E01332 Japan GAAP
前期
1.06兆 円
前期比
113.7%
株価
6,975 (06/24)
発行済株式数
70,666,917
EPS(実績)
472.16 円
PER(実績)
14.77 倍
前期
678.4万 円
前期比
103.0%
平均年齢(勤続年数)
43.5歳(19.1年)
従業員数
4,433人(連結:51,167人)
当企業集団は、インフラ、電装エレクトロニクス、機能製品の各事業において培われた技術を発展、応用した製品の製造販売を主な内容とし、さらに各事業に関連する研究及びその他のサービス等の事業活動を展開しております。
当連結会計年度末における当企業集団の事業内容、各関係会社の当該事業に係わる位置づけ及び報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。
(注)2025年4月1日付でOFS Fitel, LLCはLightera, LLCに、Furukawa Electric LatAm S.A.はLightera LatAm S.A.に、古河電工産業電線㈱は古河電工メタルケーブル㈱に社名変更しております。
なお、販売会社については、主に取り扱う製品の種類により、各セグメントに区分しております。
以上の項目を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
(注)1.2025年4月1日付でOFS Fitel, LLCはLightera, LLCに、Furukawa Electric LatAm S.A.はLightera LatAm S.A.に、古河電工産業電線㈱は古河電工メタルケーブル㈱に社名変更しております。
2.㈱KANZACCは、古河電工産業電線㈱を存続会社とする吸収合併により、2025年4月1日に消滅いたしました。
当連結会計年度の期首より、会計方針の変更を行っており、前連結会計年度との比較分析に当たっては、遡及適用後の数値を用いております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
(業績等の概要)
(1)業績
当期の世界経済については、米国では、インフレの鈍化及び所得環境の改善、雇用者数の緩やかな増加があったものの、追加関税措置によるインフレ懸念を受け個人消費に減速感が生じる等、景気の先行きに不透明感が高まりました。欧州では、金融緩和やインフレの落ち着き、所得環境の改善があったものの、個人消費、設備投資の伸び悩みや輸出の減速により、景気の回復は限定的なものとなりました。中国では、政府による景気刺激策の効果が見られましたが、不動産市場停滞の長期化等の影響から個人消費は低迷し、景気は伸び悩みました。さらに、ロシア・ウクライナ情勢や中東での軍事衝突等不安定な経済環境が継続しました。
わが国の経済においては、高水準の企業収益を背景に、主としてIT関連の需要に基づく設備投資が底堅く推移したものの、賃金・所得の伸びが物価上昇を安定的に上回る状況には至らず個人消費は力強さに欠け、景気の回復ペースは緩やかなものとなりました。
このような環境の下、当社グループでは、2030年におけるありたい姿を描き、そこへ向けての時間軸と領域を明確にした「古河電工グループ ビジョン2030」(以下、「ビジョン2030」という)からバックキャストして2025年に目指す姿の達成を見据えて策定した中期経営計画「Road to Vision2030-変革と挑戦-」(以下、「25中計」という)に基づき、「資本効率重視による既存事業の収益最大化」及び「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」を推進してまいりました。また、これらを下支えする「ESG経営の基盤強化」に取り組んでまいりました。
「資本効率重視による既存事業の収益最大化」については、事業ポートフォリオ最適化の取組みを進めることで、利益創出を図ってまいりました。主な取組みとして、統一された戦略による事業運営の効率化及びリソースの効率的な配分による競争力強化等を目的とした光ファイバ・ケーブル事業及びメタル電線事業の再編のほか、シナジーの発揮により成長市場における当社の優位性を確立するため、光コネクタにおいて開発力・コスト競争力に強みを持つ会社や高速光変調器において世界トップレベルのシェアを有する会社の子会社化を決定いたしました。また、データセンタ・AI関連市場においては、機能製品関連事業等において製品供給体制を強化し売上拡大を図ってまいりました。特に放熱・冷却製品について、競合他社との差別化を図り、より高機能な製品を顧客に対して提供することによって収益基盤の拡大に取り組んでまいりました。
「開発力・提案力の強化による新事業創出に向けた基盤整備」については、日本国内において道路や鉄道等の社会インフラの老朽化と労働人口の減少が進行するなか、社会インフラ維持管理向けデジタルソリューションの提供により省人化・省力化に貢献してまいりました。また、環境負荷や労働衛生の観点から課題の多い薬品等を使用することなく錆・塗膜を除去できるレーザ施工システムの開発を進めてまいりました。加えて、ライフサイエンスを中心とするフォトニクス技術の非通信領域に関する事業の強化を図るため、医療・産業機器向け光ファイバ及び光関連部品を製造する会社を子会社化いたしました。
「ESG経営の基盤強化」については、脱炭素社会実現に向けた更なる貢献のためバリューチェーン全体で温室効果ガスの排出量ネットゼロを目指すべく「古河電工グループ環境ビジョン2050」を改定いたしました。また、当社グループの存在意義を表す古河電工グループ パーパス「『つづく』をつくり、世界を明るくする。」(以下、「パーパス」という。2024年3月制定)について、従業員の理解促進及び共感の醸成を目的とした活動を実施してまいりました。これにより、従業員が当社グループで働くことへの誇りをもつことにつなげて従業員エンゲージメントの向上に取り組んでまいりました。加えて、従業員及びサプライチェーンにおける人権リスクの再評価により新たに特定したリスクについてそれらを低減させる施策に取り組むとともに、責任ある鉱物調達に関する対応ルールを策定いたしました。
