E01054 Japan GAAP
前期
163.3億 円
前期比
85.9%
株価
4,000 (04/25)
発行済株式数
20,071,093
EPS(実績)
114.84 円
PER(実績)
34.83 倍
前期
779.3万 円
前期比
95.6%
平均年齢(勤続年数)
42.8歳(12.9年)
従業員数
263人(連結:454人)
当社グループは、当社および連結子会社7社で構成されております。連結子会社は、台湾・香港・中国・欧州(ベルギー)・タイ・インドにあり、世界の電子基板・電子部品市場を包括できる体制をとっております。当社グループの事業内容は、電子基板・電子部品用薬品の製造販売および電子基板用機械、電子基板用資材の販売であります。
なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。
タイ子会社(MEC SPECIALTY CHEMICAL(THAILAND)CO.,LTD.)は、MEC TAIWAN COMPANY LTD.が0.009%、MEC(HONG KONG)LTD.が0.005%をそれぞれ出資しております。
MEC EUROPE NV.のインド子会社(MEC INDIA SPECIALTY CHEMICALS PRIVATE LTD.)は重要性がないため上記系統図には含めておりません。
当社グループの事業内容は、電子基板・電子部品製造用薬品の開発・製造販売および関連機械、資材の販売であります。
電子基板・電子部品用薬品は主に金属の表面処理剤であります。金属の表面を溶かしたり改質することで、付加価値を与え、その金属と接合する樹脂や他の金属との界面を創造いたします。
当社薬品はコンピューター用の半導体パッケージ基板やディスプレイ用のCOF基板製造用に高いシェアを獲得しており、スマートフォン用電子基板・部品での使用も拡大しております。当社の薬品が使用される電子基板・部品は、IoTやAI、5G、クルマの電動化・自動化・コネクテッド化やDX(デジタルトランスフォーメーション)・GX(グリーントランスフォーメーション)の進展等の技術の広がりを背景に、高密度化や技術革新が進んでおります。これらの関連市場は引き続き高い成長が見込まれ、特に、高まる半導体需要によるパッケージ基板の個数増加や、高性能化による大型・高多層化による当社製品需要の伸びが期待されます。
当社グループは市場ニーズに合った製品開発を行い、これまで培ったコア技術をIoT端末を始めとする電子機器の高機能化、信頼性向上に貢献するため、世界中のどの地域の顧客に対しても高付加価値で高品質な製品を生産し、世界中の顧客に対し営業を行うことで事業の拡大を目指しております。
当社グループの主な製商品の詳細は以下のとおりであります。
密着向上剤は主に電子基板の分野で使用されております。特に半導体を搭載するパッケージ基板は半導体の発熱によって、銅と樹脂が剥がれる不具合が発生いたします。当社の密着向上剤のCZシリーズは、銅の表面に凹凸の形状を形成し、密着性を飛躍的に向上することが可能で剥がれが発生しません。そのため、世界中のパッケージ基板メーカーで採用されております。
銅箔の種類を選ばず表面を粗化することができるUTシリーズは、フレキシブル基板やパッケージ基板メーカーに販売を進めております。
一般的な多層基板向けの密着向上剤にはVボンドシリーズを展開しております。
金属表面を溶かすことをエッチングといいます。当社のエッチング剤は、主に銅用の薬品で、電子基板やディスプレイ向けに使用されております。
EXEシリーズはディスプレイで半導体を搭載するCOF基板で高いシェアを獲得しております。また、スマートフォンの高機能化によるHDI基板の細線化に伴い需要の拡大が期待されます。SFシリーズは銅だけを溶かす選択エッチング剤で一部のタッチパネルセンサーの製造に使用されています。その他エッチング剤は高い品質が必要なスマートフォン、タブレットPC用のフレキシブル基板や電子基板向けに薬品の販売を進めております。
その他表面処理剤は、半田関連の薬品や銅以外の金属を溶かす薬品があります。
当社グループは、当社薬品を使用するために最適な処理・分析装置を販売しております。
当社グループは、自社薬品・機械の販売のほかに、銅箔、感光性フィルム(ドライフィルム)や研磨材等の関連資材を取り扱っております。
⑥ その他
その他には機械装置の修理が含まれております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)は、世界的なインフレや金融引き締めの継続、依然高い緊張状態にある地政学リスクのもとで推移しました。
エレクトロニクス業界は、パソコンやスマートフォン等電子機器の在庫調整は進み底を打ったと見られるものの、弱い個人消費を背景に回復の速度は緩やかであり需要は低調に推移しました。また、クラウド化やIoT、AIの進展等への対応によるデータセンターにおいては、従来分野より先端分野への投資が優先される状態にありました。
当社グループの関係市場である電子基板・部品業界は、全般的にはエレクトロニクス業界の影響を受け、関連する当社製品の受注も低水準で推移しました。業界において在庫調整は進み回復局面に入ったと見られるものの、回復の度合いは緩慢であります。
