E31633 Japan GAAP
前期
957.1億 円
前期比
110.9%
株価
5,741 (04/24)
発行済株式数
60,192,200
EPS(実績)
343.65 円
PER(実績)
16.71 倍
前期
780.6万 円
前期比
103.6%
平均年齢(勤続年数)
43.7歳(16.0年)
従業員数
1,378人(連結:1,943人)
当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社(デクセリアルズ株式会社)及び子会社12社(連結子会社11社及び非連結子会社1社)及び持分法適用関連会社2社により構成されており、光学材料、電子材料、接合材料等の製造・販売を主要な事業としております。
当社グループは、「Value Matters-今までなかったものを。世界の価値になるものを。」をビジョンに掲げ、卓越した独自の技術を組み合わせ、お客さまのニーズ、課題に応え、エレクトロニクス分野や環境・新エネルギー分野、モビリティ分野などに、高度な材料技術やプロセス技術に支えられた新しい高機能性材料を提供することで、人間社会と地球環境の豊かさと質の向上に貢献してまいります。そして付加価値の高い製品を提供し続けるために、社名の元になっている「かしこく、機敏に」材料の力を組み合わせ、常に新しい価値を創造できる『人』を社内に創ること、が大切な使命だと考えております。
当社グループの社員は、常に、持てる技術に磨きをかけ、知恵をしぼり、仕事に向かう姿勢として、経営理念である「Integrity 誠心誠意・真摯であれ」を心がけています。その真摯に取り組む姿勢が技術開発や製品品質の向上につながり、お客さまに喜んでいただける付加価値の高い製品を生む当社の基礎(いしずえ)となっていると考えております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の2事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
また、当社は前連結会計年度末日をみなし取得日として株式会社京都セミコンダクターを連結の範囲に含めております。報告セグメントは、同社事業の光半導体カテゴリーを電子材料部品事業として新たに追加しております。
(1)光学材料部品事業
当事業は光学フィルム、光学樹脂材料の2カテゴリーに分けられています。これら2カテゴリーには反射防止フィルム、光学弾性樹脂、精密接合用樹脂等が含まれており、特に主力製品である反射防止フィルム(当社製品名:ARF)は当社独自の技術によりコンシューマーエレクトロニクス及び自動車用ディスプレイパネルでの採用が進んでおり、業界からの高い評価を得られております。また、精密接合用樹脂は、精密な固定が要求されるセンサーモジュールの組み立て用接着剤として、スマートフォンをはじめとするさまざまなアプリケーションで採用が広がっています。
当社、子会社Dexerials America Corporationが製造・販売を行い、子会社Dexerials Hong Kong Limited、Dexerials Taiwan Corporation他3社が販売を行っております。
当事業は、主に製品技術として光学特性の向上に係る事業であり、全て顧客仕様にあわせてカスタマイズした上で、液晶パネルメーカー及びセットメーカー等に販売しております。
主にスマートフォン、タブレットPC、パソコン、及び自動車向けディスプレイの需要に対応しております。
その中でも、反射防止フィルムは、ディスプレイの表面で発生する外光反射を抑制するフィルムとして、スパッタ製法を用いた優れた低反射特性と耐擦傷性を実現させ、ノートPC向けディスプレイや車載ディスプレイでの採用が拡大しております。
(各製品カテゴリーに含まれる主な製品・ソリューションの概要)
・光学フィルムカテゴリー
-反射防止フィルム:ディスプレイパネルの表面に貼り付けることで、外光の反射を低減し、パネルの視認性を向上させる機能を持つフィルム
-蛍光体フィルム:液晶ディスプレイの画像の色調等を向上させる機能性フィルム
・光学樹脂材料カテゴリー
-光学弾性樹脂:フラットパネルディスプレイでディスプレイモジュールとカバーガラスの貼り合わせに使われる透明な樹脂粘着剤
-精密接合用樹脂:カメラモジュールをはじめとする各種センサーモジュールの組み立て等に用いられる樹脂接着材
-光ディスク用紫外線硬化型樹脂:DVD・BD等の光ディスク用の表面保護のためのコーティング剤・接着剤
(2)電子材料部品事業
当事業は異方性導電膜、表面実装型ヒューズ、マイクロデバイス、光半導体、接合関連材料の5カテゴリーに分けられています。特に主力製品である異方性導電膜(当社製品名:ACF)は1977年に業界で初めて開発・量産化しており、高い技術、品質で世界市場において高いシェアを有しております。
当社、子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.及び株式会社京都セミコンダクター が製造・販売を行う他、子会社Dexerials Precision Components株式会社が製造を行い、子会社Dexerials Hong Kong Limited、Dexerials Taiwan Corporation他5社が販売を行っております。
当事業は、接着、接合、接続特性向上に係る事業であり、顧客仕様にあわせたカスタマイズ製品と標準タイプの汎用製品を、電子部品メーカー及び材料加工メーカー等に販売しております。
