E01222 Japan GAAP
前期
931.8億 円
前期比
118.3%
株価
819 (04/26)
発行済株式数
38,089,792
EPS(実績)
108.43 円
PER(実績)
7.55 倍
前期
861.6万 円
前期比
99.0%
平均年齢(勤続年数)
56.6歳(15.7年)
従業員数
12人(連結:2,683人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は当社(アジアパイルホールディングス㈱)、子会社23社及び関連会社7社により構成されており、基礎工事関連事業を営んでおります。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
(1)コンクリート杭
国内ではジャパンパイル㈱がゼネコンや商社及び代理店等から基礎工事を請け負って製造・施工・販売するほか、子会社のジャパンパイル基礎工業㈱が施工、ジャパンパイル富士コン㈱及びジャパンパイル関東北販売㈱が施工・販売を行っております。上記に付随してジャパンパイル建設㈱は、ジャパンパイル㈱に対してコンクリート杭の原材料の販売を行っております。また、ジャパンパイル㈱は同業他社との間でOEM製品を委託または受託し、仕入または販売を行うことがあります。海外では、ベトナムにおいてPhan Vu Investment Corporationが施主等から基礎工事を請け負い、製造子会社8社に対して原材料の販売を行う一方でコンクリート杭を仕入れて施工・販売、または、製造子会社が顧客へ直接コンクリート杭を販売するほか、子会社1社が施工を行っております。ミャンマーにおいては、VJP Co., Ltd.がコンクリート杭の製造・販売を行っております。
(2)鋼管杭
ジャパンパイル㈱がメーカーから商社経由で鋼管杭を仕入れて施工・販売するほか、ジャパンパイル基礎工業㈱が施工を行っております。
(3)場所打ち杭
ジャパンパイル㈱がゼネコン等から材料の支給を受けて施工・販売するほか、ジャパンパイル基礎工業㈱が施工を行っております。
(4)その他
シントク工業㈱がジャパンパイル㈱及び同業他社に対してコンクリート杭の継手金具の製造・販売を、また、コンクリート二次製品付属金物の製造・販売を行っております。
以上の概要を事業系統図によって示すと、次のとおりとなります。
※画像省略しています。
(注) 無印:連結子会社
※:関連会社で持分法適用会社
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの新たな段階への移行が進む中、世界規模での需要急増の影響を受けて原材料や資源の価格が高騰し、それにウクライナ情勢や円安の進行が加わり、先行き不透明な状況が続きましたが、一方で個人消費が回復するなど、景気は緩やかに持ち直しました。
当社グループが事業展開しているアセアン地区におきましては、ベトナムは輸出が停滞し、年度後半に入ってからは金融引き締め等の影響で不動産・建設市況が悪化するなど景気が急減速しました。ミャンマーでは、クーデター以降の経済全体の停滞が続きました。
当社が主として属するコンクリートパイル業界は、大規模な物流倉庫や工場等、サプライチェーンの改革やDX化の進展等に伴う民需が増加したことから、全体の出荷量は前年度対比大きく増加しました。
このような事業環境のもと、当社グループは5か年計画の4年目として、日本国内およびアセアン地域における最高の技術力と基礎建設能力を有するグループを目指し、引き続き体制整備に取り組んでまいりました。国内事業では、新工法「Smart-MAGNUM工法」の拡販を継続、同工法の施工性能の優位性を核に積極的な提案営業を継続するとともに、施工・生産設備の増強にも取り組んでまいりました。また、施工現場におけるICT導入を継続し、施工管理業務の効率化を進めるとともに、人材の育成・増強にも取り組んでまいりました。海外事業では、ベトナムの事業子会社Phan Vu Investment Corporationは日本の事業子会社ジャパンパイル㈱との技術連携を強化するとともに、採算とキャッシュ・フローを重視した事業活動に注力してまいりました。ミャンマーでは、経済全体の停滞から、子会社VJP Co., Ltd.の事業活動がほぼ停止した状況が続きました。
売上高に関しましては、国内事業において建設需要の増加を受け、新工法を中心に大型工事が順調に完工したことから、全体として増収になりました。その結果、当連結会計年度の売上高は1,102億45百万円(前期比18.3%増)となりました。利益面では、原材料価格高騰が続いたものの、日本国内での新工法の販促による増収効果と新工法の施工効率の改善が寄与し工事粗利率が改善したことから、営業利益は62億83百万円(同187.6%増)、経常利益は58億44百万円(同169.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は41億30百万円(同176.4%増)となりました。
なお、セグメント別の経営成績は以下の通りです。
国内事業 売上高 898億80百万円(前期比17.6%増) 営業利益 55億95百万円(同253.0%増)
海外事業 売上高 205億8百万円(前期比22.0%増) 営業利益 7億95百万円(同 26.1%増)