このような環境のもと、当社グループは、2030年ビジョン「独創の技術で新たな価値を創造し、お客様とともに持続可能な社会の実現に挑戦する」の実現に向けた第一期である「Phase 1 中期経営計画(2022年度~2024年度)」を達成するため、「創造と変革」を指針に事業活動に取り組みました。特に、デジタル化やグリーン化に向け社会が変化・変革期にあるなか、高密度電子基板向け製品の開発、販売に注力いたしました。
当連結会計年度における業績については、第1四半期を底に緩やかな回復基調で推移しました。前期と比較した主要製品の売上動向としましては、ディスプレイ向け「EXEシリーズ」は関連する電子機器の在庫調整が進み微増となりました。多層電子基板向け密着向上剤「V-Bondシリーズ」は、関連する自動車の生産に回復の傾向は見られるものの減少しました。半導体を搭載するパッケージ基板向けに高いシェアを持つ超粗化系密着向上剤「CZシリーズ」は、エレクトロニクス業界の影響を受け減少したものの、緩やかではありますが回復の傾向にあります。ディスプレイ向け「SFシリーズ」は、関連する電子部品の需要の弱さを受け大きく減少しました。
その結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
資産は、受取手形及び売掛金や土地の増加等により、前期末に比べ11億66百万円増加し、286億65百万円となりました。
負債は、電子記録債務の減少により、前期末に比べ2億85百万円減少し、38億87百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加等により、前期末に比べ14億51百万円増加し、247億77百万円となりました。
以上の結果、自己資本比率は86.4%、ROEは9.6%となりました。また、連結配当性向は36.8%となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高は140億20百万円(前期比23億9百万円、14.1%減)となりました。販売費及び一般管理費は58億24百万円(同24百万円、0.4%増)となり、営業利益は24億92百万円(同15億11百万円、37.7%減)、売上高営業利益率は17.8%、前期の24.5%と比較し6.7ポイント低下しました。経常利益は26億83百万円(同15億63百万円、36.8%減)となりました。税金等調整前当期純利益は32億19百万円(同10億5百万円、23.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億4百万円(同7億59百万円、24.8%減)となりました。
売上高の内訳は、薬品売上高は137億64百万円(前期比22億77百万円、14.2%減)、機械売上高は1億12百万円(同58百万円、34.1%減)、資材売上高は1億39百万円(同30百万円、28.6%増)、その他売上高は3百万円(同4百万円、56.0%減)となりました。
海外売上高比率は62.0%となり、前期の60.7%に比べ、1.3ポイント増加しました。なお、日本国内代理店経由で販売した海外顧客への売上を海外売上高比率に含めた場合は、77.4%となり前期の78.8%と比べ1.4ポイント減少しました。
株主の皆様への還元といたしましては、年間配当金を45円とし、連結配当性向は36.8%となっております。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
日本
日本では、エレクトロニクス業界の影響を受け、関連する当社製品の受注も低調でありましたが、第1四半期を底に緩やかな回復基調で推移しました。日本代理店経由で販売している韓国向けにおける在庫調整はほぼ完了し、当社製品の受注は回復途上にあります。その結果、当連結会計年度の売上高は55億44百万円(前期比11億2百万円、16.6%減)、セグメント利益は12億16百万円(同14億77百万円、54.8%減)となりました。
台湾
台湾では、外部環境は日本と同様の状況にあるものの回復には足踏みが見られ、その結果、当連結会計年度の売上高は26億20百万円(前期比8億72百万円、25.0%減)、セグメント利益は3億8百万円(同1億62百万円、34.5%減)となりました。
香港(香港、珠海)
香港(香港、珠海)では、当社製品の受注は緩やかな回復の傾向にあるものの、スマートフォンや自動車に関連する電子基板・部品の需要はいまだ弱く、当連結会計年度の売上高は17億17百万円(前期比2億55百万円、13.0%減)、セグメント利益は2億40百万円(同90百万円、27.3%減)となりました。
中国(蘇州)
中国(蘇州)では、一部顧客では回復の傾向にあるなか、パソコンやスマートフォンに関連する電子基板・部品の需要はいまだ力強さを欠き、その結果、当連結会計年度の売上高は26億71百万円(前期比1億41百万円、5.0%減)、セグメント利益は3億58百万円(同36百万円、11.3%増)となりました。
欧州
欧州では、高いインフレ率のなか顧客の生産活動には濃淡が見られ、その結果、当連結会計年度の売上高は8億96百万円(前期比90百万円、11.2%増)、セグメント利益は59百万円(同20百万円、25.2%減)となりました。
タイ