その中でも、異方性導電膜は、スマートフォン、タブレットPC等の小型化、薄型化、狭額縁化、軽量化に寄与しておりますが、特にスマートフォン等の中小型フレキシブルOLEDパネルで主に使われる粒子整列型タイプを当社は強みとしております。近年ではさらなる小型化、狭額縁化に対応可能な粒子整列型異方性導電膜の需要が拡大しており、安定的に供給できる体制を確立しております。また、近年、スマートフォン向けセンサーモジュールの実装用途において、モジュールの異形化に対応した形状加工タイプの異方性導電膜の採用が拡大しております。
(各製品カテゴリーに含まれる主な製品の概要)
・接合関連材料カテゴリー
-工業用機能性接合材:半導体・通信・車載機器向けの粘着テープ等の機能性接合材料
・異方性導電膜カテゴリー
-異方性導電膜:主に、ガラス・プリント基板に電子部品を接続する、導通と絶縁の機能を兼ね備えた接着フィルム
・表面実装型ヒューズカテゴリー
-表面実装型ヒューズ:リチウムイオン二次電池を過充電や過電流から保護するためのヒューズ
・マイクロデバイスカテゴリー
-無機材料:主にプロジェクター向けの無機偏光板・無機波長板・無機拡散板
・光半導体カテゴリー
-光半導体デバイス及びモジュール:光通信用デバイス・センシング用デバイス
(3)研究開発・生産・販売体制
(研究開発・生産体制)
研究開発・生産に関しては、生産効率及び管理効率の最大化を図るため、開発拠点及びメイン工場として
栃木県下野市の栃木事業所へ集約しております。
研究開発の基本方針として、材料技術、プロセス技術、分析・解析技術、評価技術を基軸に、技術の融合と進化によるコア技術の強化とビジネス拡大への貢献を掲げ、新規領域での事業成長を加速させるべく研究開発体制につきましては、研究開発機能はコーポレートR&D部門が、各事業の意思決定の迅速化を図るため事業部へ統合した商品開発機能は開発技術部門が、アライアンス戦略機能は経営戦略本部が、新規事業創出機能はグローバルセールス&マーケティング本部が、権限と責任をより明確化することで、自律的な運営を行っております。これらの研究開発からマーケティングまでの機能を連携させた全社の技術戦略の策定と推進をDexerials Innovation Group(DIG)推進部が担っております。
また、分析・解析拠点を栃木、中国、韓国の各拠点に設置し、顧客の実装ラインを保有することで迅速かつ顧客の生産工程に即した対応を可能としており、同時に製品の改良・開発等へフィードバックが可能となっております。
生産体制につきましては、流通及び管理効率化のため、生産拠点は栃木事業所、鹿沼事業所をはじめ国内外の8拠点で構成しております。
(販売体制)
当社グループはグローバルに事業を展開し、世界のメーカーと取引を行うなど、多くの顧客を有しており、直接の販売先だけでなく、最終顧客(最終製品メーカー)との直接のコミュニケーションに加え、装置メーカーやEMSとも連携し、強固な関係を築いております。特に、新製品投入の際には、外部からの分析や模倣が非常に難しい高機能な材料とその性能を最大限引き出すプロセスを組み合わせた、ソリューションを提供しております。更に、顧客へのプロセス特許の無償提供や、顧客の製造設備の導入サポートにより製造プロセスのスタンダード化を実現しております。これらの販売機能はグローバルセールス&マーケティング本部が主体的に担っております。
また、顧客に密着した営業活動を行うため、海外販売子会社を米国、オランダ、香港、中国、台湾、韓国及びシンガポールに置き、国内では東京、大阪に営業部門を置いており、製品カテゴリー別に組織しております。
[事業系統図]
以上述べた主な事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
当社の他、子会社8社は光学材料部品事業・電子材料部品事業共通であり、子会社Dexerials (Suzhou) Co.,Ltd.、株式会社京都セミコンダクター、及びKyosemi Opto America Corporation は電子材料部品事業に属しております。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する行動制限が徐々に緩和し経済活動が再開する一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格上昇、世界的なインフレ、中国でのゼロコロナ政策による都市封鎖などの影響により緩やかな回復に留まり、依然として先行きの不透明さは続いています。
当社の製品が関わる主要業界では、コンシューマーIT製品市場において、スマートフォンは中国での顧客工場停止による生産数減少、ノートPC・タブレットは景気後退懸念による大幅な在庫調整があり、厳しい事業環境となりました。
このような経営環境のなか、事業環境の変化の影響を受けにくい事業ポートフォリオへの転換に取り組みました。新規領域においては、2022年3月に買収し新規に連結子会社となった株式会社京都セミコンダクターでは生産性の改善に取り組んだほか、自動車向け製品の販売が拡大するなど、コンシューマーIT製品以外の事業を拡大しました。既存領域においては、テクノロジーの進化を先回りした製品の開発・提案に取り組み、高付加価値製品の販売が拡大しました。
