E01350 Japan GAAP
前期
111.7億 円
前期比
115.3%
株価
1,697 (04/23)
発行済株式数
7,028,060
EPS(実績)
169.10 円
PER(実績)
10.04 倍
前期
732.1万 円
前期比
108.1%
平均年齢(勤続年数)
48.9歳(18.2年)
従業員数
122人(連結:269人)
当社グループは放送・通信用ケーブル・ハーネス・コネクタ・機器(パッシブ・電子)及びその付帯器具を製造、販売しております。製造についてはカナレハーネス株式会社(日本)、カナレコネクティッドプロダクツ株式会社(日本)、カナレシステムワークス株式会社(日本)、Canare Electric(Shanghai)Co.,Ltd.(中国)がその役割を担っております。一方、販売については当社が国内及びその他の地域を、Canare Corporation of America(米国)が米国、カナダ及び中南米諸国への販売を、Canare Corporation of Korea(韓国)が韓国への販売を、Canare Electric Corporation of Tianjin(中国)が中国及び香港への販売を、Canare Corporation of Taiwan(台湾)が台湾への販売を、Canare Singapore Private Ltd.(シンガポール)がアジア地域(除く、中国・韓国・台湾)への販売を、Canare Electric India Private Ltd.(インド)がインドへの販売を、Canare Europe GmbH(欧州)が欧州への販売を、Canare Middle East FZCOが中東地域への販売を担当しております。
なお、「日本」「米国」「韓国」「中国」「台湾」「シンガポール」の区分は、セグメントの区分と同一であります。
[事業系統図]
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、長引くロシア・ウクライナ問題や中東情勢の激化、中台関係の悪化の長期化など、地政学的リスクが一層高まり不安定な状況が続きました。一方で人々の交流を阻ん
だ新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎え、経済はポストコロナの世界に向かって一気に動き始めました。
こうした状況下、当社グループは、次世代成長製品として位置付けるITネットワーク関連製品など新規製品の開発および普及活動に注力するとともに、経営体質の強化に取り組んでまいりました。また、大幅な円安の進
行や銅価格安定は当社にとって追い風となりました。
その結果、国内の売上は前年同期を上回り、海外では円安の継続により海外全体での業績が好調であったことに加え、台湾における大型工事物件の完成により大幅な増収増益となりました。
以上により、連結売上高は12,872百万円(前連結会計年度比15.3%増)となり、利益面でも増収に伴い営業利益1,668百万円(前連結会計年度比41.7%増)、経常利益1,739百万円(前連結会計年度比38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,188百万円(前連結会計年度比36.8%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは所在地別の業績を基にしたものであり、その主な概要は次のとおりです。
(日 本)
日本市場は、放送市場ではNHK放送センター建替工事案件でシステム部材納入が継続し、年始特番イベント向け中継機材の販売が堅調でした。電設市場では男子プロバスケットボール用アリーナ大型映像、中継システム向け機材販売が堅調で売上高は6,354百万円(前連結会計年度比6.1%増)となりましたが、第4四半期において新横浜本社移転費用などが発生し、セグメント利益は583百万円(前連結会計年度比8.6%減)となりました。
(米 国)
北米市場は、放送市場において4K制作設備の更新物件が継続し、システムインテグレータやディーラ向けに当社製品の納入が好調で、売上高は1,591百万円(前連結会計年度比20.5%増)、セグメント利益も増収により243百万円(前連結会計年度比107.0%増)で増収増益となりました。
(韓 国)
韓国市場は、インフレの影響により景気減速傾向の中、放送市場においては4K放送設備の更新物件遅延や規模縮小があったものの、市販及び電設市場が堅調で全体をカバーし、売上高は1,039百万円(前連結会計年度比2.4%増)、セグメント利益も増収等により156百万円(前連結会計年度比7.1%増)で増収増益となりました。
(中 国)
中国市場は、放送市場で4K制作設備更新、電設市場ではスタジアムやホール物件数が復調しました。売上高は1,565百万円(前連結会計年度比16.0%増)、セグメント利益も増収等により268百万円(前連結会計年度比33.4%増)で増収増益となりました。
(シンガポール)
東南アジア市場は、放送及び電設市場においてはシステムインテグレータやディーラ向けに当社製品の納入が好調であったほか、市販ディーラの在庫向け販売も好調で売上高は574百万円(前年同期比14.7%増)、セグメント利益も増収等により99百万円(前年同期比22.1%増)で増収増益となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益1,747百万円計上し、投資有価証券の売却・償還による収入302百万円などの増加要因があったものの、売上債権の増加228百万円、棚卸資産の増加140百万円、前受金の減少397百万円、法人税等の支払い612百万円、定期預金の預入超629百万円、配当金支払い291百万円などの減少要因があったため、前連結会計年度末に比して22百万円減の8,546百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前受金の減少397百万円や法人税等の支払い612百万円等の支出がありましたが、税金等調整前当期純利益1,747百万円の計上に加え、減価償却費245百万円などの現金及び現金同等物増加要因によって808百万円の収入超となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却・償還による収入302百万円を計上したものの、定期預金の預入超629百万円の影響が大き
く、561百万円の支出超となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い291百万円を主因に369百万円の支出超となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前連結会計年度比(%) |
日本(千円) |
2,427,844 |
114.2 |
中国(千円) |
782,776 |
107.0 |
合計(千円) |
3,210,620 |
112.4 |
(注)1.上記の金額は生産子会社の製品販売価格によっております。
2.当社グループは、日本及び中国で生産を行っております。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前連結会計年度比(%) |
日本(千円) |
6,354,080 |
106.1 |
米国(千円) |
1,591,643 |
120.5 |
韓国(千円) |
1,039,083 |
102.4 |
中国(千円) |
1,565,074 |
116.0 |
台湾(千円) |
681,743 |
468.5 |
