売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02474 Japan GAAP

売上高

435.1億 円

前期

781.4億 円

前期比

55.7%

時価総額

1,411.3億 円

株価

1,172 (07/12)

発行済株式数

120,415,600

EPS(実績)

12.29 円

PER(実績)

95.36 倍

平均給与

679.9万 円

前期

709.8万 円

前期比

95.8%

平均年齢(勤続年数)

41.1歳(11.5年)

従業員数

802人(連結:1,838人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当企業集団は、当社の親会社、当社および当社の関係会社(子会社)8社(以下、当社を含めて「当社グループ」という。)で構成され、試薬、機器、受託、遺伝子医療の各事業を展開しております。当社グループの事業内容と当該事業における各社の位置づけは次のとおりであります。

 なお、セグメント情報を記載していないため、事業別に記載しております。

(1)現在の事業内容

① 試薬・機器・受託

 当社グループは、バイオテクノロジーを利用して研究、製品開発、検査事業等を行う大学、公的研究機関や企業、検査会社を主な顧客とし、当社グループの製品およびサービスを販売代理店経由または顧客に対して提供しております。その際、顧客に製品・技術情報を提供し、関連する技術セミナーを開催する等、販促活動を積極的に行い、付加価値を高め、競合との差別化を図っております。

1)試薬・機器・受託事業の事業領域について

 バイオテクノロジーによる研究開発は、遺伝子や細胞レベルで生命現象を解明することが基本となります。当社グループは、遺伝子や細胞を解析するためのテクノロジーとして、PCR/リアルタイムPCR、クローニング、遺伝子/タンパク質発現、遺伝子導入、ベクターシステム、次世代シーケンス、ゲノム編集、幹細胞等の遺伝子工学および細胞工学技術を培ってまいりました。これらの技術を基盤とし、分子生物学分野におけるDNA/RNA解析製品、酵素等のバルク/カスタム製造、細胞生物学分野における幹細胞(ES/iPS細胞等)関連製品、シングルセル解析へと製品およびサービスを拡大させております。さらに、研究支援分野から産業応用支援分野へ事業領域を拡大させるべく、GCTP/GMP(注)に準拠した再生医療等製品等の製造受託や研究開発パートナーとして受託サービス等を行うCDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)事業を展開しております。CDMO事業では、研究用試薬、遺伝子治療・細胞医療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、遺伝子解析・検査関連受託や再生医療等製品関連受託サービスを展開しております。

(注)GCTP(Good Gene, Cellular and Tissue-based Products Manufacturing Practice)は再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準、GMP(Good Manufacturing Practice)は医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準を指しております。

2)試薬

 バイオテクノロジーを利用する研究では、その目的や段階、また、対象物質に応じて多くの種類の研究用試薬が必要であります。当社は、1979年に国産初の制限酵素を発売以来、遺伝子工学研究用試薬の主要メーカーとして、遺伝子工学の発展に即応した新技術や新製品の開発を進めております。

 当社は、2005年9月に米国のClontech Laboratories, Inc.(現Takara Bio USA, Inc.)を買収し、これにより当社グループの研究用試薬の製品ラインナップに、細胞分子生物学分野を中心としたClontech®製品群が加わりました。また、2014年8月にスウェーデンのCellectis AB(現Takara Bio Europe S.A.S.)を買収し、幹細胞分野を中心としたCellartis®製品群が加わり、2017年1月には、米国Rubicon Genomics,Inc.(その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、超微量核酸サンプル解析領域の製品群の品揃えを強化いたしました。

 さらに、2020年11月からは、PCR技術を用いた体外診断用医薬品を販売しております。

3)機器

 理化学機器についてもバイオテクノロジーに関する知識が必要であり、機器の消耗品としての試薬と合わせ、システムとして開発・販売されることも多く、当社グループにとってもシナジー効果が得られる領域であります。

 当社グループのこの領域における事業は、1988年にPCR法に必須であるサーマルサイクラーと呼ばれる遺伝子増幅装置の米国からの輸入販売を開始したことに始まります。その後、当社独自の実験ノウハウを搭載したPCR装置やリアルタイムPCR装置を開発し、事業拡大に努めております。

 さらに、2017年には、シングルセル(1細胞)解析分野で独自技術を持つ、米国WaferGen Bio-systems, Inc. (その後、Takara Bio USA, Inc.に吸収合併)を買収し、理化学機器の製造・販売力を強化しております。