この結果、新規連結の株式会社京都セミコンダクターの貢献に加え、差異化技術製品である精密接合用樹脂、異方性導電膜(ACF)及び光学フィルムの販売が拡大しました。
以上より、当連結会計年度の売上高は106,167百万円(前連結会計年度比10.9%増)となり、営業利益は32,288百万円(前連結会計年度比21.2%増)となりました。
経常利益は、為替差損等が増加したものの、30,174百万円(前連結会計年度比20.6%増)となりました。
税金等調整前当期純利益は、特別損失として固定資産除却損等を計上しておりますが、29,632百万円(前連結会計年度比24.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、20,685百万円(前連結会計年度比24.1%増)となりました。
各セグメントの業績、ならびに製品カテゴリー別の売上状況は以下のとおりであります。
なお、株式会社京都セミコンダクターの事業である光半導体カテゴリーを電子材料部品事業として新たに追加しております。
(光学材料部品事業)
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減率 |
売上高 |
49,159 |
55,384 |
12.7% |
営業利益 |
13,127 |
17,969 |
36.9% |
(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。
・ 売上高は55,384百万円(前連結会計年度比12.7%増)、営業利益は17,969百万円(前連結会計年度比36.9%増)となりました。
・ 光学フィルムでは、反射防止フィルムにおいてノートPC用ディスプレイ向け製品が減少したものの、車載ディスプレイ向け製品が増加したことに加え、蛍光体フィルムの増加により、増収増益となりました。
・ 光学樹脂材料では、精密接合用樹脂における大手顧客スマートフォン向け製品の数量増加などにより増収増益となりました。
(電子材料部品事業)
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減率 |
売上高 |
47,195 |
51,495 |
9.1% |
営業利益 |
15,304 |
16,106 |
5.2% |
(注)売上高にはセグメント間取引が含まれています。
・ 売上高は51,495百万円(前連結会計年度比9.1%増)、営業利益は16,106百万円(前連結会計年度比5.2%増)となりました。
・ 接合関連材料では、ノートPC向けの数量減少に加え、事業再評価の結果、汎用品を中心に収益性の低い製品の販売を前連結会計年度において終了したことにより、減収減益となりました。
・ 異方性導電膜では、主にスマートフォンのハイエンドモデルにおいてディスプレイ向け粒子整列型ACFが堅調に推移したほか、カメラ等の各種センサーモジュール向けの形状加工ACFの販売拡大により、増収増益となりました。
・ 表面実装型ヒューズでは、電動工具やノートPC向けにおいて顧客の在庫調整に伴う数量減により減収減益となりました。
・ マイクロデバイスでは、プロジェクター需要の回復に加えて当社製品採用モデルの好調により増収増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ77百万円減少し、当連結会計年度末には29,286百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は21,339百万円(前連結会計年度比4,464百万円減)となりました。これは主に法人税等の支払額10,705百万円の一方で、税金等調整前当期純利益29,632百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は9,447百万円(前連結会計年度比2,987百万円減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出10,705百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は12,535百万円(前連結会計年度比6,751百万円増)となりました。これは主に長期借入れによる収入10,000百万円の一方で、自己株式の取得による支出8,999百万円、長期借入金の返済による支出5,220百万円及び短期借入金の純増減額の減少4,500百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
||
光学材料部品 |
58,017 |
110.8 |
電子材料部品 |
50,435 |
97.7 |
合計 |
108,452 |
104.3 |
(注)金額は売価換算値によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループは主として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
||
光学材料部品 |
54,967 |
112.1 |
電子材料部品 |
51,199 |
109.7 |
合計 |
106,167 |
110.9 |
(注)1.金額はセグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
日東電工株式会社 |
14,737 |
15.4 |
12,245 |