当期の業績につきましては、電装エレクトロニクス事業におけるワイヤハーネス等の自動車部品での増収や機能製品事業におけるデータセンタ関連製品での増収、また銅地金価格・為替の変動の影響により、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、高付加価値製品のラインナップ拡充や生産性の改善、販売価格の適正化に取り組んだことにより増益となりました。
これらの結果、連結売上高は1兆2,018億円(前期比13.7%増)、連結営業利益は471億円(前期比359億円増)、連結経常利益は486億円(前期比383億円増)となりました。株式交換差益48億円、投資有価証券売却益104億円等を特別利益に、減損損失26億円、製品補償引当金繰入額61億円等を特別損失として計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は334億円(前期比269億円増)となりました。なお、海外売上高は6,378億円(前期比17.0%増)で、海外売上高比率は53.1%(前期比1.5ポイント増)となりました。
単独の業績につきましては、売上高は3,535億円(前期比19.1%増)、営業利益は15億円(前期比106億円改善)、経常利益は130億円(前期比127億円増)、当期純利益は324億円(前期比305億円増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
〔インフラ〕
情報通信ソリューション事業では、データセンタ・AI関連市場の伸長を背景に、ローラブルリボンケーブル等の高付加価値製品をはじめとする製品ラインナップの拡充及び供給体制の強化により、売上の増加を図ってまいりました。また、北米テレコム市場においては、光ファイバ等について顧客の投資抑制や在庫調整による需要低迷から緩やかに回復しつつあり、継続的なマーケティング活動の強化や製造体制の整備を実施するとともに、生産性の改善に取り組んだことで、増収増益となりました。
エネルギーインフラ事業では、電力事業において、国内の超高圧地中線や再生可能エネルギー向け海底線及び地中線の堅調な需要を背景に、ケーブルの製造能力及び工事施工能力の増強に取り組んでまいりました。産業電線・機器事業においては、軽量かつ柔軟性に優れ建設工事の省力化・効率化に貢献するアルミCVケーブル等の機能線及び送配電部品の堅調な需要のもと、マーケティング活動の推進による拡販に努めてまいりました。さらに、利益確保を重視した受注活動と販売価格の適正化に取り組んだことで増収増益となりました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は3,094億円(前期比11.2%増)、連結営業利益は45億円(前期比158億円改善)となりました。また、単独売上高は979億円(前期比26.4%増)となりました。
情報通信ソリューション事業では、急速に外部環境が変化するなか光ファイバ・ケーブル事業の運営体制を刷新し、グローバルに統一された戦略のもとで効率的かつ迅速な意思決定による事業運営を行うことで、収益拡大を図ってまいります。また、拡大傾向が継続すると見込まれるデータセンタ・AI関連市場に向け、光ケーブル等の供給体制を強化するとともに、通信の高速大容量化に不可欠な光コネクタ関連技術に強みを持つ会社を子会社化し、開発力とコスト競争力におけるシナジーを発揮することで、市場での優位性を確立してまいります。加えて、テレコム市場の本格的な需要回復に備え、製造体制の整備や生産性改善等の取組みを継続してまいります。さらに、高速光変調器において世界トップレベルのシェアを有する会社の子会社化により、B5G*時代の光ネットワークに向けた集積デバイス等の開発を推進してまいります。
*B5G…Beyond5G。5Gの特徴(高速・大容量、低遅延、多数端末との接続)の更なる高度化に加えて、空・海・宇宙への利用領域の拡張、超低消費電力、超高信頼等の特徴を備えることが想定されている。6G(第6世代移動通信システム)とも呼ばれる。
エネルギーインフラ事業では、電力事業においては引き続き国内の超高圧地中線の引替え需要や再生可能エネルギー関連需要を捉え売上の拡大を図るとともに、産業電線・機器事業においては、アルミCVケーブル等の機能線やデータセンタ向けプラグインコネクタ等の戦略製品の拡販に取り組んでまいります。また、当社グループ内のメタル電線事業の統合を実施することで、商圏・商流の集約による販路拡大、リソースの効率的な配分による競争力強化等のシナジー効果の最大化を目指してまいります。
〔電装エレクトロニクス〕
自動車部品事業では、車両の軽量化に貢献するアルミワイヤハーネスの搭載車種拡大等により売上が堅調に推移いたしました。また、電動自動車市場に向けた高電圧に対応したワイヤハーネス等の製品開発及び拡販に取り組んでまいりました。さらに、円安の影響により海外子会社において生産した製品の輸入価格が上昇したものの、顧客の安定的な生産計画に基づく受注により生産性が改善したことに加え、販売価格の適正化に取り組んだことで、増収増益となりました。
電装エレクトロニクス材料事業では、エレクトロニクス関連市場の低迷が続いたものの、パワー半導体用及び放熱部品用耐熱無酸素銅条等の高付加価値製品の品揃えの充実及び拡販や、販売価格の適正化を含む製品ミックスの改善に取り組んでまいりました。さらに、銅地金価格の高騰や円安の影響により、増収増益となりました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は7,364億円(前期比12.7%増)、連結営業利益は323億円(前期比72.7%増)となりました。また、単独売上高は1,597億円(前期比12.8%増)となりました。
自動車部品事業では、引き続き電動自動車市場に向けた製品開発や生産の自動化等による生産性改善に取り組むことで収益の拡大を図ってまいります。
電装エレクトロニクス材料事業では、今後も販売価格の適正化を含む製品ミックスの改善による収益の確保に努めるとともに、高付加価値製品の品揃えの充実と拡販に取り組んでまいります。
〔機能製品〕
機能製品事業では、データセンタ・AI関連市場の成長に伴う需要を取り込むべく各施策を実施してまいりました。特に、放熱・冷却製品については需要が旺盛な空冷方式ヒートシンクの供給体制を整備してまいりました。また、ハードディスクドライブ用アルミブランク材については、顧客の在庫調整の解消を受け回復した需要を捉えたことにより収益を拡大し、増収増益となりました。
