E35497 Japan GAAP
前期
123.2億 円
前期比
101.8%
株価
1,022 (07/16)
発行済株式数
8,707,200
EPS(実績)
112.00 円
PER(実績)
9.13 倍
前期
577.8万 円
前期比
93.9%
平均年齢(勤続年数)
42.2歳(14.2年)
従業員数
299人(連結:355人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)の計2社で構成されており、建築関連、プラント関連の工事、国内外での製品等の販売を主な事業として取り組んでおります。
当社グループは、ゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とした各種の保温材、防耐火建材等の製造、販売及び設計・施工、関連資材の販売並びにアスベスト関連のコンサルティング、除去工事等を行っております。当社グループの製品は、1000℃に耐えうる耐火性、断熱性等の性能と、軽量で加工しやすく、経年変化が少ないなどの特性を持ち、高層建築物や石油化学プラント、火力・原子力発電所等において、耐火材、不燃材、保温材等として幅広く使用されております。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
当社は、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材として、以下のような建材等を提供しています。
ⅰ)耐火被覆材:熱に弱い鉄骨のはり・柱、免震装置といった建物の構造部材を被覆して、火災時に、構造部材を火炎や熱から護り、建物の倒壊を抑制することで人命や財産を護る役割を担う耐火材として、建築基準法に基づく認定を取得した製品を提供しています。
ⅱ)内装建材:建築基準法では特定条件の建築物やその部位に対し、火災時の延焼抑制のために、燃えない建材(不燃建材)を使用することが義務付けられており、当社では、けい酸カルシウム板を、デザイン加工できる不燃の内装材として供給しています。他にも、非常用発電機等の煙突用断熱材や文化財等を保管する展示ケース・収蔵庫の湿度環境を整える調湿建材としても供給しています。
ⅲ)多機能材:当社のけい酸カルシウム材は、加工性・吸水性等の機能を併せ持っており、建材以外の用途に、加工しやすさを活かしたCFRP用型材、彫刻・刻字向け工芸用ボードや洗剤に使用するための吸油性の高い無機粉体等を販売しています。
当社では、耐火被覆材の販売にとどまらず、施工請負までを一貫して行っています。耐火被覆材は建築物の火災安全性を担保するものであり、自社工事の場合は責任施工となり協力会社に施工を依頼しますが、管理業務は当社の社員が行い、要求事項が充足されているか責任を持ちます。万一、契約不適合責任期間内に生じた不具合は全て当社の責任で修復します。また、製造と施工を一貫して行うことで、顧客の改善要望を製品設計に円滑に反映する体制を保持しています。
他に、建物に施工された吹付けアスベストやアスベスト含有建材の除去工事も請け負っています。
顧客の要求に応じて、要求に関連する商品を仕入れて提供する事業も行っております。主要なものとして、建物の鉄骨はりにスリーブ管等を設置するための貫通孔用の耐火被覆材があります。高性能熱膨張性耐火ゴムシートを利用した商品となっております。
当社は、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材として、以下のような保温材等を提供しています。
ⅰ)プラント用保温材:プラント施設は様々な温度域の設備があり、その中でもボイラーや反応器などの熱設備や高圧蒸気用の温熱配管等は、内部が高温になるため、熱を逃がさないようにする保温を行う必要があります。種々の保温材のうちでも、1000℃の高い耐熱性を持つ、けい酸カルシウム保温材は、これらの熱設備等に対して適性が高い保温材として採用されています。
また、東南アジア・東アジアを中心とした海外プラントでの保温材需要に対応して、ベトナム工場(ジェイ アイ シー ベトナム有限会社)で、バイオマスを原燃料とした、けい酸カルシウム保温材を製造し、供給しています。
ⅱ) 工業用断熱材:高い耐熱性が要求される工業炉の断熱材や蓄熱暖房機やスチームオーブンレンジ等の断熱材等に、けい酸カルシウム断熱材を供給しています。
また、顧客からの要求に応じて、他材料との複合材の開発等も行っています。
当社は、建築の耐火被覆材のノウハウを応用して、ゾノトライト系けい酸カルシウム材を基材としたプラントにおける鉄骨部材の耐火被覆材を提供しています。
当社では、けい酸カルシウム保温材の販売にとどまらず、その施工請負までを一貫して行っており、高性能断熱材を製造し、それを用いて断熱工事をすることで、顧客の事業における省エネ効果やCO2排出の削減に貢献し、より高いレベルの品質管理を実現しています。また、自社製保温材以外の他種の保温材(プラント用保温材は上述のように様々な温度域があり、場所に応じて適した保温材が選定されます)を用いての施工も行い、プラント全体の保温保冷工事を一括して行う体制を整えています。
他に、断熱工事や施工されたアスベスト含有建材の除去工事も請け負っています。
顧客の要求に応じて、要求に関連する商品を仕入れて提供する事業も行っております。主要なものとして、上記a)に記載したジェイ アイ シー ベトナム有限会社(連結子会社)の製品であるけい酸カルシウム保温材があります。当社のけい酸カルシウム保温材との違いは、もみ殻を燃料とし、燃え残った灰を保温材の原料として利用したバイオマス商品となっていることであります。