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は198億17百万円となり、前連結会計年度末より55億91百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動において得られた資金は、前年同期比39億20百万円増加し75億49百万円となりました。この要因は、売上債権の増加33億57百万円などにより減少しましたが、税金等調整前当期純利益の計上61億17百万円、減価償却費の計上33億86百万円、仕入債務の増加11億4百万円などにより増加したことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動において使用した資金は、前年同期比22億34百万円増加し48億95百万円となりました。この要因は、有形固定資産の取得による支出46億2百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動において得られた資金は、29億48百万円(前年同期は11億31百万円の使用)となりました。この要因は、長期借入れによる収入40億円、長期借入金の返済による支出13億88百万円、配当金の支払額8億44百万円などによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
国内事業 |
25,985 |
123.0 |
海外事業 |
11,681 |
99.3 |
合計 |
37,666 |
114.5 |
(注) 金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
国内事業 |
81,094 |
103.5 |
31,941 |
97.5 |
海外事業 |
24,399 |
106.0 |
8,072 |
78.0 |
合計 |
105,493 |
104.1 |
40,014 |
92.8 |
(注)1.受注金額には、工事代金が含まれております。
2.国内事業は主要な子会社であるジャパンパイル㈱の受注実績を記載しております。
3.国内事業における受注残高の算出については、工事完成基準における受注残高から工事進行基準及び原価回収基準による取込み額を控除しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
国内事業 |
89,736 |
117.5 |
海外事業 |
20,508 |
122.0 |
合計 |
110,245 |
118.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.販売金額には、工事代金が含まれております。
3.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありませんので、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
(資産)
総資産は前連結会計年度末に比べ134億73百万円増加し、992億29百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が59億28百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が43億25百万円、建設仮勘定などの有形固定資産が合計で22億7百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。
(負債)
負債は前連結会計年度末に比べ91億93百万円増加し、540億60百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が8億54百万円、ファクタリング未払金が8億40百万円、未払法人税等が16億34百万円、借入金が合計46億78百万円それぞれ増加したことなどによるものであります。
(純資産)
純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加41億30百万円、配当金の支払いによる減少7億61百万円、為替換算調整勘定の増加4億66百万円、非支配株主持分の増加2億77百万円などの結果、前連結会計年度末に比べ42億79百万円増加し451億69百万円となりました。
b.経営成績
(営業損益)
当連結会計年度の業績は、国内事業での建設需要の増加を受け、売上高は1,102億45百万円(前期比18.3%増)、売上原価は936億88百万円(同14.6%増)、売上総利益は165億56百万円(同45.3%増)となり、過去最高の売上高と利益を計上しました。
主力のコンクリート杭は、国内事業では主に新工法「Smart-MAGNUM工法」の拡販を継続、同工法の施工性能の優位性を核に積極的に提案営業するとともに、大型工事への集中や施工・生産能力を強化し施工管理業務の効率化を進めてまいりました。海外事業では、ベトナムにおいて年度後半での金融引き締め等の影響により不動産・建設市況が悪化しましたが、採算とキャッシュ・フローを重視した事業活動に注力するとともに、国内事業との一層の連携強化を進めてまいりました。その結果、コンクリート杭の売上高は前連結会計年度に比べ185億5百万円増加し915億85百万円(同25.3%増)となりました。また、鋼管杭は53億51百万円(同4.7%増)、場所打ち杭は103億14百万円(同16.3%減)となり、全体としては前期比増収となりました。
利益面では、原材料価格の高騰が続いたものの、新工法の販促による増収効果と新工法の施工効率の改善が寄与し工事粗利率が改善したことから増益となりました。その結果、連結の売上総利益率は2.8ポイント上昇し15.0%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、貸倒引当金繰入額が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ10億63百万円増加し、102億73百万円(同11.5%増)となりました。
これらにより、営業利益は前連結会計年度に比べ40億99百万円増加し、62億83百万円となりました。
(経常損益)
営業外収益は受取利息や受取配当金が増加しましたが、保険解約返戻金や杭保管料が減少したことを主因として、前連結会計年度に比べ29百万円減少し、4億16百万円(同6.7%減)となりました。また、営業外費用は支払利息が増加したことを主因として、前連結会計年度に比べ3億93百万円増加し、8億55百万円(同85.4%増)となりました。