これらの結果、当セグメントの連結売上高は1,470億円(前期比27.4%増)、連結営業利益は140億円(前期比84億円増)となりました。また、単独売上高は919億円(前期比25.1%増)となりました。
機能製品事業では、引き続き高い成長が見込まれるデータセンタ・AI関連市場に向け、次世代製品の開発、製造体制の整備、顧客対応力の強化等に取り組んでまいります。半導体製造用テープについては、三重事業所内に開設した新工場が2025年度より量産開始予定であり、高性能かつ高品質な製品の安定供給を図ってまいります。また、データセンタ向け放熱・冷却製品については、従来の空冷方式に加え、新たに水冷モジュールの量産開始に向け工場新設等の製造体制の整備を図ってまいります。
〔サービス・開発等〕
水力発電、新製品の研究開発、不動産の賃貸、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート等を行っております。なお、当社日光事業所においては、必要な電力のほとんどを再生可能エネルギー(水力発電)で賄っており、本水力発電は25中計におけるサステナビリティ目標「電力消費量に占める再生可能エネルギー比率30%」達成の一端を担っております。
当セグメントの連結売上高は338億円(前期比7.1%増)、連結営業損失は36億円(前期比17億円悪化)となりました。また、単独売上高は40億円(前期比7.0%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、661億円(前連結会計年度比+130億円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+541億円、減価償却費+413億円、持分法による投資損益(△は益)△106億円、有価証券及び投資有価証券売却損益(△は益)△78億円等により+598億円(前連結会計年度比+279億円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出△95億円、投資有価証券の売却及び償還による収入+433億円、有形固定資産の取得による支出△367億円等により△72億円(前連結会計年度比+176億円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)△340億円、長期借入れによる収入+607億円、長期借入金の返済による支出△595億円等により△442億円(前連結会計年度比△348億円)となりました。
当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしておりません。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度末の資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ20億円増加して9,870億円となりました。現金及び預金が111億円、受取手形、売掛金及び契約資産が149億円、棚卸資産が114億円増加し、有形固定資産が16億円、投資有価証券が329億円減少しました。
流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は、前連結会計年度末に比べ451億円増加して1,620億円となりました。
有形・無形固定資産は、資本的支出で386億円の増加、減価償却で413億円の減少のほか、除売却による減少等により変動しております。
負債の部では、合計が前連結会計年度末に比べ131億円減少して6,137億円となりました。借入金、社債、コマーシャル・ペーパーを含む有利子負債が3,062億円と前連結会計年度末比で269億円減少しました。
純資産の部では、合計が前連結会計年度末に比べ151億円増加して3,733億円となりました。その他の包括利益累計額が66億円増加しました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末比1.3ポイント上昇し34.6%となりました。
キャッシュ・フローの概況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度比13.7%増の1兆2,018億円、連結営業利益は、前連結会計年度比359億円増の471億円となりました。電装エレクトロニクス事業におけるワイヤハーネス等の自動車部品での増収や機能製品事業におけるデータセンタ関連製品での増収、また銅地金価格・為替の変動の影響により、グループ全体の売上は増加しました。損益面では、高付加価値製品のラインナップ拡充や生産性の改善、販売価格の適正化に取り組んだことにより増益となりました。
営業外損益では、前連結会計年度に比べ持分法による投資利益が43億円増加、為替差損が21億円悪化しました。この結果、連結経常利益は前連結会計年度比383億円増の486億円となりました。
特別損益は、55億円の利益(純額)となりました。株式交換差益48億円、投資有価証券売却益104億円等を特別利益に、減損損失26億円、製品補償引当金繰入額61億円等を特別損失として計上いたしました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比269億円増の334億円となりました。
なお、セグメント別の概況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」に記載しております。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
また、日本、中国及びタイにおいては、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、効率的な資金活用に努めております。
手元流動性については、手元現預金とコミットメントラインにより、短期的な支払リスクをカバー出来うる水準を確保しております。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。