事業系統図は、次のとおりであります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、景気は緩やかな回復基調で推移したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、また物価上昇やウクライナ・中東地域をめぐる情勢など、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの業績につきましては、建築関連では、販売部門で価格転嫁の効果に加え、需要量回復により増加したものの、大型の耐火被覆工事の受注の減少により工事部門の売上高が減少したため、建築関連セグメントの売上高は前年同期比で減少しました。プラント関連では、販売部門で、国内一般顧客メンテナンス向け、建設案件向け販売ともにやや振るわず、売上高が減少したものの、メンテナンス工事等の受注が堅調に推移したことにより、工事部門売上高が増加したため、プラント関連セグメントの売上高は前年同期比で増加しました。加えて両セグメントともに、原料・燃料費の高騰に対応して昨年より行ってきた価格転嫁の浸透により、損益面でも改善しております。
その結果、当社グループにおける当連結会計年度の売上高は12,537,772千円(前年同期比1.8%増)、営業利益1,458,110千円(前年同期比27.3%増)、経常利益は1,460,749千円(前年同期比27.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は975,182千円(前年同期比34.8%増)となりました。
セグメント別の経営成績は以下の通りであります。
<建築関連>
工事部門においては、データセンター、工場等の耐火被覆工事が比較的堅調に推移したものの、物流関係の大型工事案件の受注が振るわず、工事売上高は前年同期比で減少となりました。一方、販売部門においては、住宅向け耐火被覆材、炭素繊維強化プラスチック複合材料(CFRP)型材の販売量が堅調に推移したことに加え、価格転嫁の浸透により、販売売上高は前年同期比で増加しましたが、工事売上の減少を販売売上の増加でカバーするには至りませんでした。
以上の結果、工事及び販売を合わせた建築関連全体の売上高は4,603,413千円(前年同期比6.8%減)となりました。
工事部門においては、メンテナンス工事等の受注が堅調に推移したことにより、工事売上高としては前年同期比で増加しました。販売部門においては、当期間においては、国内一般顧客メンテナンス向け、建設案件向けともに振るわず、販売売上高は前年同期比で減少しましたが、工事売上の増加が販売売上の減少をカバーする形となりました。
以上の結果、工事及び販売を合わせたプラント関連全体の売上高は7,934,358千円(前年同期比7.5%増)となりました。
当連結会計年度末の財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べて1,793,018千円増加し、18,116,814千円となりました。
(流動資産)
流動資産については前連結会計年度末に比べて1,644,737千円増加し、11,878,817千円となりました。これは主に、売掛金が195,976千円、完成工事未収入金が62,506千円減少した一方で、現金及び預金が1,394,053千円、電子記録債権が202,014千円、契約資産が279,821千円、仕掛品が68,081千円増加したことによるものであります。
固定資産については前連結会計年度末に比べて148,280千円増加し、6,237,997千円となりました。これは主に、建物及び構築物が56,165千円、機械装置及び運搬具が83,296千円、繰延税金資産が14,172千円減少した一方で、建設仮勘定が12,047千円、投資有価証券が285,636千円増加したことによるものであります。
流動負債については前連結会計年度末に比べて805,609千円増加し、3,506,824千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が117,408千円減少した一方で、支払手形及び買掛金144,583千円、未払法人税等が334,958千円、賞与引当金が146,288千円、その他が153,903千円増加したことによるものであります。
固定負債については前連結会計年度末に比べて126,592千円増加し、1,279,176千円となりました。これは主に、健康被害補償引当金が28,716千円減少した一方で、長期借入金が147,860千円増加したことによるものであります。
純資産については前連結会計年度末に比べて860,815千円増加し、13,330,814千円となりました。これは主に、利益剰余金が655,454千円、その他有価証券評価差額金が189,751千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比較して1,194,947千円増加し、4,646,758千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、1,915,910千円(前年同期は1,933,001千円の獲得)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加額188,514千円、棚卸資産の増加額116,389千円、法人税等の支払額185,306千円により減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,415,951千円、減価償却費309,259千円、賞与引当金の増加額146,371千円、その他262,598千円により増加したことによるものであります。
投資活動により支出した資金は、447,001千円(前年同期は536,838千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出211,105千円、有形固定資産の取得による支出215,655千円により減少したことによるものであります。