これらにより、経常利益は前連結会計年度に比べ36億75百万円増加し、58億44百万円となりました。
(特別損益)
特別利益は、駐車場に供していた土地を売却したこと等に伴い、固定資産売却益を3億94百万円計上いたしました。
特別損失は、設備の更新などに伴う固定資産売却損と除却損を合わせて1億31百万円計上いたしました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ26億35百万円増加し、41億30百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減価償却費などの非資金項目に加え、営業活動に係る債権・債務及び税金等の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは75億49百万円の獲得となり、投資活動によるキャッシュ・フローの減少48億95百万円を賄うことができました。投資活動による支出は主に工場投資関連及び施工機材の投資に伴うものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、国内事業の長期借入金による資金調達等により、29億48百万円の獲得となりました。
資金の流動性につきましては、財務の健全性の維持を前提として事業活動に必要な流動性を確保しております。また、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行との間で合計40億円のコミットメントライン契約を締結しております。
(契約債務)
2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
年度別要支払額(百万円) |
||||
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
短期借入金 |
9,263 |
9,263 |
- |
- |
- |
長期借入金 |
6,495 |
1,763 |
2,994 |
1,737 |
- |
リース債務 |
285 |
43 |
83 |
80 |
76 |
上記の表において、連結貸借対照表の流動負債に計上されている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、借入または社債により資金調達することとしております。このうち、借入または社債による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備・施工機械などの長期資金は、長期借入金または社債で調達しております。
2023年3月31日現在、長期借入金の残高は1年内返済予定を含めて64億95百万円であります。また、当連結会計年度末において、㈱三井住友銀行及び㈱みずほ銀行との間で合計40億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高40億円)。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
④ 経営方針・経営戦略を判断するための客観的な指標等
当社グループは、品質の向上と効率化により施工及び生産体制の強化を実現し、安定した経営基盤の確立を図ることの経営指標として、営業利益、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。当連結会計年度におけるROEは、目標値の8.0%に対して10.5%となり、前連結会計年度に比べ6.4ポイント増加しました。
指標 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
営業利益 |
2,184百万円 |
6,283百万円 |
4,099百万円増(187.6%増) |
自己資本(A) (純資産-非支配株主持分) |
37,286百万円 |
41,288百万円 |
4,002百万円増( 10.7%増) |
親会社株主に帰属する当期純利益(B) |
1,494百万円 |
4,130百万円 |
2,635百万円増(176.4%増) |
ROE(自己資本利益率) (B/A) |
4.1% |
10.5% |
6.4pt増 |
⑤ 次期の見通し
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行や水際対策の終了等により我が国の社会経済活動はコロナ禍前の状況に戻り、景気の持ち直しが続くと期待されますが、世界的な金融引き締め等による世界経済の減速、原材料価格の高止まりと物価上昇やサプライチェーンの混乱等の影響が懸念され、依然として先行き不透明な状況が続くと予想されます。また当社グループが事業展開しているアセアン地区におきましては、ベトナムでは金利引き下げや減税等の政策による景気の回復が期待できるものの、不動産・建設市場には厳しい事業環境が続くと予想されます。ミャンマーも現状の経済停滞が当面続くと思われます。
当社グループが主として属するコンクリートパイル業界におきましては、大規模物件の需要が一巡する見込みで、全体の出荷量は減少すると予想されます。
このような環境のもと、当社グループは5か年計画の最終年度を迎えますが、日本国内およびアセアン地域における最高の技術力と基礎建設能力を有するグループを目指した総仕上げに注力してまいります。国内事業では、引き続き新工法を核に提案営業を進めるとともに、施工機材・生産設備の増強を進めてまいります。更に人手不足に対応すべく、既存の国内人材の育成のみならず、海外事業子会社の人材の活躍拡大にも注力し、グループ全体の人的資本の拡充を目指すとともに、情報のデジタル化の更なる推進による効率化を進めてまいります。
海外事業では、引き続きジャパンパイル㈱との技術連携による品質向上を目指してまいります。