11.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は126,379百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,405百万円の減少となりました。
流動資産は59,238百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,847百万円の減少となりました。その主な要因は、商品及び製品が316百万円、その他(流動資産)が664百万円それぞれ増加した一方で、受取手形及び売掛金が6,013百万円、仕掛品が681百万円それぞれ減少したことであります。
固定資産は67,141百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,441百万円の増加となりました。その主な要因は、のれんが2,283百万円、土地が1,110百万円それぞれ減少した一方で、建物及び構築物(純額)が3,137百万円、建設仮勘定が3,025百万円それぞれ増加したことであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は52,605百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,603百万円の減少となりました。
流動負債は35,074百万円となり、前連結会計年度末に比べ14,729百万円の減少となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金が7,115百万円、短期借入金が4,500百万円、その他(流動負債)が4,068百万円それぞれ減少したことであります。
固定負債は17,530百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,125百万円の増加となりました。その主な要因は、長期借入金が2,684百万円、その他(固定負債)が464百万円それぞれ増加したことであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は73,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,198百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金が16,929百万円、自己株式が8,463百万円、為替換算調整勘定が587百万円、繰延ヘッジ損益が333百万円それぞれ増加したことであります。
2)経営成績
当連結会計年度の売上高は106,167百万円(前連結会計年度比10.9%増)、営業利益は32,288百万円(前連結会計年度比21.2%増)、経常利益は30,174百万円(前連結会計年度比20.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,685百万円(前連結会計年度比24.1%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(営業利益)
売上原価は51,996百万円と、前連結会計年度と比べ1,470百万円増加し、売上原価率は49.0%と、前連結会計年度と比べ3.8%改善しました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ3,339百万円増加し、21,882百万円となりました。その主な要因は、給与、のれん償却費、減価償却費及び開発研究費が増加したことであります。
以上により、当連結会計年度の営業利益は32,288百万円と前連結会計年度に比べ21.2%の増益となりました。
(経常利益)
営業外収益につきましては、359百万円と前連結会計年度と比べ74百万円の増加となりました。その主な要因は、受取利息が増加したことであります。
営業外費用につきましては、2,472百万円と前連結会計年度と比べ568百万円の増加となりました。その主な要因は、為替差損が増加したことであります。
以上により、当連結会計年度の経常利益は30,174百万円と前連結会計年度に比べ20.6%の増益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益につきましては、補助金収入が64百万円、固定資産売却益が14百万円となりました。
特別損失につきましては、固定資産除却損が508百万円となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は29,632百万円と前連結会計年度に比べ24.6%の増益となりました。
法人税等については、法人税、住民税及び事業税が8,590百万円、繰延税金資産の取崩し等により、法人税等調整額が321百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益については35百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、20,685百万円と前連結会計年度に比べ24.1%の増益となりました。
3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当連結会計年度においては、コンシューマーIT製品市場において、スマートフォンは中国での顧客工場停止による生産数減少、ノートPC・タブレットは景気後退懸念による大幅な在庫調整があり、厳しい事業環境となりました。