4)受託

 当社は、研究開発ならびに製造を契約ベースで大学、公的研究機関や製薬企業等から有償で請け負う事業を行っております。特に、製薬企業などが進める再生・細胞医療・遺伝子治療等製品の製法開発から製造までの工程を対象とするCDMO受託に注力しております。

a)遺伝子解析・検査関連受託

 当事業では、単なる遺伝子の配列解析サービスにとどまらず、次世代シーケンス解析を用いた大規模ゲノム解析プロジェクトへの参加や遺伝子の機能解析サービス等を行っております。また、基礎研究支援で培ってきた遺伝子解析技術を応用し、先端的な遺伝子検査サービスを提供しております。さらに、信頼性保証体制のもと、製薬企業等が、薬事申請等に使用するための各種塩基配列解析や医療機関の依頼によりがん患者の検体のゲノム検査等を行っております。

b)再生医療等製品関連受託

 遺伝子治療の臨床開発で培った技術・ノウハウを活用し、製薬企業等の再生・細胞医療・遺伝子治療等関連の開発・製造支援受託に必要な設備・体制を保有しております。当事業では、遺伝子導入用ベクター、ワクチン、再生・細胞医療に利用される細胞等のGCTP/GMPに準拠した受託製造や製造プロセス開発、試験製造、品質管理試験法の開発、バイオアッセイサービスを行っております。

② 遺伝子医療

 当社は、コアテクノロジーである遺伝子工学技術や細胞工学技術の応用分野として、当社が開発したバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に向けて取り組んでおります。

1)遺伝子治療の現状について

 従来、医薬品は化学合成により製造される低分子化合物が中心でしたが、近年になりバイオテクノロジーが発展すると、抗体や組換えタンパク質等を主成分とするバイオ医薬品が出現するようになりました。さらに、幹細胞やウイルスベクター等の新たな技術の発展により、細胞や遺伝子を薬とする再生・細胞医療・遺伝子治療等が、新しいモダリティ(治療手段)として注目を集めております。
 遺伝子治療とは、治療用遺伝子、あるいはこれらの遺伝子を組み込んだ細胞をヒトの体に投与することにより疾患を治療する方法であります。欧米の製薬企業を中心に開発が進んだ結果、最近では、上市が相次いでおり、バイオベンチャーや製薬企業等による競争が激しくなっております。

2)創薬基盤技術の事業化

 遺伝子改変T細胞(遺伝子治療薬の一種)の製造に使用されるレトロネクチン®やmRNAワクチンの製造に使用されるmRNA合成酵素等の製造補助剤(Ancillary Materials)の開発、製造、販売のほか、脳指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターCereAAVTM、内耳組織指向性in vivo遺伝子治療用ウイルスベクターSonuAAVTMの開発に取組み、これらの技術の事業化を進めています。

3)臨床開発プロジェクト

 当社において開発した、siTCR技術を活用した遺伝子改変T細胞療法であるNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬(開発コード:TBI-1301)および抗腫瘍効果が長期に持続する次世代CAR遺伝子治療技術(JAK/STAT技術)を利用したCD19・JAK/STAT・CAR(開発コード:TBI-2001)の臨床開発が進行しております。

 

 

 

(2)当社グループ各社の位置づけ

① 試薬・機器・受託

 当社は、試薬・機器等の開発・製造・販売やCDMO受託を行っております。中国において、宝生物工程(大連)有限公司が試薬の開発・製造や受託を行い、宝日医生物技術(北京)有限公司が試薬や機器の販売を行っております。ヨーロッパにおいて、Takara Bio Europe S.A.S.が試薬の製造・販売、機器の販売や受託を行い、Takara Bio UK Ltdが試薬や機器の販売を行っております。Takara Korea Biomedical Inc.は、韓国において、試薬や機器の販売を行っております。Takara Bio USA, Inc.は、米国において、試薬・機器の開発・製造を行い、全世界に販売しております。DSS Takara Bio India Private Limitedは、インドにおいて、試薬の製造・販売を行っております。

② 遺伝子医療

 当社は、再生・細胞医療・遺伝子治療等に関連するバイオ創薬基盤技術開発、当社が開発したNY-ESO-1・siTCR®遺伝子治療薬およびCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療薬の臨床開発等を進めるほか、レトロネクチン等の製造補助剤の開発・製造・販売に取り組んでおります。

(3)事業の系統図

 以上の企業集団の状況について、当社および主要な子会社等との関係を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 宝ホールディングス(東証プライム市場)は、2024年3月31日現在、当社議決権の60.93%を所有する親会社であります。当社と、宝ホールディングスおよび同社のグループ会社(同社の子会社および関連会社)との間には取引があります。宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけおよび同グループ内の会社と当社との主な取引の内容は、以下のとおりであります。

① 宝ホールディングスグループにおける当社の位置づけ

 宝ホールディングスグループは、純粋持株会社である宝ホールディングスおよび同社の関係会社68社(子会社66社、関連会社2社)で構成されております。その中で当社は、バイオテクノロジー専業の事業子会社として位置づけられており、当社の関係会社(子会社)8社とともにバイオ事業を推進しております。