財務活動により支出した資金は、274,526千円(前年同期は457,828千円の支出)となりました。これは主に、長期借入金による収入550,000千円により増加した一方で、長期借入金の返済による支出504,798千円、配当金の支払額319,727千円により減少したことによるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、工事原価、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に占める割合が10%以上である販売先は、該当ありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積に影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
アスベスト(石綿)健康被害を受けた元従業員等に対する支払に備えるため、将来発生すると見込まれる補償額を計上しております。
対象者が増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗に基づく収益を計上しております。なお、進捗度の見積りの方法は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合(インプット法)で算定しております。想定していなかった原価の発生等により工事進捗度が変動した場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式及び関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化または投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した場合は、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
売上高については、建築事業は販売が増収、工事が減益、プラント事業は工事が増収、販売が減益となり、全体として当社グループの売上高は前年同期と比較して217,671千円増加し、12,537,772千円となりました。
売上原価については、前年同期と比較して206,387千円減少し、8,905,945千円となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前年同期と比較して424,058千円増加し、3,631,827千円となりました。これは製品価格への原材料、エネルギー価格上昇分の転嫁が浸透したことによるものであります。
販売費及び一般管理費については、物流費、役職員賞与が減少したものの、賞与手当、求人費、支払手数料、試験研究費が増加などにより、前年同期と比較して111,397千円増加し、2,173,717千円となりました。
これにより営業利益については、前年同期と比較して312,660千円増加し、1,458,110千円となりました。
営業外収益については、受取利息及び受取配当金、受取保険金が増加したものの、健康被害補償引当金戻入額の減少などにより、前年同期と比較して10,900千円減少し、65,420千円となりました。営業外費用については、健康被害補償引当金繰入額が減少したことなどにより、前年同期と比較して16,464千円減少し、62,781千円となりました。
これにより経常利益については、前年同期と比較して318,224千円増加し、1,460,749千円となりました。
特別損失については、減損損失を計上し44,798千円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期と比較して251,598千円増加し、975,182千円となりました。
また、セグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金及び投資有価証券が増加したことなどにより前連結会計年度末と比較して1,793,018千円増加の18,116,814千円となりました。
当連結会計年度末における負債は、支払手形及び買掛金、未払法人税等、賞与引当金、長期借入金等が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して932,202千円増加の4,786,000千円となりました。
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比較して860,815千円増加の13,330,814千円となりました。
c. キャッシュ・フローの分析並びに、資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2.資金需要について
運転資金のうち主なものは、当社グループの製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いによるものです。
設備投資資金のうち主なものは、不燃内装材の生産設備増設等のための支払いであります。
3.財務政策について
運転資金として必要な資金は、営業活動により得られるキャッシュ・フローにより賄い、設備投資については、自己資金及び資本市場から得られた資金により実施しております。なお、設備資金及び長期運転資金として金融機関から調達した長期借入金につきましては、約定通りの返済を行い、金融機関との関係維持の為に一定の借入を実施する予定です。
また、金融上のリスクに対応するために取引金融機関との間で当座貸越契約を締結することで、手元流動性を確保しております。当座貸越契約とその借入実行残高(短期借入金)の状況は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結貸借対照表関係)3」に記載のとおりであります。
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。