世界的な景気低迷及びインフレが継続するなか、当社の製品が関わる主要業界では、ノートPCが減速、タブレット、スマートフォン及び自動車は前連結会計年度並みの需要にとどまり、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続くものと考えております。
このような状況の下、当社は、ハイエンドモデルのスマートフォンにおいて、ディスプレイ向けに粒子整列型ACF、センサーモジュール向けに精密接合用樹脂及び形状加工ACFの販売拡大に注力するとともに、新規領域である自動車向けや光半導体の成長を加速させてまいります。
経営成績に重要な影響を与えるその他の要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は29,286百万円となり、前年度末に比べ77百万円の減少となりました。当社グループでは、フリー・キャッシュ・フローを営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しており、当連結会計年度末の残高は以下のとおりであります。
項目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
25,804百万円 |
21,339百万円 |
△4,464百万円 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△12,434百万円 |
△9,447百万円 |
2,987百万円 |
フリー・キャッシュ・フロー |
13,369百万円 |
11,892百万円 |
△1,477百万円 |
当社グループの主な短期的な資金の需要としては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金、配当金の支払等を見込んでおります。なお、当社の短期的な資金調達の源泉は、主に営業活動によって獲得した現金であります。資金調達は金融機関からの借入れにより調達を行っておりますが、当連結会計年度末の有利子負債残高は19,935百万円であり、総資産に対して15.8%と低い依存度となっております。
当社グループでは、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性を維持することを資金調達の基本としており、国内の主要金融機関との良好な関係に基づき、長期借入れを中心として必要資金を低いコストで調達しております。また、流動性資金の確保の面では、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメントライン契約を締結しており、当連結会計年度末における総額は、15,670百万円(うち借入未実行残高は15,670百万円)であります。
連結子会社が保有する資金は、当連結会計年度末において15,316百万円でありますが、グループ資金は当社での有効活用を前提に、可能な限り配当を実施することを基本方針としており、各連結子会社の配当可能利益をベースに、各社の手元必要流動性資金を考慮の上、当社への資金還流を今後も積極的に進めていく予定であります。
資本政策につきましては、株主還元を充実させていくことを心掛け、従来どおり総還元性向として調整後親会社株主に帰属する当期純利益の40%を目処に、健全な財務基盤を確保しつつ、フリー・キャッシュ・フローの見通し、自己株式の取得を含む総還元性向、安定配当の重要性などを総合的に勘案した上で利益還元を行う方針であります。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況
1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
2023年3月期の達成・進捗状況は下記のとおりであります。
指標 |
2023年3月期(計画) |
2023年3月期(実績) |
2022年度(計画比) |
売上高 |
110,000百万円 |
106,167百万円 |
△3,833百万円 (3.5%減) |
営業利益 |
31,000百万円 |
32,288百万円 |
1,288百万円 (4.2%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
20,000百万円 |
20,685百万円 |
685百万円 (3.4%増) |
EBITDA |
38,000百万円 |
39,101百万円 |
1,101百万円 (2.9%増) |
ROIC |
21.0% |
24.4% |
3.4ポイント増 |
ROE(自己資本利益率) |
29.1% |
30.3% |
1.2ポイント増 |
(注)2023年3月期(計画)は2022年5月10日公表値
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「4 経営者による財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状
況」に記載のとおりであります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて
は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。