タイでは、電子基板メーカーの東南アジアにおける設備投資が活発化するなか、新規顧客における生産立ち上がりの遅れや顧客の生産減少・在庫調整等が続き、当連結会計年度の売上高は5億70百万円(前期比26百万円、4.5%減)、セグメント利益は6百万円(同75百万円、92.2%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度末に比べて10億86百万円減少し、66億90百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、19億41百万円(前期比18億69百万円減)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益が32億19百万円、減価償却費が7億73百万円、仕入債権の減少が3億93百万円、および法人税等の支払額が9億36百万円計上されたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13億97百万円(前期比4億58百万円増)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出が18億57百万円、有形固定資産の売却による収入が9億43百万円、定期預金の預入による支出が純額で3億3百万円計上されたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、17億73百万円(前期比9億73百万円増)となりました。
これは主に配当金の支払が8億56百万円、自己株式の取得による支出が9億円計上されたこと等によるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、電子基板用薬品の製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社グループ製品は見込生産を主体としており、総販売高に占める受注生産の割合は僅少のため受注実績の記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行っております。経営陣は、重要な会計方針の一部、具体的には貸倒引当金、賞与引当金、投資の減損、繰延税金資産、退職給付費用等に関する見積りおよび判断に対して、過去の実績や決算日現在の状況に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの当連結会計年度の財務状態は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
今後もさらなる会社の財産の有効な活用に取り組む所存であります。
具体的には連結ROEは、10%をベースに持続的改善を図り、連結配当性向については30%を中期的目標といたします。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりでありますが、損益区分ごとの分析は以下のとおりであります。
売上高
当連結会計年度の連結売上高は140億20百万円となり、前期に比べ23億9百万円(14.1%)減となりました。そのうち薬品売上高は137億64百万円で、前期に比べ22億77百万円(14.2%)減となりました。主な要因は、弱い個人消費やデータセンターの投資計画変更等を背景に関連製品の売上が減少したこと等によるものであります。機械売上高は1億12百万円、前期に比べ58百万円(34.1%)減となりました。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は83億16百万円となり、前期に比べ14億87百万円(15.2%)減となりました。売上総利益率は59.3%となり、前期に比べ0.7ポイント低下しました。主な要因は、薬品の出荷数量が減少したこと等によるものであります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は58億24百万円となり、前期に比べ24百万円(0.4%)増となりました。主な要因は、旅費交通費や消耗品費、研修費の増加等によるものであります。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は24億92百万円となり、前期に比べ15億11百万円(37.7%)減となりました。売上高営業利益率は、17.8%となり、前期に比べ6.7ポイント低下しました。
キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度を含む5期間のキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
債務償還年数 :有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは人件費、研究開発費および荷造運搬費等であります。また、これ以外に納税資金、利益配当金等も特定の時期に必要となります。
財務政策
当社グループは、運転資金および経常的な設備投資資金については手持資金で賄っており、工場建設等の大規模投資に関しましては、案件ごとに市場の金利情勢等に応じていくつかの選択肢から適切に資金調達を行う考えであります。