラスト

ファーマテック

清間第二工場

福井県

あわら市

医薬品生産設備の新設

4,600

1,493

自己資金及び

借入金

2025年

9月

2027年

3月

トラスト

ファーマテック

清間第三工場

福井県

あわら市

医薬品生産設備の新設

14,900

326

自己資金及び

借入金

2026年

3月

2027年

10月