② 宝ホールディングスグループとの取引について

 宝ホールディングスグループとは、主に営業拠点に関する不動産賃貸借取引、商標権使用に関する取引およびコンピュータ関係業務の委託等に関する取引があります。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (5)当社の親会社について」に記載しております。

 

24/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 当期の経営成績の概況

 当連結会計年度における世界経済は、インフレの長期化、中国経済の減速、ロシアのウクライナ侵攻等の影響により、先行きは不透明な状況となっております。

 このような状況の中、当社グループは、2025年度を最終年度とする6カ年の「長期経営構想2025」および3カ年の「中期経営計画2025」のもと、試薬・機器事業とCDMO事業を通じ、バイオ創薬基盤技術開発を進め、ライフサイエンス産業のインフラを担うグローバルプラットフォーマーを目指すための取り組みを推進いたしました。

 当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の法令上の位置づけの変更による検査関連製品の販売減少、海外経済不況の影響を受けたライフサイエンス研究市場の低迷等により、43,505百万円(前期比44.3%減)と減収となりました。売上原価は、売上高の減収等により16,597百万円(同50.3%減)となりましたので、売上総利益は、26,908百万円(同39.9%減)となりました。販売費及び一般管理費は、研究開発費等が減少し、23,905百万円(同1.3%減)となり、営業利益は、3,003百万円(同85.4%減)と減益となりました。

 営業利益の減益にともない、経常利益は、3,405百万円(同83.5%減)、税金等調整前当期純利益は、2,853百万円(同86.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,480百万円(同90.8%減)となりました。

 また、当社グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

② 当期の財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は121,252百万円となり、前連結会計年度末に比べて7,949百万円減少いたしました。これは主に、有形固定資産が8,119百万円、流動資産のその他が2,020百万円増加したものの、現金及び預金が16,430百万円、売掛金が1,156百万円減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は9,467百万円となり、前連結会計年度末に比べて7,280百万円減少いたしました。これは主に、流動負債のその他が3,323百万円、未払金が2,486百万円、支払手形及び買掛金が779百万円減少したことによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は111,784百万円となり、前連結会計年度末に比べて669百万円減少いたしました。これは主に、円安の進行により為替換算調整勘定が2,867百万円増加したものの、利益剰余金が3,576百万円減少したことによるものであります。

③ 当期のキャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費4,279百万円、税金等調整前当期純利益2,853百万円、売上債権の減少額1,501百万円によるキャッシュ・イン、未払消費税等の減少額3,439百万円、法人税等の支払額2,359百万円、仕入債務の減少額928百万円によるキャッシュ・アウト等により1,711百万円の収入と、前連結会計年度に比べて35,185百万円の収入減少となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入2,937百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出12,778百万円、定期預金の預入による支出2,224百万円により13,043百万円の支出と、前連結会計年度に比べて6,349百万円の支出増加となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額5,052百万円等により5,233百万円の支出と、前連結会計年度に比べて1,113百万円の支出増加となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より15,886百万円減少し、33,171百万円となりました。

 

④ 生産、仕入、受注および販売の状況

1)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

14,623

△40.4

機器

79

△33.1

受託

8,377

△1.4

遺伝子医療

1,686

13.6

合計

24,766

△28.5

 

(注)金額は、販売価格によっております。

 

2)仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

3,686

△23.5

機器

1,102

△26.2

合計

4,788

△24.2

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

3)受注実績

 CDMO事業において、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

4)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をカテゴリーごとに示すと、次のとおりであります。

カテゴリー

金額(百万円)

前期増減率(%)

試薬

31,961

△51.5

機器

892

△35.1

受託

7,997

△2.5

遺伝子医療

2,653

0.5

合計

43,505

△44.3

(注)1.カテゴリー間の内部売上高は除いて記載しております。

2.主要な販売先については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (セグメント情報等) 関

連情報 3 主要な顧客ごとの情報」に記載のとおりであります。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

1)当連結会計年度の経営成績等

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高43,505百万円(前期比44.3%減)、営業利益3,003百万円(同85.4%減)、経常利益3,405百万円(同83.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,480百万円(同90.8%減)で、減収減益となりました。

 なお、経営成績等の概要につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

2)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

3)資本の財源および資金の流動性

 当社グループは、研究開発型企業として研究開発投資を積極的に実施し、また、今後の持続的成長のための戦略投資(設備投資やM&A投資等)も必要に応じて実施していく方針であることから、これらの資金需要に対応するため、内部留保の充実、十分な手元流動性の確保が必要であると考えております。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、33,171百万円であり、十分な手元流動性は維持できているものと認識しております。

 当社グループは、現在の十分な手元流動性と営業活動によるキャッシュ・フローの創出により、財務健全性を維持しながら、今後の資金需要に対応可能であるものと考えております。

4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。