シンガポール(千円) |
574,048 |
114.7 |
インド(千円) |
189,313 |
189.0 |
欧州(千円) |
625,427 |
113.2 |
中東(千円) |
252,022 |
130.3 |
合計(千円) |
12,872,437 |
115.3 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を行っております。
ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される要因に基づき見積り、仮定を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積り、仮定と異なる場合があります。
当社グループは、特に次の重要な会計方針の適用により見積りや仮定が連結財務諸表に影響を与えると考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、支払不能となった顧客が増加する等により追加引当が必要になる可能性があります。
b.賞与引当金
当社グループは、従業員へ支払う賞与につきまして、過去の実績と会社の方針を参考にして見積り金額で計上しておりますが、支給額の増加により追加引当が必要になる可能性があります。
c.棚卸資産
当社グループは、販売不能と見込まれるたな卸資産につきましては、評価減を実施しておりますが、予期せぬ不良、仕様変更によりいっそうの評価減が必要になる可能性があります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積額に修正が生じた場合において、当該固定資産に対して減損損失を認識する可能性があります。
e.投資有価証券の減損
当社グループは、投資の一環として株式及び債券等を所有しております。これら金融商品の投資価値下落に対しましては、時価が取得原価に対して50%以上下落した場合には、当該時価まで減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。 f.製品保証引当金
当社グループは、顧客に納品した一部製品に対して、将来の製品交換及び補修費用に備えるため、今後必要と見込まれる金額を計上しておりますが、予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。
② 当社グループの財政状態及び経営成績の分析
a.財政状態
(資産)
資産合計は、前連結会計年度比1,177百万円増の18,908百万円となりました。当社の現金及び預金、棚卸資産の増加や円安に伴う海外子会社資産の全体的な換算増を主因としております。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度比149百万円減の1,887百万円となりました。これは台湾における大型工事物件の完成で中間金入金の前受金が減少したことを主因としております。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度比1,326百万円増の17,021百万円となりました。これは利益剰余金の親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加や為替換算調整勘定の増加を主因としております。
b.経営成績
(売上)
当連結会計年度における当社グループの売上は、国内市場においては市場での物件投資が活発となり放送市場・電設市場ともに堅調な販売となりました。放送市場では、今後一定期間に渡り大きな需要が見込まれるNHK新放送センターの1期工事が始まり、また、地方放送局やラジオ放送局のシステム更新物件も継続しました。電設市場では、多様な世代が集う交流拠点としてまた地域活性化の核を目指した「スタジアム・アリーナ改革」の進行により全国の建設物件へ当社製品納入が進みました。これらの結果、国内売上は前連結会計年度比5.9%増の6,079百万円となりました。海外市場においては、当社の海外販売拠点8拠点全てにおいて増収増益と、過去最高の売上となり、初めて年間の売上額が国内を上回りました。特に台湾においては、完成までに10年以上の期間を要した台湾初のドーム球場である台北ドームの場内放送回線工事を無事完工し、当連結会計年度に売上を計上することができました。更に、アメリカでは多くの放送局舎や中継車へ当社製品が新規採用されたほか、オーストラリアでも放送用カメラメーカーから当社の光カメラケーブルを標準採用していただくなど、これまでの海外販売促進活動が結実し、海外売上は前連結会計年度比25.2%増の6,792百万円となりました。
以上により、売上高は過去最高となる12,872百万円(前連結会計年度比15.3%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度から引続き銅をはじめ多くの原材料が値上げとなりましたが、原材料価格上昇分を販売価格に一部転嫁できたことに加えてグループ内取引の未実現利益が台北ドームの売上計上に伴い実現したこともあり、売上原価率は前連結会計年度に比して2.3ポイント低下して7,460百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症の一定の収束に伴い行動制限がほぼ無くなり、営業活動などが活発化する中、当社における新横浜本社の移転もあって増加となったものの、対売上高比は、ほぼ前連結会計年度と同等で3,743百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
売上原価率の低下の影響が大きく、親会社株主に帰属する当期純利益は、対売上高比が前連結会計年度比で1.4ポイント上昇して1,188百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、次の要因により重要な影響を受けます。
a.主要な需要先である電設業界、放送業界の設備投資動向
b.比較的価格変動の大きい銅等を材料として使用しているためそれらの価格動向
c.海外売上比率が高くなっているため、為替相場動向
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、原則として自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借り入れを実施することを基本方針としております。この方針に従い、当連結会計年度における運転資金や設備投資資金は自己資金により充当しました。直近において大きな設備投資を計画しておらず、必要となる運転資金などは主に自己資金により充当する予定ですが、必要に応じて金融機関からの借入れを実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。
⑤ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、時代と共に変化する価値観に対応して、顧客から善い会社として支持・信頼される会社を目指し、「いつの時代でも存在価値ある企業づくり」を経営基本理念として掲げ、その理念を基に、「企業は公器」と認識していつの時代でも善い会社であるために、貢献資源づくり、普及活動および、フィードバックを実践してまいります。
以上の方針のなか企業価値向上をはかってまいりますが、企業業績の指標として連結業績で1株当たり当期純利益200円超えを目指しております。当連結会計年度におきましては、1株当たり当期純利益は175円26銭となりました。